秘密
更新日: 2012-09-13 (木) 19:35:25
モブサイコ100 弟子と師匠
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )テルサン ドウナッテシマウノンー
最近、毎日が充実している。
学校は楽しいし、部活の先輩たちも優しい。
バイトはたまに師匠が突然呼びつけたりするけれど、たいした問題もなく、
おやつを買ってくれたり、悩みを聞いてくれたり自給の安さにも納得いくぐらいのゆるさだ。
なのに、時々薄い氷の上にいるような緊張感を持つことがある。
きっと以前から薄々気付いていたことが、最近になって確信を持ってしまったからだ。
……師匠は、なんの超能力ももっていない、普通の人だ。
僕にとってはそんなことたいした問題じゃないんだけど…
能力なんか無くったって師匠はいつも僕を導いてくれている。迷ったときは
「最後に決めるのはお前自身だぞ」って言いながら問題を整理してメリットとデメリットを
示してくれる。
「究極に空気が読めない」僕にとって、その現状把握能力は超能力なんかよりも
ずっと必要なものなんじゃないかと思う。
だけど、多分師匠にとっては違う。こんな詐欺まがいの商売をしているわりに
妙に誠実なところのある人だから、僕が気付いていることを知ったらフラッと
出て行ってもう帰って来ない気がする。
いつか、誰かに訴えられて捕まっても僕を共犯者にしない為に。
まずいなぁ。
どうもアイツ、俺が無能力者だって気付いてる気がする。
どうしたもんかな。
最初の予定では、バレたらとっととズラかるつもりだったんだが、あいつなんも
言ってこないからなぁ…
ヘマするつもりもないが、まだ中学生のあいつの将来を思うとやばいことになる前に
居なくなったほうがいいとは思う。
思う、ん、だが…。あいつの生きにくそうな不器用な性格を見ていると、
もうしばらくはそばに居てなにかあったときの相談相手ぐらいにはなってやりたいとも
思ってしまう。
いや、違うな…
あいつがどうこうというより、俺があいつを手放したくないんだ。
実際あんな無邪気に自分を慕ってくれる相手なんて、そうそういないだろう。
あの無表情な朴念仁が偶に俺と目があったときに「師匠」なんて言いながら、
顔をほころばせるのを見るとなんというか……なんなんだろうな、この感情。
父性本能ってやつだろうか。
んー。ま、しょうがない。今まで以上に慎重に、バレないようにやっていくか。
客に対してもだけど、あいつに対してもバレてる事を気付いてることに気付かれないように。
そうしときゃ、万が一訴えられることがあっても、あいつも騙されてた被害者で通るだろ。
…多分。
…でも師匠が訴えられる可能性は実際のところ限りなく薄いと思う。
だって常連のお客さんたちは皆、師匠のこと「変な人だけど腕のいい整体士」だと思ってるし、
本当にヤバいのが来たら僕が払うから、そもそも詐欺になっていない。
僕の師匠はいろいろ有能なのに、そういうところが抜けていてとてもかわいい。
言ったらきっと怒るから言わないけど。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )エクボサマ ドウナッテシモタンー
このページのURL: