Top/63-346

63-346 の変更点


#title(グリーン・ホーネット ブリットとカトー 「わがままヒーロー&悩める相棒」)
半ナマ注意。 
映画「緑蜂」より、友達以上恋人未満wな社長と助手。助手視点で、台詞は字幕の口調風。 
映画スレからネタをちょこちょこお借りしてます。姐さん達ありがとう。 

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 


ラボで新しい武器の構想を練りつつスケッチをしていると、したたかに酔った相棒がやって来た。よう、またエロい絵描いてんのかと陽気に笑って近付き、机の上にどっかりと尻を乗せた。 
「なあ力ト-、この家で一緒に暮らさないか」 
「嫌だね」 
即座に断ると相棒は見る間に落胆し、この世の終わりのような表情を浮かべた。 
「前にも同じように断ったよな。なんでだ!俺と暮らすのがそんなに嫌かよ」 
「君こそなんで僕と暮らしたがるんだ。昼は会社で一緒だし、夜も二人で仲良くパトロールだ。この上一緒に暮らしたりしたら、四六時中同じ顔を見てることになるぞ」 
不服そうに喚き立てる相棒に困惑して尋ねると、彼はしかめた顔をごしごしと乱暴に掌でこすってから、大きなあくびをした。 
「眠いんなら、部屋に行ってさっさと寝ろよ」 
「いいや、眠くない。それより答えろ、力ト-。四六時中一緒にいて何が悪いんだ。俺達はとっくに、公私ともに立派な『パートナー』だろ、今更何を気がねしてる」 
「気がねなんかしてない。違う意味の『パートナー』に思われるのはごめんだから、嫌だって言ってる」 
初っ端の紹介の仕方に問題があったせいか、社員の中には二人の関係を不思議に思う者があるらしく、社内で微妙な視線を感じることが少なくない。 
これで同居なんかしようものなら、ほらやっぱりだ!とたちまち噂になるに決まっている。 



「大丈夫だよ、俺が女の子ダーイ好きなのは周知の事実だし。お前が住んでもうちに女の子は呼ぶし」 
「あ、そう」 
「そう。だからいいだろ、ここに住めよ。そうすりゃ通う手間が省けるだろ?ガソリン代も浮くぞ」 
「金持ちの癖に、みみっちいこと言うなよ」 
「親切で言ってんだぞ。部屋はいっぱい空いてる、好きなとこを使え。引越し楽チンだぞ、家具備え付けだし。カーテンは好きな柄に変えてやる。花柄がいいか?お前、花柄好きだろ」 
「あれは前の住人が置いてったんだ。僕の趣味じゃない」 
一度夜中に忍び込んだだけなのに、そこまで見ていたのかと驚き呆れた。 
そして同居を迫る相棒の熱心さに不審を覚え、あらためて尋ねた。 
「カーテンの柄なんかどうでもいい。ブリシト、なんで僕をここに住ませたがる。ガソリン代のことは本音じゃないだろう?正直に言えよ」 
「だってさ、俺達ションディーだろ?兄弟なら、一緒に住むのが当然だ」 
「ブリシト」 
名前を呼んでじっと見つめると、相棒は机から降りて冷蔵庫の方に歩いた。 
扉を開けると、ビールを一本取り出した。 
「お前もやるか?」 
「いや、いい。そんなに酔っててまだ飲むのか」 
「飲むとも!こういうの、日本語じゃ『フカザケ』って言うんだってさ。中国語だと何て言うんだ?」 
酒喝得太多、と答えようとして、瓶を抱えて妙な動きをしている相棒に気付いた。 
「栓抜きなら、その横にあるよ」 
「力ト-、あれやってくれ。こう、シュパッて手で開けるやつ」 
側に戻ってきた相棒の手から瓶を受け取り、手刀を振るって蓋を開けた。 
空中に滑らかな曲線を描いて飛び去った蓋を見つめ、相棒はオーッと声を上げた。 
「さっすが力ト-。俺、なかなか出来ないんだよなあ」 
「鍛錬とコツが必要なんだ。そんなことより、ブリシト……」 
「わかってる、理由だろ」 
右手を上げて言葉を制すると、瓶を傾けてビールをあおった。それから顔をこちらに向け直し、瓶を玩びながら口を開いた。 
「じゃあ正直に言うけど……怒るな」 
「いいから言えよ」 
「怒るなよ力ト-、約束だからな。俺はな、お前に、そのう……」 



ちらちらと顔色を窺ってなかなか先を言わない相棒に、顎をしゃくって促した。 
「だからさ、お前にコーヒーを、入れて欲しいからだよ!俺の好きな時に……ちょっと待て力ト-、ダメだ、怒らないって約束だろ!?」 
ぴくりと眉根を寄せたのに敏感に反応し、相棒は顔の前に腕を上げてガードした。 
「殴るなよ、いきなり殴るのは反則だ!」 
「殴らないよ。でも言ったよな、僕にコーヒー入れろと命令したら……」 
人差し指を突き付けて静かに抗議すると、彼は瓶を持ったまま手を振った。 
「命令じゃない。頼んでるんだ、ションディーとして。何しろお前の入れるコーヒーは、美味すぎる」 
「あの機械を使えば誰にでも出来る。使用人に頼めよ。前に何人かにやり方は教えたぞ」 
「ダメだ。お前がいない時にやらせてみたが、お前のとは違ってクソみたいだった」 
「じゃあ自分でやってみろ、教えてやるから」 
「もっとダメ!俺の不器用さを知ってるだろ?瓶も開けられないんだぞ。それに漢字が読めない」 
「漢字くらい覚えろよ。読めなくても、流れを掴めば出来るさ」 
「いいやダメだ。やっぱりお前の入れてくれるあの味が、メッチャ最高なんだ」 
全く譲る気のない我が儘ぶりに呆れたが、コーヒーの味を手放しで褒められて悪い気はしなかった。 
だがそのために同居なんて、やっぱり馬鹿げてる。平行線を辿るコーヒーの件は置いておいて、別の方向から攻めようと考えを巡らせた。相棒はまるで構わずに、言葉を続けた。 

「もちろん、ただコーヒー入れろとは言わない。見返りはあるぞ」 
「見返り?」 
「そうさ、例えば……そうだ、お前に泳ぎを教えてやるよ。ここにいればいつだって教えられる。万能ナイフの唯一の弱点を克服出来るぞ、どうだ?」 
目を輝かせて条件を持ちかける相棒とは裏腹に、以前この家のプールで不様に溺れたことを思い出して、顔に血が上った。 
「力ト-、恥ずかしがるな。誰にでも弱点はある。それを乗り越えてこそ、人は成長するんだ」 
「……知った風な口をきくじゃないか。せっかくだけど断るよ、僕はそんな見返りはいらない」 
自分は欠点だらけの癖によく言うな、という言葉を飲み込んで忌ま忌ましげに告げると、理解出来ないという風に相棒は目を瞬いた。 



「マジか?あと泳げさえすれば、お前は本当のスーパーマンになれるんだぞ」 
「そうだな、君はいい気分かもしれない。スーパーマンに好きな時に、美味いコーヒーを入れてもらえるんだからな」 
「そうだ、お互いに損はないだろ?俺が手取り足取り、泳ぎを教えてやるからさ。なあ力ト-、一緒に住むって言えよ。」 
皮肉を素直に受け取って笑うお坊ちゃんにイライラしながら、決定的に断れる言葉を頭の中で探した。 

「力ト-?で、どうなんだ」 
「……やっぱりダメだ。ここには住めない」 
「なんでだよ!何が気に入らないってんだ」 
「プールだ。君の話で気付いた。プールがある家になんか、僕は住みたくない」 
「なんだ、溺れたのがそんなにショックだったのか」 
「ああ、ショックだった。思い出しても体が震えるよ。もうあんな思いはしたくない」 
沈んだ表情を作って首を振ると、相棒はなおも懲りずに口説いた。 
「だから教えてやるって!スーパーマンにしてやるって、言ってるじゃないか」 
「いや、泳げたところで、どうせ空は飛べないだろ?ならスーパーマンにはなれないよ。僕には無理だ」 
「おいおい、屁理屈を言うなよ」 
「うるさいな。とにかくプールがある限り、僕はここには住まない。どうしても住んで欲しいって言うなら、プールを埋め立ててくれよ!そしたら、考えてもいい」 
「な、なんだって?本気で言ってんのか!」 
唾を飛ばし叫ぶ顔を見つめて、真顔で頷いた。 
美女達を侍らせてプールで遊ぶのが大のお気に入りのこの男が、そんな条件を飲む訳がない。 
そんなこと出来るか!じゃあもう同居なんか無しだ、とキレて、誘いを取り消すに決まっている。 
あまりの無理難題に相当驚いたのか、相棒はしばし固まっていた。 
ざまあ見ろ、と内心ほくそ笑んでいると、目をぎゅっと閉じてまた開いてから、静かに言葉を発した。 



「力ト-……どうしても、プールを埋め立てろって言うんだな」 
「ああ、どうしてもだ」 
「そうか。よしわかった」 
「え?ブリシト、わかったって……」 
「力ト-、ちょっと電話かけていいか」 
「……いいけど」 
相棒は机に瓶を置いて、携帯電話を取り出し操作した。 
深夜のことで眠っているのだろう、なかなか相手が出ないらしく、相棒はせわしなく床を足で踏み鳴らしている。 

「……俺だ!電話かけたらすぐ起きろ。今から仕事だ。すぐに来て、プールを埋め立てろ!」 
「おい、ブリシト!?」 
「正気かって?当たり前だろう!いいからやれ、今夜中にだ!」 
「ブリシト!誰にかけてる?」 
「うちのプール係だ。心配すんな、すぐに片付くから」 
傍若無人なお坊ちゃんは携帯電話を耳に当てたまま、ぱちんとウインクをして来た。 
思いがけない展開に頭が真っ白になりかけたが、気を取り直して立ち上がり、相棒に近付いて手から電話を奪い取った。 

「おい力ト-、何す……」 
「ああ、もしもし?夜中に悪かったね……うん、うんそう、彼は酔ってるんだ。気にしないで、ゆっくり寝てくれ」 
寝ぼけ声で動揺するプール係を宥めて通話を終えると、不愉快さを丸出しにした相棒が携帯電話を奪い返し、肩を掴んできた。 
「力ト-、なんで止める?埋め立てろって言ったのは、お前じゃないか」 
「黙れよ、酔っ払い。勢いでそんなことしたって、朝になったら絶対後悔する癖に。そして文句の矛先はどうせ僕なんだ、そうに決まってる!」 
肩から手を打ち払って睨んでも、彼はちっとも怯まず更に絡み続けた。 
「俺を見くびるな力ト-、酔った勢いなんかじゃないぞ!プールが大嫌いなお前のために、俺の大好きなプールを埋め立ててやるんだ俺は!だから一緒に、住め!」 
「……なんでそこまで」 
呆れてため息をつくと、間近に寄せた赤い顔から、酒臭い息を吹きかけられた。 
「住むって言えよ力ト-。さもないと、プールを埋め立てるぞ!」 
「ブリシト、話が逆になってる。頭を冷やせよ、君は飲み過ぎでやけになってるんだ」 
「ふん、飲み過ぎなもんか。まだ全っ然、飲み足り、ない……」 
急に呂律が怪しくなり、ふらつきもたれかかって来た相棒の体を咄嗟に受け止めた。 



立ったまま抱き抱える形になり、このまま意識を失われたら面倒だと焦り声を張り上げた。 
「ブリシト!こんな状態で寝るなよ。しっかりしろ、部屋まで連れてってやるから」 
「うーん、力ト-……なあ、一緒に住むか?」 
「今ダメ、それどころじゃない」 
倒れないように腕に力を入れて支えると、相棒もこちらの体に回した腕を腰の辺りで交差させた。 
「じゃあ、今夜はとりあえず泊まってけ。朝にまた話をしようぜ」 
「嫌だよ。酔っ払いの世話をした上に、朝から不毛な議論なんかしたくない。君を部屋に送ったら、僕は帰る」 
「そうかあ?ところがそうは……させないもんねっ!」 
耳元で囁いていた相棒の口調は不意にはっきりとしたものになり、くっついていた体を離して軽くステップを踏み、二人の間に距離を取った。 

「ブリシト?」 
「力ト-、これなーんだ?」 
ひらひらと揺れる右手に摘まれている物は、見覚えのある革製のストラップだった。 
思わず尻部分のポケットを叩くと、確かにそこに入っていた筈のバイクの鍵がない。 
「ブリシト、返せ!」 
「嫌だね!これで今夜は帰れないぞ力ト-、観念しろ。そして朝になったら俺に、とびきり美味いコーヒーを入れてくれよな」 
「……いいか、返さないと、力ずくで取るぞ」 
拳を握って凄みを効かせると、相棒はビビるどころかニヤリと笑った。嫌な予感がして、ドア近くに立つ彼の方に一歩を踏み出した。 

「動くな、力ト-!いいかあ、力ずくだなんて俺を脅すと……こうなる!」 
相棒は片手でベルトを緩めてズボンの縁を引っ張り、あろうことかバイクの鍵をその中へと落とした。 
「……ブリシト!做什麼!停止……!」 
思わず出た母国語で制したがその甲斐もなく、相棒は引っ張ったズボンを元に戻した。 
「ダメだぞ、悪い子だ力ト-。俺を殴って取り返そうなんてしたら……ここでオシッコしちゃうぞ」 



こいつならやりかねない、落ち着くんだと、怒りのままに襲いかかりたがっている自分を抑え、強く気にかかることを問い質した。 
「……なあブリシト。訊くけど、鍵はただズボンに入れただけか?」 
「安心しろ、お前の大事なお宝は、俺のお宝と仲良くしてるぞ。ちょっとひんやりしてるけどな」 
自分の股間を指差す姿に、やっぱり下着の中か!とショックを受けて呆然としていると、相棒は愉快そうに大笑いしてドアを開けた。 
「こいつは朝まで預かる。ゲストルームは開いてるから、好きなとこで寝てくれ。じゃあなションディー!おやすみ、いい夢を!」 
高らかに叫び投げキッスを飛ばすと、悪ガキは勢いよくドアを閉めて、壁の向こうに姿を消した。 

「イ尓……混蛋!惡小鬼!!任性小子!!……この、×××!×××××!!……信じられない!全くもう、なんて野郎だ!」 
はっと我に帰り、母国語と英語を織り交ぜて悪口雑言をまくし立てたが、もう後の祭りだった。 

悄然として机に戻り、椅子に脱力した体を預けてぼうっとしていた。しばらくすると急に、子供っぽいあの男の行動がおかしくてたまらなくなった。 
バイクが使えなくても、隣のガレージに停めてある車のどれかに乗れば帰れるってことを、彼は思いもしなかったのか。 
きっと今頃はパジャマに着替えながら、頑固な相棒をまんまとやり込めたと鼻歌混じりの上機嫌で、やがてそのまま心地よい眠りにつくのだろう。 
「馬鹿だなあ、あいつ……本っ当、馬鹿だ」 
苦笑しながら、開いたままだったスケッチブックを閉じた。それから立ち上がり、冷蔵庫からビールを取り出した。 
相棒が出来ない離れ業で栓を開けると、一口あおって室内の様々な電源を落とした。 



お望み通り、お目覚めの朝には熱いカプチーノを入れてやろう。ただしいつもとは一味変えて。 
どうしよう、タバスコでも仕込んでやろうか……いや、匂いでバレるな。 
バレないように細工して、唐辛子を底に沈めておこうか。日本食が好きな奴だから、ワサビでもいいな。 
飲んだらあいつ、どんな顔するかな。 

ささやかな復讐を思い巡らせてドアを開けると、悲惨な目に合ってしまった大事な物のことを思い出した。 
「はあ……取り返したら、念入りに消毒しなくっちゃな……」 
ドアを閉めて、悪ガキの眠る離れの屋敷へと、ビールを傾けつつ歩いた。 

一工夫した特製コーヒーを入れて、我が儘なお坊ちゃん社長を説得し、それから鍵の消毒。なんだか明日は、妙な用事ばかりで忙しくなりそうだ。 



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 
もっとギャグとか入れたかったけど、センス不足でスマソ。 
助手の母国語は某興奮サイトの翻訳機能を使いましたが、知識ゼロなもんで本当に正しいかどうかは不明です。 
なんちゃって中国語ということでお許し下さい。 
「緑蜂」難しいけど楽しかったー。 
「緑蜂」難しいけど楽しかったー。
- 映画の距離感まんまでめちゃくちゃ萌えました!ありがとうございます! --  &new{2014-02-11 (火) 03:02:18};

#comment

ページ新規作成

新しいページはこちらから投稿できます。

TOP