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*R.S.3_LxM 22 [#z20f3666] #title(R.S.3_LxM 22) [#z20f3666] ミカエルは影に城を任せ、外を歩くことが増えた。 隣国の視察といいながら、彼は旅姿で外出する。 ピドナの工房で出会ったノーラが、旅の仲間に加わった。 聖王の槍を探すのを手伝うというのが当初の目的であるが、ミカエルは工房に目をつけていた。 (ルートビッヒにやるには惜しい。) 離散した工房の職人を集める約束を交わし、いくばくかの資金を置いた。 ケーンがその金を受け取り、武器開発に着手した。 ノーラを連れ、ピドナを歩き回っていると知った姿が人目を憚り歩いていくのが見える。 彼、トーマスの後をつけると、そこはスラムの女神と呼ばれる女の家であった。 「ミカエル様!」 トーマスの紹介を経て、没落貴族クラウディウスの令嬢ミューズと対面する。 名は以前より知っている。彼女の父クレメンスが政敵に敗れたことも、その背景も。 迷子の子供を捜しに行かされたのは予定外であったが、彼女に出会えたことは幸運といえよう。 従者シャールに、困ったことがあればロアーヌを頼るよう伝えた。 迷子捜しを手伝ったせいか、彼は初めほどの警戒を見せなくなった。 「クレメンス卿には、数年前にお会いしたことがある。」 卿の名前を出せば残りの警戒を解くのも簡単だった。金を出し、彼に勧める。 「ありがとうござます。お気持ちだけ、頂きます。」 金を受け取ろうとしないシャールに、子供達の菓子代だと伝えるとミューズが礼を言った。 トーマスは窺うようにこちらを見ていたが、子供達の歓声に視線を移した。 軽い挨拶を済ませ、家を出る。 ピドナ王国がこの令嬢を押さえていないのは、大きな手落ちである。 彼女を担ぎ上げさえすれば、王国への反逆が正当化される可能性に気づいてない。 思わず、口元が緩む。 「アンタ・・・いや、アンタって言ったら悪いか。まさか侯爵サマだったとはね・・・。」 それまで黙っていたノーラが後ろで呟いた。 急なことで少し驚いたものの、外で侯爵と呼ばれる訳にはいかない。 かといって、呼び捨てにされるのは慣れていなかった。 #comment