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酒は飲んでも飲まれるな

・文才ゼロ
・山なし意味なし落ちなし
・5レス+5レスに分けて投下します
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

なれ親しんだバーで、いつものごとく失恋した男の愚痴を聞いていた時のことだった。
彼が失恋したときには必ずといっていいほど飲みに誘われる。そのため「飲みにいこう」と言われてすぐに出てくる方程式が=失恋だ。
そして酒を飲みまくる。強くも無いくせに呷るように飲む。すさまじい飲みっぷりだ。
顔が真っ赤になって呂律が回らなくなってきたらマスターに目配せをしてグラスに注ぐのは水だけになる。
隣の酔っ払いが文句を言うことは無い。
最初は味わうために飲んでいるわけじゃないからだと思っていたけど、最近になってただ単に気がついていないだけだということに気がついた。
今日の飲むペースだと、グラスの中身が水に変わるのも時間の問題だ。
苦笑いするマスターを横目に私は重々しくため息をついた。
マスターには本当に申し訳なく思っている。
店に入ったとたんに、見ているこっちがかわいそうに思うくらいに緊張が走るからだ。

毎月のように繰り返される2人失恋反省会(もちろん失恋するのは毎回彼だ)で、あほみたいに同じ話を聞かされるわ。
好きなだけ飲んで、好きなだけ愚痴って、好きなように吐いたり寝転がったり歌ったりする迷惑な奴だ。マスターの顔の引きつりにもうなづける。
泣きべそをかく彼にハンカチを握らせながら涙を拭く、自分で涙をぬぐおうとすらしない彼を見てよく入店禁止にされないもんだと常々疑問に思う。
その辺の居酒屋ならまだしも、若干客の少ないが小奇麗なバーなのに。
しかもただでさえ客が少ないのに、彼がここで酔っ払うせいでより客が来なくなったという噂を聞く。
親切で困った人や落ち込んだ人を放っておけないという苦労人だ。
泣いている人がいたらついつい声をかけてしまうらしい。この間小学生に声を掛けて近所の人に通報されかけてたのを庇った記憶がよみがえる。
良い人なのにあまり報われないことに定評のあるマスターを見て、されて当然の出入り禁止処置をしないというあまりの菩薩っぷりに涙が出そうになる。
マスターの最近薄くなった頭皮のためにも、反省会の開催をせめて数ヶ月に一回のペースに減らしたいと思う。
「でさぁ~、俺はこう言ってやったんだよ! お前みたいな奴こっちから願い下げだってね!!」
本日16回目の言葉に適当に相槌を打ちながら、そのためにはどうしたらいいのかを考えた。

最悪なことにその日は私も飲んでいた。
まっとうな頭なら絶対に思いつきもしないことを思いついた。
その内容は『じゃあ私がこいつとそういう関係になればいいんじゃね?』といった内容を更に過激にしたものだ。
何をトチ狂ったかこんな馬鹿なことを思いついた自分を天才だと思うくらい、その時は冷静な判断が出来なかった。
会計を済ませた後、普段切り上げるより早く店を出るように彼に促した。そのとき自分が思った”天才的な発想”を現実のものにするためにだ。
そして、千鳥足で歩く彼の腕を肩に回して自宅へ戻った訳だ。
家に入って真っ先にしたことは玄関の鍵を閉めることだった。そしてその次に「ユキぃ……なあ、ゆきぃ」と唸っている荷物をベッドに運んだ。
それで終われば全てにおいて正しい対応だったといえる。酔って無事に家まで帰れるかわからない彼を家に泊めただけだったのならば。
しかし私は正気じゃなかった。したがって酔っ払いへの対応も最悪なものだった。
いまだにうんうん唸っている彼のネクタイを解き、両手をベッドの柱に括りつけ、服のボタンをはずし羽織っただけの状態にした。

この時点で駄目だ。今思い返しても自分の行動に問題がありすぎる。完全な犯罪だ。
もしそのときに戻れるのならすぐに自分を羽交い絞めにして簀巻きにするくらい後悔している。
だけど実際にはその場には2人しか存在しなかった。そして私の蛮行もとまらなかった。
彼の耳に舌を這わせながら首筋を撫でる。
それとともに落ち着きなさそうに身じろぐ彼の体を抑えるように、脚の間に私の膝を割り込ませた。
彼の酔いが覚めたのは、おそらく首筋を擦っていた手が胸に移動した時だ。
それまで何もせず横になっていた彼が私の指が乳首に触れたとたんに僅かに声を漏らし、ジタバタと抵抗し始めた。
「ちょっ、おま……っ!!」
縛ってさえいなければいともたやすく逃げることが出来ただろうに、かわいそうに足をバタつかせながらどうにか逃れようとする。

私はバイだ。男とも女とも床をともにした事がある。
でもそれは完全に同意のうえでの行為であったし、(特に相手が男の場合は)世間にばれないように慎重に振舞った。
だからこそ今まで家族はもちろん友人にも単なる顔見知り程度の人にもばれなかった。
「おいっ! 俺だ! 誰と勘違いしてるのか知らないけど俺だ!!」
自称親友の彼にだってばれていなかっただろうこの瞬間までは。
私が両手を止めて離したことに一息ついた彼が天国から地獄に落とされるのはすぐだった。
わめく唇がかさかさなことに気がついた俺は彼の頭を両手で押さえてキスしたときに痛くならないように唇をなめた。

「ひっ……んっ、ちょっ、人の唇舐めんなよ気持ち悪い!!」
「唇じゃなかったらいいか?」
頬と頬が擦れ合うくらいの距離で囁きながら、わき腹をさする。
「はぁっ? ちょ、ふざけんのもいい加減に……っ!!」
わき腹から太ももの外側に、外側から内側に手を移動させて愛撫していく。
「聞け! いい加減やめろ!!」
聞こえてくる静止を聞き流して首に唇を這わせる。
舌が首筋から鎖骨へ移動するとともにジーパン越しに硬くなった場所を握りこんだ。
「おいおいおい待てよ、そこまでだ。ストップストップ」
今まで聞いたことのないほど焦った声を聞きながらいつになく興奮した。

彼にキスをしたのは黙らせる目的と私の興奮を伝えたかったからだ。
最初は押し付けるように、時間とともに何度もリップ音を鳴らすように軽く吸い、キスをしながら唇を舌で舐めた。
再度唇を舐めた時ビクリと肩が揺れたものの何故かそれほど抵抗してこなかった為相手の口内に浅くに舌を出したり入れたりする。
「んぁっ…おい…むゅっ、冗談キツ……」
「レロッ、ちゅっ、ん、うっさい……はぁ、んー……むー」
彼の抗議を無視して少しずつ舌を深く入れていく。
上にのしかかり左腕を背中にまわしながら舌と舌を絡ませ、右手で掴んでたものを上下に擦りあげると連動するように安物のパイプベッドがギシギシと悲鳴を上げた。
「んむー! んー!」
一時期止んだ抵抗がこの状況になって一番激しくなった。背中に回した腕を頭にまわし更に深く口付けていく。

「ん…ふ…んぅ、ん?」
手の中でより膨らんだものから手を放すとあがった怪訝そうな声を耳にしながら、彼のジーパンのファスナーをおろした。
「もがっ! むぐ……」
「んっ、ちょっと待ってて」
障害が除かれ、押さえつけるものがなくなったため、外気にさらされたソレを直接手で扱く。
「あっ、あっ、ああっ!!」
どうせ夜は長い。1度抜いてからでも十分楽しめる。私の口端があがるのがわかった。

そうして一夜の過ちというか火遊びが終わった後、正気に戻った私はまず発狂した。どっからどーみても完全なる計画的犯行である。
相手の自由を奪った後その体で好き放題するとかどこの官能小説だ。
そういうプレイならまだしも正真正銘の強姦だ。俺の人生は完全に終わったかもしれない。
酒で人生が詰むのか俺は……警察に行かれてもしょうがないという諦めと、どーしてこうなったなんて後悔とが入り混じりになった心境でネクタイに手を伸ばす。
手首とベッドを縛っていたネクタイをはずした時、相手の顔を見た。そのときの表情を見て目の前が真っ暗になった。
私は現実から眼を逸らして、自由に空を飛びたいくらい後悔した。本当にどうしてこうなったんだろうと。
彼とは一線を越える予定はなく最後の最後まで友人として付き合うつもりだったのに。
酒が悪いんだ。飲みに誘った彼が悪いんだ。酔っ払った俺が悪いんだ。だから俺自身は悪くない。そうであってほしい。
自分の知らなかった一面を垣間見た俺は金輪際酒を飲まないと決心した。むしろ酒が飲めない身になってやろう。
よし、紐無しバンジーをしようかなと脳内で考え窓のふちに手を置いたときに彼の声が聞こえた。

「とうとうお前ととやっちゃったのか」
思いっきり肩が揺れた。そして油のさしてない機械のように顔をギギギと振り向いた。
その時私は”とうとう”と言う言葉を疑問に思うことも出来なかった。
「むかつく。本当にむかつく」
「あ、わ、悪か……」
俺は思う。人生なんてクソだ。現実なんてゴミだ。
それでも彼を襲ったことについて申し開きなど存在しない。
「あークソッ、1週間後、俺が由紀を襲う予定だったのに……」
……今の爆弾発言を聞かなかったふりをして、私はどうしたら何もなかった日常に戻ることが出来るか悩んだ。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


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