ホーム > 70-328

魔王×勇者

オリジナルで魔王×勇者
レトゲーで時々あるような、実は主人公側が侵略者だった的な感じの話です
とりあえず前半のみ。後半でエロが入ります
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

勇者は遂に魔王の下へと辿り着いた。だがここに来るまでに多くのものを失った。
共に戦いに挑んだ仲間は皆「必ず世界を救ってくれ」と言い残し、志半ばで散っていった。
彼らの命懸けの願いを背負い王の間に立った勇者だったが、その姿はあまりにも悲愴だった。
剣は欠け、鎧は砕け、その身には幾つも穴が開いている。ボロボロになった身体を気迫だけで
動かしているのは明らかだ。勇者は脚を引き摺りながら広間の奥へと進み、渾身の力で叫ぶ。
「出て来い魔王!!」
光すら吸い込まれそうな暗闇がぐにゃりと歪み、そこから一人の男が姿を現した。
勇者はそのあまりにも『らしくない』容姿に戸惑う。
重厚な甲冑も禍々しい魔物の身体も持たない、紳士然とした精悍な顔付きの男がそこにいたのだ。
「……やっと来たか」
落ち着いた低い声が空気を緊張させる。それだけで気圧されそうになったが、迷いを振り払って
剣を握り直した。
「っ貴様さえ倒せばっ……!!」
叫ぶと同時に地面を蹴る。
勝算などない。万全だったとしても勝てるかどうかというほどの圧倒的な力の差には気付いていた。
だとしても立ち向かうしか道は残されていないのだ。
「うおぉぉおおお!!」
振り下ろした刃は魔王に届くこともなく砕け散る。勇者はすぐに体勢を変え、残っていた魔力を
全て叩き込んだがそれも無駄だった。
勇者の表情が絶望に歪む。彼にはもう逃げ場がない。
彼の背には人々の希望が乗っていた。
彼の手には仲間の願いが託されていた。
負けることは許されない。
勇者は魔王を倒さなければならない。
世界を救わなければならないのだから――…
「くそっ……!」
「無駄だ。よせ」
「まだだ!!こうなったら……!!」
ゆっくりと歩み寄ってくる魔王と距離をとり、勇者は己の命を魔力に変える禁忌の術を発動させる。
――倒せずに逃げ帰るくらいなら、せめて道連れにして葬ってやる……!
そう覚悟を決め、詠唱を始めようとした時だった。
「もう止めろ」
いつの間にか目の前に立っていた魔王が手を伸ばす。
殺される――思わず目を瞑った次の瞬間、勇者の身体は魔王の腕の中にあった。
「なっ……!?」
「もう十分だ。自爆魔法など使う必要はない」
「ふざけるな!!何のマネだ、放せ!!」
「もっと早くこうしていれば、あんなに大きな犠牲を払うこともなかったのに」
「……は…?」
「すまなかった」
まるで慰めるように彼の身体を抱き竦める魔王の意図がわからない勇者は混乱し、声を荒らげた。
「『すまなかった』だと…?お前達が俺の仲間を殺したんだろう!!散々人間を苦しめてきた
くせに、何がっ――」
「それは違う。我ら魔族は人間を脅かしてなどいない」
「っ、うるさいっ!!」
「お前も気付いていたはずだ。魔族が自ら進んで人間を傷付けたことは一度もなかったと」
「っっ!!」
認めたくなかった事実を突き付けられた勇者は顔を強ばらせた。
それを見た魔王は悲しそうに項垂れる。
「我らは縄張りから出ない。人里を襲いもしない。もちろん人間もだ」
「……ぁ…」
「人間が我らの縄張りに入り、我らを追い出そうとした。我らは抵抗しただけだ。
常に先頭に立っていたお前にはわかっていた。だからここまで追い詰められているのだろう?」
魔王の言葉が目を逸らしていた真実に向き合わせる。
魔物達は倒される瞬間、皆諦めたような眼をしていた。『どうして』と、理解されない悲しみに
染まる瞳を何度切り伏せたことだろう。その度に勇者の心は軋んだ。
「何も知らない人々や仲間の願いが呪いのようにお前を縛り蝕んでいく様を見ていられなかった。
だが迂闊に私が出ていけば要らぬ犠牲を生む。お前の苦痛を増やすことは避けたかった」
「ぅ…ぁぁ……」
「お前にこんな顔をさせたのは誰だ。何故お前だけが苦しまねばならない。
始めからそんな必要はなかったのに」
「あ、あぁぁ……!」
「人間にも魔族にも既に世界は足りているのだ。お互いの領域を侵さずとも十分に
生きていけるよう均衡は保たれている。なのに人間だけがそれに気付かず、不必要な
排除を繰り返してきた。『勇者』という都合の良い存在を作りあげてな」
彼が告げる真実が、魔物達の声なき叫びが、勇者の揺らいでいた信念を打ち砕いていく。
苦しめていたのは自分達だった。殺してきたのは自分だった。
それはどんな一撃よりも勇者を深く傷付ける。勇者を打ち負かすためにデタラメを
吹き込んでいる可能性もあったが、もう彼にそれを見破るだけの余力はなかった。
「……俺……は…っ……」
「何故、お前だったと思う?」
「…………え……?」
「身寄りのない天涯孤独の身だが腕は立つ。正義感も強く、誰かを助けることに
生き甲斐を感じている。仲間も皆そうだっただろう?」
魔王の問い掛けに背筋が凍り付く。
思い浮かんだ答えを拒絶するように身体がガタガタと震え出した。
「……まさ、か、そんな……っ」
「お前達は人々に選ばれたのだ。無意識の内に、『死んでも困らない』存在として」
「!!」
「『勇者』だから世界を救うために己を犠牲にしてくれる、とな」
「ーーっっうわぁぁあああぁぁ!!!」
耐えきれなくなった勇者は悲鳴を上げてその場に崩れ落ちてしまった。少しずつヒビが
入っていた心が完全に壊れ、タガが外れたように泣き喚く。
「ああああ!!ぅあ、あぁ、あああぁぁあ!!」
「お前の役目は終わった。もう苦しまなくていいんだ」
「ううぅうぅ、ごめんなさい、ごめんなさい……俺が、俺が殺し、殺した、俺が殺した、俺がっ…!
みんな殺した、俺が殺した、っっごめんなさい、ごめんなさいっ、ごめんなさい……!!」
勇者はひたすらに謝り続けた。蹲り、嗚咽を漏らしながら床に何度も頭を擦り付けるようにして
許しを乞うた。
魔王はそんな彼を抱き起こし、あやすように背中を撫でてやる。何かに縋りたかった勇者は
魔王の胸に顔を埋めて泣いた。
「っぐ、ぅ……そんな、つもりじゃなかった…」
「辛い思いをさせてすまない。だが全てを話す必要があったのだ。許してくれ」
「…俺は、俺はただっ………みんなが幸せになるならって………それだけだったのに……っ」
彼の言った通り、魔物達から先に襲われたことは一度もなかった。「危険だから」といつも
先制攻撃を仕掛けていた。
魔物達は皆口を揃えて「戦う必要はない」と言っていた。それは強さ故の忠告ではなく
真の願いだったのだろう。
勇者は違和感を持ちながらもその手を振り下ろすのを止めなかった。息の根を止める度
すり減っていく心に気付かないふりをし、一刻も早くこの争いを終わらせようと無心に
剣を振るってきた。
だが結局、それらは全て無意味なことだったのだ。
「っ…殺さなくていいなら殺したくなかった!!俺は、今まで何のために…っ!!」
「手を汚させてしまったことはいくら詫びても足りぬだろう。だがお前に選んでもらいたい」
「……選ぶ…?」
魔王は改めて勇者と向き合った。
漆黒に艷めく髪、深紅の瞳、整った顔。
思わず見蕩れてしまうほど魔王の姿は美しかった。
「世界を変える大きな選択だ」
「……」
「お前が望むのなら、二度とお前のような存在が生まれないようにしてやる。人間と魔物が
いがみ合うことのない世界に変えてやる」
そんなことができるのだろうか。一体どうやって?
もしかして人間を滅ぼすとかそういう意味なのだろうか。
でも本当にできるのなら。他にこんなに苦しい思いをする人がいなくなるのなら。
「どうする勇者よ。お前は何を願う。人々に背負わされた望みか?それとも――…」
涙でぐしゃぐしゃになったやつれた頬に手を添え、魔王が問い掛ける。
力強い眼差しと慈しみに満ちたその瞳は、神と見紛われてもおかしくないほどの愛で溢れていた。
「………俺、は……もう…………疲れた……」
勇者はまた涙を溢れさせ、静かに目を閉じる。
「わかった。ならば全てを終わらせよう」
魔王はその涙を拭い、立ち上がって詠唱を始めた。

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
続きは後日持ってきます
最初投下しようと思ったら「埋め立てですかぁ?」とか出てびっくりした
けどまだここがあって良かった

このページを共有:
  • このページをはてなブックマークに追加 このページを含むはてなブックマーク
  • このページをlivedoor クリップに追加 このページを含むlivedoor クリップ
  • このページをYahoo!ブックマークに追加
  • このページを@niftyクリップに追加
  • このページをdel.icio.usに追加
  • このページをGoogleブックマークに追加

このページのURL:

ページ新規作成

新しいページはこちらから投稿できます。

TOP