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準備室係長×課長

801板久しぶりなので該当ジャンルスレがハケン出来ず
ジャンルのお約束がちとわからないのが不安ですが、とりあえず適当な伏せ字で投下します
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 | |                | |         公開中のヘタレネゴシエイタ映画だってさ
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「間舌さん…」
 間舌はアルコールでもやのかかった頭の中を必死で巡らせた。
 一体なんだってこういう状況になったんだ?
 具体的には……何故、自分は上半身裸で鯉毛に組み敷かれているのか。しかも明らかにホテルのダブルベッドで。
「鯉毛くん、ちょっと」
 弱々しく嗜めるが肩口を押さえつけられた手に力がこもっただけだった。それどころか。
「……!!」
 突然のことに抵抗する間もなく、唇が塞がれてしまった。
 もがく様に頭を振り、やっとのことで鯉毛の唇から逃れる。
「何のマネだよ!」
 鯉毛はそれには答えず、間舌の首筋に舌を滑らせた。びくり、と肌が波打つ。
「ちょ、ちょっと」
 冷静になれ、間舌マサヨツ。間舌は、自分自身に言い聞かせた。
 今日はKシ庁K渉課準備室の親睦会と称した飲み会であった。
先日の地下鉄事件でも活躍と牟呂胃の尽力で、いよいよK渉課は正式に動き出そうとしている。
だが間舌はまだ部下があまり自分を信頼しきっていないのを知っていた。あの事件で皆、ネゴシエイターとしての
間舌の実力をある程度認めたものの、やはりまだ「上司」としてはずいぶん頼りない人間だと思われている。
だが間舌はその自覚があるし、それよりもむしろK渉課を、頼りない自分を周囲が支えてくれるような関係のチームに
昇華させたいと思っているのだ。それでせめて皆と親睦を深められれば、とこの飲み会を企画した。

 あまり自分を好いてくれていないと思っていたCIC係長の鯉毛が
妙に懐いてしきりに酒をすすめてくれたのが嬉しくて、ついつい飲み過ぎてしまった。
 鯉毛の様子がおかしいと気づいたのは、間舌からのメールで飲み会を知った雉真が乱入して来てからだ。
雉真のことをあまり良く思っていない鯉毛が気分を害している様子なのに間舌は気づいていたが、
その時には既にどうすることも出来ないほど正体不明に陥っていた。
やがてふざけた部下の誰かに「水だ」と言って飲まされたジンがとどめとなって、その後の記憶がぷっつりと途切れている。
「ひゃっ……!」
 思わず漏らした間舌の声に、鯉毛は一旦顔をあげて満足げに微笑んだ。
 回らない頭で考えている間に、鯉毛の舌が胸に達したのだ。
 自分もそうだが、相手はとにかく酔っている。鯉毛にそういう趣味があるとは思えない。
むしろ間舌のことをあまり良く思っていないのは知っていた。いつか嫌がらせしてやろうという思いのもと、
酔った勢いでこうなったに違いない。
 『説得』しなければ。間舌はそう思った。
「こ、鯉毛くん」
 だめだ、どもっては。
「鯉毛くん!」
 肩を押さえていた鯉毛の手が片方浮いて、まだスラックスを着用したままの下腹部をまさぐる。
 このままでは、本格的にヤバイ。

「鯉毛君。何の冗談だか知らないけど、こんなことしても楽しくないと思うよ?」
 苦笑いを浮かべて言う間舌に、鯉毛は妙に不適な笑みを浮かべた。
「そんなこと、なんであなたにわかるんです?」
「だって、僕は男だし、第一キミ僕の事あんま好きじゃないでしょう」
 話しだした間舌の目から、先ほどまでの動揺と怯えの色がスッと消えるのを鯉毛は見て取った。
「本気でそう思ってるんですか?」
「違うの」
「どうでしょうね」
 Kシ庁初のネゴシエイターが、あの得体の知れないテロリストを言葉の魔力だけで押さえ込んだ男が、
自分を相手に『交渉』を始めている。鯉毛はゾクゾクした。
 片手で器用に素早くベルトを引き抜き、ジッパーをおろしてズボンの中に手を忍ばせる。
「ちょ……おいっ、そんなとこ…」
「ここ、まだ柔らかいですね。アルコールのせいかな?それとも俺相手だから?」
 息を吹きかけるように言葉を耳元に送り込みながら、ソコを揉みしだく。
「………っ」
 間舌は眉を寄せてきゅっと目を閉じ、暑い息を吐いた。思わぬ色気に、鯉毛はごくりとつばを飲み込む。
あるいはこれも計算なのだろうか。もしかして自分はこの男の術中にはまっているのか?
 いや、この頭は良いが鈍感な男は、自分自身の魅力には一切気づいていない筈だ。
「男のカラダって悲しいですよね。ほら、もうカタくなってきた」
「………っ!」
 思わず相手のペースに巻き込まれそうになるが、間舌は上がり始めた息の下でそれでも冷静を装った。

「いやがらせのつもりなの。僕をどうしたいの?」
「いやがらせなんて…」
 こういう場合、どう答えればいいのだろう。どう言えばこの男に勝てる?
 ちがう、そうじゃないと本当の事を言うべきなのか、それともあえて間舌の言葉に乗るのか。
「僕をめちゃくちゃにしたいんだよね。僕みたいにボーッとしたのが上司で、イライラしてるんだ。
だから僕の……プライドをズタズタにしたいんだ」
「………」
 その分析は、あながち間違ってはいない。
「でも、キミは頭のいい人だからね。普段はそんな事は顔にも出さない。
今、……君は、酔って理性がなくなっているだけだ。そうだろ?」
 ボクサーパンツの布の上から擦り上げられ、間舌の唇からくぐもった声が漏れる。
「今日、キミ……が、様子がおかしくなったのは……雉真さんが、きてから……」
 それ以上言わせまいとするように、下着をおろしてむき出しになったものをキツく扱き上げる。
「……ん、あっ……!やめ……」
「あんな男のどこがいいんだよ」
 え?こいつは何を言ってる?
 鯉毛の言葉の意味が理解出来ず、間舌は相手の顔色を伺うようにきゅっと閉じていた目を開いて鯉毛を見た。
「鯉毛くん……?」
「俺は」
 俺は、あんたが。

引っ張るほどの話でもないんでさっさと張り逃げますです…

 言いかけて、口を噤む。わからない。感情の赴くままぶつかれば良いんだろうか?
いや、それなら敗戦は目に見えている。それよりもこの交渉人を上回り、その感情をもコントロールしなければ、
自分に勝算などない筈だ。
「……初めてじゃないですよね、そのカオ」
「なっ……」
「誰に可愛がられてたんです?」
 一瞬の揺らぎはすぐに立て直された。このままでは平行線だ。むしろ、自由を奪われているぶん間舌の方が分が悪い。
「いいかげんにしろ!」
 まさか怒鳴られると思っていなかった鯉毛が一瞬ひるんだ隙をついて、
間舌はベッドのスプリングを巧みに利用して鯉毛を弾き飛ばした。鯉毛がベッドから転がり落ちる。
「いてえ!」
 ベッドの角で頭を打って呻いている鯉毛に、間舌は側にあったコップの水をぶっかけた。
「……ったく!アタマ冷やせ!」
「つー……乱暴だなあ」
「どっちが」
 交渉としては、これは失敗だ。交渉決裂で強行突破したも同じ事である。間舌は小さくため息をついた。
 だがリベンジする気力が殺がれたのか、鯉毛はベッドに座った間舌の隣にちょこんと腰を下ろした。
「一度腹を割って話したくて」
「……これがァ?」

「間舌さん、雉真さんの事好きですよね」
 急に言われて、間舌は耳まで赤くなるのを感じた。だがさっきの行為のあとだったので変な風に解釈してしまったが、
好きという言葉は様々な意味を有するものだ。ここで激しく否定する方が相手の思うツボだと思い直す。
「まあ、ね」
「僕は嫌いです」
「だろうね。……でも、いい人だよ?あの人」
「そんな事知ってます。でも嫌いなんです」
「まあ仕方ないけどね。ああいう人だから、でも、本当は魅力的な人だよ。良いところも見てあげ……」
「間舌さんはどういうところが好きなんですか?あの人の」
 唐突に聞かれて面食らう。
 ほんとに、どこが好きなんだろう?彼は誠実で、見た目ほど悪い人ではないのは確かだ。だがそれだけでは、
間舌のようなタイプがああいった粗野な男に惹かれる理由にはならない。
 雉真の事を考えた時、ふと、別の気のいい笑顔が重なった。
「似てるんだ……」
「え?」
「あ、いや。所轄に居た時に世話になった先輩がね、雉真さんほど極端じゃないけど、ああいう人だったなあ」
 その人のことが好きだったんですか?
 鯉毛は、その言葉を飲み込んだ。
「…たぶん……僕がああいうタイプの人に惹かれるのって……良くも悪くも自分の思い通りにならないからだと思う」
「思い通りに?」
「鯉毛君。僕はね、……うぬぼれだと言われるかも知れないけど、こう見えて自分の交渉能力に自信持ってるんだ」

「課長がそれくらいじゃなきゃ、こっちが困ります」
「ありがとう。君も交渉課に配属される時に色々勉強したと思うけど……
交渉人ってのはね、ある程度他人の感情をコントロールできる能力が必要とされる。
だから僕は僕と突っ込んで会話をしようとする人にはかえって距離を置いてしまうんだ。
誰かが僕を好きだと言ってくれても、本当にそれはその人自身の気持ちなのかどうかわからないだろ。
僕自身が無意識に、その人に僕の事が好きだと思い込ませてるだけかも知れない」
「そんな」
 だが、そんなのは思い上がりだとは鯉毛は言えなかった。
数々の場面で、間舌が犯人との交渉時のような悪意もなく周囲の人間を抱き込んで行くのを目の当たりにしていたからだ。
「だから、僕は僕にとってわかりにくい人に惹かれるんだよ。
思い通りにならないから、魅力的なんだ。雉真さんも先輩も、はっきり言ってめちゃくちゃ単純な人だけど……
それだけに思惑ってやつがなくて、会話しようとしてもまるで話にならない。
だから自分のペースに持ち込む事が出来ない。でも、そこに惹かれる」
「僕じゃダメってことですか」
「ダメって……そういう話じゃないでしょう」
「そういう話ですよ。わかっててはぐらかしてるんじゃないですか?課長」
 間舌が、ハッと顔を上げて鯉毛を見つめた。
 この男は本当に天然で鈍感なのだろうか、それともこれも自分が間舌にコントロールされてしまっているに過ぎないのか、
今の鯉毛にはわからない。

「やはり僕は、考えすぎるんですね。きっと」
 それでも自分は雉真のようには決してなれないことを鯉毛は知っている。
「何?」
「何でもありません。……今日はもう覚めました、酒も気分も。乱暴してすみませんでした」
 立ち上がって深々と頭を下げる鯉毛に、間舌は困惑した表情で苦笑した。
「いや、いいんだ」
 立ち上がって着衣の乱れを直し、はぎ取られた衣類を着直す間舌を鯉毛は呆然と見上げるしかなかった。
「……じゃあ。明日、本庁で」
 ドアを出て行く前に一瞬振り向いて微笑んだ間舌の意図がやはり見えず、鯉毛は自分の未熟さを痛感する。自覚があるのかないのかは知らないが、やはりあの男は……鯉毛の想い人は、鯉毛より1枚も2枚も上手だった。
 ……だが。

「僕はあくまであなたと戦って勝ちますよ」
 ドアに向かってそっと呟く。
 交渉は、まだ始まったばかりだ。

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