代償
更新日: 2011-11-20 (日) 22:26:56
フロムソフトウェアから出てるホラーゲーム
「NEBULA -Echo Night-」の所長→ケネスです。ネタバレ注意!
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
何もかも上手くいくと思っていた。これで漸く目的を達成出来るのだと信じきっていた。
リチャード・オズモンドは虚ろな目で、親友ケネス…を模した、アンドロイドを見つめていた。
彼はアンドロイド、謂わば機械だ。当然のことながらその体に血は通っていない。
感情も宿っていないはずなのに、不思議と、死んだケネスがそこにいるように思えた。
唯一無二の親友だったケネスは、ある日突然、滑落事故で死んでしまった。
ケネスが手で指し示していた場所には、まるで赤い石が輝いていた。
酸素不足に喘いでいた月面基地全体に、酸素が巡ったのは、その直後のことだった。
突然の死を嘆き悲しむ間もなく、リチャードはその赤い石に魅了されてしまった。
親友が遺してくれた、最後の希望だと、リチャードは赤い石を常に持ち歩いた。
赤い石に願いを言えば、その願いは簡単に叶った。
アンドロイドのケネスも、リチャードの願いのもと生まれたものだ。
容姿も、声も、仕草も、趣味嗜好も全てが同一のものだった。
ただ一つ、人の手によって作られたということを除いては。
「…どうしたんですか?
私の顔に、何かついていますか?」
「…」
首を傾げて問うケネスに、リチャードは黙って首をゆっくりと横に振った。
赤い石を使い始めて暫く経った頃、施設内には不吉な霧が現れた。
換気をすれば用意に取り除くことは出来たが、問題はそれだけに留まらなかった。
月面基地の建設事業を掲げた本社、ホシオカマテリアルからの連絡が途絶え、食料不足が深刻になっていった。
作業員達は次第に衰弱し、死んでいった。何故か作業員達の亡霊が襲いかかり、その犠牲者もまた亡霊となった。
…この施設が本社から既に放棄されていたのだと知ったときには、もう何もかも手遅れだった。
赤い石の力で自分の食料は確保された。
周囲の者が皆、死んでいく中で、唯一人、生き延びた。
「…ケネス…」
「はい」
広い施設に作られた、親友の為のアトリエで、絵の具と筆を操って絵を描く彼の頬に、リチャードはそっと指で触れた。
「…所長?」
月面基地を任されたとき、真っ先に祝って支援してくれたのは、親友のケネスだった。
抱擁を交わしながら、共にこの地に降りた日がひどく懐かしい。
「…赤い石は、私にとって、最後の希望なんだ…」
首を傾げたままのケネスに、リチャードはぽつりぽつりと呟いた。
「お前が遺してくれた、最後の希望…
私にとって赤い石は、ケネス…お前そのものなんだ…」
「…」
親友の死を嘆き悲しむ暇など無かった。問題続きの施設をまとめる為に忙しなく動き回っていたからだ。
しかし、だからといって、悲しくないというのは違う。
親友を亡くした痛みを癒してくれたのは、彼が遺した赤い石だった。
多くの犠牲を払い、赤い石に願い続けることで、亡くしたはずの親友の温もりが、そこにあるように感じられた。
…果たして自分は間違っていたのかと、心の底で後悔しながら、リチャードは向かい合うケネスを強く抱き締めた。
これまでずっと、婚約者であるクラウディアに逢いたいと思い続けていた。
しかし、今だけは違った。アンドロイドでは無く、生身の親友に逢いたいと願った。
「ケネス…お前に会いたい…」
温もりの無い無機質なアンドロイドを強く抱き締めながら、リチャードは枯れたはずの涙を零して深く祈った。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
このゲームは難易度高いけど、ストーリーがなかなか良いのでぜひやってみてください!
それでは失礼します!ノシ
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