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#title(チーム・バチスタの栄光 病理→執刀医 「壊れ行く、その前の。」)
罰☆8話冒頭の集まり後の病理医を捏造
義兄への愛故にがっつり病んでもらいますた
描写に多大な自己解釈含まれます
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )デハ ジサクジエンガ オオクリシマース!
苛立ちと動揺を隠さない、──隠せない。
酷く落ち着きに欠けた足取りで、成見は人気のない長い廊下を歩いていた。
義兄が夜中にチームのメンバーをわざわざ集めた時、もしかして、と感じた予感は見事に的中した。
だから、成見はこんなにも冷静でいられなくなっている。
成見は昔から、子供の頃から、可愛げがないと言われてしまうくらいには冷静で、そう簡単には感情を昂ぶらせない。
大層な捻くれ者だという自覚がある。
しかし、たった一つだけの例外が義兄である霧生の存在、その言動だった。
並大抵のことでは表情を変えず、本音を晒さず、一体何に喜び何に傷付くのだと言われてきた成見を、
その感情を、霧生は赤子の手を捻るような容易さで翻弄出来てしまう。
まさに神のような手技でもって、霧生は義弟の建前を切り裂き、その奥で震えている心を容易く扱ってしまう。
義兄は、成見の他人に対して張っている厳しいガードに対して自分が絶対的に有利であり、
成見の意志には関係なく唯一のフリーパスになっていることを意識していない。
義兄の前で成見が割合素直な物言いや態度を見せているのは、
自分でそうしているのではなく、──そうさせられているのだ。
無自覚の支配がそこにある。それを心地いいと思えるのは、ベッドの中で二人、情を交わしている時くらいだ。
付随してくるのが羞恥ならばまだ構わないが、こんな風に苛立たせられるのは不快だった。
妙な方向へ転がる思考に、成見は溜息を知らず溜め息を零していた。
こんなにも混乱させられていることが、酷く腹立たしかった。
義兄は、色々な意味で、本当に性質が悪い人だ。今回の事に関しては、もう最悪の極みだと言って良い。
落ち着いて考えることも出来ない思考の断片が転がる頭部に鈍い頭痛を覚える。
やがていつの間にか、成見は病理の研究室に帰り着いていた。
「…そうだよ、最悪だ」
世の何もかもを恨むように吐き捨てる。シン、と静まり返った冷たい部屋の空気が僅かに揺れた。
青白い机上のライトを灯して、成見は崩れ落ちるように椅子に体を預けた。
仄かな明りに照らされる机上に何を見るでもなく視線を落とし、
成見はチームの解散と、自身がメスを置くことを口にした時の霧生の顔を思い出す。
ヒムロをチームの麻酔科医として選び、その犯行を見抜けなかったこと。
その責任を取るというのが霧生の建前だが、それが義兄の本心でないことを成見だけが知っていた。
そう思う、感じているなどというレベルの話ではない。
成見は霧生の影だ。だから知っている。他の誰もが知らない霧生の真実を知っている。
誰にもそれを告げないのは、成見が霧生自身に等しいからだ。
霧生が望まない暴露を成見が行うわけがない。
いつか口にした言葉の通り、成見は霧生を守り続けるだろう。
けれど、天秤がバランスを崩しかけている。
二人の翼は、今強く厳しい風に煽られているのだ。
続く困難と不運に、霧生は飛行を続けることは危ういと感じている。
輝く外科の銀嶺を目指して二人、互いの欠落を埋めるようにして拡げた翼には、人の命という重みが掛かっている…。
それでも、自分と義兄が一緒ならば、まだ大丈夫だと成見は信じていた。義兄だって同じはずだ。
成見のアシストを、その技量を疑っているわけではないだろう。
ならば、何故あんなことを言うのか。
チームに波紋を齎した殺人者はヒムロだ。術死の原因は彼だ。
そのヒムロが逮捕されたのだから、それで終わればいいものを。
逃亡したヒムロが死んだことに不審を抱き、
このチームに纏わる全てを掘り起こして日の光を当てようとしている奴らがいる。
彼らの手から、多分最後の秘密を隠す為に、
霧生は今このタイミングでチームを解散させ、メスを置くことで全ての幕引きをするつもりなのだ。
義兄の秘密を共有する成見を、万が一にも道連れにしない為に、だろう。
義兄の考えそうなことだった。
誰よりも近くで霧生を慕ってきた成見の人生を歪めてしまった負い目は、
未だに彼の背に重たく圧し掛かっているのだ。
成見自身がどんなに言っても、心底納得することは出来ないでいるらしい。
どちらにせよ、霧生は機会を待っていたのだろう。成見を解放する機会を。
それを成見が望まずとも、成見の為になると霧生は信じているのだ。
(嬉しくないよ、俺は)(義兄さんと、最後まで一緒がいい…)
ぎしり、と椅子が軋みを上げる。机に肘をつき、真夏でも温度の低い
ひんやりとした両手で目元を覆って、成見は音もなく唇を動かした。
義兄さん。ねぇ、義兄さん。俺は、まだ飛んでいたいんだよ。
それがどれだけ、危うい飛行だったとしても、それでも…。
アンタは俺のモノなんだから、この手を離すなんて嫌だ。
俺は……、………許さないよ。
俺が……必要でしょ…?
薄っすらと濡れた目が、冷たく光る。
崩壊の時は、すぐそこまで迫ってきているのだろうか。
ならばせめて、義兄と共にその時を迎える権利だけは、どうしても手放したくなかった。
一人助かる気はない。何もかも一緒がいい。
己の依存具合に呆れ、ひっそりと笑みを浮かべたつもりの成見の表情は、
ライトの加減か、今にも泣き出してしまいそうに歪んでいた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
カウントが間違ってた…!!orz
意味分からない感じでスイマセンorz
- 全文素晴らしいです!!(特に最後) -- &new{2014-04-14 (月) 22:27:42};
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