嵐の夜に
更新日: 2011-05-01 (日) 17:56:28
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| 拙者スレ2から来ました
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雷鳴に怯え、縋り付いてくる小兄を長兄は優しい目で見た。
いつからか憎まれ口を叩いたり反発したりしてばかりの弟だが、こんな所は変わらない。
「大丈夫だよ」
小兄の背を撫でながら長兄が囁く。
耐えられなくなった小兄から小さなしゃくり声が漏れる。
「大丈夫、私がいるだろう?」
長兄に縋り付く小兄の手が更に強く長兄の衣を握る。
「大丈夫だよ、ちい」
そんな囁き声も昔から変わらない。
小兄の耳に届いていたのは轟く雷鳴。
それが徐々に長兄の声へとすり替わっていく。
「大丈夫」
そんな囁き声が耳に入る。
「ちい」
優しく宥める声が心に染み込んでいく。
「・・・兄上」
掠れる声で呼んでもその声は長兄の耳までは届かないだろう。
小兄自身のしゃくり声と雷鳴に掻き消されてしまうはずだ。
「兄上・・・」
聞こえなくて良い。
聞こえない方が良い。
自分は拙者ではないのだから。
拙者のように素直に甘える事が出来ない。
だから、知られなくて良い。
「大丈夫だよ、ちい」
長兄が囁く。
いつまでも変わらない、この声と手があればそれで良い。
小兄はそう自分に言い聞かせる。
それだけで自分の震えは収まるから。
小兄の震えが小さくなる。
小兄の背を撫でていた長兄の手は小兄の頭へと移動した。
「こんな時、ちいは変わらないな」
そう言いながら頭を撫でる。
小兄は何も言わずに袖で己の涙を拭う。
もう雷鳴は遠くなっている。
怖がる程には轟きはしない。
「ちいは・・・」
涙を拭って顔を上げるた小兄の言葉が止まった。
じっと自分を見下ろしてくる長兄の視線に小兄の目が丸くなる。
「ちい・・・」
小兄の頭を撫でていたはずの手はいつの間にか小兄の顎にかかり、
背に回されていた手は腰へと移動している。
「兄・・・上・・・」
今の状況を認識した小兄が目をぱちくりさせて長兄を見る。
次第に早くなっていく鼓動をどうする事も出来ないままに。
「ちいは可愛いな」
長兄のこんな甘い声など聞いた事が無い。
まるで心の臓が耳元へと移動したかのように他の音が聞こえない。
「兄・・・上・・・」
唇が震えて上手く言葉が紡げない。
そんな弟に微笑を見せてから、長兄の唇が降りて来た。
重ねられただけの唇は小兄の震えを収めた。
「あ・・・兄上?」
目を見開いて長兄を見上げる小兄。
「何だ?」
長兄は微笑のまま、小兄の腰へと回している手に力を込め、引き寄せる。
「なっ・・・」
「ん?」
「あの・・・」
「何だ?」
変わらない微笑。
それでもまるで見たことの無い長兄。
小兄は己の中に響き渡る鼓動に思考をじゃまされる。
「ちいは私が嫌いなのか?」
少しだけ眉根を寄せ、寂しげに問う長兄。
「そんな事・・・」
嫌いな訳が無い。
拙者が生まれてからというもの、拙者に取られてしまったと思ってさえいた。
拙者ではなく、自分がこの腕の中にいる事をどれだけ望んだか解らない。
「兄上」
長兄の衣に縋り付いていた小兄の手が長兄の体へと回る。
「兄上・・・」
抱き付いて見上げれば、微笑む長兄の顔と再び近付いて来る兄の唇。
「ちい」
既に遠雷は小兄の耳には届かない。
ただ聞こえるのは、兄の声だけ。
陽が室内を明るくする頃、長兄はゆっくりとその体を起こした。
「ちい」
体を屈めて隣に眠る小兄の額に口付けを落とす。
「兄上」
くすぐったそうな声を出して、小兄が目を開けた。
「起きていたか」
「はい」
答える小兄の微笑。
未だ淡い朝の光は小兄の微笑を優しく照らす。
「兄上、拙者の部屋へ行って下さい」
「え?」
「兄上がいないとまた拙者が騒ぎ出す」
「しかし・・・」
長兄はもう少し余韻のようなものを味わっていたかった。
「拙者をあんなに甘やかしたのは兄上ですからね」
つんとした表情で横を向きながらも、小兄の機嫌はすこぶる良く、
それが解らないような長兄でもない。
「・・・解った」
長兄は衣を整え、羽織へ手を伸ばすと、再び小兄に近付く。
「では・・・朝餉で」
そう告げるとそっと口付け、長兄は小兄の部屋を出た。
「はい」
長兄が部屋を出てから、静かに返事をして、小兄は再び布団にくるまった。
「兄上の匂いがする」
微笑みながらそう呟いて。
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ オソマツデシタ
| | | | ピッ (・∀・ )
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