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隣人のせいで俺は今日も眠れない

>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

俺の部屋は奥から2番目の207号室。彼の部屋は208号室でお隣さんだ。この迷惑な隣人のせいで最近俺は眠れない日々が続く。
というのも……
「んぅ……っ、うっ、アッ……あぁ!」
「……また始まった」
隣の部屋に住む彼の声が毎日毎日聞こえてくるからだ。
喘ぎ声が聞こえるのは決まって夜の9時付近だ。
事を始めるのが9時くらいなのか、声を抑えられないくらい興奮してくるのが9時くらいなのかは知らないけど正直うるさい。
「ひっ……あぁっ、そこはっ!」
喋っている内容は基本相手がいるような感じだが、彼は一人暮らし……彼の声以外聞こえないし多分自慰だと思う。
最初は彼だということがわからず幽霊か何かと思い、2ちゃんねるにスレたてしたものの5レスもつかない内に落ちた。畜生。
「毎日毎日本当に飽きねーな……」
性欲を持て余すのはわかる。俺も彼くらいの年齢の時は猿みたいにヤることしか考えてなかったからわかる。
けど毎日聞こえるような音量でやられると近所迷惑だ。しかも音楽とかと違い指摘しづらい。
多感な年頃の彼に「毎晩マスかいてんじゃねーよ!! うるせーんだよ!」なんて言ったらトラウマになりかねないし、ヘタしたらセクハラで訴えられる。
「あ、あ、あ、クソッ……イィ!」
いい加減うんざりしてるんで本気でやめてほしい。

もし隣に住む人が夜うるさい日が1ヶ月近く続いたら皆さんはどう思うだろう……。
「ああ、あっ、ああん!」
色々我慢の限界だった。ちょっとは家でするのを控えたりしてくれ。飽きろ。
そんなんことを考えながら俺はパジャマのまま隣の家に向かいチャイムをならした。
もしかしたら無視されるかもな、なんて思いつつ扉が開くのを待っているとガチャッと音をたてて開いた。
「はぁはぁ……んだよこんな時間に」
こんな時間にってお前が言うなって思ったけど正論だ。今の時間はよそ様のお家に訪問するには遅すぎる時間帯だ。
「こんな時間に来た俺が言うのもなんだけど無用心だね」
俺だったからよかったものの犯罪者だったらどうするんだろうこの子。
何か言おうとした口を開きかけた彼に被せて俺は言った。
「年頃なのはわかるけどもうちょっと声抑えてくれない? 毎晩うるさいんだけど」
これを聞いた彼は最初不思議そうな顔をした後一瞬で顔を赤くした。あ、耳まで赤い。
「あ、いや、その、はい。その……すみませんでした」
顔を俯かせて消え入りそうな声で謝られると、自分が悪いことをしているようでいたたまれない。早く部屋に戻りたい。
「すんなとは言わないからさ」
ここまで言ったら彼も自慰の仕方を工夫するだろう。俺が彼くらいの年頃だったら絶対する。
プルプル震えている彼をこれ以上責めるのも可哀想なので、踵を返して自分の部屋に戻る。今日はこれで眠れそうだ。

と、まぁこれが彼と俺の初めての会話だった。
それからというもの彼の部屋から喘ぎ声が聞こえなくなり、俺は安眠を貪る毎日を過ごしていた。
それが今日に限ってはそうもいかないようだ。
今、落ち着きない様子で俺の目の前にいるのは夜の騒音をやめた隣人だ。
意を決したように顔を上げて何かを言おうとしては、躊躇う素振りを見せる。はっきり言うと鬱陶しい。
「えーっと、何か用?」
あと一歩で俺の部屋にたどり着く距離で俺は彼に足止めをくらっていた。人通りの少ない廊下は俺を寂しい気持ちにするだけでなく寒い。用があるなら早くしてくれ。
「その……」
この後に及んで黙りこくる彼に、この前文句を言いに行ったこと関係だろうとあたりをつけて言った。
「……この間のことは悪かったな。ちょっと配慮がたんなかったわ」
謝るから家に帰らせろ。という気持ちを込めて誤ると彼は焦ったように手を顔の前に持ってきて左右に振った。
「えっ、あ、こちらこそすみませんでした!! いや、そうじゃなくてですね……」
「そうじゃなくて?」
「あー……、いや、その……俺あの日からオナニー全くしてなくて……」
やっぱり配慮が足りなかったか……そりゃそうだよな。近所の人にオナニーしていることがバレたうえに直接苦言を受けたんだ。やめてしまってもおかしくない。
従姉妹からもデリカシーゼロだとか絶対結婚したくない男だとか言われる俺だ。もうすこし相手を思いやるべきだったかもしれない。
そんな風に反省していると目の前の彼が爆弾発言を投下してきた。
「だから、俺とシてください!!」
「うん?」
だからの意味がわからないとか、この子ホモだったの? とか色々頭がグルグルしているしている中、俺は疑問形で返事をした。
「ありがとうございます!!」
が、この返事は彼には肯定にとれたようで、俺の腕をとり彼の住む208号室にグイグイとひっぱってきた。

「どうしよう……」
あの話の流れから考えると、彼の中では俺と彼はセックスすることになっているだろう。
頭の中がパニック状態だった俺は腕を掴む手を振り落とすことも、あれはそういう意味で言ったんじゃないとも言えずに部屋に連れ込まれていた。
「どうかしました?」
「え~っと君何歳かな?」
俺は犯罪者になりたくない。例え誤解による合意に基づいたセックスでも、彼から誘ってきたセックスでも年齢的に確実に犯罪だ。
「ああ、俺、20です」
確実に嘘だ。目は泳いでいるし、学生が使ってそうなカバンも部屋に置いてある。
ベッドの近くには使い古したタオルと野球帽が置いてあり、野球部に所属していることが伺われた。
部屋の周囲を見回して現実逃避をしている場合じゃない。早く誤解を解かないと犯罪者になってしまう。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・)サイカーイ!

「俺、犯罪者になる気ないから」
「でもさっき、シてくれるって……」
「あれはシてくれっていう意味がすぐに理解できずに、意味を言うように促してたんだよ」
本当はある程度理解していたけど、違う意味であって欲しかったから言ったんだけど、別に言わなくても構わないだろう。
「……あんたが俺にすんなって言ったんじゃないか。溜まった責任とってくれよ」
とうとう彼は開き直った。反省していた俺がバカだった。
「すんなとは言わないって言っただろ。うるさくしないんだったらどんだけシてもいいよ」
「隣の部屋の人に注意されたのにやれるかよ……」
「たしかにそうっちゃそうだけどさー。俺にお誘いをかけるよりひっそりする方が絶対いいからね」
そう言って、彼に注意しに言った日のように踵を返して帰ろうとしたが、服を掴まれる。

Q なんで俺は目の前の青年とキスしているのでしょうか?
A 約束を守れと青年に迫られたからです。

「ん、むぅ……あっ」
俺は独身だったし、バイだったし、付き合っている人もいなかったし、丁度溜まっていたこともあって流された。
相手は手を出しても大丈夫な年齢だったし売り買いの関係でもない。
「あぁっ、あっ、あっ……はっはっ、うぅっ!」
それなのに事が終わった後は虚しさと罪悪感が一気に押し寄せてきた。
「……今更なのはわかっているけど、俺と寝て本当によかったの?」
「は? 嫌な相手なら誘わないっての」
情事の余韻なんてひとかけらも残さず彼は言った。
「本当はあの日すぐにヤりたかったのに4年も待ったんだぜ?」
その発言酷くない? なんて彼は真剣な目でジッと見つめてきた。
手を出せないから何年も待った~みたいなことを言うのは普通年上のほうじゃないか? この関係はおかしい。
「それにっ、と」
彼は体を起き上がらせ、俺の付けたキスマークだらけの肢体を惜しげもなく晒した。
「夜はまだまだ長いしね。待たされた分楽しませて貰わないと」
その言葉に年甲斐もなく興奮し、それでも流されているんですよといった様子を崩さずに俺は呟いた。
「……お手柔らかに」
なんだかんだ言っても俺も嫌じゃない。素直じゃないと笑う彼にキスをしてベッドに移動した。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


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