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R.S.3_LxM 8

ミカエルは、女を抱いている。
人間でなく、妖精だ。
寝室には一本の蝋燭が灯っている。
額に浮かぶ汗。
女が目を虚ろにしながら、腕の下で鳴く。
この部屋に入り、気がついたらこうしていた。
薔薇を散らした城主の寝室。
寝台で、女を抱く自分。
部屋の主は、ワイン片手にソファで寛いでいる。

可笑しい、と思う。
女を抱いている筈なのに、自分の意思では無い気がする。
正確に言うと、抱かれている気分だ。
女を軽く持ち上げ、位置を変える。
その時、城主と目があった。
レオニードが唇を舐める。
暗赤色の唇が、うっすらと濡れる。
それを見ると、音を立てて自分が解き放たれた。
激しく女を突き上げ、そして達する。

ぐったりと横たわる女を、無機質に眺める。
こんなものか、と思う。
もう少しは相手に情が湧くものだと思っていたが。

軽く身支度を整え、部屋に戻ってベッドに倒れこむ。
疲れた、と思う。
肉体ではなく、精神が。
何故なら気がついてしまったからだ。
自分が、あの女に何の感情も持つことができなかったことに。

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