Top/S-53

郷実×材前

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                    |  >>51の続きモナ。
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  ~澤さん最近みないねTVで。
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材前伍郎が負けた。
裁判所内がざわつく。記者達は先を争うように出て行き不思議な静けさが漂った。

材前は机を睨んだまま、動かない。急に立ち上がり、声をあげた。
郷実はスローモーションを見るようにしばらく頭が働かなかった。
激しく咳き込んだ材前が体を曲げる。
「おい、材前、それ以上喋るな!」
条件反射のように声がでた。
その瞬間、紙のように白い材前の顔がまっすぐ郷実に向かった。
「君の…指図は受けんよ、郷実…」
儚く悲しい男の姿だった。大きく息に詰まると材前は転倒した。
郷実は心臓を掴まれたようなショックの中、材前にかけよった。
誰にも触らせたくなかった。ここまで材前を追い詰めたものはなんだ。
一瞬材前の目が薄く開き、郷実を見た。
抗う様子をみせたが、観念すると、意識を手放した。

「郷実先生、明日も早いんですから無理しないでくださいよ」
看護士が心配そうに診察室を出ていった。
「お疲れさまでした」
郷実はそういうと、カルテを机に置いた。目頭を指で揉み、天井を見上げた。
新しい病院にも慣れ、平穏な毎日だった。しかし、郷実の顔は晴れない。
材前から自分はガンだと告白を受け、目の前が白くなった。
しかし、手術も無事終わったようだ。ステージ1なら心配ない。
内科医としてあるまじき事だが、郷実は何かに縋るように“心配ない”という
言葉を念じるように唱え続けていた。
病院をでると、自然と空を見るのが癖になっていた。
今日は一日快晴だったので星が綺麗にでている。
材前の病室からは見えるだろうか。
家に着くころ、携帯が鳴った。電話は予想もしなかった相手からだった。
「君に診察してほしいんだ」
材前のか細い声に、不安が雨雲のように郷実の心を覆った。

しばらく会わない間に材前の体はひとまわり小さくなったかのような印象を受けた。
暗い病院のロビーに背中を丸めて座っているのは本当に材前なのか。
手術は成功したのではなかったのか。
「おい」
郷実が駆け寄ると、材前はひどい咳のなか、振り向いた。
「とにかく診てみよう」
材前を立たせようと腰に手を回すと思った以上に痩せていた。
震える右手を庇うように両手を組むと、材前は強がるように笑った。
「こんな夜遅くにすまんな」
郷実はたまらず、材前の体を抱きしめた。材前の口から安心したような息が漏れた。
自分の熱を与えるかのように郷実は材前を包み、しばらく二人は動かなかった。
愛しくてたまらない。どうして俺はこんなにもこの男に惹かれてしまうのだろうか。

CTを撮る前から予感をしていたことだった。
二人は向かいあい、口を閉ざした。余命は長くて3ヶ月だろう。
3ヶ月たったら、材前のいない世界になる。
「無念だ」
材前は震える右手で郷実の肩を叩こうとしたが、思うように上手く動かず諦めた。
郷実は手を差し出そうとしたが材前は無言の内にそれを拒んだ。
ゆっくりとドアに向かう。材前の背中はいつものように他者の介入を拒絶していた。
静かに材前は部屋から出て行った。
郷実は何も出来ず、奥歯を噛み締め、床を睨んでいた。
そっとしておいてやることだ。彼はいつも1人で全て乗り越えてきたはずだ。
何度もそう自分に言い聞かせる。

だからお前は駄目なんだ、郷実。
お前はどうしたい。材前、君はどうしてほしい。

郷実は弾かれたように走りだした。
ロビーを突っ切り、出口に向かう。廊下を咳き込みながら歩く材前の小さな背中があった。
背後から思いきり抱きすくめる。材前の体はひんやりと冷たかった。
「郷実…」材前が振り返る。瞼は涙で濡れていた。
「ああ…」きつく腕を絡ませる。
「本当は……不安でたまらないんだ…。本当は」
「ああ」
胸が痛い。材前の頭を胸にすっぽり包み込むと、髪を撫でた。
腕の中で材前は動かなくなった自分の右手を擦っている。
「郷実…」
震える材前の声が、長い沈黙の後、君が欲しいと呟いた。
郷実は材前の顎をつかみ仰向かせると噛みつくように口づけた。
今までの想いの全てを注ぎ込むようにゆっくりと深く深く犯した。
乾いてひび割れていた材前の唇が、しっとりと濡れ、郷実の舌に絡み付いた。
無言で二人は互いの唇を貪りあった。冷たかった材前の体に温もりが戻った。
くたりとなると、材前は体を郷実に預けてきた。
しばらくして、郷実は材前の体を抱えるように歩き出した。
タクシーを止めて乗り込む。
材前は懐かしいホテルの名を運転手に告げた。
郷実の唇にはいまだ、材前の甘い香りの余韻が残っていた。

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 | |                | |           ∧_∧ 今回は続くといった感じで力つきましたスマソ
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