SDガンダムフォース「会話と閑話」
更新日: 2013-04-12 (金) 17:32:03
えすでぃーGンダムFースの青いナイトさん×赤いお侍さん
59スレ315~
と
66スレ444~の続きです。
規制のため保管庫に直接投下します。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
プラスチック製のボトルをめきめき軋むほど強く握りしめ、爆熱丸は単なる音でしかない言葉を口にする。
「いや、これは……これって、これ、って…」
拒絶というほどきつい主張ではない。何か喋っていないとこの空気に押し潰されてしまいそうなのと、奇妙な感覚に黙っていられないのだ。ゼロは喋ってくれないし。
ひやりと冷たい、とろみのある液体を絡めた指が撫でて、押して、なぞって、そうされる度に声を引きつらせる。
「うわ、うわ。い、嫌だ、いやだ」
入り込んできた指に思わず口走ると、ゼロは手を止める。幾度となく繰り返されたこの連鎖に、それはそれで生殺しだ、…自分もゼロも…爆熱丸は異物感に耐えながら、しかし結果的に更に自分自身が追い詰められるように誘導する。そうでもしないと一生終わらない。
「あ、あのな、嫌だとか駄目だとか散々言っておいてあれなんだが、その度に一々手を止めなくてもいいんだぞ。じょ、条件反射みたいなもので、ほんとうに、本当に嫌なら殴り飛ばしてでも、とっくに逃げて、る、わけ………から…」
何言ってんだ俺は! 蛇の尾のように、終わるにつれてどんどん小さくなっていって、最終的には元から無い度胸が声と共に消え失せる。
焼け切れそうな羞恥にますます手に力を込めると、みし、と不吉な音がした。
「あ、危なっ」
慌てて緩め、容器にひびが入っていないか指先で確認していると、ゼロがそれを取り上げた。布団の端にそれを放り、代わりに片手を突き出してくる。
「はい、はい!」
「う、え…?」
咄嗟には解らず、差し出された手にぽかんとしていると、
「お、おおお、お手!」
「だっ……だぁーれが犬扱いしてもいいと言ったぁ!!! 俺はそこまでは言っ…」
「お手を! どうぞと! 言っているのだっ!」
怒鳴る時とさほど変わらない音量で叫ばれる。
この前もそれはしていたのだが、どうやって繋いだのか瞬時に思い出せない。初回とは違ってほんの少し、本当に少しだけだが落ち着いてしまっているからこそ、以前は勢いと流れでしていたことも、以降改めてとなると照れて言い出せないことがあるのは確かだった。
「……ど、どうぞ」
「どうも……」
今度は頑張って穏やかな態度を取ろうとして、しかし普段通りに「騎士」
として振る舞えていると評価するには幾分ぎこちないゼロの手に、爆熱丸は控え目に指先を引っかけた。
お互い遠慮しているように見えたのはそこから数秒間だけで、やがておずおずと指を絡めていく。
うわ、きもちわるい。じぶんもこいつもすごくきもちわるい。
ゆっくり手を繋ぎ合わせながら、頭から源泉ばりに湯気をもうもうと立たせ、ふたりは同じように考えていた。
「あーやだ、ほんとに嫌だ…いー………ぬるぬるする、ぬるぬ……だぁ嫌だ、駄目だ!」
相変わらずひっきりなしに呻く爆熱丸に、一々手を止めるなとは言われたものの、心配になってゼロは確認する。
「と…止めなくていい、のだな?」
すると一回こくりと頷いて、次に何回も左右に頭を振って、最後に一回だけまた縦に振る。
……多分、止めなくてもいいと言っているのだと思う。どっちつかずのようにも見えるし、極めて解りにくいけれど。
「う、うー……、ごっ、ぎっ、ぐぇえ…」
「いくらなんでもぐええはあんまりだ。ごっぎっもあんまりだ。…もうちょっとこう、なんか、こう………いろけ? …………いやなんでもない」
「無茶言うな、できるかそんなもん! か、代わってやろうか! そりゃぐえぇくらい出たって仕方な…いぃっ……!?」
深く抉られて、肩を跳ね上げた爆熱丸は途端に体を硬くした。僅かに声が上擦る。
「……ひっ、…か……あ、…」
「で、できるじゃないか、お前なりに」
「…ばーか! ばっか!! ぶわぁーか!!!」
「うわっ! あ、ちょっ、いだ痛いたた!!」
指先に桁外れの力が込められ、爆熱丸の爪先がゼロの手の甲に食い込む。
慌てて、ゼロはぎりぎり締めつけてくる手を振り払った。
「褒めたのに!」
「嬉しいもんか!!」
互いに声を荒げながら、しかし手を伸ばし合って、再びがっちりと繋ぐ。つくづく言ってることとやってることが合わない連中だ。
どのタイミングで次の段階に進めていけばいいのかなんて知らないが、大分苦痛も薄れてきたので、知らないなりにも目処をつけてゼロを誘導してやる(おかしい、本来なら自分が誘導される側であってもいいはずだ)、
「そろそろ、あの、つぎ、次、だいじょうぶだと思…う……」
が、
「…つぎ? 次って?」
よりによって我が翼の騎士は、きょとん、と瞬いた。
「あ、あ、悪趣味……!」
人のことは言えないが、どこか抜けている彼のために具体的に言ってやろうか……、なんてことはミジンコほども思わず、ここまで来て察せないゼロに衝撃と怒りと呆れと、そしてやはり「照れ」も存分に入って、爆熱丸は声を震わせる。
いや、まさか彼が自分に言わせたがっているなどとは思っていないが。
それを受けて、まあるくなっていたゼロの目が一拍置いてから、ぎょっとますます大きくなった。
火がついたように、一気に捲し立てる。
「ちが、ち、違う馬鹿! そんな趣味はない! 断じて!!」
「な、なあんだよかった!」
必死なゼロとは対照的に、あからさまに爆熱丸は安堵の息をつく。
「てっきり、ゼロのバトラスソードをなんとかかんとか…なんて言わなきゃいけないのかと思ってしまったぞ」
いきなりけろっとする爆熱丸にずっこけそうになりながら、しかし正すべきところはちゃんと正す。
「ヴァトラス!!」
「ええっ、やっぱり言わなきゃいけないのか!?」
「言わんでいい馬鹿! バトラスじゃなくてヴァトラスだ!」
「ゼロのバト…」
「ヴァ! ばじゃなくて、う! うにてんてん!」
「うにのてんぷらてんどん?」
「だあーーーっ!!!」
急速に爆熱丸にペースを取り戻され、否、かと言って今まではゼロのペースだったかというとそうでもないのだが、頭を抱える。
「というか、そもそも『ゼロのヴァトラスソード』はごく普通の言葉だからな!
私の授かった伝説の剣が、それじゃまるで……い、いん、いん……」
こほん。
「何かとんでもない言葉みたいに聞こえるじゃないか!」
咳払いを挟んで指摘する。と、
「ああすまん、俺が悪かった! ごめん! お主に恥ずかしい想いをさせてしまったな!」
起き上がり、笑い声こそ上げなかったが、“日常でも良く見る”ぴーかん照りの明るい笑顔で謝られた。
「……! ………!!!」
続いて親しみを込めてばしばし肩を叩かれて、ゼロは絶句する。
日常からは随分とかけ離れたことの真っ最中で、ここまで何時も通りに振る舞われてしまった。いや、それよりも、気を遣われた!
「ば、ば、馬鹿にしてぇえええ……!!」
よりによって自分が、この状況で、爆熱丸に、だ。
本来ならば自分が彼を気遣ってやるべきではないのか。いや、これでも(これでもだ。笑わば笑え!)精一杯気遣っているつもりなのだが、始めっからどちらにも無かったペースをこうもあっという間に奪取されては、理不尽な、
どこにぶつけていいのかさっぱり解らない怒りに駆られてしまう。
結果、それは爆熱丸の肩を引っ掴んで押し倒すという、ここに来てようやくそれらしい行動を突発的にゼロに取らせる火種になった。
間近で彼を見下ろしてそれを漸く実感し、自分自身で唖然としていると、
消火器を差し向けられた炎に意思があるのならきっとこれくらいに急速に大人しく、
しおらしくなるのではと思わせるほどに爆熱丸から景気のいい表情が消え失せた。
と言って真っ青になるわけでもなく、ごにょごにょと歯切れの悪い物言いではあるが、なんと先を促してきた。
「こ、このまま、やっ…いや、つっこ……ええあ、その、い、いれる? なんか勢いついてるし、それがいいよな、うん」
「…その勢いが物凄い勢いで削がれたんだが……」
立場が無いここに極まれりなゼロはしゅーんと項垂れる。
「あ、すまん。いや、でもあんまり勢いあっても困るから…お、俺が、だけど」
「べつに、お前だけじゃない。君が困るのは、…私も嫌だ、し……」
「は、恥ずかしい奴だな!」
「言うなぁあああ! お互い様だろう!!」
照れからくる余計な行動ばかりに時間を取られていたふたりだったが、いよいよ臨戦態勢を取る。
爆熱丸の膝を立たせてやって、ゼロは慎重に、先端をぴたりと触れさせた。だけだったのだが、それだけで爆熱丸の足やら腰やらがびくーーー!!!と跳ねあがった。
「リアクション大きすぎない?」
「いいから!」
思わず素に戻るゼロだったが、爆熱丸は言葉少なにそっぽを向いて固く固く目をつぶるので、またすぐに彼を籠絡するのに取りかかる。
ゼロは爆熱丸の片足を抱え込むようにして、脇のすぐ外に寄せた。挟むようにして腕を使って抱えたそれを押さえる。
空いた方の手を彷徨わせるが、爆熱丸は破れないのがいっそ不思議なくらいに布団をぎちぎちに握っていたので、引き剥がすのも憚れ、ゼロのその手は適当に彼の体を押さえるのに使われた。
ほんの少し腰を浮かすようにして、ゼロは体を前に倒して爆熱丸に割って入ろうとする。
執拗にぬめらせたお陰で初めてにしてはすんなりと……とはいかずに、ぬめったそこはもう少しばかり柔軟でもいいはずなのだが、如何せん爆熱丸本人ががっちがちに体を固めてしまったいるので、押すも引くもままならない。
「ち、ちから抜け! 力抜いて、いっだい! ていうか息!!息!!!」
真っ青になったり真っ赤になったり目をぐるぐる回したり忙しい爆熱丸の鼻先をゼロは指さす。
「ぷはぁああ! むむむむりむりむりむり!! おっ…れの方がぜったい……いぎ、痛い目見てる!!」
あまりの緊張に息を止めてしまっていた爆熱丸は、ゼロに指摘されてからやっと酸素を取り込み、ついで顔を歪めた。
同じく強張った表情で、ゼロは布団を掴む手に手を伸ばし、指で彼の手の甲をなぞる。
すぐさま爆熱丸は布団から手を離し、自分の手を掴もうとするゼロの手を握った。
組み合わさる指の中、ゼロは動かしやすい親指で同じく爆熱丸の親指の付け根を撫ぜる。
何か一声かけるべきかと思ったが、何を言えば良いのか解らない、また何を言っても決まらないのは目に見えている。
ひゅっと息を吸って、ゼロは慎重に体を傾かせた。
「ちょ、ちょっと、まって、とまって、動くな!」
ゼロの手にしがみついてない方の手で、爆熱丸は彼を制した。まずかったかな、とゼロは瞬時に大人しくなる。
「いいから待ってろ、そのまま、動くなよ……」
一時ゼロの手を離し、自由になった両手を爆熱丸はゼロの肩に伸ばす。
震える手でゼロの肩をぎゅうと掴み、浅い息を繰り返す。はくはくと、なんとかして徐々に取り込む酸素の濃度を濃くしようとしている。
目に厚い涙の膜を貼り、額にじわりと脂汗を滲ませて懸命にゼロを飲み込もうとするその様が、なんだか、なんだか……
「…うっく……。う、ん、うん、多分、もうちょっと進めても、たぶん……」
ようやくまともに息ができるようになって、それでも控え目に控え目に、爆熱丸はゼロを見上げる。
瞬いた拍子に、膨れ上がった涙がまぶたの外に押し出された。
血液が煮沸しそうだ。
「あ、こ、こら、阿呆!」
駆られるようにゼロは爆熱丸の腿を掴んで深く差しこむ。急な動きに、爆熱丸はがくんと足をわななかせた。
「もっ…とゆっくり、ま、待て待て……!」
ゼロの肩に添えていた爆熱丸の手が宙を滑る。それを捕まえ、布団に押し付ける要領で、ゼロはぐっと爆熱丸に体重をかける。
がち、と硬質同士がぶつかる音がした。自分達の場合、この鼓膜を打つ固い音こそが体と体がぶつかる音だ。
忙しなく音を立て、追いたてられる。
「に、逃げないから! あ、あわ慌てなくても逃げないって!」
たまらなくなって爆熱丸は頭を仰け反らせた。
彼にしてみれば餌にがっつく子犬をたしなめるニュアンスだったのだが、どういう訳かゼロにとってはそうではなかった。
どころか、何かのスイッチですらあったようで、抜き差しはますます激しくなっていく。
「っぐ…! だから急に…」
遠慮なく奥まで貫き、抜けてしまうぎりぎりまで手前に引き、また体を裂くように押し入るゼロに爆熱丸は大粒の涙をごろごろと零す。
「ひっ……むり、無理だって……!! たのむから、き、聞いてくれ、ぜろ、ゼロ!」
「聞いてる、聞いているからだ、君は、きみは馬鹿か」
動きは止めずに、うわ言のような音量でゼロは返す。
「わたしが欲しい言葉ばかり言って、本当に、本当に」
海面に叩きつけられたかのごとく爆熱丸は混乱する。「どこにも逃げない」と言葉をかけるのは、ゼロが今まで置かれていた境遇を考えればどれほど効果てきめんに彼を虜にするか、平時ならば瞬時に解るものだろう。
が、生憎と今の爆熱丸は平常や日常とはかけ離れたところに放りだされていて、続くゼロの、
「もう、めいっぱい困らせてやる!」
彼が己に強いている行為とは真逆の、子ども染みた語彙からなる言葉を聞くだけで精いっぱいだった。
ペース配分など念頭にない運動に、爆熱丸は熱に浮かされたように喘ぐ。
「あくしゅみだ、やっぱ、ぜろ…は、あく、悪趣味だ……!」
そしてこんな場合でも、ゼロは爆熱丸に、その何倍も言い返そうとするのだ。
「悪かったなぁっ……! ああ、そうだとも、私は、わたしは…」
「よりによって、お前が、お前がいいんだ、あくしゅみも悪趣味、っは……!」
「ああくそ、全然、ぜんぜん美しくない!」
その口癖は己に良く投げかけられるものでありながら、しかし爆熱丸はその最後の言葉は、
今回ばかりはゼロがゼロ自身に向けたものだと正しく理解した。
さて、
「てぃっしゅ! ぜろ、ちりがみちりがみ!」
ゼロが爆熱丸から体を起こすと、彼はゼロの手を掴んだまま、片足で宙を蹴った。
片手だけ自由にしてもらい、ゼロはティッシュ箱に手を伸ばす。
「ちーん」
何枚か抜き取り、鼻先に押し当ててそう促してやる。
ぶびー!と景気良く鼻をかんでから、爆熱丸は叫んだ。
「って違う! そうじゃない、そうじゃ……」
くしゃくしゃ丸めてティッシュをゴミ箱に投げ入れようとして、
しかしちょっと届きそうにない距離だったのでゼロは一旦身を剥がそうとする。が……
「あーばか!! 抜くなこら!!」
「へっ?」
「このまま抜いたら、今抜いたら、っわ……!!」
制止が間に合わず、ゼロが爆熱丸の中から退く。栓が外され、中から、でろー……と何やら濃い液体が溢れて来た。
「こうなるって言おうとしたのに……」
もうやだ、と言わんばかりに爆熱丸は起こしかけていた体を再び布団に倒し、腕で目を覆う。
ぎょっとして、ゼロはさっきまで滅茶苦茶して、今は残骸の伝うそこをまじまじと見つめようとして…ぶんぶんと頭を打ち振るう。
「ふ、拭くけど……」
「…………」
ティッシュをまとめて手に取り、おずおずと申し出るゼロに爆熱丸は返さない。
顔を覆っているのでゼロの姿は見えないが、この声を聞く限り反省はしているようで、少なくとも調子くれてるわけではない。
「さぞ気分が良いことだろう。はん、お主の望み通り、俺は今、めいっぱい困っている……」
「ふ、ふん、ああ、いい気分だとも。………ごめんなさい」
しょぼくれたやりとりとゼロの謝罪で、一先ず爆熱丸の剣呑な雰囲気は解かれた。
ごめんなさいついでに、後始末もままならなくてごめんなさい。
と、ティッシュを押し当てたまではいいものの、そこから先、爆熱丸がずっと、
くすぐったいのかもっと別の何かなのか、とにかく肩や背中を震わせて声を押し殺す姿に彼は心中で謝った。
豪快にそのまま布団に潜って寝ようとする爆熱丸に、ゼロは美しくないを連発し(「不潔だろう!」
「誰のせいだだーれーの!」というお約束のやりとりを踏んで)なんとか宥めすかして風呂場に連れて行った。
シャワーを警戒する大きな小動物(ゼロにとっては矛盾でもなんでもないのだこれが)をなんとか洗ってやって、ちゃんと体も拭かせて、布団に潜り込んだのをしっかりと見届けてから部屋を後にした。
片方は布団の中で、もう片方は自室に向かいながら、一緒に寝ても良かったのかなあ、なんてぼんやり考えるが、今日は随分と疲れたし、それは次の機会に取っておいてもいいかなとも思う。
そして「次って!」と自爆するのだった。
基地内の食堂、空になったいくつかの食器をトレーに乗せて、キャプテンは食器を下げるために設けられた一角へ向かう。
その途中、それぞれ別々の入り口から入ってきたゼロと爆熱丸が鉢合わせするのを間近で見つけたキャプテンは、勉強熱心が故に、その後の彼等の奇怪な動きを「日常の一コマ」として逐一追った。
まず、お互いの顔を視界に捕らえた瞬間、ぐるっと爪先を反転させ、さっき入ってきたばかりの扉にむかってずかずかずかずかと進み。
しかし他に食事のあてもないので立ち止り、また反転。つかつかつかつか。
とうとう相手の真ん前まで来たところで、しかし目線は合わせずに、お互い自分の爪先に熱心な目線を注ぎながら、ぼそぼそと、
「お、は、よう、ございます……」
「おは、おはようございます…」
「きょ……きのう、昨日は良く眠れたか」
「お、おう、おかかさまで」
それを言うならお陰さまだ。キャプテンは後で爆熱丸の言い間違いを指摘してあげようと頭の片隅にメモ書きしておく。
確かに今朝の朝食はおかかのおにぎりがメニューにあったけれど。
「そう、うん、なら良かった」
ゼロも特に突っ込まない。彼には彼で、仲間の言い間違いに気付かなかったことを教えてやらねば。
と、ここでキャプテンの思考は、勉強になると思って観察を始めた「日常の一コマ」がただの漫才だったと判明したのに加え、すぐ近くに現れたのが己の司令官であるハロ長官だったため、瞬時にそちらへと切り替わった。
「おはようございます、ハロ長官」
「やあ、おはようキャプテン。……カオ・リン教授は君に新しい機能をプレゼントしたのかい?
口から、食事でエネルギー補給できるような?」
しゃきしゃきとしたキャプテンの挨拶は、未だ眠気の抜けきらない朝の時間には良い目覚ましになったようだ。
ハロ長官は両手にトレーを持つキャプテンの姿をまじまじと見つめ、興味深そうに尋ねる。
「いいえ。ベルウッド教授のラボに運んだ朝食を回収してきました」
「ああ、一度没頭すると彼はなかなか出て来ないからね……。誰に頼まれたんだい? ジュリくん? アリシアかな?」
「私の独断です」
「へえ、そうか! そうなのか、うん、君も随分ひとらしく……」
なでなで。珍しくあからさまに、そういった扱いを受けたことがほとんどない彼から見ても解り易く「子ども扱い」を受けて、
キャプテンは驚きにひゅうっと眼を窄めた。
誰かが何かにつまづく音、に続いて食堂の小洒落たテーブルが、乗っていたお盆と食器とその中身ごと引っくり返るけたたましい音、慌てた誰かがひよよよよよと空を移動する音が聞こえたが、キャプテンの優秀な聴覚機能はそれらを捕らえたものの、撫でられた手の平の感覚を反芻するのに忙しく、彼自身の意識には上らなかった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
読んで下さった方、どうもありがとうございます。
- 元ネタわからないけど、むちゃくちゃ萌えました~♡ -- 2013-03-06 (水) 00:17:41
- 待ってました···!一番初めの話が投下されたときから続きを -- 2013-04-12 (金) 17:32:01
このページのURL: