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R.S.3_LxM 19

「ここに残しておいたほうが良かったんじゃないのか?」
背後から声がする。
先ほど軍師に迎えたばかりのハリードだ。
数時間前、ここ宿営地へ送ってきたモニカの身を案じている。
「私が死ねば、あれも生きてはいられぬ身よ。」
殺されるか、凌辱されるか。また、敵の妃にされるか。
ろくな選択肢はないだろう。
それくらいならば、例え危険であろうともこの場を離れた方が良い。
この戦に勝つつもりではいるが、妹が捕らえられ利用される恐れもある。
護衛させるにしても側近の兵は姿が目立ちすぎるし、下士官には柄の良くない者がいる。
また、その余力がある訳でもない。
そして自分の眼に自信があった。シノンの青年達は使える。少なくとも、今は。

「それに、レオニード伯爵は信頼できる方だ。」
ハリードが怪訝な顔で問う。
「下手な人間よりも・・・と言っていたな。それほどアンタは周りに恵まれていないのか?」
質問に答えるつもりは無い。
代わりにふと考えていたことを口に出す。
「妹専属の警護要員を揃えたほうが良さそうだ。」
父存命の頃よりカタリナに任せていたが、そろそろ彼女一人には重過ぎるだろう。
領主の娘という地位と、跡継ぎの無い領主の妹とでは、狙われる頻度も違ってくるからだ。
それに今回は、ゴドウィンの件を伏せていたのが災いした。
こちらの狙い通りとはいえ、彼女達にとっては予想外であったのだろう。
だが、カタリナ相手に同じ貴族のゴドウィンが敵だとは言い辛かった。
「あの青年はどうだ?」
ハリードは、シノンで会った緑髪の青年ユリアンを薦めてみる気になっていた。
彼がモニカ姫の護衛を買ってでなければ、自分がここへ来ることはなかっただろう。
「あの眼鏡の奴のように、上手い立ち回りはできそうもないがな。」
不器用ではあるが、その分裏切りの心配も少ない。
意図を酌み、ミカエルが薄く笑った。
「考えておこう。」

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