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*ラルアル [#tb21e86a]
#title(ラルアル) [#tb21e86a]
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                    |  悪魔土成ドラキュラ ラルフ×アルカード6回目だよ 
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  旅から帰ってきた二人ダヨ 
 | |                | |            \ 
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 前スレ>>518->>530ノツヅキダフォルァ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) 
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___ 
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「ほら、ここだ」 
 ラルフ・C・ベルモンドは重い扉を押し開けて客人を導き入れた。 
「二、三代前の当主の未亡人が、息子に家督を譲るとき隠棲用に造らせた部屋だそうだ。狭いが、母屋からは離 
れているし、あまり人と顔を合わせなくてすむ。寝具や調度はすぐ新しくさせるから、少し待っていてくれ」 
「いや、かまわない。綺麗なところだ」 
 アルカードは大きく開け放たれた窓に歩み寄った。 
 外にはゆるやかに起伏する青々とした丘陵と、そのむこうの木立、牧草や麦の揺れる田園地帯が一目で見渡せ 
る。半身を乗り出すようにして目を細めると、そよ風に銀髪がきらきらとなびいた。 
 ラルフは破顔した。 
「今まで使うものもない部屋だったんだが、とにかく、眺めだけは一番だからな。気に入ってくれたなら、それ 
でいい」 
 二間続きの部屋は女性のものらしく繊細な意匠に飾られ、東洋の敷物と優雅な椅子と卓がいくつか、寝室には 
天蓋と彫刻に飾られた大きなベッドが据えられている。 
 場所としてはベルモンド家の屋敷の西側に位置する小塔のてっぺんにあり、多少出入りは不自由だったが、 
むしろアルカードにはそのほうがいいだろうとラルフは思っていた。まさか、屋敷内でまでアルカードにフードを着せて 
いるわけにはいかない。旅から戻ってきたここでは、ラルフ以外にも彼を目にするだろう使用人や小作人たちの目 
は多々あり、それに関して毎日気にかけていてはきりがないというものだ。 
 冬がしぶしぶながら春に場所をゆずろうとするころ、ラルフとアルカードはようやく、目的地のベルモンド家の領地に 
帰りついた。 
 屋敷にたどりつくはるか以前から、ベルモンドの代々家小作をつとめている集落の人々が、馬に乗ってやって 
くる若当主の姿を見つけて、大声で叫びはじめた。 



「みんな、御当主が帰ってきたぞ! 若当主がお帰りになった!」 
 たちまち、いくつもの小屋からどっと人があふれ出てきた。畑で働いていた者たちも、鍬や鋤を放りだして我 
も我もと集まってきた。あっという間に人垣が周囲を取り囲む。ラルフは仕方なく馬をとどめ、片手を上げて 
小作人たちの騒ぎを押しとどめた。 
「皆、静かにしてくれ。馬が驚くだろう」 
「すんません。で、あの、御当主」 
 小作人の一人が、轡にすがるようにして必死に声をあげた。 
「あの、本当に、魔王はもういなくなったんで……?」 
 一瞬ラルフは口ごもった。後ろで黙然と立っているアルカードに自然に目がいく。 
 アルカードはフードの下で目を伏せたまま、石のように動かなかった。 
「──ああ、魔王はもういない」 
 無理にアルカードから視線をそらして、ラルフはきっぱりと答えた。 
「だからもう、皆なにも怯えることはない。魔物がやってくることも、これからはずっと減るはずだ。安心し 
て、作業を続けてくれ。俺はいったん屋敷に戻る」 
「若様、ばんざい!」 
 人垣の後ろでだれかが叫んだ。たちまちそれは全員に伝染し、何人もの男や女が帽子を放り上げたり、てんで 
に抱き合ったりして歓声をあげた。 
「御当主、ばんざい! ばんざい!」 
「ベルモンドの名に、栄光あれ!」 
 それ以上我慢していられず、ラルフはもう一度片手を上げただけで、馬の腹を蹴って前へ進めた。アルカードは 
黙ってついてくる。 



 陽気に騒ぎながら、興奮した様子で話し合っている村人たちは、アルカードのことはラルフが旅の途中で雇った従者 
か何かだと思ったらしく、ほとんど注意を払わなかった。 
「すまなかった」 
 声の届かない位置まで進んでから、ラルフはアルカードに詫びた。 
「ただ、あそこでは、ああ言ってやるしかなかった。ドラキュラの脅威に怯えていたのはここでも同じだ。当主の 
俺が魔王の討伐に出たと聞いて、不安もひとしおだったろう。きちんと保証してやらなければ、安心させて 
やれなかったんだ。すまない」 
「おまえが何も謝ることはない、ラルフ」 
 フードの下から、思ったよりもはっきりした声が帰ってきた。 
「彼らが喜ぶのは当然だ。おまえは確かに魔王を倒し、人々の上から恐怖を取りのぞいた。だから、私に謝った 
りするな。おまえは自分の成すべきことを、見事に成し遂げたのだから」 
 ラルフは唇をかんで前を向いた。カルンスタインで感じたあの持っていきどころのない苛立ちが、もやもやとまた胸にわ 
だかまっていた。 
 すでに先に連絡が行っていたらしく、屋敷の門を入ると、使用人を従えた老齢の家令が、表で整列して主人の 
到着を待っていた。 
「よくぞご無事でお戻りくださいました、御当主」 
「ああ。ご苦労だったな、エルンスト」 
 鞍から下りて、駆けてきた馬番に馬を渡しながらラルフは言った。 
 エルンストはラルフの父の代から仕えているベルモンド家の家令で、これもまた、代々ベルモンド家の家令をつとめている 
家系の人間である。 



 ベルモンド家がまだ爵位と騎士の称号を得ていたころから従士を勤めていた血筋らしく、ことあるごとにラルフに 
「誇りあるベルモンド家の者としてふさわしい態度」を要求する。幼いころのラルフには、愛着はあるが父の次に 
うっとうしい人物であり、一昨年、父が病死して自分が当主になった今は、やはり愛着はあって信頼はして 
いても、少々けむたい相手に変わりはない。 
 いかつい身体に、白髪をぴたりと撫でつけた頑健そのものの老人で、使用人と家小作の村人たちすべての上 
に、常にするどい目を光らせている。どうかするとその目はラルフの上にもそそがれ、今もまた、当主の様子に 
異常がないかをさりげなく確かめている。 
「俺のいない間に、何も変わったことはなかったか?」 
「いえ、これといって悪いことは何も。村で何人か赤ん坊が生まれたことと、あとは、樫の木のそばの小屋の 
グリューネ婆さんが老衰で死にました。洗礼と葬儀も滞りなく終わっております。荘園のことに関しては、 
あとでまた記録を持ってお伺いいたします」 
「わかった、わかった」 
 早くも日常の雑事が身近に迫ってくるのを感じて、ラルフはうんざりした。 
「それより早く、湯と着替えを用意させてくれないか。それと食事を。さすがに少し疲れた。しばらくは骨休め 
がしたい」 
「その前に、若」 
 反射的に、ラルフはぎくりとした。エルンストが自分を若と呼ぶのはちょっとした小言か、それとも聞きたくもない 
諫言とやらの前兆に決まっているからだ。 
 しかし、エルンストは首をのばしてラルフの後ろを礼儀正しく示しただけだった。 
「あちらの、黒い馬に乗られた方はどなたですかな」 
「あ……、ああ」 



 少しほっとして、ラルフはアルカードを手招きした。 
「こっちへ来て馬を下りろ、アルカード。皆にも紹介しておく、こいつはアルカードと言って、ドラキュラの討伐に協力して 
くれた、俺の友人だ。 
 しばらくはこの屋敷で滞在してもらうことになる。俺の客人として、もてなしてやってくれ。フードを取れ 
よ、アルカード」 
 アルカードは馬を下りてラルフの横に並ぶと、ゆっくりと、フードをすべり落とした。 
 誰からともなく、嘆声があがった。 
 エルンストでさえ、ものに動じない顔をわずかに動かして驚きを示した。内心、ラルフは大得意だった。 
「──アルカード、だ」 
 言葉少なにアルカードは言った。 
「ラルフの言葉に甘えさせてもらった。ここの人々には世話になる。よろしく頼む」 
 下女や女中のほとんどが、頬を赤らめて何事か囁きあっている。男の使用人の中にまで、ぽかんと口を開いて 
見惚れている者が多かった。輝く銀髪と白い肌、蒼い瞳、女にもしたいような美貌に、豪奢と言うほかない 
身なりの優雅な貴公子ぶりなのだ。初めて見た者が、一瞬魂を奪われるのは当然だろう。 
「さあ、もういいだろう」 
 大勢の凝視を受けて、アルカードが落ちつかなくなりはじめているのを感じとって、すばやくラルフはまたアルカードの 
フードを引き下ろしてやった。 
「馬を連れていって、水と飼い葉をやってくれ。それから、俺たちにもパンと葡萄酒だ。アルカードの部屋の用意も 
頼む。確か、使っていない部屋がいくつかあったはずだな」 






 しかしそれから一週間以上、ラルフはアルカードと顔を合わせなかった。 
 正確に言えば、合わせる暇もなかった。半年以上も留守にしていたあいだにたまった雑事の処理に連日追われ 
たのに加えて、近在の村や街から早くも噂を聞きつけた商人や小領主たちが、祝宴と称して我も我もとラルフを 
宴会に招きたがったのだ。 
 おかげで、ほとんど自分の家で食事をする機会すらなかったほどだ。一日部屋にこもって、エルンストが次々に 
手渡す書類に仏頂面で目を通し、サインし、印を押したり仕分けたりと単調な仕事をこなしたあとは、腰を 
落ちつける暇もなく家作の畑地や果樹園、森林や家畜の放牧地の見回りに出て、夜になっても休む間もなく、 
宴会の招待に応えて相手の屋敷まで出かけなくてはならない。 
 宴会は盛大なもので、これまで名前を聞いたこともないような相手や、はっきりとベルモンド家に対して陰口を 
たたいていたはずの相手まで顔を出して、見えすいたお追従顔でもみ手をしながら近づいてきた。ドラキュラを倒し 
た英雄と近づきになっておけば教会の、ひいては、さらに上の方にも心覚えがよくなるとの下心が丸見えだ。 
 適当にあしらってやったが、内心、帰りたくてたまらなかった。 
 誰もがドラキュラ征伐と、それに関する冒険談を聞きたがった。中でも、ことに女たちが知りたがったのは、今、 
ベルモンド家の屋敷に滞在中だという、謎めいた美貌の貴公子のことだった。 
 アルカードのことについては、ただ、旅先で知り合った遠国の大貴族の末子で、目的を聞いて力を貸してくれる気 
になったのだと言うにとどめた。女たちは不満そうだったが、謎は謎でまた彼女たちの気持ちを刺激することに 
なったらしい。それ以上ラルフから聞き出すことは不可能そうだと悟ると、仲間同士片隅により集まって、熱心に 
こそこそ話し出してくれたのでラルフはほっとした。 
 男たちのほうは、もっとずっと厄介だった。彼らはラルフが耐え忍んできた苦痛と恐怖と悲しみの体験を、 
まるで吟遊詩人が歌ってみせるバラッドのような、勇壮な物語に仕立てさせようとしたのだ。 
 ラルフが言葉少なに仲間たちのこと、ドラキュラとの邂逅と戦闘、そして勝利を語ると、彼らは興奮したように 
うなずきあい、雇った芸人たちにコインを投げ与えて、おい、今のお話をさっそく叙事詩に仕立ててさしあげろ 
と怒鳴った。 




 要求に応えて、さっそく芸人は古びた弦楽器を取り直し、即興で魔王を倒した英雄についての歌を歌い始め 
た。その中ではラルフはまったく恐れを知らない鋼鉄の男で、ドラキュラの前に立っても臆しもせず、最後には、怪物 
は神と英雄の前に許しを請いながら、惨めな死にざまをとげて地獄へと堕ちていく。 
 馬鹿げているとしかいいようがなかった。ラルフとしては、苛立つ段階をすでに通り越して、むかつきを押さえる 
のに精いっぱいだった。 
 ここでもまた、とラルフは思った。 
 ここでもまた、カルンスタインと同じことがくり返されているのだ。アルカードの母親を殺しておいてそれを記念碑に 
したあの街の人間と同じように、ここでも彼らは、「魔王を殺した英雄」というその一点だけ、自分たちに 
とって正しいと思える物語だけを受け入れて、他のことはなにひとつ聞こうとしない。 
 当人であるラルフ自身でさえ、そのための話のタネにすぎないのだ。怒る以前に、情けなかった。俺は、こんな 
奴らのために命をかけてドラキュラを倒しにいったのではない、と腹立ちまぎれに思った。 
 何の脈絡もなく、アルカードの顔がまぶたに浮かんだ。 
 私は人か、それとも魔か、と問うたときの彼の目の色が、傷痕をたどった冷たい指の感触とともに、とつぜん 
痛いほどに蘇ってきた。抱きしめて眠った夜の、折れそうなほどに細かった身体が、たった今そばにあったらと 
痛切に感じた。 
「おや、もうお帰りで」 
 黙って杯を置き、席を立ったラルフに、当夜のもてなし役だった羊毛商の主人がちょこちょこと走ってきた。 
「ああ。申し訳ないが、まだ旅の疲れが残っている。せっかくのもてなしを中座するのは失礼だとは思うが、 
少し休みたい。他の方々には、これで楽しんで貰ってくれ」 
 ひとつかみほどの銀貨を詰めた袋を手渡す。重みをはかって、商人はにんまりした。 
「これはどうも。さすが剛胆なお殿様は、太っ腹でいらっしゃる。皆も喜びますことでしょう。ところで、 
ベルモンド様」 



「何か」 
「うちには実は、年頃の娘がひとりございましてな」 
 片手で銀貨の袋をじゃらつかせながら、上目遣いで商人はラルフを見た。 
「この度のあなた様の偉業を耳にいたしまして、たいそうあなた様に思い焦がれておりますのですよ。親の 
わたくしが申しあげるのもなんでございますが、これが実に器量のいい、素直な娘でして、よろしければ今度、 
お屋敷のほうに伺わせても……」 
 黙れ! と怒鳴りつけそうになるのを、ラルフはあやうくこらえた。 
「すまないが、今、そういうことを考えているほどの余裕はない」 
 ぶっきらぼうにラルフは答えた。「失礼する」 
 あとは誰が話しかけてこようと無視して、ラルフは夜道を馬をとばして屋敷に帰った。 
 ほとんど素面で、しかもずいぶんと早く帰ってきた主人を迎えるのに、使用人たちは右往左往している。ラルフ 
は廊下を歩きながら、宴会に出るために着替えた窮屈な服を腹立ちまぎれに右へ左へと投げ散らしていった。 
追いかける女中があわてて拾って回る。 
 階段を上がりきったところで、エルンストが待っていた。 
「お早いお帰りでございますな、御当主」 
「エルンスト」 
 厳しい声でラルフは言った。「あの、ぶくぶく太った気持ちの悪い商人は何者だ」 
「ヒルシュ様はこのあたりの羊毛と布地交易を一手に引き受けておられるお方です」 
 冷静にエルンストは返した。 
「ベルモンドの荘園から出る羊毛やフェルト地も、ほとんどはあの方とのお取引です」 
「取引だろうがなんだろうが、今後、あいつからの宴会の誘いなど二度と持ってくるな。気分が悪い」 



 怒鳴りつけるように言って、ラルフは最後のシャツを放り捨て、廊下に立って謹厳な顔を崩さずに見ているエルンスト 
の前を大股に通りすぎた。 
「それから、明日以降の宴会の誘いはすべて断れ。俺が旅の疲れのために熱を出して倒れたとでも言ってな。 
なんなら、ドラキュラの魔法のおかげでトカゲに変わって、そのままどこかへ行ってしまったと言ってもいいぞ。 
とにかく、あんな奴らの酒の肴にされるのは、二度と御免こうむる」 
 エルンストは眉一つ動かさなかった。「おたわむれを」 
「やかましい。なにがなんでも断れ、わかったか」 
 自分の寝室から首だけ出して、ラルフはまた大声を出した。 
「たとえおまえにその鉄のブーツで戸口から蹴り出されたとしても、俺は絶対にもう、あんな場所には顔を出さ 
んからな。いいか。絶対に、だ」 
 力任せにドアを閉めて、ラルフはやっと一人になった。 
 長いため息をついて、ベッドに身を投げ出す。 
 無性にアルカードの顔が見たかった。書類仕事に忙殺されている間はなんとか忘れていられたが、ドラキュラ城から 
戻る旅の間、カルンスタインの一件を除けば、ほぼ半刻として顔を見なかったことはないのだ。一人で身の置き場の 
ない思いをしていないか、黙って閉じこもって、またおかしな方向に誤解を成長させていないかと思うと、いて 
もたってもいられない気分になる。 
 起き上がって、窓を開けた。月が出ている。ラルフの寝室は本館の中庭に面した二階の一室だが、この窓からだ 
と、アルカードのいる西の小塔はやっと尖った屋根の先が屋敷の翼のむこうに見えるだけだ。 
 部屋を訪ねようかと思ったが、この酒と、女の脂粉の臭いの染みついた身体で、あの蒼氷の瞳の前に出るのは 
耐えられない気がした。 
 とにかく眠ろう、と窓を閉めてベッドに戻り、枕に頭を乗せた。 



 疲れているはずなのに、目は冴えていた。思えば、旅の間は、ほとんどずっとアルカードを腕に抱いて眠って 
いたのだ。 
 カルンスタイン以来、もう夢は見ないから大丈夫だ、というアルカードを、俺が寒いんだからいいから来い、と強引に 
毛布に入れて眠った。 
 アルカードも強くは拒まなかった。華奢な身体の感触と頬にふれる銀髪、漏れてくる静かな寝息を聞いていると、 
これまで感じたこともないほどあたたかいものが胸にあふれた。 
 明日は一番にアルカードに会いに行こう、と決めた。 
 エルンストがなんと言おうが構うものか。どちらにしろ、自分のいない半年の間は、彼が代理になって荘園を運営 
していたのだ。一日もう一度同じことをやるくらい、あの頑固爺ならなんでもないだろう。 
 からっぽの腕が疼いた。寝返りをうって、誰もいない自分の隣を見つめる。糊のきいた新しいシーツが、 
ひどく冷たいような気がした。 


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 | | □ STOP.       | | 
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 | |                | |       ◇⊂    ) __ 
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