Top/61-211

61-211 の変更点


*勇者の意識 [#md20a99b]
#title(ドラゴンクエストⅢ 「勇者の意識」)
某スレ541にて、レスしてくださったスライムRPGの3作目のオリキャラ設定を 
お借りして書いてみました。 
ご自身のイメージと違ってたら、ごめんなさい。 
おまけに、今回は、ちゃんとしたBLにすらなって無い!ので、ご容赦ください。 
次はちゃんとBLなSSを投下するようにします…… 

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 



「っ、あぁああぁ!!!」 

少年は、声を上げながら、目の前の魔物達への群れへと切り込んでいった。 

だって……こんなの! 見過ごせる訳が無いじゃないか! 例え相手の方が強くて、まるで相手
にならないとしても、こんなのは絶対に見過ごせない!
 
そんな強い想いを胸にしながら、彼は手元の剣に全身全霊の力を込めると、勢い良く相手に斬り 
かってゆく。 
だが、彼が今、相対している魔物は、彼自身の力量と比べれば、相当に強い。 
彼がそんな風に渾身の力を込めて斬りかかったところで、相手に対して、全く刃が立つ筈も無か
った。 
彼の剣は、目の前の魔物をほんの少しかすめたたけで、いとも容易くかわされていた。 

……あなたのお父様はね、それはとても勇敢な勇者だったんだから。 
相手がどんなに強い敵だったとしても勇敢に立ち向かっていったわ…… 

少年は、自分の母が父の話をする時にいつも誇らしげに語っていた、その言葉をふいに思い出した。 
そうなのだ。自分は、高名あの勇者の息子なのだ。 
だからこそ、こんなところで、こんな奴等に負ける訳になど、絶対にいかない! 

その思いを新たににすると、少年は目の前に立ちふさがり、圧倒的な強さを誇っているかのよう
な魔物へと再び斬りかかっていく。 


「あー、やっぱり、逃げるっていう選択肢は無いわけね」 

先程より、少年が再び魔物へと斬りかかっていく様子を間近に見ていた、その連れ添いの青年
は、自らの額に手をあてると、天を仰ぐようにして、小さな声でそう言いながら、ため息をつ
いた。 
まあ、コイツの性格を考えたら、逃げるなんてことする筈も無いし。 
そんなことは、解りきっていたのだけれども。 
彼は、そう思いながら、すぐに少年をサポートできるように、体勢を整える。 

恐らく今、自分に出来ることは、少年の体力回復へのサポートに努めることだろう。 
自分を含めて、今、不運にも、この場に一緒に同行している奴等のメンツを考えればそんなとこ
ろだ。 
本来なら、今、自分と一緒に同行している僧侶殿の回復魔道も頼りにさせてもらいたいところだ
が、彼には、今、その槍術で、魔物へと直接攻撃を仕掛けてもらわないと、埒があかない。 

おまけに……彼の隣に横たわる小さな魔法使いの少年に至っては、この強大な敵に遭遇した瞬間 
に、気を失ってしまっている。 
それについては、魔法使いの少年の普段からの心根の優しさと繊細な性格を考えれば、無理の無
い事だとは思う。 
問題は、先程、偶然にも遭遇したこの強敵に対して、無謀にも切り込んでいった、血気盛んな、
うちの小さな勇者様にあるのだ。 



商人を生業としているその連れ添いの青年は、かつて大盗賊団に憧れていた故に、それなりの修
練を積んでいるしなやかな身のこなしで、勇者の少年の傍へと移動しながら、回復薬の瓶を手に
した。 
恐らく、魔物からの攻撃をもう一度、まともに受けたら、彼の体力はもう、持たない。 
全く、これ……使う度にどんだけの出費になると思ってるんだよ!! 

彼は、そう思いながら、回復薬を勇者の少年へと与えるタイミングを計る。 
もちろん、彼自身も魔物からの攻撃を受けつつではあったが、その影響力が最大限に及ばないよ
うにしながらである。 
彼がタイミングを計っていた、その短い間にも、魔物達からの猛攻は止まない。 
特に最初の獲物を勇者の少年へと定めた所為か、魔物達の彼への攻撃は、徐々に熾烈を極めてい
く。 

「いっ……痛ぅっ、う……ああっ!! なんでアンタがここに来たんだ! いいから下がってろよ!」 

魔物達からの攻撃を除けることだけで、精一杯だった為に、商人の青年が魔物の猛攻を掻い潜っ 
て、自らの傍に来ていたことに、今になって、ようやく気付いた勇者の少年は、青年に向かって
、そう言い放った。 

「馬鹿言ってんじゃないよ!  
俺がサポートに入らなかったら、お前、自分の命だって危ない状況だろう!」 



商人の青年が自らのことを想って言ってくれたその言葉を勇者の少年は、その場で素直に受け止
める事は出来なかった。 
自分の所為で、この青年さえも一緒に窮地に追いやるようなことはしたく無かったのだ。 
それに、彼には、気を失ったままの魔法使いの少年だけでも護ってほしいと思っていたからだ。 

「うるさいよ! 魔物は俺が引きつけるから、アンタは、彼を護れ!!」 

勇者の少年は、商人の青年に対して、言い捨てるようにそう言うと、自らの剣を必死に振りかざ
し、魔物達の攻撃を除けながら、折角、青年が危険を掻い潜って、近くにまで来ていたというに
もかかわらず、逆に少しずつ、二人の間の距離を空けていく。 
そのために、勇者の少年は仲間から再び少しずつ離れていくような形になり、たった一人で、無
数の魔物達に取り囲まれるような状況になりつつあった。 

「全く、こんな状況で、なんで闘いを挑むんだよ! 
 僧侶殿! 頼む! 奴等への直接攻撃を最優先にしてくれ! 
 俺が、しっかりとアイツのサポートにまわれるように、フォローを頼む!」 

「言われなくともそうするさ!」 

僧侶の青年は、そう言うと、素早い身のこなしで、自らが手にしている鉄槍を携えたまま、勇者
の少年の元へと、小さな魔物の群れをなぎ倒しながら駆けていく。 


「っ、あ!!」 
「勇者殿! 一度、下がりなさい! 
 奴等に本気で闘いを挑むのは、君がしっかりと体力を回復にしてからにしてくれ!」 

ほんのわずかの間に魔物からの一斉攻撃を何度となく受けて、あちこちに切り傷を作りながら、
再び小さな悲鳴をあげた勇者の少年に対し、僧侶の青年は、そう強く声をかけた。 
それから、強大な魔物に伴するように群れている小さな魔物共をもう一度、なぎ倒すように、手
元の槍を一気に振るう。 

「ありがとう……でも、俺は、
 勇者である俺の名にかけて、ここで引き下がる訳にはいかないんだ!」 

勇者の少年は、自分の頬にはしった傷から流れていた血を拭い、ほんの少しだけ、微笑むような
表情を見せながらそう言うと、その魔物の群れの首領であろう、一際大きな体躯の魔物へと向か
って、再び駈け出してゆき、一気に剣を振るう。 
それとほぼ同時に、勇者の少年の繰り出した剣に追走するかのように、僧侶の青年が繰り出して
いた鉄槍が、大きな魔物の額を捉えた。 

そして、その次の瞬間、鉄槍が大きな音をたてて魔物を貫くと同時に、魔物が断末魔の叫び声を
上げながら、崩れ落ちるように消えてゆく。 
それにあわせて、群れを成していた、小さな魔物達もその場から瞬時に消えていった。 

「……ほらね……俺にだって……コイツらを倒せたじゃないか……」 

勇者の少年は、魔物達が消えてゆく突然の有様を目の前で見つめながら、その場に崩れ落ちるよ
うに自らの両膝を地面へとついた。 
それから、彼は、そのまま張りつめていた意識を急に手放すようにして、その場へと倒れ込んだ。 


「おい!」 
「勇者殿!」 

商人の青年と僧侶の青年の二人がそれぞれに駆けつけながら、勇者の少年に呼びかけたにもかか 
わらず、その呼びかけにも、全く応じること無く、勇者の少年は、その場で、完全に意識を失っ
ていた。 

「勇者殿の無鉄砲のお陰で偶然にも、魔物の急所を捉えて
 一撃で仕留めたから良かったものの……これから先が思いやられるな……」 
「ああ……」 

青年二人は、その場で意識を失ったままの勇者の少年を見つめながら、それでも、当分こいつを
放っておけそうには無いなという表情で溜息をついた。 
それから、互いが同じ表情をしていたことに気が付くと、今までの双方の苦労をねぎらうように
、少々複雑な表情で自然と笑みを交わしていた。 

そして、二人の青年は、それぞれに、この仲間もとい、メンツとの旅は、まだ当分の間、続くこ
とになりそうだな……などと思いながら、魔物も去り、ただ、ただ蒼く晴れわたっている空と、
この先の旅路のへと続く路の行方を仰くようにして見ていた。 

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 

貴重なスペースありがとうございました。 
#comment

ページ新規作成

新しいページはこちらから投稿できます。

TOP