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息をするように愛情表現

※注意※

生。某格差コンビ。
ネタは標準語ですが会話はちゃんぽん。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

『最近は格差コンビなんて言われていますが…』
『相方が仕事をしているとき、遊んでいらっしゃる?』
『ネタも作ってないんですよね』
『危機感はないのですか?…―』

「…」
「よっし逆転勝ちしてる」
「…」
「これで3連しょ―」
「―あのさぁ、」
「…ん?」
「…イヤやないん」
「なにが?」
「腹たつやろ」
「え?」
「…正直、今の人俺はめっちゃ嫌」
「ああ、」

今しがた受けたインタビューで散々に扱き下ろされた張本人は、
好調らしい贔屓チームの試合速報を確認し漸くスマホから顔を上げる。

これまで様々なメディアから取材を受けてきたけれど、
今日ほどムカつく奴に出会ったのは初めてだった。

「…なんていうか人を見下して馬鹿にするようなことばっか言って」
「まぁ、だいたい本当のことやし」
「いや、そういう問題じゃ…」
「ありがとう。優しいなお前は」
「あ?」
「俺のために怒ってくれて」

へらり、と口許を緩めた相方に、小さな溜息を吐く。
気が長いというか、自分に頓着が無いというか、
この男が何かに怒りを露わにしている所を見たことがない。
俺だって、芸風と似つかず決して短気な方ではないと思う。
しかしさっきの人ときたら、文句の一つも言わないと気が済まない程
あいつに対して悪意のある質問ばかりしていた。

「まあ、平気よ。ほんまに気にならんし」
「…そこはちょっとくらい気にして、もっと頑張ろうってなれよ」
「あぁごめん」

ごめん、と言いつつ締まりの無い顔。どうやら俺の頑張れの声も右から左だ。

「…全っ然、イラっともせえへんわけ」

半分呆れて呟くと、うーんと考える素振りを見せた後「ないかなぁ」と返ってくる。
「俺は何言われても……ああ、」

何か思い当った様子に、なに、と目で問う。

「……でも…もしお前を傷つけるような事言われたら俺は、」

―許さない

「…」
「―あ、やばいもう充電無いわ」

残念そうにスマホをかばんへ放り込んだあいつの眼が一瞬、
見たことのない色に揺れた気がしてはたと視線を留める。

「そろそろ時間、大丈夫?この後収録やろ」
「え、」

その声に引き戻され時計を見れば、もうとっくにいい時間だ。

「…分かってる、もう行くわ」

今日は、いや今日もこの後フリーだという相方の
「いってらっしゃい」を背中に聞きながら足早に楽屋を出た。

…いつものことだ。

微かな騒めきに蓋をして、一人スタジオへ向かう。

尊敬してる。
大切だ。
久々の一緒の仕事が、嬉しい。

恥ずかし気も無くあいつは言い、
俺の出た番組を欠かさず見ては、やっぱりお前は面白いと笑う。
それだけじゃない他にもあいつがくれるあれこれを、
俺はあしらい時には気持ち悪いと一蹴している。

自分はドライな人間だろうか。

いや、俺もなんやかんや言ってあいつの事を認めているし、感謝もしている。
こうしてピンの仕事を頑張るのだって、厳しい芸能界でこのコンビを消さず
いずれは二人揃って仕事が出来ればと思うからこそだ。
これくらい態々口に出さずとも伝わっていてほしい。
それなのに最近は、見捨てないでくれとか馬鹿を言うし……

…あぁやっぱり俺は間違ってなんかいない。
こっちはコンビの将来を想って一生懸命働いているというのに、
アホな相方が分かってくれないだけだ。

「…ふー…」

さあ、余計なことを考えている暇はない。
結果を残してなんぼ。仕事モードに切り替えた頭の中で、完璧に叩き込んだ台本を捲る。
下手なオンエアは、あいつにも見せられない。

(―愛される事に慣れ 当たり前に受け入れ 知らぬ間に依存しているのは )

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

失礼いたしました。

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