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いまはむかし

某巨大特撮ヒーロー(獅子兄弟、獅子→←明日虎)                         
※明日虎がショタ化しています。
 あと、昔からあの容姿だったという設定でお付き合い下さい…
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「…おい、何だそれ?」
こちらが持て余す程元気な弟子が一瞬で凍りつく。
小さな頭の角、両腕のリング、左足に残った足枷。
それはよく見慣れたもののはずだった。
その持ち主が明らかに子供であることを除けば。

「なあお前、名前は…」
ぽつり、と囁くように子供は答えた。
遠い昔によく聞いた声。紛れもない、俺の弟だ。

不穏な動きがあるとの通報を受け、弟は新人隊員と調査に向かった。
その結果悪さを働いていた連中は一網打尽にされ、最後のあがきで、横流ししていた武器で新人を狙ってきたらしい。
それを庇い、何故か弟はこんな姿になってしまったそうだ。

弟子は一旦は驚いたが、すぐ落ち着きを取り戻したようだ。
「まぁ、なっちまったもんはしょうがねえか。
明日虎、ひとまず俺のことは零さん…いややっぱり零兄さんと呼べ。
まず、俺から優しくされた事は、どんな小さな事でもすぐこの人に報告しろ。
それから俺が…いや人が傷めつけられるのを見たら、もっと偉そうな人に助けてもらうんだぞ」
「おい、零!調子に乗るんじゃない!」
「何だよ、相変わらず冗談通じねえな」
「零兄さん。兄さんはぼくより大人なのに、どうしてそんならんぼうな言い方をするの?早く直した方がいいと思うよ」
「…っ…!」

そんな事があったが結局弟と弟子は打ち解けたらしく、立ち寄る度に遊んだり、組み手をしたりといった光景を見た。
俺はといえば、忙しくて、中々二人のところには顔を出せなかった。
いや、本当は忙しさなんて口実だった。俺は意識して、なるべく二人に、弟に会わないようにしていたのだ。

ある日、事前に連絡も入れず、弟子が俺を訪ねてきた。
訪ねてきたというより、とうとう怒鳴り込まれたという方が正しかった。
「おい獅子!あんた明日虎に嘘ついただろ!」
「…」
「適当にごまかして…大体、何で自分の事教えなかったんだよ。何も言わないけど、あいつ、あんたの事気にしてるぞ」
「…すまん」
「何だよ、あんたらしくもねえな。…とにかく会ってやれよ。ごまかされてるなって、ガキでも結構分かるもんだ」

子供になった弟を初めて見た時、あいつは身を固くして座っていた。
周りは慌ただしく働く大人ばかり。そんな時現れた同族の男に飛びつくように、こちらへやってきた。
『どうしてぼくこんなところにいるの?あなた、名前は…?』
俺は答えられなかった。あれから何があったのか。
故郷が滅ぼされ、弟は囚われ。そのどちらからも俺は弟を守れなかった事。
『お願いです、なんでもいいから教えてください。兄さんはだいじょうぶ?』
その声も表情も、記憶にあるものそのままで。
それだけに、左足にぶら下がっている鎖が、いつも以上に重々しく見えた。
結局俺は適当な嘘をついて、俺自身の事は何も話さず、そのまま弟を連れ帰った。

弟子を持つ立場になりながら、俺は今でも師に教えを受けていた頃のままだ。
自分に対する甘さを捨て切れていないところも、あの時の弟に何も話してやれなかった弱さも。

弟子に何も言い返せない。顔を合わせれば生意気な事を言い、叱り飛ばす。
初めて弟子と出会った険悪なあの時も、こんなに黙っていたことはない気がする。
そう言えばあの時も弟は、何を言うでもなく静かに俺達を見ていた。
あいつはいつも何を思っているのだろう。あまりに近すぎて、かえって知らない事が多すぎる。
そんな事を考えていると、弟子が口を開いた。
「…あ~あんたも、こういうところがあるんだな」
「…どういう意味だ」
「人の事しごいたり、傷めつけたり、鬼みたいなあんたでも、こんな風に迷うことがある。意外だな」
「…そうだな」
「とにかく会ってやれよ。とりあえず家族がいるってだけで、子供は結構安心出来るもんだ」
目つきの悪さも態度の大きさもそれ程変わっていないはずだが。
そう言ってすぐそっぽを向いた弟子は、初めて会った時とどこかが確かに違っている。

「…それにまあ、母が忙しいから子供のまま預かる事になったんだ。帰ってくればすぐに片付くだろ」
「…お前」
「何だよ?」
「…お前という奴は!」
「うわっいきなり抱きつくな!?気持ちわりぃ!おい、止めろ!離せ!」
その時ちょうど入室してきた女子隊員が何も言わずに出ていった。
そしてざわめきの後、皆が部屋に押しかけてきた…などのトラブルもあったが、とにかくそういう訳で俺は改めてあいつに、いや弟に会いに行く事にしたのだった。

文字通り飛んで駆けつける。
若い男女が肩を寄せ合って歩き、親子連れが遊んでいる広場でただ一人。
あいつはぼんやりと空を見上げていた。
『僕らの星に比べて、ここは何もかも少し眩しすぎるんだよ』
そういえばある時、そんな事を言っていたのを思い出す。

「明日虎」
思ったように声が出ない。いつもはもっと大きな声で叫ぶことも出来るのに。
「あ、おじさん。どうしたの?」
「…おじさんじゃない」
「ぼくからしたらおじさんだもん」
「…お前なぁ」
「それにぼく、おじさんの名前、知らないし」
「…すまなかった」
「ふふふ」
咎めるでもなく、縋るでもなく、ただじっとこちらを見ている。
その顔は確かに幼くなっているのに、俺は何故か子供の頃ではなく、
ごく最近の弟を――俺が弟子を指導しているのを、何も言わず見ていた時の顔を思い出した。
どこか寂しそうな、そして微笑ましいものを見ているような。

俺と弟はこの世にたった二人きりの兄弟だ。それでもいつも一緒にいる訳ではない。
それでも。
どんなに離れていても、会う事がなくても。俺と弟は、この世にたった二人の兄弟なんだ。
ひとまず今の俺には、名乗るだけで精一杯だった。あいつは一瞬何とも言えない顔をこちらに向けて、すぐに俯いてしまった。
「…ばか」
小さな声がして我に返った。片手に小さな柔らかいものが触れている。
しっかりと、両手で包み込むような握手。
「兄さんのばか」
ふふふ、と笑い声がした。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
母が多忙で治療にかける時間がなく、獅子零が預かる事になった…という事で許して下さい。
いい兄さんの日記念…的な。獅子兄弟はかわいすぎる。

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