Top/33-370

33-370 の変更点


*夢のまた夢、前編 [#z481d61d]
#title(夢のまた夢、前編) [#z481d61d]
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 
                     |  某昭和の大スターとその周りの人達のお話。 
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  今回は続きます、すいません 
 | |                | |             \ 
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ブンショウシリメツレツダゾゴラ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) 
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___ 
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  | 
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  | 
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 




ずっと前から、好きだった。 
多分、初めて彼を見た時から、 
少女と見まごうばかりのその面差しに、 
意志の強そうなその瞳に。 

見とれていた 
惹かれていた 
だから、彼を仲間に入れようと決めたのだ。 

彼と共に過ごした日々は夢のようだった。 
そう、あれは皆がその夢に耽溺した狂乱の宴だった。 
誰も彼も、自分も、その熱に浮かされて、昇り詰めていった。 
でも夢は、夢でしかなく、やがて全てが終わりを迎える。 
バンドの解散という形で。 

ブームと言われた熱狂は去り、自分が手にしたものは肩にかかるベースの重 
みだけだった。 
そこで全てが、終わる筈だった。 
誰もが一時の夢を忘れ、元通りの日常に戻っていく筈だった。 
ただ一人、夢に取り残された人を残して。 

彼は、足掻いた。 
夢を、夢のままで終わらせまいと。 
自分を手元に残って欲しいと願い、かつての友人達と新しいバンドを立ち上 
げ、新たな唄を歌おうとした。 



周囲にも世間からも異端とそしられたその行為は、結局どの世界でも異分子 
でしかなく、受け入れられないまま、バンドの空中分解という形で幕を閉じた。 

それでも彼は、唄い続けた。 

罵声を浴びても、 
一人になっても、 
誰も夢を忘れてしまっても。 
彼だけは、あの熱狂の熱さを忘れまいと、がむしゃらに唄い続けていた。 

それが誰のための行為であったか、何の為の想いだったのかは 
当人にしか、分からない。 

ただ彼は、 
あの夢に一人、残されて、 
あの夢を一人で、託されてしまったのではないか。 
そんな事を、感じるようになってしまった。 

ずっと彼の背中を見ながら、ベースを弾き続けて。 


真夜中のホテル、ダブルサイズのベッド。 
そこに横たわる、白い肢体。 

両腕は縄状の擦り傷で血が滲み、 
全身に情欲の名残の赤い跡が見える。 



そしてその顔は、疲労で蒼ざめ、瞼は閉じられたままで、深い眠りに、つい 
ていた。 
「・・・・・・・。」 
傍らに佇む、長身の影。 
何も言わず、眼下の彼を見詰めている。 
彼が、何をされたかはおおよそ察しが付く。 
自分とて、この世界に長く身を置いている。 
ほとんどが女に対して行われると思っていた事だったが、彼の美貌を思えば、 
それだけに留まらない筈だと理解できた。 

身体を介しての営業行為。 
それが先ほどまで、彼の身におこっていたことなのだろう。 
「・・・・何で・・・・。」 
つい漏れ出る言葉。 
何でもっと早く気づいてやれなかった。 
何で彼の痛みに気づいてやれなかった。 
握り締めた手のひらが、爪に食い込み血が滲んだ。 


数時間前、 
男は彼のマンションを訪れていた。 
この夏から始まる全国横断ツアー。 
そこから自分は、彼のバックバンドのメンバーから外れる。 
長く慣れ親しんだベースも、これから永く、手にすることは無いだろう。 
彼の側で弾くことがないのなら、「音楽」そのものを忘れてしまおう。 



宛ての無いこれからの道程に不安を感じつつも、どこか肩の荷が降りた、安 
堵感も感じていた。 
大事とすがっていたものも、捨ててしまえば案外あっけないものなのかもし 
れない。 

彼の所に訪れたのは、彼への感謝を届けたかったから。 
長く共にいた友に対しての気持ちとして、 
一対のイヤリングを。 

しかしドアホンを何度も押しても、彼の姿がドアから現れることは無かった。 
「・・・・・あれ?」 
事前のスケジュールで今日はオフだと聞いていたが。 
余り外交的ではない彼が、休みの日に出かけているとは珍しい。 
「まずったなあ・・・。」 
こんなことなら電話でもしておけばよかった、と後悔しても始まらない。 
今日は引き上げるか、と踵を返して人影に気づいた。 

「・・・・社長・・・・?」 
険しい双眸が、こちらを見詰めている。 
「どうして・・・。」 
「あいつに用か?」 
顎で彼の部屋を指され、素直に頷く。 
「はい、でも、留守みたいで」 
「そうだな」 
にべも無く返される言葉に残りの台詞を飲み込む。 
後に続く言葉を探しあぐねて俯いていると、 



「手を出せ」 
という指示が頭上で出された。 
素直に両手を前に差し出す。 
その手のひらに、ホテルの鍵が落とされた。 
「・・・・・?・・・・・」 
「今奴はそこにいる。」 
鍵についているプレートを目の前にかざす。 
高級シティホテルの名前が刻まれてあった。 
「行ってやれ。」 
「・・・・・しかし・・・。」 
いくら友人でも、プライベートに関わることなら無下に立ち入る気はない。 
ましてや、社長が絡んでいる話にでもなれば。 
「きっと奴も待っている。」 
「・・・・はあ・・・・。」 
渋々といった感じで彼の部屋を後にする。 
社長に鍵を渡された以上、何か彼にも用件があるのだろう。 
そう思い直して、マンションを降りた。 
タクシーを停めて、ホテル名を告げる。 
そのままタクシーは夜の街へと消えていった。 

「・・・・・。」 
残された男は、彼が立ち去ったのを確認すると、深くため息をついた。 
「何も知らないまま、はいさよならって訳にはいくまい。」 
苦々しく言葉を飲み込む。 
「・・・・・それがお前達の築いた縁だろう。」 
スーツのポケットに突っ込んだ右手から、マンションの鍵を取り出す。 



「奴」を近くのホテルに保護した後、勝手に拝借させてもらった。 
どうせあのままではホテルからは出られない。 
部屋のドアをあけ、中に押し入った。 
思ったより清潔に整理された部屋を見て、男はある女の面影を思い出す。 
そういえば、もうすぐ「奴」と彼女は結婚するのか。 
感慨深げに目を細めて、思わず苦笑する。 
「・・・・つくづく業の深い男だな、あいつも」 
男はしばらく、部屋の中で佇んでいた。 


ホテルの部屋について、念の為にドアをノックするが、返事はない。 
仕方が無いと、持っていたキーでドアを開けた。 
「おーい」 
部屋に入りながら、問いかける。 
ベッドサイドに灯る、小さな光を頼りに、部屋の中を歩く。 
「・・・・・寝とるんか?」 
わざわざ人を呼びつけておいて、失礼な話だと少し憤慨しながら、ベッドの 
側まで近づいていった。 
微かな寝息が、聞こえてくる。 
自分に全く気付かず寝入っている。 
「・・・・何やそれ。」 
思わず呆れて、彼を起こそうと右手を伸ばした。 
「・・・・・?」 
シーツに赤い斑点が、所々についている。 
「血・・・・?」 
思わず掛かっている上布をずらす。 



「・・・・・!」 
両腕に残る、痛々しい虐待の後。 
まだ塞がらない擦り傷が、シーツに染みを作る。 
「何で・・・・。」 
思わず声が漏れた。 

何が、 
何が起こった。 
彼に何があった。 

混乱をきたしていた脳が、ある一つの例題を叩き出して慄然とする。 

もし彼が、---------をしていたら。 
もし彼が、■■を■■■いたら。 

握っていた上布が震える。 
固く目を閉じる。 
「・・・・・すまん・・・・。」 
男は意を決して、彼の身体にかかっていた上布をそっと外した。 

驚いたのは、顔を赤らめたのは、 
彼が全裸だったからではなく、 
その身体に残る情交の跡が、 
身体にこびり付いた残滓が、 
そのままになっていたからだった。 



「・・・・・あ・・・・・あ・・・・・!」 
嗚咽を喉でかみ殺す。 
それでも抑え切れなくて、両手で口を押さえた。 
支えを失った上布が彼に被される。 

知ってしまった。 
ついに、知ってしまった。 
---ついに? 

驚愕に身体を戦慄かせながら、どこか頭の中で、冷徹な声が自分に囁きかけ 
るのを男は感じていた。 

今まで彼と共にいて、何も感じなかったのか。 
彼がバンドを組んだ時も、 
バンドが消滅しても、自分たちが彼と共にいられたのも、 
何も無かったと思っていたのか。 

-----そう、薄々、分かってはいた。 
彼が自分たちのやりたいことのために、 
自らを犠牲にしていることを。 

男の目尻から涙が溢れ出す。 
「・・・・・ごめんな。」 
気づいていながら、知らないふりをし通し続けた。 
目をそらして、見ないふりをしていれば、忘れられると思っていた。 
まるで嫌なものに蓋をするように。 



その結果が、今の彼の姿だとすれば。 
「・・・・・ごめん・・・・ごめんなぁ・・・・。」 
涙は止め処なくあふれ出てくる。 
彼の頬にかかり、彼の顎を伝った。 
彼自身の涙のように。 

男は彼を見詰めながら、肩を震わせて涙を流した。 
彼は何も知らずに、眠り続けていた。 
男のこれからを想い、微かな笑みを浮かべ。 




 ____________ 
 | __________  | 
 | |                | | 
 | | □ STOP.       | | 
 | |                | |           ∧_∧ 書き忘れてましたが、スター×ベース 
 | |                | |     ピッ   (・∀・; )です。文章辻褄あってなくてスマソ 
 | |                | |       ◇⊂    ) __ 
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  | 
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   | 
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 
#comment

ページ新規作成

新しいページはこちらから投稿できます。

TOP