Top/69-443

わからずや

某後輩×先輩…だったけど、モデルからだいぶかけ離れてしまったので投下
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「寒い」

一言そう呟いてはあっと白い息を吐いた彼の頬には、なるほど赤みが差していた。
「さーむい!」
「わーったから」
言われなくたって分かってることを人はなぜ声に出し、しかも繰り返してしまうのか。
「だって寒いんですもん……」
「うんうん、そうだな、はいはい」
「ひどいー……」
こちらを向いた鼻の先も薄紅色に染められている。

「先輩は寒くないんですか」
「さみいよ」
「じゃあそんなおざなりな返事しなくたっていいじゃないですか」
「わざわざ何度も言うことじゃねえっつってんの」
「だって寒い」
「あーもう!」

さっきから口を開けば白い息を吐くか寒いと言うかの二択しかない彼にイライラしてそっぽを向く。
「あー、ほら、すねる」
発言者はむっとしながらオレの顔を覗き込んだ。

「どっちがだっつうの」
オレが目も合わせずにそう言っていると、ますます身を乗り出してこちらの顔を伺おうとしてくる。
「何度も言うのが嫌なんですか?」
「そうだよ、分かりきったことを何回も言うなっつってんの」
「……じゃあ、これも?」

ずっとずっと大好きです、先輩。

まさかそう来るとは思っていなかった。
言葉とともに吐き出された息が、オレと彼のあいだで揺らめきながら消えていく。
「……分かってるくせに」
だけどオレの頬の熱は消えないまま。
「何が?」
「オレが何て答えるか……」
「僕には分かってても聞きたいことがあるんですよ」

むかつくくらい綺麗に笑った彼の口元から立ち上った吐息が夜空へ溶けゆくのを見送って、
オレは望み通りの言葉をくれてやった。
お前が欲しい言葉くらい、こっちだって百も承知だよ。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


このページのURL:

ページ新規作成

新しいページはこちらから投稿できます。

TOP