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#title(The green knight runs through night前編)
半生。映画「緑蜂」より社長×助手。 
>>190のまた後日の話、エロありです。女性絡み+当て馬注意。 
二回に分けて投下します。 
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 


「……あっ、はあ、ブリシト……ダ、ダメだ……」 
「何がダメなんだ力ト-。ここ、気持ちいいんだろ?ほら、こんなに締め付けてるぞ」 
「うあっ!バカ、や、やめ……ブリシト!」 
「やめるもんか。やめたら困るのはお前なんだぞ、力ト-」 
俺は意地悪な口調と共にぐりぐりと指を動かし、シーツの上でのたうつ体に被さって甘く責め立てた。 
熱く狭い中は塗り込めたジェルで潤い、突き入れた俺の指をくわえ込んで、ひくひくとうごめいている。 
相棒の方も俺の中心を握って刺激を与えてくれていたが、下肢に施される愛撫の強さにその手は震え、動きが段々とそぞろになった。 
ベッドの上、素っ裸で重なり合った俺達の体は、どちらも熱くなっていた。 
俺は緩急を付けて擦ってやりつつ、俺の肩に縋って悶える奴の耳元に欲望を囁いた。 

「なあ力ト-……もうそろそろ、いいだろ?」 
「……いいって、な、何……?」 
「おいおい、とぼけるなよ。お前の中に入りたいって、ずっと言ってるじゃないか。いい加減イエスと言えよ……力ト-」 
ねだる言葉に合わせてぐっと突き上げると、相棒は高い声を上げてのけ反った。 

あれから何回か肌を合わせたが、俺達はまだ本当の意味で結ばれてはいなかった。 
男同士で繋がる行為を相棒が怖がり、指しか入れさせてくれないからだ。 
まあ無理はない。自分の後ろに男のドデカいモノが入り込むなんて、俺だって想像しただけで怖い。 
だから怯えてる奴の気持ちを汲んで、固いそこを時間をかけて丁寧にほぐし続けた。 
相棒は初めての時と、それから何回かは、触れられる度にうろたえて戸惑った。だが優しく根気よく撫でて擦ってやるうちに、俺の指をすんなりと受け入れ、動きに合わせて締め付けるほどになった。 
今夜は俺の三本の指を感じて、甘く切ない喘ぎを絶えず漏らしている。俺のモノは指なんかよりはるかにデカいんだが、この様子なら上手くいきそうな気がする。 
荒く息をつく唇を吸って、俺はさらに問いかけた。 



「力ト-……入れていいよな?俺はお前の全部が欲しい」 
「や……やだ、ブリシト……まだ、嫌だよ」 
「そう言うなよ。大丈夫だ、痛くないから。うんと優しくしてやるからさ」 
「あ、うっ……で、でもブリシト……やっぱり、んんっ」 
「まだ不安なのか。しょうがないな……じゃあ、あれでも使ってみるか」 
ため息をついた俺は動きを止めて、指を一旦引き抜いた。体を捻って、サイドボードの方に手を伸ばし、一番下の引き出しの中にある物を取り出した。 
相棒は蕩けたような顔つきで俺の動きを眺めていたが、手にした物を見つめた途端に目を見開いた。 
「……ブリシト!そ、それ」 
「力ト-、こいつが入りゃ俺のだって余裕だろ。試してみようぜ」 
「ダメ、やめろ!絶対に嫌だ!」 
「なんでだよ!お前の為に、やってみようって言ってるんじゃないか」 
「そんな思いやりいらない!どうせ、どっかの女の子に使ったんだろ。そんな物を入れられるのはゴメンだ!」 
「そりゃ誤解だ力ト-。こいつは前に若気の至りで買ったんだが、女にはみんな使うのを断られた。だからまだ真っさらで、お前が初めてなんだ」 
「……ちっとも嬉しくない!」 
憤慨した相棒は俺に蹴りを入れようとしたが、重そうな脚の動きにいつもの切れはなかった。 
たやすく脚を掴んだ俺は持っていたディルドをかたわらに置き、相棒の肩も掴んで一気に体をひっくり返させた。 
「ブリシト……おい、ちょっと!」 
「じっとしてろよ、力ト-」 
あまりの嫌がり様が俺の悪戯心に逆に火を点け、少し奴を虐めてやりたくなった。 
俯せた体にのしかかって押さえ、脚を開かせると、なだらかな曲線を描く尻の間に、再び握ったディルドをぐいっと押し当てた。 
異物の先端がほんの少し潜り込み、同時に相棒が息を飲んで、体を固くするのがわかった。 
「あ、あっ……!やだ、やめて……やめてくれ、ブリシト!」 
「力ト-、力を抜けよ。そう力むと痛いかもしれないぞ」 
「こ、このバカっ……最低野郎!やめろったら、そんな物まっぴらだ……うわ、あ!あーっ」 
腰を抱え込み、うなじや背中にキスを落としながら、俺はディルドをじわじわと挿し入れた。 
三分の一ほど埋め込んだところで相棒の切れ切れの罵倒は止まり、俯いた顔をシーツに押し付けて、唸るような声を絞り出していた。 



奴がびくびくと震えているのに気付き、ちょっと心配になって呼びかけた。 
「力ト-大丈夫か、痛くないよな?俺、ちゃんと優しくしてるだろ」 
「……バカ、バカ野郎、君なんか、嫌いだ……うぐっ」 
悪態をついた声は弱く掠れていて、ひょっとしてまた泣かしちまったかもと焦った俺は、顎の下に手を差し込んで顔をこちらに向けさせた。 
「ああ、やっぱり……泣くなよ力ト-」 
「……君が悪いんだ、君が、ひどいことするから」 
「わかったよ、俺が悪かった。今、抜いてやるから」 
苦笑した俺は、流れる涙を吸い取るように頬にキスして、そうっとディルドを引き抜いた。 
去った異物に安堵して力を抜いた相棒の体をまた返し、腕を回して正面から抱きしめた。 
「力ト-、なんだかお前を抱く度に泣かせてる気がするな。あんなに嫌がるなんて思わなかったんだ、もうしないから泣くな」 
「……あれは嫌だ。固くて冷たくて、気持ち悪かった」 
「なら俺の指は、熱くて気持ちいいってことだな。だったらこっちはもっと気持ちいいぞ、そう思わないか?」 
高ぶったモノを太股に擦り付けてやると、相棒は顔を赤く染めて口をつぐんだ。 
俺は何も言わない唇を吸って、ねっとりと舌を絡めた。相棒は深くむさぼる舌に素直に応え、その手は俺の中心を包み込んだ。 
俺も奴のモノを握り、口づけながら互いに甘く激しく快感を与え合った。 
長く塞いでいた唇をやっと離すと、相棒は息を乱しながら囁いた。 
「ブリシト……君を拒んで、すまないと思ってる……でも、僕は怖くて」 
「うん、まあしかたない。誰だって、未知の体験は怖いさ。踏み出すには度胸がいるからな」 
「……そうなんだけど、僕が怖いのは、ちょっとまた違うような……いや、違わない、のかな」 
「何訳わからんこと言ってるんだ、力ト-」 
「ゴメン、気にしないで」 
「バカ、そんなだとますます気になるだろ。正直に言えよ力ト-、何が怖いってんだ」 
手を休めた俺に真剣に見つめられて、相棒は困った表情で目を泳がせた。 
もう一度名前を呼んで促すと、観念したように目を閉じた。 
「僕が怖いのは……君に触られて、指を入れられるだけでもあんなに感じるのに……その、君自身を受け入れたら、一体どうなるのかが、こ、怖いんだ……」 



一息に告白した相棒は、俺の視線から逃げるように、体を翻してまた俯せになろうとした。俺は肩を掴んでそれを止め、弱くもがく相棒を上から見下ろした。 
押し黙ってしげしげと見られているのがいかにも居心地悪そうに、相棒は目を逸らして忙しく瞬きを繰り返した。 
「……何か言えよ、ブリシト。おしゃべりな君が黙ってると、やたらと気まずい」 
「そうか。なんて言おうか、ちょっと迷ってたんだ。お前があんまりにも、かわいらしいことを言ってくれるもんだから」 
「……やっぱり、しゃべらなくていい」 
「そうはいかない。言葉は大切だぞ、力ト-。お前がただ痛みや、俺に入れられることを怖がってるんじゃないってことがわかって、俺は嬉しいんだ」 
もういいから、と悲鳴のように叫ぶのを無視して、俺はさらに告げた。 
「はっきり聞かせてもらった以上、お前を無理に抱いたりはしない。力ト-、気持ちが決まったら教えてくれ。俺は根気よく待つから」 
「ブリシト、君……それでいいのか?」 
「いいとも。実は俺は、楽しみは後にとっとくタイプなんだぞ、力ト-」 
黒い目を覗き込んでおどけてやると、相棒はつられて頬を緩めた。 
「ありがとう、ブリシト……それまでは、こっちで」 
「……うお!そうだな、こっちで一緒にイこう、力ト-」 
相棒の手にきゅっと握られて体を跳ねさせた俺は、笑って奴のモノを握り返し、扱き上げながらキスを交わした。 
こうして互いの手で果てるのが、俺達のいつもの流れだ。結局今夜も最後までたどり着けなかったが、相棒の本心を知った俺に寂しさはあまりなかった。 
俺が欲するように、こいつが俺を求めてくれる時が来る。それまでは惜しみない愛撫を与え続けて、ひたすら待とうと思った。 
それほどまでに愛しく、大切な奴なんだと自覚した。 
たった一人の俺の相棒、俺の兄弟。今はもうそれ以上の、けして失いたくはない唯一の存在。 
大切だ、と心の中で何度も繰り返し、俺は俺だけの相棒に深く深く口づけた。 


ただならぬ仲になったとは言え、俺達は常にイチャついたりはしていない。 
ベッドにいる時以外は屋敷でも会社でも、ごく普通に日常を過ごしている。 
ふざけた俺が相棒の頬にキスして、軽く肩を殴られるなんてことはあるが、そんなのは俺達にとっては、もはやありふれたスキンシップだ。 



前より頻度は減ったが、俺はたまに女の子達と遊ぶし、二人とも脈無しと知りつつ、いまだに俺の美人秘書を意識している。 
全くのゲイでもなければ、愛してると誓い合った単純な恋人同士でもないから、お互いに激しく嫉妬するなんてこともない。他人が知ればちょっとおかしな感じかもしれないが、俺達に問題はなく、ごく円満な関係だ。 


その美女は、我が社の新聞の広告主になる予定の、下着会社の社長だった。 
濃いブラウンの長い髪は緩めの巻き毛で、大きな目は黒く情熱的に輝き、ラテンの血が入っているらしいエキゾチックな容貌をしていた。秘書とはまた違った魅力の彼女を見て、俺と相棒は『イケてる女だ』と視線で会話した。 
背の高い男前の部下を二人従えた彼女は、秘書も交えて社長室で俺と話をした。 
相棒は壁にもたれて立ち、何やら手帳に熱心にメモを取っている……と見せかけて、得意のスケッチで彼女の姿を描き留めているに違いない。 
話が纏まり、社長室を出た彼女は部下を先に行かせた。 
俺と秘書と握手を交わし、最後に相棒の手を握った。その時顔を近くに寄せて、相棒の耳に何かを囁いたようだった。 
手を離した相棒は、立ち去る彼女の官能的な後ろ姿を見送ると、ちょっとニヤつきながら応接スペースのソファに腰を下ろした。 
秘書も自分の席に戻ったが、俺は美女の囁きがなんだったのか気になり、座って手帳をめくっている相棒に後ろから近付いた。 
「おい力ト-、彼女お前に何て言ってたんだ?」 
「ん?別に、なんでもないよ」 
俺はとぼける奴の肩越しに、その手から手帳を奪い取った。案の定紙の上には、彼女のナイスバディがバッチリ描き写されていた。 
「嘘つけ!彼女、お前の手だけ両手で握ってたぞ。正直に吐け、何言われたんだよ」 
「ブリシト、そうムキになるなよ。たいしたことは言ってない。『あなた、私の前彼に似てるの。またぜひ会いたいわ』って言われただけさ」 
「……そりゃ、たいしたことだろ!」 
「でもそれだけで、連絡先を訊いた訳じゃないし。まあまた会社には来るだろうから、その時訊かれるかもしれないけどね」 
まんざらでもなく鼻の下を伸ばす相棒を眺めて、俺はちょっとおもしろくない気分だった。俺は妬いてるのか。だとしたら相棒に?彼女にか?……多分その両方だ。 
相棒の淡い期待が外れることを俺は何となく祈り、奴の手帳を放り投げて返した。 



その翌々日、ちょっとした異変が起きた。昼食がてら外出した相棒が会社に戻らず、俺に何の連絡もして来なかった。 
夕刻、相棒の不在に気付いた秘書に、力ト-はどうしたの?と尋ねられたが、俺は肩をすくめるしかなかった。 
しかたなく自分で車を転がし、自宅に帰った。夕食の席に着いたものの、相棒のことが気になってどうにも食が進まない。 

俺は今日の昼のことを思い返してみた。来客で出られなかった俺は、相棒に買い物を頼もうと会社から電話をかけた。 
街中にいた相棒は電話に出たが、途中で誰かに声をかけられたようだった。 
焦った様子の奴は、後でかけ直すと電話を切った。しばらく待ったが一向にかかって来ないので、俺から再びかけた。 
すると、電源が切れているというメッセージが流れた。なんだよあいつ!と鼻白んだが、さほど重要な用事でもなかったので、繋がらない携帯電話を置いて仕事に戻った。 
それから何回か電話をかけたが、やはり電源は切られたままだった。 

俺は不安に取り憑かれた。こんなことは、今までなかった。常に会社に行くのも帰るのも一緒だったし、何か用事があって出かける時は、必ず連絡をして来た。 
無断で俺の側を長らく離れるなんて、奴が絶対にする筈がないんだ。 
きっと相棒の身に何かあったに違いないと確信した俺は、食卓を離れてガレージに向かった。 

万一の時の為に、俺達はそれぞれ発信機を身につけていた。俺はブラシク・ビューティーに乗り込んでナビを操作し、相棒の信号の位置を確認した。 
そして緑のマスクと衣装に着替え、ガス銃と念のために相棒の銃も持った。 
ガレージに寂しげに置かれたままの相棒のバイクを眺めてから、麗しの愛車と共に夜の街に飛び出した。 



「全く、お前と来たら……美女にデレデレして油断するから、こんなことになるんだ」 
「うるさいな、美人に弱いのは君だって同じだろ」 
部屋に連れ戻した相棒に苦言を呈すると、俺のベッドに横たわった奴は、負けじと言い返して来た。 

街外れまでやって来た俺は、古びたビルの下で車を停めた。相棒の信号は、ここの最上階から発せられていた。 
今は使われていない様子のビル内に侵入すると、明らかに怪しい黒服の男が、エレベーターの前で見張りをしていた。 
問答が面倒臭いのでガス銃を一発お見舞いし、上へと上がった。 



最上階は外観とは大違いに、金が掛かっていそうな洒落た内装になっていた。廊下の奥に進むと大きなドアがあり、その前にも黒服の男が頑張っていた。 
俺に気付いて懐の銃を取り出すより早く、ガス弾を喰らわせて気絶させた。すると中から、問いただすような女の声が聞こえた。 
相棒は女といるのかとちょっと驚いたが、ためらいなく鍵を掛けられた錠に実弾をぶち込んで壊し、勢いよくドアを蹴り付けて部屋に入った。 
部屋の中には、とんでもない光景があった。相棒はベッドに転がり、柵にゴムのロープで両手首を縛り付けられていた。奴は上半身にシャツを羽織っただけで、ほとんど裸の情けない姿をしていた。 
そのかたわらには、あの美しい女社長がいた。艶やかなワインレッドのガウンを身に付けていたが、前がはだけてあらわになった胸は真っ平らだった。しかも下半身にはなんと、隆々と猛った男の持ちモノがくっついていたんだ! 
一瞬気が動転したが、赤い顔をして泣きそうになっていた相棒が、こちらを見て嬉しそうに笑ったので、俺は冷静さを取り戻した。 
「おっと、俺としたことがどうやら場所を間違えたようだな、失礼した!」などとテキトーなことを叫んで、目を丸くする美女(?)に容赦なくガス銃を発射した。 
ロープを解いてやり、そこらに散らばっていた服をひっ掴んで、ふらつく相棒の肩を支え、俺達はビルから抜け出した。 

屋敷に帰ると、薬を使われたらしくやや朦朧としている相棒を、とりあえずベッドに寝かせた。帽子とマスクを外して、横で椅子に腰掛けた俺に、相棒はことの経緯をとぎれとぎれに語った。 
昼食を取り終えて俺と電話で話していた相棒に、偶然を装いあの女が声をかけた。一緒にお茶でもどうかと誘われ、車に気軽に乗り込んだ奴の首筋に、女は何かを注射した。気絶した相棒の携帯電話の電源を切ったのも、もちろんあの女だ。 
相棒が気付くと見知らぬ部屋のベッドに縛られていて、目の前にはガウンの女が妖しく微笑んでいた。 

「結局あの美女は実は男で、会社で会ったお前に目を付けて掠い、無理矢理その……モノにしようとしたって訳か」 
「……あいつ、僕が前の男に似てるって、それは本当だったらしい。可愛いがり過ぎたら姿を消してしまって、寂しかったところに僕が現れて……どうにもたまらなかったんだって」 
「可愛がり過ぎた、って……想像するのが怖いな」 



眉を寄せて忌ま忌ましげに話す相棒を心から気の毒に思ったが、俺にはもっと気になることがあった。 
だがそれを切り出すのが気まずくてチラチラと顔色を窺っていると、相棒は心を読み取ったらしく、ため息混じりに言葉を吐いた。 
「……ヤラれてないよ」 
「ホントか力ト-!そりゃよかった」 
思わず叫んでベッドに膝を乗り上げ、満面の笑みで手を握った俺を、相棒は真っ赤な顔で睨んだ。 
「本当だよ……さらに変な薬を嗅がされて、襲われかけたところに君が来てくれた」 
「そうか、間に合ってよかった!お前の貞操が無事で何よりだ、力ト-」 
「貞操って……」 
「くそっ、あのオトコ女!いや、オンナ男か?ご自慢の顔に一発、ぶちかましてやるんだった!俺の相棒をひどい目に合わせやがって!」 
俺は可哀相な相棒の上体を抱き起こし、強く抱きすくめてやった。すると相棒は、居心地悪そうに体をうねらせた。 
「どうした力ト-、気分悪いのか」 
「ブリシト……僕、僕は」 
抱きしめた相棒の体温は上がり、絶え絶えの呼吸は荒く、逸らされた目は潤みをたたえていた。ふと下肢に目をやると、奴の中心は立ち上がって、切なそうに震えていた。 
「おい力ト-、薬って……まさか」 
「……て、ブリシト」 
「力ト-、なんだ?何が言いたい」 
「だ、抱いて……ブリシト、僕を、抱いてくれ……」 
……今何て言った? 
俺の頭は真っ白になり、次いで顔が真っ赤に染まった。相棒がそんな風にねだるなんてことは初めてで、俺の胸は高鳴り舞い上がりかけた。 
しかし待て、おそらくあの女に使われた媚薬か何かで、こいつはちょっとおかしくなっているんだと思い直した。 
体は俺を求めていても、心が本当にそうとは限らない。俺は深呼吸して、腕の中の相棒を見つめた。 
「待てよ力ト-。そう言ってくれるのは嬉しいけど、今のお前は、正気じゃないだろ?」 
「正気だよ、ブリシト。僕は本当に、君が欲しいって……」 
「そうか?薬で熱くなってるから、気も高ぶってるんじゃないかな。後で正気になったお前に怒られるのは俺なんだからさ、ちゃんと確かめときたいんだよ」 



「……なんだよ、その気になったら教えろって、君が言ったんじゃないか!せっかくその気になったのに、ウダウダ抜かすなよ!」 
いきなりケンカ腰になられて驚いたが、それも薬のせいだと思って俺は相棒をなだめにかかった。 

「落ち着けって力ト-。薬に惑わされてるお前に付け込みたくないんだよ、俺は。本当に俺が欲しいならいいんだが、お前はまだ、動揺してるだろうし……」 
「動揺してるさ、女のフリした男に襲われかけたんだから!いいからしのごの言わずに抱けよ、ブリシト。あんな変態にヤラれるくらいなら、とっとと君に突っ込まれた方がマシだ!」 
俺の肩を突き飛ばして叫んだ相棒に向かって、口より先に手が動いた。咄嗟に俺は、奴の横っ面を平手で張り飛ばしていた。 
ぐらりと体を傾けた相棒はシーツに肘を着き、打たれた右頬を手で押さえた。 
「力ト-、このバカ野郎!なんて言い草だ!そんなヤケクソな理由で欲しいなんて言われて、俺が喜ぶとでも思うのか?見損なうな!」 
声の限り怒鳴り付けた後、震える相棒の口端に、血が滲んでいるのに気付いた。 
しまった、と思った。今のこいつは普通じゃないのに、その言葉にキレてぶん殴るなんて、俺は一体何をやってるんだ。 
たちまち後悔し、俯いたままの相棒の肩を両手でそっと掴んだ。 
「……殴って悪かった。でもわかってくれよ、お前が本当に大切なんだ。心から俺を求めてくれてるんじゃなきゃ、お前を抱いたって虚しいだけだろ……力ト-?」 
顎に手をやって上向かせると、相棒はぽろぽろと涙を零した。ああくそ、またか!と自分に舌打ちした俺の胸に、相棒は顔を埋めてもたれかかった。 
背中に腕を回して抱き着く奴の頭や体を、俺は優しく撫でてやった。 


[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン! 
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