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元分析官の災難

保守がてら投下します。
半生注意。洋画「三ッツョン淫ポッツブル:幽霊プ口卜コル」部ラン卜受け。
海外映画スレ555さんが元ネタです。それ以外にもちょこちょこ書き込みを参考にさせてもらってます。
ちょっと長くなりそうなので分けて投下。今回投下分にはエロありません。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「今度は僕が金持ちの男を誘惑する」――確かに僕はそう言った。それは認める。
だけどそれっていわゆる言葉のアヤってやつで、散々な目に遭ったからつい口から出たっていうか…
とにかく、本当にその気があったわけじゃない。第一そんな状況になることなんてないと思ってたし。
だから今僕が置かれている状況もきっと何かの間違いで、
「さぁ、これから長く楽しい夜を過ごそう……君と私の二人だけで」
目の前にいる大富豪の男に抱き寄せられてベッドに横たえられそうになってるなんてあり得ない。
「う…っは、ぁ……」
変な薬を盛られて抵抗もできないまま身体が蕩けそうになってるなんて、絶対嘘に決まってる!
(誰か助けて…!!)

ことの発端は一時間前に遡る。今回のミッションはIT関連事業で大成功を収めたとある実業家のPCから顧客データを抜き取ること。
彼は裏の世界にもかなり通じていて、取引相手の中には過激な連中を援助している者もいる。
彼らの足取りを掴み身柄を押さえるための重要な任務だ。
今日はその実業家が手に入れた数十億ドルの大豪邸で盛大なパーティーが行われる。
実業家はサイバー関係のスペシャリストで、会社のセキュリティーは万全で隙がない。
ベンヅ一ほどのプロでもそこのサーバーへ侵入するのは難しいそうだ。だが彼は最近購入したこの豪邸に自宅を移したばかりで、
セキュリティーのレベルは決して低くはないがまだまだ隙が多いらしい。そこを狙うという筋書きだ。
各々の担当は、イ一サソ(ジュピター)がサーバールームへの潜入とベンヅ一のサポート、
ベンヅ一(プルート)がサーバーへのハッキングとデータの抜き取り、
ヅェ一ン(ヴィーナス)がターゲットの足止め、そして僕(サターン)は…裏方だ。
会場にいるターゲットやその取引相手達の動向をチェックして報告するとか…まぁそんな役だ。

今回はインドの時みたいにやたらとアクロバティックなことは必要ないらしい。全く残念だ。
「こちらジュピター。準備はいいか」
「プルート了解。いつでもいいぜ」
「ヴィーナス、配置に着いたわ」
「サターン異常なし。感度も良好だ」
「よし。行動開始だ」
そうしてミッションが始まった。直接重要な部分には関わらないとはいえ、僕も気を引き締めて
周囲の様子を警戒しながらゆっくりとパーティー会場の喧騒の中に紛れていく。
しかしまさかまた現場に戻るなんて思ってもみなかった。しかもあのイ一サソ・八ン卜のチームの一員として。
前回の一件で思い知らされたけど、いくらデスクワークに没入しようと
僕の中のエージェントとしての部分が消えることはないみたいだ。
それが良いことなのか悪いことなのかはわからないけど、そのおかげで自分の身は自分で守れるんだからまあ良しとしよう。
エージェント時代に身に付けたノウハウがあれば、大抵のことは切り抜けられるはずだし。
そんなことを考えたりしながら、ミッション開始から十分ほど過ぎた時だ。突然焦ったような声で通信が入ってきた。
「サターン!サターン!今どこだ!?」
「今はバーカウンターの近くだけど…どうした?」
「緊急事態だ。ヴィーナスと交代しろ」
「何かあったのか!?」
もしかして目的に勘付かれて襲われでもしたんだろうか。
思わず身体を緊張させると、当の本人からも通信が入ってきた。
「私じゃダメなの。ターゲットを足止めできない!」
「足止めできないってどういうことだ?怪我でもしたのか!?」
「いいえ、そうじゃないの。私は大丈夫だけど…」
「あー、その…アレだ。ヴィーナスじゃダメなんだ」
僕達の会話にベンヅ一が割り込んでくる。心なしか気まずそうな空気を感じる。どういうことだ?
「『ヴィーナスじゃダメ』?何なんだ、分かるように説明してくれないか?」
「だからそのー…」
「彼はゲイなの!」
口ごもるベンヅ一を押しのけるような、切羽詰ったヅェ一ンの言葉に耳を疑った。彼が……何だって?
「タイミングを計りながら様子を見てたんだけど、彼誘ってくる女性を全部あしらってるの。
私もやってみたけどダメだった。そしたら彼の側近が『残念ながら彼は女性に興味がないんです』って…」

「つまり、”彼女”は大の男好きなんだとさ。参ったなこりゃ」
「え……それ本当か?間違いないのか?」
確認しなくても恐らく事実だろうと薄々は気付いてたけど、だからってそんなの簡単に納得できるわけがない。
そんな僕を急かすようにイ一サソから通信が入る。
「時間がないサターン。君が足止めするんだ」
「ぼっ、僕が!?」
つい大声を出しかけて咳き込んだふりでごまかした。
一瞬集まった視線が外れるのを待って悪足掻きと知りつつも一応他の案を提示してみた。
「いや、っでも男は三人いるし、第一君の方がずっとハンサムじゃないか!
…そうだ、プルートの方が可愛げがあっていいんじゃないかな?」
「そりゃー俺が魅力的なのは知ってるけどさ、俺パソコン係だし」
「僕はサーバールームに潜入しなきゃならない」
「う……」
どこか既視感のあるやりとりにぐうの音も出ない。
あぁ本当はわかってるよ。状況的にも僕がやるしかないことくらいわかってる。わかってるんだけど…!
「……っ!」
「サターン!悩んでる時間はないぞ!」
「ええ、彼会場を出て行こうとしてるみたい」
「おいおいおいマズイって!何とかしろよサターン!」
「―――っ分かった!!分かったよ、行くよ!」
皆の声に急き立てられるように僕は覚悟を決めた。
周囲を見渡し、会場の壁に掛けられた時価数千万ドルの絵画の前にいるターゲットを視認する。
一番近い出入り口に向かうためには人ごみをかき分けて会場を横切っていく必要がある。そこを狙おう。
「あー…ヴィーナス、何かアドバイスとかないか?こういうのには不慣れで…」
「無理に誘惑しようとしなくてもいいわ。何気ない会話から相手の得意分野に持っていって
話を続けさせるだけでもどうにか時間を稼げるんじゃないかしら」
「こっちもできるだけ急いで終わらせるようにするから、何とか引き止めといてくれ」
「わかった。とにかくやってみるよ」
「頼んだぞサターン」
背中を押してくれる皆の声が頼もしいよ…本当に。
僕は動揺を隠すように軽くストレッチして、力んでしまった身体をリラックスさせてみる。
ネクタイの歪みやスーツの乱れを直し、最後に一度大きく深呼吸をして腹を括った。
さぁ、ミッション開始だ。

何気ない風を装い、通りかかったウェイターからワインを受け取る。
一口含んで気分を落ち着かせながらターゲットが動き出すのを待った。
取引相手と思われる老紳士との会話が終わり、握手をして二人は別れた。
僕は接近しながら彼の姿を観察する。身長は185センチくらい、彫りの深い造りの顔で
やや長めの睫毛に縁取られた深緑の瞳が一際目を引く。
ダークブラウンの髪はきちんと撫で付けられ、整った顔立ちを更に引き立てている。
何ていうか…羨ましくなるくらい格好良い。ベビーフェイスだとからかわれた過去がある僕としては特に。
……そのベビーフェイスをこのミッションに活かせないだろうか。ふと思い付いてはみたものの、
どうやればいいのかさっぱりわからない。考えがまとまらないことに焦って喉が渇く。
手にしていたグラスの中身が無くなったことに僕より早く気付き、行き届いたサービスで
ウェイターから差し出されたワインを貰って振り向いた瞬間、目の前にいた男性とぶつかってしまった。
「ぅわっ!」
ぶつかった拍子に零れたワインが、相手の真っ白なスーツに赤い染みとなって広がっていく。
こんな大事な時に何をやってるんだ僕は…!!
「あぁ!!すみません!ワインが…!!」
すっかり動揺してしまった僕は謝りながら、怒っているだろう相手の顔を見る。
そこに立っていたのは何と今回のターゲットであるあの実業家だった。
彼は穏やかな表情を崩さずにこちらを見ている。これはマズいか…?
――いや、これはチャンスだ。確実に彼を引き止める口実ができたじゃないか!
「本当に申し訳ありません!あの、クリーニング代は弁償しますので…」
なんとか気持ちを落ち着かせながら謝り続け、ハンカチでワインをわざと広げるように拭き取ろうとする。
だがその動きに気付いた彼は僕の手を取って拭うのを止めさせた。
「それでは染みが広がってしまう」
「…っ」
追い払われるかもしれない、と僕は少しだけ身体を硬くする。もしそうなったら全てが水の泡だ。
また僕のせいで任務に失敗してしまったら…
「それに、ワインを浴びてしまったのは私だけではないようだし」
「え?」
そう言われて自分の服を見てみると、確かにスーツの胸の辺りに結構大きな染みができていた。

「本当だ…」
「良ければ代えのスーツを用意するけど、どうかな?」
これは良い流れになってきたぞ。まさか向こうから誘ってくるなんて上手くいき過ぎな気もするけど、これに乗らない手はないよな。
「そんな、こちらが汚してしまったのに」
「構わないよ。スーツを新調する良い口実になる」
「あ…やっぱりクリーニングじゃ済みませんよね……」
本当に弁償しなきゃいけないとなるといくらくらいするんだろうか。
まぁ別にそんなこと考える必要ないし考えてる場合でもないんだけど、やっぱり少し申し訳ない気持ちにはなる。
それが少し表情に出てしまったようで、彼が握ったままだった手を引き寄せて優しく微笑みかけてきた。
「そうだな……やっぱり責任は取ってもらおうかな」
「っ……はい…」
「スーツを弁償してもらう代わりに、一杯付き合ってくれないかい?」
来た…!!
「え…?あの、それでいいんですか?」
僕が肩透かしを食らったような反応を返すと、彼の目がほんの少しだけ細められた。
恐らくこうやって何も知らない相手を罠にかけるような行為に愉悦を覚えるタイプなんだろう。
この誘いに乗ったらどうなるか、全く予想がつかないわけじゃない。
だけど、今は僕の身の安全よりも優先されるべき重要なことがある。僕はイ一サソ・八ン卜のチームの一員なんだ。
彼とベンヅ一が無事ミッションを遂行できるように、僕は僕でできるだけのことをやらなくちゃいけない。
例えどんな目に遭おうとも。
……でもやっぱり、ちょっと怖いなぁ…
「私は酔うとかなり長話をしてしまうようでね。スーツを弁償した方がマシだったと思うかもしれない」
「それは……心してかからないといけませんね」
「ハハハ。まぁとにかく、私の部屋に行こうか。着替えはそこにあるから」
彼は朗らかに笑いながら僕の肩に腕を回す。優しく促しているようで、
有無を言わさぬ力が込められたその手に一抹の不安が過ぎる。
それを振り払うように彼に笑みを返しながら、僕達は人知れずパーティー会場を抜け出した。

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

  • 続きが気になる~! 新しいのを楽しみにしています! -- 2012-05-12 (土) 18:57:12

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