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100-1

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  凄いSSの後にヘタレ100-1パロモナ……
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  しかもオリキャラ出してもうた
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 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ホンマスンマセン
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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「お~い、新入り!ちょっと来い!」
「はい!」
俺は2週間前に配属されたばかりの新米AD。
運良く、入社する前からの憧れだった100-1さんの番組担当になり、毎日がむしゃらに働いている。
まだ、実際に2人と話したりということはないけれど、遠巻きに見る2人は想像していた通りの2人だった。
いろいろミスをやらかして、毎日怒鳴られてばっかりではあるけれど、彼らの番組に関われるだけでもラッキーだと思ってる。
今日は、2週間ぶりのスタジオ録り。入り前の準備でスタジオは大騒ぎだった。

「はい、何でしょうか?」
呼ばれたディレクターに駆け寄り、声をかける。
「おお、ちょっと頼みがあるんだ」
キレると恐ろしいが、人はいい(らしい)ディレクターの表情が曇っているので、俺は不思議に思った。
「何かあったんすか?」
「いやな……丘村さんがストライキを起こしちゃったんだよ」
「へ?」
「トイレに閉じこもっちゃって……いや、よくあることなんだけどな」
「そ、そうなんすか」
「丘村さん、ああ見えて繊細な人だから。ちょっとしたことでスネるんだよ」
「スネる、すか」
想像もしなかった言葉の連続に、俺はオウム返しに言葉を返すしかない。
「そんで、お前に丘村さんをなだめてきてほしいんだよ」
「お、俺がですか!?」
「今、みんな手が放せなくてさ……頼むよ」
「でも、どうやってなだめりゃいいんですか?」
「そこはほら、上手いこと言ってくれや」
「大体、何が原因でその……スネちゃったんですか?」
「それが分からないんだよなあ」
おいおい……
ディレクターの能天気な声と、俺に課せられた任務の重さに、俺は頭を抱えたくなった。

「原因も分からずにご機嫌をとるなんて、できっこないっつうの」
教えられたトイレに向かいながら、ぶつぶつと文句を言う。
与えられた時間は、他の出演者入りまでの1時間半。
それまでに丘村さんをなだめて、収録に参加できる状態までに持っていってほしい。
これが、ディレクターからの指示だった。
「どうすりゃいいんだよ……」
目的地であるトイレの前に来てもはっきりした手段が思い浮かばず、中に入るのがためらわれた。
が、ここで失敗すれば収録は押し、たくさんの人たちに迷惑がかかってしまう。
同時に、俺が死ぬほどどやされることも目に見えているわけで。
ええい、ままよ!
腹をくくり、トイレの中に入った。

確かに、個室が一つ閉まっている。
ここはスタジオからは少し離れていて、人通りは皆無といっていい。
誰もいないトイレで、個室のドアが閉まっているのは、ひどく不自然な光景だ。
まさかこんな形で、丘村さんと初めて絡むことになるとはな……
心の中で苦笑いしながら個室の前に立ち、ドアをノックした。
「丘村さ~ん、大丈夫ですか~?」
って何が大丈夫なんだよ!
心の中でツッコミを入れる。
「丘村さ~ん、出てきてくださいよ~。お願いします~」
「…………」
返事はない。
人の気配はするが、同時に答えてくれそうにない空気も感じる。
「丘村さ~ん、丘村さ~ん」
閉じこもった理由も分からない、具体的な方策も持っていない俺は、情けない声で呼びかけることしかできない。
当然、どれだけ呼んでも丘村さんは反応してくれない。
10分ほどノックと「丘村さ~ん」と「出てきてくださいよ~」をバカみたいに繰り返し、先に俺が音をあげてしまった。
「あ~もう!どうすりゃいいんだよ……」
「あれ、どないしたんや?」
聞き覚えのある声に振り向くと、ジーンズとTシャツというラフないでたちの谷部さんが、目の前に立っていた。

「谷部さん!!」
地獄で仏とばかりに、俺は心底嬉しそうな声をあげてしまったらしい。
「そんな甘えた声出すなや……確か自分、新しく入ったヤツだよな?」
「はい!」
「こんなところで大声出して……何してんねや?」
「あの、実は……」
谷部さんを廊下に連れ出し、事の顛末を説明する。
「ははは!またアイツいじけてんのか!」
「谷部さん、理由ご存知なんですか?」
「いや、確証は持てんけど多分アレやな、ってのは分かるわ」
「さすがですねえ……」
「ま、十何年も一緒におれば、イヤでも分かるようになってまうって」
「凄いなあ……」
こんな状況にも関わらず、俺は素で感心してしまった。
「っと、こんな話してるヒマはないんやな。とりあえず、丘村さんを出さんと」
「そうですね。どうしたらいいんでしょうか……?」
「ええよ、俺にまかせとき」
「ホントですか!?」
「俺が丘村さんの機嫌をとるポイントを教えたる。今度こうなった時は、お前頼むで」
そう言ってニヤっと笑う谷部さんが、俺には本当に仏のように見えた。
「分かりました!ありがとうございます!!」
「よっしゃ。じゃあ行こか」
谷部さんと2人、もう一度あの個室の前へと向かった。

「ひたすら名前呼んでもあんまり意味ないねん。最初は相手が答えられるように、疑問形で呼ばんと」
そう小さい声で俺に言ってから、谷部さんは個室を軽くノックした。
「丘村さ~ん。丘村さ~ん。聞こえてますか?」
おお、番組の時と同じ呼び方だ……!
地味に興奮する俺。
「丘村さん、具合でも悪くなったんですか?大丈夫ですか?」

「…………別にどこも悪くないわ」

5秒ほどの間の後、聞き取れないくらいの小さな声ではあるが、確かに丘村さんの声が聞こえた!
まずは一歩前進だ。さすがは谷部さん……

「じゃあ何でこんなトコにおるんですか?」
谷部さんは、どこか楽しそうな笑みを浮かべながら、さらに疑問形で声をかける。
「そういう気分なんや。悪いか?」
「いや、別に悪くないですけどね……でもみんなビックリするじゃないですか。そうでしょ?」
「…………」

谷部さんが、また俺の方を向いて耳打ちをする。
「絶対丘村さんのこと否定しちゃあかん。それと、『みんなが心配する』ってことを強調するんや。
あの人、責任感は人一倍強い人やから。そこを上手く使うんや」
「なるほど……勉強になります」

「丘村さん、みんな心配してますよ。収録ももうすぐ始まるし。出てきてくださいよ」
「……イヤや」
「またそんなワガママ言って。何でそんなスネてるんですか?」
「…………」
「あの記事のことですか?」

「あの記事」?
俺は何のことだか分からず、慌てて谷部さんの顔を見た。
谷部さんは、さっきとはうって変わって真剣な表情をしている。

「…………言いたない」
丘村さんのぶっきらぼうな声が聞こえてきた。
「…………俺とサシでやったら、言ってくれますか?」
「…………」
沈黙を肯定と受け取ったのか、谷部さんは軽くため息をつくと、俺の方に向き直った。
「すまん。ちょっと席外してくれるか?」
「え?あ……はい」
「あと、大丈夫やと思うけど、念のため、人払いしといてくれや」
「分かりました」

俺は外に出て、隣の物置から「清掃中」のカンバンを取り出してトイレの前に置いた。
スタジオに向かって歩き出す直前、「開けてくれや」という谷部さんの声が聞こえた。

俺は丘村さんの相手をしていることになっているのでスタジオに戻るわけにもいかず、それから1時間は非常階段に座って過ごした。
最後の2人のやりとりと、谷部さんの表情がどうも引っかかった。
「大丈夫かな、谷部さんと丘村さん……」

収録20分前。
スタジオに戻ると、ほとんど準備は済んでおり、あとは出演者を待つばかりといった状態だった。
「おお、丘村さん出てきたか?」
俺の顔を見るなり、ディレクターが声をかけてきた。
「あ、それが……その……」
どう説明していいのか分からない。
「お前、まさかあきらめて戻ってきたってことはないよな?」
明らかに不機嫌そうになったディレクターの声に、俺が目をつぶった瞬間。

「100-1さん入りま~す!」
というスタッフの声がスタジオ中に響いた。
「おはようございま~す」
いつもと同じ、いや、いつも以上ににこやかに、2人がスタジオに入ってきた。
「なんだ、上手くいってたんじゃないか!何だよびっくりさせやがって!」
ディレクターが笑って俺の肩を叩いた。
「あ痛たた……あれ?」

俺の目に映る2人の姿は、とてもつい1時間前に深刻そうな会話をしていたとは思えなかった。
まず、収録前に2人一緒に入ってくること自体珍しい。
しかも、カメラが回っている時以外はあまり笑わない丘村さんが、満面の笑顔で谷部さんと話している。
丘村さんの顔は、ほんの少し赤く染まっていた……って何で?
そして谷部さんはというと、こちらも丘村さんの言葉に笑顔で答えている。
それは、今まで見たことがないほど優しい笑顔だった。
谷部さんの元にスタイリストさんがやって来て、髪型を整えている。
あれ?さっきはあんなに乱れてなかったはずだよな……

どういうことだ?

脳内にクエスチョンマークが飛び交い、呆けた顔で2人を見ていると、谷部さんが俺の視線に気づいた。
丘村さんに「ちょっとごめんな」と声をかけて、谷部さんが俺の方に向かってくる。
「さっきはありがとな」
「いえ……大丈夫でしたか?」
「ああ、大丈夫大丈夫。すまんな心配させてもうて」
「あの……『あの記事』って何のことなんすか?」
「あああれか?女性誌の『抱かれたくない男』がどうたらってヤツや」
「へ?」
「順位が上がったのえらい気にしててなあ……それでいじけてたんや」
「そ……そうだったんですか」
「うん、だからそんな気ぃ使わんでええからな」

じゃ、と言ってまた丘村さんのところへ戻ろうとする谷部さんを、声をかけて引き止めた。
「何?」
「あの……あの後どうやって機嫌直したんですか?」
しかもあんなに……という言葉は飲み込んでおいた。
「それは……企業秘密や!」
そう言って、谷部さんはニヤっと笑った。
その顔は、男の俺が見てもドキっとしてしまうほど……何というか、「色気」があった。

谷部さんと丘村さんがじゃれあう様を、今までとはちょっと違う思いで遠巻きに見やりながら、
「やっぱり次も谷部さんに頼むとしよう」と決意する俺だった。

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 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ナガイワリニモエポインツナサスギ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

お目汚し、大変失礼しました。

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