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キス

映画「悪/魔/の/い/け/に/え」からババちゃん受
※若干グロ描写あり

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

獲物の皮をあらかた剥いでしまう頃には、ババ・ソーヤーの黄色いエプロンは返り血で真っ赤に染まっていた。
たった今剥がしたばかりの顔の皮を両手で持ち上げ、じっくりと観察してから、丁寧にフックに吊り下げた。
なめしてみて出来がよければ、また新しいフェイスマスクを作るつもりだった。

次の工程に入ろうと鉈を手にしたところで、兄のチョップ・トップが大声を上げて部屋に飛び込んでき、
ババの後ろから両肩に手をかけて飛びついた。
ぎょっとして鉈を取り落としたババにはかまわず、チョップ・トップはけたたましい笑い声を上げた。
「映画に行こうぜ!」そういってババの体から飛び降り、その場で小躍りし始める。
ババは両手についた血の汚れをエプロンでぬぐいながら、床に落ちた鉈を解体台の犠牲者の横にきちんと置いた。
「うちから一時間くらい走ったとこのドライブインシアターで、ポルノを上映してるんだとよ。
兄ぃはゲームの仕出しで遅くまで帰ってこねえし、一緒に出かけようぜ!」
チョップ・トップに腕を引かれてうなずきながら、かたわらの肉に目をやる。肉が傷んでしまう前に
処理を終わらせておかないと、またドレイトンにこっぴどくどやされてしまう。
ババは再び鉈を手にして肩をすくめてみせたが、チョップ・トップに両手首をつかまれて引っぱられては、
それ以上どうすることもできずに素直に鉈を置いて兄とともに部屋を出ていった。

ドライブインシアターに向かう途中で、チョップ・トップはトラックをガソリンスタンドに乗り入れた。
食べ物と飲み物を買いにトラックをおり、軽快な足取りで店へ入っていったチョップ・トップを見ていると、
それまで気楽な姿勢で雑誌を読んでいた店主が奇異を見るような目つきでチョップ・トップを
目で追っているのが目に入った。店内の品物を物色しながら、いつもの調子でハンガーの先で頭を掻いている。

ババがつくってやった人毛のかつらがあるのだが、チョップ・トップが好んでつけるのは
どこかで手に入れてきた安い人工毛のものだった。一目で偽物とわかる代物で、かつらの下から
わずかに生えた地毛がいつもはみだしていたが、本人はさして意に介していないようだった。

バックミラーに目をやると、荷台にしっかりと縛りつけられて座っているチャーリーの姿が目に入った。
久しぶりの外出で、いつもより少し機嫌がよさそうだ。ババは後ろを振り返ってチャーリーに何か
話しかけたが、当然ながらチャーリーは微動だにすることなくそこにじっと座っていた。
機嫌がいいのはババも例外ではなく、いつになく高揚した気分だった。
ドライブインシアターには、今までにも何度か家族にともなわれて出かけたことがあった。
チャーリーとチョップ・トップは子どもの頃からじっと座って映画を観るということができない子どもだったし、
そもそも人目がある場所にはババを連れていけなかったので、ソーヤー家にとって映画館といえば
ドライブインシアターだった。
ドレイトンが運転する車にチャーリー、チョップ・トップ、ババがそろって乗り込み、
ドライブインシアターの一番目立たない場所に車を停め、思い思いの飲み物や食べ物を片手に、心置きなく映画を観た。
そう頻繁にあることじゃなかったが、家族そろって外出する機会など皆無に等しいソーヤー家にとっては、
ドライブインシアターはすばらしい娯楽だった。
今となっては家族そろって映画を見にいくということもなくなったが、だからこそ、久しぶりの
映画がババにとってはとても特別なものに感じられた。
「ポルノ」という意味がババにはわからなかったが、なにが上映されていようとかまいはしなかった。
ただ家族そろって映画を観るというその時間そのものが、ババは大好きだった。

唐突に助手席の横の窓ガラスが叩かれ、ババはぎょっとして身体を揺らした。
「いいマスクだな!」若い男が至近距離から車内をのぞいていて、開口一番そういった。
カウボーイハットのつばを親指で上げ、きれいに生えそろった白い歯を見せつけるように笑みを見せる。

パニックに目を泳がせると、その若い男の後ろにさらに数人の若者が立っているのが目に入った。
ひとりはビール瓶をラッパ飲みしていて、一目で全員がひどく酔っ払っているということが理解できた。
「後ろのは友達かい?ハロウィンにはまだ早いぜ!」荷台のチャーリーに目をやりながら
そういうと、若者たちはけたたましく笑い始めた。
ババは床に隠しているチェーンソーを手探りしたが、店内でのんびりと品物を選んでいる
チョップ・トップが目に入り、チェーンソーから手を離した。
チョップ・トップの気が変わり、映画にいけなくなるのが嫌だった。
「あんたもゲームを見にダラスへ?」
カウボーイハットの男の後ろから、口ひげを生やした若者が顔を出した。
色とりどりのペイントを顔中にほどこしていて、地元のフットボールチームのTシャツを身につけている。
が、フットボールのことなどまったく知らないババにとっては、ただのばかな若者に見えた。
店内のチョップ・トップに視線を走らせながらおどおどしていると、後方にいた若い女が店のほうへ顔を向けた。
「お店にいるのがあなたの連れ?」豊満な尻にぴったりと色あせたデニムを張りつかせた女がそういうと、
ババはきょろきょろしながらうなずいた。カウボーイハットの男が運転席側の窓に移動し、
開いていた窓から頭を突っ込んだ。ババの手がチェーンソーに触れては離れた。
「よかったら俺らと一緒にゲームを見にいかないか?とはいっても、スタジアムに入る金なんかねえから、
パブでテレビ観戦なんだけど。そこでばかな格好して、ただ飲んで騒ぐんだよ。どう?」
「あんたも連れもそんな仮装してるぐらいだ、派手にやろうって魂胆だろ?俺らと一緒に行こうぜ」
カウボーイハットの男の手がババの肩を叩き、後方の連中が犬の遠吠えのような歓声を上げた。
そこではじめて、店内にいたチョップ・トップが異変に気づき、あわてて店から飛び出してきた。
怒り心頭のチョップ・トップが車まで駆け寄ると、酔った連中は歓迎の雄たけびを上げた。
「どけ!俺の弟にかまうんじゃねえ」カウボーイハットの男につかみかかろうとした
チョップ・トップを制止し、若者たちのひとりが先ほどババを誘ったときと同じ言葉を口にした。

「ゲーム?そんなもんはどうでもいいな。どうせ、兄ぃの仕出し弁当の手伝いでいやというほど
スタジアムに連れてかれんだ。どけどけどけ」
「あんたらの仮装、最高にいかしてるから一緒に来てほしいんだよ!絶対面白いぜ」
口ひげの若者がチョップ・トップの手にビール缶を押しつけ、後方にいた若者のうちのひとりが
胸から下げた笛を一息するどく吹いた。
それまで立腹していたはずのチョップ・トップは騒ぎにつられて笑い始め、気づけば口の周りを
ビールで濡らしながら若者たちのひとりと肩を組んで踊っていた。
店の店主が何事かという顔つきで窓からこちらを見ていたが、店から出てこようとはしなかった。
ババがおどおどした態度で車外の喧騒を見守っていると、助手席側のドアが開き、隙間から
カウボーイハットの男の手がぬっと伸びてきた。
ババは声にならない声を上げたが、チョップ・トップが「ババも来いよ!」と叫ぶのを聞いて、
おとなしくカウボーイハットに腕を引かれるまま車をおりた。
ババの手にもビールの缶が押し付けられ、若い女がぎゅっと一瞬飛びつくようにハグをして離れた。
「俺たちみんな家族だ!そうだろ!俺たちみんな家族だ!」狂ったように若者のひとりが叫び、
ビール瓶を大量にこぼしながらラッパ飲みする。
「いかれちまってるな!こいつら、いかれちまってるぜ、ババ!」チョップ・トップが嬉しそうに叫びながら
ハンガーを振り回し、するどくとがったハンガーの先が若者のひとりの服を裂いたが、誰も意に介さなかった。
「帰りはここまで送ってくるからさ、今から俺たちの車で出かけようぜ」カウボーイハットの男が
ババの腕をつかんだままそういい、ババの肩を親しげに叩いた。
ババは首をかしげて男のあごのあたりに手を伸ばし、探るような手つきで触ったが、男は
気にかける様子もなく満面の笑顔を浮かべたままでいた。
若い肌は張りがよく、何より男の顔立ちは整っていた。とてもいいマスクになりそうだった。
いつのまにか顔にペイントをほどこされたチョップ・トップがババのところへ戻ってきた。
若い女がすがりつくようにチョップ・トップの腕にしなだれかかったままついてきて、けたたましく
笑い声を上げていた。
「よう、ババ、どうする?どうする?」そういいながら、ハンガーで頭を掻く。

ババは若者たちを見た。このまま若者たちと一緒に行けばたくさん肉が手に入るだろうし、
何よりこのカウボーイハットの男のフェイスマスクがほしくてしかたなかったが、
ババは首を横に振った。チャーリー、チョップ・トップと三人で映画を見にいきたかった。
すると、チョップ・トップはあっさりと若者たちに別れをつげ、腕にくっついていた女を振り払うと、
車のもとまで戻っていった。大ブーイングが巻き起こったが、チョップ・トップは涼しい顔をしている。
ババは兄の後ろについて車へ戻ろうとしたが、カウボーイハットの男が腕を離さなかった。
「どうしてもいやか?おごるぜ?あんたらと友達になりたいんだよ」
「おい、俺の弟から手を離せ!」チョップ・トップがそういい、ハンガーを振り回した。
ババが首を振るのを見て、カウボーイハットの男はあからさまにがっかりした顔つきをし、
ババの腕から手を離した。若者たちは興をそがれた様子で自分たちの車まで引き返していったが、
カウボーイハットの男はそこにとどまり、にんまりと笑みを浮かべた。
「あんた、可愛い目をしてて、気に入ったんだけどな」そういったカウボーイハットの男に
仲間から野次がとび、男は声を上げて笑った。
カウボーイハットの男が飛びつくようにババの唇に自分の唇を押し当て、さっと身をひるがえして去っていった。
車に戻ると、チョップ・トップが得意満面の顔つきで若者からもらってきたビールや食べ物の数々を
荷台に積んでいた。自分の金を使わずに済んで、上機嫌だった。
「おう、来たな、ババ。さ、ポルノを見にいこうぜ!」
顔に不恰好なペイントをほどこされたチョップ・トップがそういい、手のひらをこちらに向けて差し出したので、
ババはその手にタッチをした。

ドライブインシアターにトラックを停める頃には、ポルノはほとんど中盤に差し掛かっていた。
チョップ・トップが興奮しながらビールの空き缶を窓から投げ、甲高い笑い声を上げている。
映画は男と女が裸で絡み合うだけの退屈なものだったが、ババは満足だった。
若者からもらったサラミの燻製をかじりながら、スクリーンの中でくちづけをかわす男女を眺めていた。

キスという行為は知っていたし、ほんとうに小さい頃は、チャーリーやチョップ・トップは
言うに及ばず、じい様やばあ様、ドレイトンにもキスをされていたが、家族以外の人間に
キスをされるのは初めてだった。
ババは人間の肌の感触が大好きだったので、キスをされるのが好きだし、ハグをするのも好きだった。
と、酒のにおいを漂わせたチョップ・トップが唐突に助手席のババに覆いかぶさってき、キスをしてきた。
「キス、キス、キス、キス」上機嫌のチョップ・トップは歌うようにそう繰り返し、もとの姿勢に戻ると、
またスクリーンを食い入るように眺め始めた。
ババは助手席から身を乗り出し、チョップ・トップにキスをした。
チョップ・トップはそれを受けて甲高い声で笑い、かつらをはずすと、ふざけて「俺のプレートにキスをしな」といった。
ババは兄の頭に埋まったプレートにキスをすると、兄の体をぎゅっと抱きしめた。
はじめこそおとなしく抱かれていたチョップ・トップだったが、しばらくその姿勢のままでいると、
ついには映画が見えないと怒り出した。
ババは兄の体から手を離し、車をおりると、荷台からチャーリーを連れて戻ってきた。
すっかり軽くなったチャーリーの体を膝に乗せ、その体をぎゅっと抱きながら映画を観た。
「チャーリーも上機嫌だぜ、ババ。嬉しそうな顔だ」チョップ・トップがそういい、けたたましく笑った。
チャーリーにキスをすると、チャーリーは物も言わずじっとしたままだった。
ババは気が済むまでチャーリーにキスをし、ずっと膝に抱いたままでいた。
やがて、ババが小さく体を揺らして歌い始めたが、チョップ・トップはとがめるどころか、それにつられて大声で歌いながらビールの空き缶を楽器にみたてるようにしてダッシュボードをリズミカルに叩いた。
いつになく楽しい夜だった。
ババはもう一度チャーリーにキスをし、家に帰ったら、じい様とばあ様と、ドレイトンにも
キスをしようと考えていた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

セクハラされるババちゃんが書きたかった
ソーヤー家の家族団らんが書きたかった

  • ここでこの家族が見られるとは…。愛されババ最高でした! -- ? 2011-11-17 (木) 02:47:40

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