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月の裏側

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                    | ナマモノ二厘ラヒダー(天使とヘタレ)
                    |   今年は更に磨きがかかったヘタレです。
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 編集粗いけど、イム国G・Pゴーノレ後だって。
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 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧  ∧∧ ・・・鬱。
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(-Д-;)
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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 翻るチェッカー旗が評決を下す。僅差の2位。またも勝利には手が届かなかった。
 前戦の転倒を思えば、完走できただけでも充分と言えるかも知れないが、
目標はあくまでも頂点に立つこと。この結果は決して満足できるものではない。

 前方に見える姿は、遂に追い抜けなかった背中。其処此処にあしらわれた
フラッシュイエローが眩しく、遠い。
 どうあっても縮まらない距離に半ば諦めの心境になりながら、アクセルを緩めて
速度を落とす。と、驚くような光景が目に飛び込んできた。

 此方を振り向き、彼が手を差し出している。

 それは、余程険悪な関係にでもなっていない限り、当たり前のように行われる挨拶。
拳を合わせたり、握手をしたり。闘いの後、互いの健闘を讃え合う、いわば「
ノーサイド」の精神に基づくものだ。
 だが、今の彼と俺との関係は「余程険悪な」と表現して差し支えない程…
或いはそれ以上…に冷え切っている。
 その状況での彼のこの行動。つい何か意図あっての事であろうと疑ってしまう。
 なぜなら、彼は、自分がいつも見られている事を理解していて、カメラの回っている
ところ、人の見ているところでは完璧に自分を演出してみせることが出来る、
と言うことを俺は知っているからだ。
 随分前に、彼は俺のことを「役者」と言ったらしいが、彼の方がずっと役者だ。
それも天才級の。彼のキャラクターである太陽と月、それを完全に演じ分ける
ことが出来るのだから。
 熱く輝く太陽と、冷たく冴える月。相反するように見える二つの性質を、彼は自在に
使い分ける。多くの人には太陽の姿、敵と認めた者には月の姿。そして、『潰す』対象
には月の裏側の姿。地球上からは決して見ることの出来ない姿の彼を知る者は、
一体どれほどいるのだろう。

 そんな彼と互角に渡り合うには、今の状況のような突然の出来事への対処にも
長けていなければならない。しかし、残念ながら俺は彼程アドリブが上手くない。
だからどうしても「さて、どうしたものか」と悩んでしまう。
 例えば、以前彼にされたように、今度は此方が無視仕返す、と言うのも一つの
方法かも知れない。が、差し出された手を払うのは、礼儀に反する行為だ。
 それに、負けた上にそんなことをするのは余りにも子供じみていて無様なだけだ。
 かと言って、この握手に応じるのは、「敗者」であることを認める事になる。
 どちらに転んでも、この『マインドゲーム』の勝者は彼だと言うことらしい。
何をしても、それは覆せない。
 ならば、俺の選択は決まっている。幼い頃からの教えに従うべきなのだ。
 『紳士であれ』。自分が勝者でも敗者でも変わりなく。
 意を決して、彼にマシンを寄せる。
 それでも、手を伸べる時には躊躇してしまう。彼が何を考えているのか、
薄々感づいてはいるものの、それがはっきり分かってしまうのが、正直、怖い。
 宙を彷徨う俺の手を彼が軽く掬い上げる。おどけた仕草。
 その動きを目で追うと、結ばれた手を挟んで視線が交錯した。上げたシールドの
奥に覗くその瞳に、背筋が凍る。
 彼の眼差しは「敵」を見るものでも「ライバル」を見るものでもない。ましてや
「戦友」などとは。
 たとえて言うなら、「空気」。つまりは『その他大勢』。彼はもう、俺が彼より
上に立つ可能性を想定の外に置いているのだ。その現実が、悔しくもあり、悲しくもあり、
心が折れそうな程に打ちのめされる。

 どうやら早々にタイトルは諦めなければならないようだ。
もう彼には追いつけない。それが現実。
 しかし、それでも俺は、自分に出来る限りのことをしよう。勝利を欲する自分の為に。
その自分を支えてくれる人達の為に。
 …彼の瞳に、もう一度、俺に対する闘志の炎を灯す為に。

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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ・・・ヘタレに付ける薬はナイカネー?
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