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雨垂拍子

湯目枕爆の小説「恩妙字」で安海苔→静名です。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「お前は何を考えている?」
安海苔は静名の烏帽子を払いのけると、流麗な黒髪を握り締めてぐっと持ち上げた。
「あ…っ」
「静名」
静名の紅い唇がふっと開かれる。同時に零れる白い息が夜気に溶けて行く。
そんな吐息に音が乗る。

「雨垂拍子な手際、と」

含んだ笑み。
ぶれない視線。
一瞬にして安海苔の頭内が白くなる。
「―――っ」
再び晴れた時には仰向けにした静名の白く細い首は安海苔の両手の中にあった。
とくとくと鳴る音は、静名の命。今、自分の手の中にある、この命は、己のモノ、神にも譲れないモノ。
「う…ぁ………」
「苦しいか、静名」
「………」
いつも安海苔の心を見透かす瞳は今は閉じられ、惑わす声は封じられ、魚のように小さく開かれた口は震えていた。

安海苔の手を外そうと重ねられた静名の手は、まるで懇願しているように思え安海苔の顔に冷笑が浮かぶ。
「良い姿だ」
「―――っ!ぁ、あっ」
「ふ……う………」
安海苔は静名の首に手を掛けたまま、腰を打ちつける。
腰を振る度にぎし、ぎし、と古い戸板が鳴る。と、庭に植えられていた楓が秋風に乗って、静名の横にふわりと着地した。
「ほお…」
「は……っ……ぁ」
「…静名よ、風流だな」
「…………」
「なあ、静名」
安海苔は静名の首から手を外し、静名の耳にそっと口付けた。
「術を使えば俺を追い払うことなど出来得るのに、せぬのだな。お前は」
「………………」
「そういえば広昌さまは本日は貴船に参っているとか」
「………………」
「山の天気は変わりやすい。何事も無ければよいのだが………」
「やすのりさ…ま………」
「ようやく俺の名を呼んだな」

苦々しく言い捨てると、安海苔は静名の足を抱えると再び静名の中を荒らしていく。
「お前が此処に居る限り広昌さまには何事も無く無事に御勤めを済まされることだろうよ」

だから。

「お前は何事も案ずることなく此処に居ればよいということだ」
安海苔は一際強く打ちつけると同時に、身をよじって逃げようとする静名の頭を床に押し付け己の精を静名の中に吐き出した。
何度か腰を振って全て吐き切ると静名を抱き寄せるて唇を重ねた。
唇を離す瞬間、静名の唇が微かに動いたのを安海苔は見逃さず、
「どうした。何か言うてみよ」
と問うと静名は目を細め頬を緩ませて安海苔の唇を指でなぞった。
「静名?」
「やはり…」
「ん?」

「雨垂拍子な手際なこと、と」

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

雨垂拍子…
・ 雅楽や謡曲で、拍子を雨垂れのように一定の間隔でとること。
・ 物事の進行がとぎれがちで、はかどらないこと

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