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ぬくもりをひととき

・遊脳刊、教Tアニ 炉具・洞IZN
・某所の主人公受け祭りに、分かるんだけど、このキャラデザじゃ納得しちゃうんだけど、と七転八倒した結果
・未放映分原作4巻のエピが基なので、ネタバレ禁の人は封印

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 ノックしようとした手をふと止め、ノブからゾーン情報をポップアップさせる。
 表示される内容は〈ギルドマスター執務室 入室者制限なし 特技使用制限なし 戦闘行為制限なし〉
 思わずため息をつき、改めてドアをノックする。
「ギルマス殿、お忙しいところすまないが邪魔してよろしいですか?」

「仕事をしながらでよければ、構わないよ。どうぞ。」
「では、失礼します」
 部屋に入ると、また増えている書類の山から当人が顔を上げた。少し困った、と言いたげながらも、やさしいまなざし。
 こちらが口を開けずにいるのを見てとり、声をかけてくれる。
「また、この間の話?そんなふうに気にすることじゃないと言ったはずだけど。」
「貴方はそう言っても…やはり、僕は腑に落ちない。」
 表情がさらに困り度を増す-それでも笑顔のままではあるのだけど。
「取り合えずこちらの書類を片付けたいんだけど、その後まで待つのかな?」

「なら、待ちます」
 カリカリ、とペンの音が響きだした。所在がなくて、本棚に目を走らせる。様々な系統の術書、歴史書、地図、その他諸々。書類の山と…
 これ全てにこの人は目を通しているんだろうか?中伝級の呪術書を抜き出して眼を走らせてみる。やがて、ペンの音が止まった。
「やれやれ…君も強情だね。」
「納得できないものは納得できないんです。」
「あれは彼女たちが望んだというのと…ある意味、僕の考えていた、魔法の実験でもある。君がそんな風に考える事じゃない。」
「その…実験という言葉は、どういう意味です?」
 一瞬、茫然となり。
「そうか…、そうだね。えーと…」

 宙に視線を彷徨わせて。何か声をかけようか、と思い始めた時、眼鏡を直して少しどこかいたずらっぽい表情。
「そう。この紙を、あちらのゴミ箱に入れたかったら、どうする?」
 机近くのゴミ箱からあふれた紙くずを手にとって、部屋の隅のゴミ箱を示す。
「ゴミ箱に入れに行けばいいんじゃないですか?」
 一枚を拾って持って歩き出そうとすると
「いや、そうじゃなくてね。ここにいるままで、この紙くずをあそこに入れようとしたら?」
「魔法を使うんですか?」
 クスッと小さな笑いが漏れた。
「いいかい、こうしてみると。」

手に持った紙くずを、そちらに放り投げる。ぺらり、と紙くずは床に落ちた。
「これでは入らない。でも、入れようとするなら、どうする?」
 意味が分からない。答えられず固まっていると、別の紙くずを今度はクシャクシャッと丸め。
「こうして投げてみるだろう?」
 今度はきれいな山なりに飛んで―すとんとゴミ箱に落ち込む。
「入ったか。やっぱり運動神経も上がってるなあ…」小さくつぶやいた後、僕の顔を見て
「何かしようとするとき、こんな風にやってみようって考えるだろう?それが実際どんなふうになるか…本番前に試しにやってみるのが、実験って事かな?」
「つまり、あれは貴方の考えを試してみただけ…だから、気にしなくていいって言うんですか?」
「そういう事-だね」
「確かに貴方にはそうかもしれません…でも。やはり、僕には”それだけ”じゃない。」
 すっと身をかがめて膝をつき。
「貴方の力が、今の僕の命の源なのだから。どうか、その力を…」
 一度頭を垂れて、そっとローブの合わせ目に手をかける。
 ぽん、と頭に手がおかれた。
「いいから、立って。」
 立ち上がると、困り切ったという風情の笑顔がすっと寄ってくる。
「あれはそんな類の術じゃないんだけど?でも、それでもって言うんだね。」
 そのまま唇が触れる。思い切り背を伸ばして貪るように受け止めた―瞬間、風が動いた。

 窓から飛び込んでくる黒い影。腰に差していた棒杖をとっさに掴んだ。
「きらめく氷雪!真冬の風と共に-」
 いきなり棒杖が取り上げられた。
「闇に潜みし星霊よ。出でて輝ける鎖となり、我が敵を縛せ。」
 さっきまでとは別人のような―鋭く輝く瞳とわずかに吊り上った口元の、凄絶な肉食獣の笑み。
「どこから来たんです?何を調べに?」
「それをやすやすと答えると?」
「そうですか。」
 戒められた賊の身体が、窓のほうに移動していく。そのままバルコニーをこえ、なにもない空中に。

「きっ…さまあっ」
「答えは?」
「あ…う…ぐっ」
「星霊よ。眠りの神の祝福を運び、かの者を包め。」
 捕らえられた男はゆっくりと空中を降りていき、とさりと地面に落ちた。
 棒杖を放した手が空に伸び、指が空を叩く。
「……ああ、夜遅くごめん。今日の巡視は君達だよね?実は又僕らのギルドハウスにお客さんがあってさ。地面に転がってるから、取り合えず押さえに来てくれないかな。うん。ああ、君の所で話が聞ける範囲で構わないよ。こんなことに答えなかったってのも、立派な情報だから。え?いや、当番でもないのに偉い人を呼んだら、後のお返しが大変だし。あ、ただ働きしてくれってことじゃないからね。じゃ、頼むよ。」
 空を軽く弾いて会話をやめ、こちらに向き。

「今度は火炎呪を使わなかったね。注意してくれてありがとう。」
「・・・・・・又、窓を開けていたんですか。」
「ああ。僕らのギルドは小規模だし、僕も攻撃系の術者じゃないから、何とかなると思う人が多いみたいだね。そろそろ減ってもいいと思うんだけど。」
「な…ぜ…そんな、囮みたいな事を、貴方が!」
「餌、だよ。」まなじりと口元を微かに歪めた、とんでもない悪事を企んでいるような表情をし。
「戦士でも攻撃職でも、攻撃魔術師でもない。組し易い、と思うんだろう。本当は行動阻害・妨害系がかなり使えるから、そこらの相手を無力化して捕らえるのはなんてことないのに。
 …あ、君たちに被害が出ないように気はつけてるから、心配はしなくていいよ。
 邪魔が入ったし、今日はもう戻って休んだほうがいいんじゃないかな?」

 さっきまでの悪人面が欠片もない暖かな微笑み。まったく、この人は!
「…帰りません。」
「え?」
「貴方が-してくれるまで帰りません!」
「なっ…なんて…そんなストレートに言わなくても、、、」
 え…耳まで真っ赤でうろたえまくってる…いつのまにかこちらも真っ赤で、その胸にしがみついて。
「お願いします。」
 見上げると、そのまま口づけが落ちてきた。

 ”吊り橋の上の恋”という言葉があるのだ、と彼女たちが言っていたけれど。そんなものじゃない。とっくにそんなものじゃすまない。
 優しげな笑顔を浮かべるくせに、とんでもない峻烈な行動をして見せて。
 どうしようもなく悪辣な表情をしながら、他人を助けるために力を尽くして
 考え事をしている瞳は、そのまま遥かに飛び立っていってしまいそうで。
 あまりに様々な表情をみせられて、いつか砕けやしないか不安になる。
 力の限りついていく―でも、それだけじゃなくて。ほんの少し、そばにいられるひと時―貴方の熱を、感じていたい。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
 攻めになれる相手はとあがいたらなんつうカプに…
 ところで書いてて気づいたんですが、主人公リアルネームG01denHeartならぬP1atinamWizですな。二つ名との落差ヒデェ


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