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秘匿の赤

なまもの。完全捏造です。ダメな方はスルーしてください。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

あれだけ警戒心を剥き出しにして、これ以上考えられないくらいの防護壁を
二重にも三重にも張り巡らせていたくせに、
やっと懐いたと思ったら今度は尻尾を振り回して笑顔を垂れ流している。
極端なやつめ。おまえは、好意も悪意も無関心も、
感情がすべて顔に出るから、本当にわかりやすくていいな。
おれには出来ないからうらやましく思うこともあるし、
もっと要領良く生きればいいのに馬鹿だなって思うこともある。

「だって好きでもなんでもないどうでもいいひとに、
好きになってもらったって困るだけでしょう」
いまある好意を受け止めるだけで精一杯。
そう聞こえたのはおれがおまえの味方だからだろうか。
おまえと同じ場所に立っていると思ってしまうのは、欲目なのだろうか。

敵と味方でラインをきっちり引いて、
あからさまに態度を変えるから反発されるんだと自覚している癖に、
それでも根本的な部分は絶対に変えない。
真似をしたくはないけれど、おまえの強さはホンモノだと思ってる。
庭で飼う番犬にするには最適。味方でいるのならなにひとつ問題はない、
ちょっと生意気でめちゃくちゃにかわいい後輩だ。
おれはおまえのそういうところが好きだよ。

おれの表情とか言葉とか態度とか、
あのときはどうしたとかそのときはこうだったとか、
とてもよく覚えていて、カノジョみたい、と言ったことがある。
女の子だったら、きっとおれからしてみればどうでもいいような記念日も
確実に覚えていて、かわいい文字で手帳に書き込んでいるタイプだ。
外見は羨ましくなるほど立派なのに、中身は意外とかわいいんだ。
いいにおいのする入浴剤が好きだし、メールにはカラフルな絵文字をたくさん使うし、
女子高生に流行った映画を観て部屋でめそめそ泣いているし。
そうやって笑ったら、もし自分が女の子だったら
好きです付き合ってくださいなんて言ってたかもしれません、
なんて、予想外の直球を投げ込まれた。
おまえの先輩を先輩と思わない冗談はいつものことで、どこまで本気かはわからない。
おまえが、自分の直球の威力をどこまで信用しているのかも知らない。
ただ、おまえはいつまでもまっすぐだから、
おれもそれなりの態度で返さなければいけない、と、思う。

「……ありがとう。でも、自分よりデカイ女の子はちょっといやだ」
 ぷっ、と吹き出して、さすがに女の子なら
ここまで伸びなかったんじゃないすか、と、顔を崩して笑う。
この笑い方がすごく好きだ、本当に嬉しそうに笑うから、つられてしまう。
公の場であろうが不特定多数が見ていようが、
自分の気持ちに嘘をつくようなつくり笑いなんてしない男が、
今この瞬間をすごく楽しんでいるのだということがわかる。
一緒にいる相手には、つまんない顔、してほしくないと思う。誰だってそうだろう。

「そういうとこ、好きですよ」
年相応、それ以上に幼い顔で笑う姿はとてもかわいいと思う。
構ってやりたいし、応えてやりたい。
弟がいればこういうものなのだろうかと考えたことは一度や二度ではない。
「なにが」
「そういう、たまに、意味わからんこと言い出すところが、おもろいなあと思って」
脈絡のない言葉を吐き出して笑った彼に、うまいこと話の主導権を握られる。
そこでこの話はおわってしまった。続きを聞いておけばよかった。
たまに思い出しては真意を探りたくなる衝動にかられる。
彼の中で残っているのか消えているのかはわからない。

年下のこの男を、出会ってからまだ一度も見下ろしたことがない。物理的にも、精神的にも。
あれだけの自己防衛をしていた男が、最近では慣れたもので、
なんだかんだと理由をつけては甘えてくる。
年齢という、自分の絶対的な武器をわかっているのだろうが、
そのくせ、主導権は絶対に手放さない。
自分に有利な状況を作り出す才能はさすがに見事なものだと思う。
勝負事に関して、彼の嗅覚は抜群に働く。まだ一度も勝てたと思えたことがない。
ひどく大きな壁になっていて、いまの自分ごときではなにをぶつけても
彼を倒せはしないだろう。倒れてしまったら困るけれど。

この年下の男と出会ってから、自分の持っていた自尊心は、
思っていたよりもはるかに高かったことに気付かされた。
それをうっとうしいと感じることは、何度も何度もあった。
ただ、捨てられるわけがないその感情を認めることができたのは大きな成長だった。

おまえはそのままでいればいいよ。

そのままでいてほしいと望むのは自分のエゴだ、
しかしそれでも彼にはどうかそのままで、まっすぐに歩いて行ってほしいと思っている。
きっと自分が望もうが望むまいが、彼は彼のままでいられるのだろう。こ
んな思いを知られたら、ひとの心配より自分の心配をしてくださいよと笑われるのだろう。
それでも願う、どうかどうか。

思いきり手を伸ばして頭をはたく。そもそもこの距離がなにより屈辱だ。
ああ自分に彼の身体があれば、と、何度考えたことだろう。
この世界でもっとも高いあの場所で、別人のような顔をして
輝きを放つ彼の背中を見つめながら、そう思わないわけにはいかない。
自分にあれがあれば、そうやって無い物ねだりばかりしているけれど、
現状に満足してしまったらおわりなのだ。特に、自分たちのようないきものは。

痛いっす、と言いながらもにこにこしている彼を、今度は蹴り飛ばしてやる。
こちらがなにをしたって平気な顔で、喜んでいるようにも感じられるのが
悔しくて悔しくてたまらない。
年下のこの男と出会ってからもう数年経っても、本当の意味で、
こいつの視界に自分が入ったことは、まだ一度もないと思っている。
いま彼の目の前にいるのは自分だけれど、こいつが見据える先にいるのは、自分ではない。
自分がつかまえたいと思うのと同じ強さで、
彼にもずっと見つめ続けて追いかけている目標がいるのだ。
そこになんとかして近付いてやりたい。まずはならんでやりたい、油断しているだろうから。

おまえはそのままでいればいいよ、前だけを見て走り続けていればいいよ。
おれはその姿が好きだから。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
途中手間取ってすみませんでした、いま連続投稿3回でだめなんだっけ?

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