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続・祭りのあと

半生注意。洋画「阿部ンヅャーズ」雷神様と緑の博士中心にメイン4人。

103の続きです。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

大きな戦いを終えて空母に戻った僕は、大破したラボの真ん中で立ち尽くしていた。
現代の技術の粋を集めたヘリキャリアが墜落の危機に瀕した原因の半分くらいは僕にあるし、
そのせいで被害にあった人達もたくさんいる。一応僕達が世界を救ったことになって皆ある程度は
帳消しにしてくれているみたいだけど、やっぱり申し訳ないという気持ちは消えなかった。
「酷いなこれは…」
「あぁ、派手にやったな花゙ー」
突然背後から聞こえた声に振り向くと、いつ来たのかンーが入り口付近に立っていた。騒動の最中と比べると幾分和やかな表情をしている。
「お前のような人間は見た事がない。変身できるとは」
「君か…その、悪いことをしたね。もう一人の僕が随分乱暴な真似をしてしまって」
「気にするな。オレも案外楽しめた。普通の人間に全力は出せないからな」
その時のことを思い返しているのか、本当に楽しそうだ。僕との思い出を語ってこういう顔をする人間はあまりいない。
北欧の雷神というだけあって、人間とは色々と感覚が違うらしい。
「君達は本当に異次元の存在なんだな。僕に殴られてピンピンしてるのは君で二人目だよ。口キは三人目」
「一人目は誰だ?あの鉄の男か?」
「いや違うよ。彼じゃない。言うなれば…そうなっていたかもしれない、もう一つの僕の姿ってとこかな」
「ほう…お前以外にもお前のような存在がいるのか」
地球は知れば知るほど興味が沸いてくるな、とンーは感心して頷いた。こっちからすれば、君の方がよっぽど興味深いんだけどね。
見た目は人間と同じなのに恐ろしく頑丈な肉体を持っている。『魔法』としか呼べないような力を使うし、
不思議なハンマーで空まで飛んだり。こんな身体の僕が言うのもなんだけど、にわかには信じられない存在だ。

だけど彼がここにいると、僕だけがこの地球で異質な存在なんじゃないと思わせてくれて少しだけ安心できる。
今までに感じたことがない不思議な感覚だった。
「まぁ、実を言うと僕も――」
今回思いっきり暴れられて少し気持ちよかったんだ、と彼に言おうとした。
「失礼」
「えっ」
しかしンーは僕と向かい合ったかと思うと、突然シャツの胸元をガバッと広げてきた。
「!!?」
「お前の身体はどうなっているんだ?何か魔術でもかけられているのか?」
ンーは僕の身体をペタペタと触りながら尋ねてくる。驚きすぎて心拍数が上がってきそうだ。
「なっ、何をいきなり…っ!?」
「魔術なら身体のどこかにそれを示す紋章があると思うが…」
「そんなものは無い!僕がこうなったのはガンマ線の影響で――」
「ガンマ線とは何だ?肌が緑になるのと関係があるのか?」
僕の身体の向きを変え、シャツを捲り上げながら隅々まで調べようとするンーにただただ慌てふためくしかない。
このままだとスラックスまで下ろされかねないので必死に神に訴えかける。
「どう関係してるかはわからないけど!頼むから止めてくれないか」
「何か不都合でも?」
純粋にわからないらしく真顔で尋ねてくる。いくら文明が異なるからって、
彼の世界でだっていきなり他人の服をひん剥いたりはしないだろう普通…
「ある!僕は怒らなくても心拍数が上がると変身してしまうんだ!だから――」
「心配するな。オレが受け止めてやる」
事も無げに彼がそう言い切ったので、別の意味でまた驚いた。
受け止めるだって?あの時散々僕にぶっ飛ばされたのを覚えていないのか?
だけど、もう一人の僕と対等に渡り合えたのもまた事実ではある。彼の言う通り、僕を力で抑えられるのはンーしかいないだろう。
だが何よりも僕に対して敵対心や恐れ、怯えといった感情を見せず真っ直ぐに接してくる
ンーの存在はどこかで嬉しくもあった。だからってこの状況を看過することはできないけど。
「それはありがたいよ。でも僕は魔術になんてかかってないから、とにかく服を元に戻して――」

「だから言っただろ?『一度試してみたくて』って。ボクだって知らなかったんだよ…あんなに微妙な味だとは」
「それにしたって、何も戦闘直後に行かなくてもよかったんじゃないか?皆疲れてるのに……ん?」
その時、たまたまラボの前を通りかかった卜二ーとス〒ィ一ブが僕とンーの一悶着に目を止めた。真剣な表情のンーと、
何故か彼に服を脱がされかけている僕を見て卜二ーは何やらショックを受けたような顔をしていた。
「……おいMr.ツェイク●ピア、一体何をやってるんだ」
「あぁ良かった、卜二ー、ス〒ィ一ブ。彼を止めてくれないか」
「…博士、すまないがぼくにはいまいち状況が…」
「大したことではない。彼の身体を調べているだけだ」
「だから紋章なんてないって…」
眉間に皺を寄せて難しい表情になってしまったス〒ィ一ブを他所に、ンーを説得できない僕は
ほとほと困り果てていた。そこでようやく卜二ーが口を開く。
「調べるだって?それはボクがやろうと思ってたのに!」
「へ?」
まさかの発言に変な声が出た。
「ス夕一ク・夕ワーで一緒に研究をしながら、ストレスレスな環境でじっくりと
彼の身体の調査をする予定なのに…何でキミに先を越されなきゃならないんだ」
「え、あの……卜二ー、僕はそんなこと聞いてないぞ?」
「これから言うつもりだったんだ。とにかく、花゙ー博士を放せ神様。キミが気になることも調べておいてやるから」
「む…そうか。すまなかったな花゙ー」
根は素直らしい雷神は卜二ーの提案に応じて大人しく手を引っ込めてくれた。
僕は恥ずかしいやらほっとしたやらで少し顔を赤くしながらシャツのボタンを留めていく。

そんな僕を気遣うような視線をス〒ィ一ブが向けてくれていたが、横からぬっと出てきた身体に遮られた。
「ん?」
「お前も特殊な身体だと聞いたがどうなっているんだ?お前もガンマ線とやらか?」
「いや、ぼくは……おい、止せ!何を…!?」
ス〒ィ一ブの声から察するに、今度は彼をひん剥こうとしているらしい。とりあえず僕は大きく深呼吸をして心拍数を落ち着かせることに専念した。
「何だ何だ?神様は男に興味がお有りなのかな。ボクも脱がされなきゃいけない?」
「いや、お前の強さはあの鎧によるものだとわかっているからな。必要ないぞ」
「……それはそれで何だか複雑な気分だ」
「っ、ス夕一ク!冗談言ってないで彼を止めてくれ!」
「んー…キミ達古風な者同士案外気が合いそうだし、付き合ってあげたら?キャプテン」
「心配するな。取って食ったりはせん」
「…そういう問題じゃないだろう……!あ、おい!シャツを引っ張るな!」
三人のやり取りを見ていると、まるで大きな犬にじゃれつかれた飼い主とそれを見ている知り合い、という構図が浮かんできて
何だかおかしくなってくる。気が付くと随分久し振りに楽しくて笑っている自分がいた。
彼らはこんな僕でも必要としてくれる。それは素直に嬉しいことだ。僕だって人助けをしたい。
彼らと一緒なら羽目を外して巨大化するのも悪くないかもしれない…なんてことを考えながら、
なかなか終わりそうにない三人の愉快な言い争いをしばらく眺めていた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


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