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*ラルアル [#ua73d02b]
#title(ラルアル) [#ua73d02b]
                   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 
                    |  ゲーム悪魔土成ドラキュラのラルフ×アルカードだって 
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  戦ってるだけだけど出会い編らしいよ 
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 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) 
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___ 
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  | 
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「待て」 
 その声を聞いたとき、ラルフ・C・ベルモンドは背筋に氷のような緊張が走るのを覚えた。 
 彼ほどの手練れでなければ、それを戦慄とさえ呼んだかもしれない。感じた緊張は氷柱のように 
うなじをかすめ、身体の深い場所へと音もなく落ちていった。 
 どこかで鳥、あるいは別の何物かが、鋭い叫び声をあげて飛び立っていった。深閑とした暗黒の 
城に、不吉なはばたきがかすかに木霊していく。 
 身構えて、腰にまとめた鞭の握りに手をやる。使い慣れた革が手の中できしみ、一瞬の気遅れを 
追いやった。うす闇にただよう霧のむこう、幻のようにたたずむ人影を、鋭い視線で射抜く。 
「誰だ。そこにいるのは」 
「──その鞭。〈ヴァンパイア・キラー〉か」 
 霧が揺れて、石畳を靴が打つ音が聞こえた。ゆっくりと近づいてくる。 
 低い声はさらに続いた。 
「ベルモンド家の者。そうだな? 不死者殺しの聖鞭を手にする者は、ただあの家系にしか出ないと聞く。 
その鞭を真に使いこなせる者も、また。お前はベルモンドの者か、人間の男」 
「それを訊いて、どうする」 
 相手は応えなかった。 
 ただ影の中で何かが蠢き、重たげな金の刺繍のあるマントが、崩れかけた狭い通路の縁をかすめて 
小さな衣擦れの音をたてた。 
 まばゆいばかりの銀髪がさらりと靡いた。 
 壁の松明の光が、相手の半面を照らし出した。 
 我にもあらず、その一瞬、ラルフは言葉を失った。 
 それほどまでに、現れた者は美しかった。凍る月光が、そのまま人のかたちをまとったかのような。 
 その者は背のなかばまでとどく銀髪を肩に流して、感情の伺えない目でこちらを見つめていた。 
 おそらく、ラルフとさほど変わらない年齢であるのだろう──もし、人であるとするなら。 
 二十歳そこらと見える、青年だった。白い顔は彫像のように整い、長い睫毛の下の瞳はさえざえと 
した氷青色。すらりとした長身に黒衣をまとい、マントの裏地の緋があざやかに目を射た。 
 一見女性的とさえいえる秀麗なおもざしにあって、まなざしにこもる力と、強靱な意志の光が何よりも 
印象的だった。腰につるした細剣の柄の金色がにぶく光る。 



 ほんの半瞬の忘我からさめて、ラルフは腰から鞭を外して強く両手に張りわたした。 
「おまえは妖魔か。それとも、人間か」 
「答える必要があるのか?」 
 感情のない声が近づいてくる。 
「それはそうだな」 
 ラルフは太い笑みを浮かべた。 
「この城で出会う相手は二つに一つ。──俺の行く手を塞ぐ者か、それとも──そうでないか、だ!」 
 声とともに、魔を討つ鞭の一撃が宙を走った。 
 確かに相手をなぎ払ったと見えた鞭は、だが空を切り、マントの翻る音がはるか頭上でした。すばやく 
鞭を引き戻し、上を仰いだラルフの目に、上空から落下してくる黒衣の男と白く燃える刃のひらめきが燦と 
燃えた。 
 髪の毛一筋の差で剣を避け、さらなる追撃を鞭の柄で払いのける。二撃、三撃、相手の攻撃は 
おそろしく迅く、その細腕からは予想もつかないほど重かった。 
(近すぎる!) 
 ベルモンドの鞭術は、近接戦にはあまり向いていない。腰から聖別された十字架を抜き、力任せに 
なぎ払う。妖魔であればこれだけでもひるむはずだったが、相手は紙一重の差で身を引き、顔色一つ 
変えずに、懐に入って鋭い突きを放ってきた。剣風が頬をかすめる。 
 からくも避けきって、ひとまず飛びのいて距離をとった。長い銀髪がうす闇に弧を描き、敵は、 
美しい顔にほとんど表情をあらわさないままラルフを見た。 
「なるほど。それなりの腕前はあるようだな、ベルモンドの男」 
 低い声がいんいんと伝わってくる。 
「では、こちらからも問わせて貰おう。──お前が、このドラキュラ城へ来た目的は?」 
「城主、魔王ドラキュラの討伐!」 
 答えと同時に鞭を飛ばす。 
 相手の剣が一閃し、弾かれた鞭先が激しい音をたてて壁の燭台を打ち砕いた。手首の一ひねりで、 
鞭は戻らず、そのままの勢いで銀髪の敵の背後に飛ぶ。 
 ほとんど見もせずに、相手はその攻撃も弾いた。剣の間合いの外からラルフが加える猛攻を、目にも 
とまらぬ素早さではじき返していく。 
 敵手ながら、ラルフは内心感嘆した。あれだけの迅さと正確さで剣を操れる者など、これまで見たことも 
なかった。しかも若く、かつ、あれだけ美しいとは。 



 十何度めかに弾かれた鞭先が、天井のシャンデリアのを直撃した。 
 シャンデリアは不気味な音を立ててゆがみ、次の瞬間、ぐらりと傾いだ。錆びついた骨のような残骸 
が、衝撃に耐えきれずきしみながら相手の頭上に落ちかかる。 
 銀髪の敵は、その場から動かなかった。飛びのく間も与えられないと知ると、落下してくる超重量の 
真鍮と水晶のかたまりにむかって、気合いとともに剣をふるった。 
 ただひと太刀で、巨大なシャンデリアが真っ二つに寸断される。激しい破砕音とともにもうもうと埃が 
舞い、崩れ落ちる金属と貴石の破片のただ中に、ゆらりと月影のごとき麗姿が立った。 
 蒼氷色の視線が敵の姿を求めてすばやく左右に走ったとたん、 
「遅い!」 
 収まりかけた埃の膜を割って、鞭を構えたラルフが突進してきた。 
 払いのけようとしたが、近すぎた。束ねた鞭が生き物のように刃にからみつく。至近距離からのひと 
打ちに、ねじり取られた細剣は高々と宙に飛んだ。 
 飛びすさり、剣を取りなおそうとした青年の胸に、ラルフの肩が全体重をのせてぶち当たる。 
 二つの身体はもつれ合うようにして後ろに倒れこんだ。 
「動くな」 
 すばやく身を起こそうとした青年ののど元に、鞭の柄が突きつけられた。 
「動くとこのまま喉を潰す。──さあ、もう一度訊くぞ。おまえは何者だ? 人間か、それとも妖魔か? 
何のためにこの闇の城にいる?」 
 ぐいと柄を押しつける。「答えろ」 
 ことごとく攻撃を弾かれているように見せかけて、その間に周囲の壁や床を崩し、相手の逃げ場を 
奪っていたのだった。そして最後にシャンデリアを落として、その時できるだろう相手の隙をつく。 
計略が見事に功を奏したことに、ラルフは満足していた。 
「そういう口は、もう一度自分の状況を確かめてからきくことだ」 
 静かに青年は言った。美しい顔には、この期に及んでもなんの感情も表れていなかった。 



「負け惜しみを!」 
 かっとして言いかけたラルフは胸にちくりとした痛みを感じ、思わず口をつぐんだ。 
 見おろすと、いつのまにか青年の手が脇の小剣を抜き放ち、こちらの胸につきつけていた。 
 切っ先はわずかに胸を突き、胸当てを通して肌に食い込んでいる。あと少し手を動かせば、針のような 
刃が肋骨を通りぬけて心臓を貫き、ラルフを殺すだろう。 
 どっと冷や汗がわいた。 
「武器を引け、ベルモンド」 
 無表情に青年は言った。 
「これ以上、やりあう意味はない。私にも。おまえにも」 
 ラルフは声もなく腕を引き、立ち上がるしかなった。相手が身を起こして軽く埃を払い、衣服を整える 
さまをなすすべもなくただ眺める。 
 乱れた長い銀髪をうるさげに後ろへかきやる。小剣を脇の革鞘に戻し、飛ばされた剣に歩み寄って、 
刃こぼれの有無をざっと確かめてから鞘に納める。 
 そのようなちょっとした動作ひとつさえ、舞踏のように優雅だった。身仕舞いを終えて黙然と立つ青年 
に、ラルフはもう一度、用心しながら歩み寄った。 
「お前は、いったい……」 
「先ほど、言っていたな。この城で出会う相手は二つに一つ。行く手を塞ぐ者か、それとも、そうでない 
か、だと」 
 蒼い月光を映す双眸に射すくめられて、ラルフは思わず頷いた。 
「では、私は前者ということになる。もはや、私はお前の行く手を塞ぐ気はない。生半可な力では、ここ 
は入ることのならぬ場所だ。人ならばなおさらな。しかし、ベルモンドの男、お前ならば先へ進んで、目的 
をとげることができるかもしれない」 
「目的──」 
「魔王、ドラキュラ討伐」 
 瞳に悽愴な光が走った。ラルフは稲妻に打たれたように心臓がはげしく拍つのを覚えた。 
「深い理由は聞かぬがいい。だが、ベルモンドの男、私もまた、お前と目的を同じくする者だと言って 
おこう。あの男の暴虐と邪悪を、これ以上座視するわけにはいかない。──殺戮を殺戮で、憎悪を 
憎悪で返すことは、しょせん真の悪たる混沌を益する行為でしかないのだから」 
 青年はふと目を伏せた。白銀の髪に隠れた白い頬に、はじめてかすかな翳が走ったかに見えた。 



「お前、名は?」 
 考えるより先に、ラルフはそう口走っていた。 
 青年はいぶかしげに顔をあげた。細い眉根を寄せて、いくらか困惑しているように思えた。 
「名など、訊いてどうする」 
「協力しろなどと甘いことは言わない」 
 ラルフは言った。どのみち、一人で暗黒の魔王と退治する覚悟で城に入ったのだ。今さら道連れや同盟者 
など欲しいとも思わないし、誰かに助けを求めるなどベルモンドの誇り高き血が許さない。 
 だが、なぜかこの青年には離れがたいものを感じた。姿形の美しさ、そのすさまじい剣技の冴えにも 
増して、さえざえとした瞳にこもる強靱な光が、ラルフの男としての何かに反応していた。 



「だが、お前の目的が俺と同じだというなら、この先、またかち合うこともあるだろう。あるいは、 
再度剣を交えることになるかもしれん。その時に、相手をなんと考えればいいか、わからないと困る 
と思っただけだ。俺の名はラルフ。ラルフ・C・ベルモンド、お前は?」 
 青年は小さく唇をあけて、閉じた。ためらうような様子を見せて間をおいたが、やがてぽつりと、 
「──alucard、」 
「なに?」 
「アルカード」 
 静かな声で、青年はきっぱりと言い切った。 
「〈ドラキュラに反する者〉、それが私の名だ。呼びたければそう呼べ、ベルモンド。私はべつに構わない。 
この先、会うことがあるとは限らないが」 
「俺の名はラルフだ。『ベルモンド』じゃない」 
 むっとしてラルフが言いかけたときには、すでにアルカードと名乗る青年はきびすを返していた。 
 ブーツの踵がかつかつと石畳を踏み鳴らして遠ざかっていく。最期に一瞬、あざやかな銀髪が闇に 
浮かび上がり、再び沈んだ。破壊された通廊には、すでにラルフしかいなかった。 
「アルカード」 
 暗い魔城にひとり立ちつくし、ラルフは呟いた。自然に拳に力がこもった。 
 月輪にも似た白い顔が脳裏によぎり、理由もわからず胸がさわいだ。 
 再びどこかで鳥が鳴いた。 
 異形の気配が近づいていた。きしるような鳴き声が通廊の果てから聞こえてくる。また霧が濃くなり、 
腐った肉の異臭が漂ってきた。月が翳った。 
 ──今はとにかく、進むことだ。暗黒の城の城主。混沌の魔王。 
 ドラキュラ。 
「……お前とは、また会う気がする。アルカード」 
 ラルフは大きく息を吸い、ふたたび、聖鞭ヴァンパイア・キラーを握りなおした。 



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 | | □ STOP.       | | 
 | |                | |           ∧_∧ 配分間違えて6回にナッチャッタ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 
 | |                | |       ◇⊂    ) __ 
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