兄上争奪戦
更新日: 2011-05-01 (日) 17:29:56
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| もうすぐ拙者スレが終わるらしい。
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| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 最後にどうしても妊娠ネタを上げたかったんだと。
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| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ヨウハバカダロ?
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
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涼しくなった夕風を感じ、目を覚ます。
そこは確かに自分の部屋で、開け放された襖へと風が通って行く。
「うぅ・・・ん」
幼い拙者は目を擦りながら体を起こすと、きょろきょろと部屋を見回した。
「・・・・・・」
当然と言えば当然なのだが、誰もいない。
昼間の暑さを追いやった夕風が再び拙者の傍を通った。
優しい長兄の姿を求めて拙者が部屋を出て長兄の部屋へと向かう。
長兄の部屋からは楽しそうな笑い声が聞こえて来た。
「兄上」
拙者の部屋と同じく風が通るように開け放された長兄の部屋。
拙者はその戸口からひょこっと顔を覗かせた。
「起きたのか拙者」
長兄の優しい笑顔が向けられる。
「兄上」
拙者も笑顔を向けるが、次の瞬間、その笑顔は凍り付いた。
「どうした?」
ぴたっと動かなくなった拙者に長兄の不思議そうな声がかかる。
「拙者?」
長兄の部屋で一緒に笑っていたもう一人の兄も拙者に声をかけた。
小兄の声に我に返った様に拙者が動き出す。
二人の兄の元へと近寄り、頬を膨らませる。
「拙者も」
長兄の膝の上にちょこんと座っていた己とさほど体格の変わらない小兄。
その小兄が占拠する長兄の膝。
どうしてもそこに乗りたかった。
「ちいがいるんだ。拙者はだめ」
拙者の意志を察した小兄が立ったまま見下ろしてくる拙者を睨む。
「ね?兄上」
いつもいつも拙者に取られてしまう大好きな兄の膝。
拙者が昼寝をしている隙に漸くここに来る事が出来たのだ。
小兄とて譲る気持ちは無い。
小兄は長兄を見つめてにっこりと笑いながら抱き付く。
未だ小さい小兄の体を支えてやりながら長兄が驚いたように言う。
「今日は随分甘えてくるんだな、ちいは」
そう言いながらも空いた長兄の手は小兄の頭を撫でる。
それをむっと見て、拙者が長兄の手を取った。
「拙者も!」
うるうると泣きだしそうな瞳で長兄に訴えると、長兄は苦笑した。
「拙者も甘えん坊だな」
小兄の体を軽く持ち上げ、己の膝を崩すと、長兄は小兄を左膝に乗せた。
「ほら、拙者はこっちにおいで」
空いた右膝を長兄が軽く叩いて見せると、拙者の顔が綻んだ。
むっと頬を膨らませた小兄の様子に気付かず、拙者は長兄の右膝へと上がる。
しかし、拙者がバランスを取る前に小兄が動いた。
「うわっ」
小兄に突き飛ばすように押され、拙者が尻餅を付く。
「う・・・うわぁぁぁぁ」
座り込んだまま、拙者が泣き出すが、小兄は知らん顔をしていた。
「こら、ちい!」
長兄が小兄を見る。
「拙者はちいよりもまだ小さいのだ。苛めてはいかん」
長兄に怒られ、小兄の目にも涙が浮かんで来た。
「だって・・・だって・・・拙者ばっかり・・・」
しゃくり上げながら小兄まで泣き出す。
「ち・・・ちい・・・」
小さな二人の弟の泣き声合唱。
暫く泣き声を聞いてから、長兄は拙者に手を伸ばした。
「ほら拙者、おいで」
拙者は泣きやまないままに長兄へと手を伸ばし、しがみつく。
「ちいも泣くな」
小兄の体を支えていた長兄の手が小兄の頭を撫でる。
「まったく二人共、武士の子がそんなに簡単に泣くんじゃない」
宥める声は優しい。
まず泣きやんだのは小兄。
拙者を突き飛ばした事をばつ悪く思うのか、俯いたまま、涙を拭う。
小兄が静かになると、拙者も漸く泣きやんだ。
「ほら、二人とも仲良くせねばならんぞ」
長兄が優しく諭すように言うと、小さな二人は素直に頷いた。
「兄上、拙者がお好きですか?」
泣きはらした目のまま拙者が聞くと、長兄は笑顔のまま頷いた。
「兄上、ちいは?」
張り合うように小兄も聞く。
「勿論」
長兄は同じ笑顔のまま答える。
漸く二人の気が済んだかと安堵しかけた長兄だったが、まだ終わった訳では無かった。
「兄上、兄上、拙者と小兄とどちらがお好きですか?」
問題発言。
どちらと答えても、この場合正解とは言えない。
むしろ、答える方がとんでもない事態を引き起こしかねない事くらい、鈍い長兄にも解る。
どちらと聞かれてもどちらも可愛い弟なのだ。
答えに詰まった長兄を見て、二人の弟の間では火花が散った。
「ちいはずっと兄上と一緒にいる!」
「せ・・・拙者だって!」
そんな言い合いが始まる。
発端は拙者の一言。
幾ら体格がさほど変わらないとはいえ、小兄の方が年上である。
徐々に拙者が圧されていくのは当然だろう。
「拙者は・・・拙者は・・・」
うるうると再び泣き出しそうになる拙者の様子を見て焦る長兄だが、出てきたのはある種の爆弾発言。
「兄上、拙者妊娠するでござるっ!!!」
きっぱりと言い切った拙者。
長兄は何を言われたのやら、理解するのに時間を求めた。
その間にも弟達のやり取りは続く。
「拙者は兄上の御子と一緒にずっと兄上と一緒にいるでござる!!」
「なっ・・・」
そんな事を言いきられては小兄とても引き下がるはずもない。
「そんな事、出来る訳ないだろう!!」
微かに長兄が小兄に期待をかける。
どうか上手く拙者を言いくるめてくれ・・・と。
所詮子供は子供。
どれだけ大人びていようとも、どれだけ聞き分けがよくみえようとも、子供なのだ。
「どうしてですか?拙者が妊娠すれば兄上とずっと一緒にいられるでござる!!」
「そんなのずるい!!」
小兄の叫びに長兄は呆気に取られた。
「拙者が妊娠するなら、ちいも兄上の御子を妊娠する!!」
「拙者が妊娠するでござる!!」
「ちいだ!!」
何も解らず何も知らず、ある意味未だ純粋と言える子供。
「拙者・・・」
言い合う二人には長兄の声が聞こえていない。
「ちい・・・」
長兄の膝の上で言い合う二人。
「・・・・・・・・・」
長兄は何も言えずにただ溜息を零した。
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ お終い
| | | | ピッ (・∀・ )
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