キスマーク
更新日: 2011-09-24 (土) 22:30:44
流石兄弟 兄者×弟者
ねらー語(?)多めにつき苦手な人は注意
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 素直にテンプレAAを使えばいいのに
| 何で私たちが……
| カイシ ット
\ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄| 勿論このテンプレ改変AAもネタなのじゃ!
| 18歳以上のよいこだけしか見れないのじゃ!
\
____________  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ | /(∞))∧
| | | | (´<_` ∬
| | |> PLAY. | | ∬ヽ__ノ∬ ) 〃'´⌒` ヽ
| | | | ピッ (:::::::::ノ::|:`{ 〈((リノ )))i iヽ
| | | | ◇⊂ }=、-::}、i!、{ 从・∀・ノ!リ人
| | | | .、-"~''"ーヽ ヽ⊂)丕i(9mヽ)__
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―//!/!!/!!i!l|!i、:ヽノ: 0/0|j_ ゝ____|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
どうしてこういう時に限って目覚ましの音に気付かないのだろうか。
いや、あながち兄者がうるさいからと言って消した可能性もある。
仮にもしそうだとしたら、いますぐ隣で寝ている兄者を叩き起こしてやりたい。
一応兄者も大学に在籍しているのに、何故こんなに暢気でいられるのだろうか。
そんな風だから一年ダブって俺と同じ学年になった事を自覚しているのか…いや、していないだろうな。
だから兄者はこうして今も眠っているのだ。そのうち俺の後輩にならないか心配だ。割と本気で。
服を着替えていると、ベッドからもそもそ動く身体が見えた。
相手が誰かわかっているのでベッドの方を見ずにジーパンを履いていると、背中から寝起きの声が聞こえた。
「おはよう弟者」
「おはよう。しかし暢気な事を言っている場合ではないのだ」
ちらりと後方を見ると、布団から顔を出している兄者が見えた。
身体を起こして、大きく伸びをすると、俺を見て一瞬何をしているのかわからないような顔をした。
流石引き蘢り。今日が平日ということもとうとうわからなくなったか。
「今日学校か?」
「当たり前だろう。だから今こうして急いでいるのが見えないのか」
「ふーん…」
興味がなさそうに返事をする。
俺も兄者に構っている暇がないので、気にせず上着を脱いで適当なシャツを取り出した。
上半身裸になると、それまで大きな欠伸をしていた兄者が俺の方をじっと見つめて来る。
視線が気になってどうにも無視できない。
俺は兄者の方を見ると、目で何用だと尋ねた。
「何か俺についているのか?」
「いやー……まぁいいか」
ニヤニヤと笑っている兄者が気持ち悪い。
未だに俺の方を見ている視線が、どこか性的な意味も含まれているような気がする。
朝から何を考えているんだろうか、こいつは。
「言いたい事があるならはっきり言え」
「別にない」
「嘘付け、顔が笑っているぞ」
相も変わらず兄者は笑っている。笑みを崩さぬまま、兄者は答えをはぐらかした。
横から視線を感じながら、兄者がベッドから降りる気配を感じる。
きっとこのままいつもの定位置に座って一日中パソコンをするのだろう。
ずっと家にいて退屈ではないのだろうか。
俺も大概人の事を言えないが、兄者の引き蘢り癖には程々飽きれていた。
週に一度外に出るか出ないか。最悪一ヶ月外に出なかった時もある。
対人関係は得意ではないが別に誰とも話せない訳でもないのに、何が兄者を家にいさせるのだろうか。
含み笑いも聞こえて来た。何がおかしくてそんなに笑っているのだろう。
いつもならここで無理矢理にでも理由を問いつめる所だが、生憎今は時間に追われている。
着替えを終え、既に準備を整えた鞄を持って部屋から出ようとした。
しかし、ドアの前で立ちふさがる兄者が邪魔で部屋から出られない。
今までパソコンにいるだろうと思っていたが、どうやら誤算だったらしい。
時間はあまりない。行き先を遮る兄者に俺は少なからず苛立ちを感じていた。
「急いでいると言ったんだが」
「いってきますのキスしてない」
「…普段していないだろう」
「弟者が寝てる時にはしてる。でも今日はしていない。アンダスタンド?」
「兄者の事情なんて聞いてられるか。いいから退け引き蘢り」
「だが断る」
眠っている時にしているだとか、是非とも問いつめたいことをさらりと言ってきた。
しかし今はそんな事すら霞むほど焦っている。
力関係では俺の方が断然上だ。兄者をはっ倒してそのまま進む事は簡単にできる。
しかし兄者は俺に抱きついて来て、思うように動けない。
ひ弱な腕だがこういう時だけは何故か力が強い。
腰に回された腕を離そうにも中々離れる気配がない。
そうしている内にも、授業開始の時間は刻々と迫っている。
振り払うより、実行に移した方が早いのかもしれない。
そう判断した俺は、少々どころかかなり抵抗を感じながら兄者の頬に唇を押し当てた。
キスだなんて甘いものではない。文字通り唇を当てただけの物だ。
しかし兄者には効果的だったようで、顔を緩ませると俺の唇にキスを一つ落として来た。
ただ触れ合っただけなのに胸が熱い。自分から兄者にするのと、してもらうのではこんな違う物なのか。
「…今回だけだぞ」
恥ずかしくて突き放したような返事をしてしまう。
けれど兄者の事だから、俺の発言が照れ隠しという事を知っているんだろう。
その証拠に、兄者変わらず嬉しそうに笑いながら俺を抱きしめている。
笑っているのは起きてからずっと変わっていないが、明らかに気味の悪い笑みとは違う。
心から嬉しくて、幸せそうな顔をしていた。
「勉学に励むがよい、可愛い弟よ」
「同じ大学の同じ学部の同じ学年の兄者には言われたくないな」
「…耳が痛い話だな」
「そう思うなら出席しろ。だから単位が足りなくて留年なぞするのだ」
現実的な話になると、兄者は視線を逸らして気まずそうな顔をした。
そんな顔をするくらいなら学校に行けばいいのに。
口には出さず、兄者の腕を振りほどくと早足で廊下を駆け抜けた。
もう朝飯を食べている時間はない。一直線で玄関まで行くと靴の踵を履き潰して外に出た。
「いってらっしゃい」
含み笑いの兄者の声を聞きながら、俺は学校へと走り出した。
結果を言ってしまえば、何とか受けるべき授業は受けられた。
朝食も食べ損ねた為、何でもいいから口に入れて空腹を満たしたかった。
午前の講義は終了したため、通常の昼休みより先に食堂に行く。
昼前とはいえ、それなりに人が集まっていた。
「おお、弟者」
学食のメニューを見ていると、友人の友者が呼ぶ声が聞こえた。
元々兄者の友人であるが、兄弟だからという事で後輩の俺に対しても気さくに話しかけてくれる。
最も、今は友人であった兄者も後輩になっているが。
「友者、久しぶりだな」
「そうだな。兄者の方はまーだ引き蘢りか」
「今更言うまでもないだろう」
今ここにはいない兄者の話をする。
一番の共通の話題が兄者である俺達は、必然とこの話題になってしまうのだ。
しかしそこは普段から奇妙な事をしている兄者だ。
この話題だけで半日は使えるのではないかと思うくらい、兄者にまつわる話は沢山あった。
「まぁ、詳しい話は飯でも食べながらしようか」
「そうだな」
「さて、何を食べようか…ん?」
メニューを見ていた友者の目が俺を捉えた。
正確には俺の身体を捉えたと言った方がいいのだろうか。目が身体に向けられている。
BLもいけるとは聞いていたが、ガチホモとは聞いていないぞ。
いぶかしげな目で見つめてくる友者の視線に耐えきれず、こちらから話を切り出した。
「何かあるのか?」
「いや…随分とお盛んな事だなぁと」
「…は?」
「あれ?気付いていないのか」
そう言うと、友者は自分の首筋を指差した。
そのジェスチャーの意味を理解した俺の背中を嫌な汗が流れる。
友者に指を指された首筋を押さえると、俺は友者を置いて食堂から出た。
向かう先はただ一つ、鏡がデフォで備え付けられているトイレだ。
「あのクソ兄者…!」
首筋に付けられた赤い痕は、これでもかという位はっきりと付いていた。
それだけではなく付けられた位置が悪い。
上着で隠しきれず、かつ他人からの視線にほぼ高確率で見られるという位置。
それも虫で付けられたという言い訳も出来かねない、明らかに人為的に付けられたような色をしていた。
兄者にキスマークをつけられるのは今に始まったことではない。
だが、人目につくようなつけられ方をされたのは初めてだった。
鏡の前で一人怒りと格闘しながら、ポケットに入れていた携帯を取り出す。
電話をかける相手はただ一人、この痕をつけた張本人だ。
『へいへーい、俺です』
数コールで出た兄者は間の抜けたような声で返事をする。
それが更に、俺を苛立たせる要因となった。
「暢気に言っている場合かこのクソ野郎…!」
『お、その様子だと気付いたみたいだな。意外と早かったなー』
きっと電話の向こうで、朝俺に向けたような気味の悪い笑みを浮かべているんだろう。
それどころじゃない俺は、声を荒げて続ける。
「アンタ、悪戯にしては質が悪いと思うんだが」
『悪戯なんかじゃないさ、俺はただ付けたかっただけ。暗くて付ける場所までは確認出来なかったしな』
「つ、付けられる側の事も考えろ!」
『へいへいスマンカッタ。ところでお前そんな大声出していいのか?』
兄者に言われて口元を押さえる。
人があまりいないトイレを選んだが、それでも大声を出せば外に漏れてしまうだろう。
「…トイレにいるんだ。流石にそれくらいの対処は出来てる。兄者と違ってな」
『ほう、流石俺の弟。お陰で特定出来た』
「は?」
何を言っているんだと思った瞬間、トイレに人が入って来た。
ドアを開けたのは、何日ぶりかに見る兄者の私服姿。
ささっとトイレに入ると、兄者は俺に抱きついて来た。
「特定しますた」
「…何しに来た。何故特定できた」
「授業受けに。お前が出た後、俺もすぐ出たんだ」
「今更出ても単位取り返せないだろ」
「今は補講という素晴らしいシステムがあってだな、それの申請も兼ねて来たんだ」
会話の合間合間にキスが振って来る。
振り払おうにも抱きしめられて満足に出来ない。
…満足に抵抗しない理由は、俺も心のどこかで兄者を許してしまっているからだろう。
「ちなみに特定出来たのは、たまたまここのトイレ付近を歩いていたからだ。偶然ってやつ」
「わかったから場所を考えろ、離せ」
「優秀な俺の弟が、人気のないトイレを選んでくれたから問題ない」
異議有りを出す前に個室に押し込められた。
鍵をかけ、蓋をしている洋式便所の上に座らされ、身動きが取れない。
次いで兄者にキスをされる。今度はさっきと違ってもっと深いキスだ。
気持ちが良くて抵抗を忘れてしまう。このままだと流されてしまうのに止められない。
キスをしながら兄者が俺のシャツに手をかける。器用に片手でボタンを外して、胸がはだけられた。
首筋を舌が這い、胸を撫でられればもう俺は何も出来ない。
俺の弱い所を知り尽くした兄者の手に掛かれば、俺を黙らせることくらい簡単なことなんだ。
「弟者、キスマーク付けていい?」
耳を舐められながら聞かれた言葉は、いつもより低い声で身体がぞくぞく震える。
意識がまだそちらに向いていない俺は首を横に振って拒否をした。
「いいじゃん。今度は目立たない場所に付けるから」
拒否をした意味は何だったんだろうか。こいつ人の話をちゃんと聞いているのか。
兄者は俺のズボン下着ごとを下ろし、股を広げ、太腿に唇を這わせた。
いつもはしない行動に身体が興奮している。兄者の行動に視線が釘付けになり、目が離せない。
股間に近いところで兄者の唇が止まる。かと思うと太腿から血を吸われるような感覚が襲って来た。
ちぅと聞こえる音が更に行為に火をつける。
その音にすらしっかり反応している俺のモノは、兄者の近くで少しずつ頭を持ち上げていた。
「ん、これでいいだろ」
唇を離し、遠目からでも分かる程濃く付けられた痕を見て兄者はニヤリと笑った。
「良い訳あるかこの変態…!」
「の割には全然抵抗もしないしこっちもしっかり反応してる訳ですが?」
亀頭を指でつついた兄者は、下から俺を見上げる。
挑発的という言葉が実に良く似合う視線に、俺は言おうとした文句を飲み込んだ。
「そういう顔、すげー好きだ」
涙目になって、きっと顔も信じられない位赤い俺の顔を見て兄者は満足気に笑う。
俺自身の根元から先まで舐め上げ、そのまま兄者の口内へ収まる一連の動作。
俺は耐えきれず、慌てて兄者の頭を押しのけようとする。
しかし分が悪い。兄者に吸われてしまっては残っていた力すらも抜けていってしまう。
下部から聞こえる水音がいつも以上に響いて聞こえるのはトイレの反響音のせいだ。
野外。校内。いつ誰に見られるかもわからない行為を兄と行っている。
そのシチュエーションがより一層俺を興奮させた。
「兄者、ほんと。止めろって」
絞り出すように出した声は涙声そのものだった。
顔どころか全身熱くて堪らないし、頬から流れる涙で顔はぐしゃぐしゃになっているだろう。
それでも快楽に溺れないよう理性を保ち、甘い声を漏らさないように下唇を噛み締める。
そんな俺におかまいなく、兄者は時々俺を見上げながら楽しそうに笑っていた。
「我慢出来ないんじゃないのか?」
「我慢出来ない状況を、つくったのは、どこの誰だと……」
文句の弁は途中で切り上げられる。
先ほどより兄者が俺のを舐める動作を激しくしてきたからだ。
予想外の行動に思わず大きな声をあげてしまう。
いつもの声じゃない、兄者の下でしか出さない声がトイレ内に響いた。
「ばっ…か、も、いいから。放せ……」
「んー……。いいよ、出しちまえよ」
「んなとこで、出来るわけないだろ…!」
しかし身体は正直だ。
俺の良いところを知り尽くした兄者の舌技によって、既に射精感が全身に駆け抜けていた。
それを抑える術を知らない俺が兄者の口内へ自らの精を吐き出すのに時間はかからない。
快楽に耐えきれず、情けない声を出しながら俺は一人達した。
言わば賢者タイムともいえる倦怠感に身を任せている俺の下で、兄者は俺の精を飲み込もうとしていた。
この世界が二次元BL界ならいとも簡単に飲み干し、勝ち誇った視線を俺に向けてくるのだろう。
だがヘタレの兄者にそんな事出来るはずもなく、俺は黙ってトイレットペーパーを差し出した。
「毎度毎度よく頑張るな、この変態」
「にげぇ……飲める訳ねーよ、マジ鬼畜弟者」
「誰が強要した。勝手にアンタがやったんだろうが」
ついでに飲みきれず唇の端に零れたものも拭う。
こちらとしては暢気に顔を拭いていないで、さっさと退いてほしいというのが本音だ。
スボンも下着も兄者が所持していて、俺は未だ下半身を晒したまま開脚中だった。
けれど兄者は退かない。それどころか先ほど付けたキスマークを誇らしげに眺めていた。
「流石だよな俺、綺麗にくっきりついている」
「流石だな兄者、ネット弁慶に留まらず俺にも弁慶っぷりを発揮しやがって」
賢者タイムも終わりを迎えている。そろそろ現状の格好に羞恥心が沸き上がってきた。
兄者の顔を踏みつけるように、退けという意思を示すと兄者は簡単に立ち上がって個室から出て行った。
それもご丁寧に俺のズボンとパンツも渡してきた。
また悪戯の一つや二つ仕掛けるだろうと思っていた俺は一人肩すかしを食らっていた。
何も言わずに衣服を整えていると、反響した兄者の声がドアの向こう側から聞こえてきた。
「なぁ、弟者」
「何だ」
「俺は思うんだ、恋愛は一種の支配欲のようなものじゃないかってな」
いきなり何を言い出すかと思ったが、いつにも増して真剣な物言いに、黙って耳を傾ける事にする。
「正直俺はお前に学校などいかずに俺と一緒に引き蘢ってほしいと思っている」
「だが断る。…が、何故そう思う?」
「お前を独り占めしたいからだ」
「ガキの思考だな」
「ああ、ガキの思考だ。だが俺はそんな思考に捕われてしまう位お前が好きだ」
衣服を整え終えた後も俺は個室から出なかった。
ドアに背を預け、壁越しの会話を続ける。
「しかし現実問題お前と引き蘢るのは無理だとわかっている」
「母者がいるから?」
「母者がいるから」
まあ、その母者のお陰で本当の引き篭もりにならずまっとうな人生を送れているのは間違いない話ではあるが。
「だがお前には俺以上に中の良い友達がいっぱいいるだろう?俺にはそれが堪え難い」
「何故だ」
「友達から恋人同士に発展するパターンもある、最初から恋人狙いで友達をするパターンもあるだろう」
「二次元の世界と三次元をごっちゃにするのは間違っているぞ」
「逆だ、三次元であり得るからこそ二次元に反映されるのだ」
何となく、兄者の言いたい事が分かってきた。
兄者の言う『独占欲』というのは、簡単に言えば『嫉妬』だろう。
直感的にそう思った俺は、その事をすぐ口にした。
「…嫉妬なんて誰だって抱く感情じゃないか?」
「残念だが嫉妬じゃない。俺がネットだけじゃなくリアルでも見えない敵と戦っているとでも思っているのか?」
「違うのか?」
「弟者たんおにいちゃん凹んじゃう……」
「回りくどいな。言いたい事があるならはっきり言え」
外れた直感以外に兄者が言わんとしていることが掴めない。
そろそろ壁越しの会話も面倒になってきたので、個室から出る事にした。
人が来ないようにだろうか、兄者はトイレのドアに背を預けて立っていた。
これでいきなりドアが空いて兄者が転んだら、なんて事を考えてみたり。
「主張したいんだ」
「何をだ」
「弟者君には誰か分からないけどキスマークをつけられるくらい親密な相手がいるっている主張だ」
兄者の視線が首筋のキスマークに向けられているのが分かる。
顔が熱っぽくなるのを感じながら、俺はキスマークを手で覆い隠した。
「兄弟で、男同士で、付き合ってまーすなんて言える訳ないだろう?」
「そりゃあな」
「友人間で恋愛話に花が咲いたとしても、余計な詮索をされたくないから彼女いない暦=年齢にするだろう?」
「当たり前だ…つーか彼女いない暦=年齢は余計だ…」
「俺はそれが嫌だ。隠す事は仕方ないと思うが、それによって弟者を狙う敵が増えるのは嫌なんだ」
兄者がこちらへ近づいてくる。
狭いトイレじゃ他に逃げ場もない。
気がつけば俺は壁に追いやられていて、真正面ど真ん中に兄者が立っていた。
「例えば」
兄者の右手が俺の頬に触れる。
撫でるように手を滑り込ませると、そのまま顎を持ち上げて無理矢理視線を合わせられた。
近づく兄者の顔に何をされるのか分かった俺は、反射的に目を閉じた。
だが、やってくるであろう口づけは一向に来ない。
どういう事かと瞼を開ければ、変わらず俺を見ている兄者がいた。
「キスをする時、必ず目を閉じるよな」
「そりゃあそうだろ……まさかアンタは閉じないのか?」
「閉じないが?」
「おま……いや、なんでもない…」
文句を言おうと思ったが、ネジが一本どころか十本近く緩んでいる兄者に言っても無駄だと思い言うのをやめた。
次いで兄者は俺の首筋に下を這わせる。
正面には現実とを結ぶドアがある状況下にも関わらず、俺は興奮していた。
時折音を立てて舐める動作が、より俺をその気にさせた。
「…っ」
「またしたくなったのか?」
「アンタのせいだろう…」
「興味ないフリして実は期待しているエロさも良いな」
首筋に軽い痛みが走る。
昨晩されたように、先ほどされたように、また一つ俺の身体にキスマークがつけられた。
詳しい位置は特定出来ないが、服に隠れる範囲内につけられたのは理解出来た。
「そういう顔も反応も、俺にしか見せなければ良い」
耳元で囁かれた声は、行為の時にしか出さない低い声だ。
「他の奴に渡したくない。相手が男だろうが女だろうが、唾をつけられる事すら許しがたい」
「だから、アンタは俺にキスマークをつけるし、この感情を独占欲と言うのか?」
「そうだ」
ガキだと思う。
まるでお気に入りのおもちゃを誰かが触ったりするだけでも怒るガキのようだ。
けれどそんなガキを好きになったのは俺だし、こんな事を言われて嬉しいと思っているのも俺な訳で。
「…馬鹿だよな俺ら」
「何だ、俺はいつだって天才的な発想構想空想をだな」
「妄想乙。いい加減退け。いつまでもここで乳繰りあってる暇はない」
兄者の胸を押しのけ、距離をとる。
若干名残惜しそうな顔をしたが、こんな馬鹿にも常識というものは存在している。
仕方ない、と呟いて兄者は俺に背を向けた。
「しかしチチクリって中々久々に聞いた言葉だな。弟者卑猥」
「校内で盛るアンタよりはましだ」
くだらない事を言い合いながら二人揃ってトイレから出ようとする。
すると、ドアを開けようとした兄者より早く向こう側からドアを開ける人物がいた。
その人物に気づかない兄者は、絵に描いたようにドアに額をぶつけ、その場に踞った。
転ぶ事はなかったが、予想が微妙に当たった事に吹きそうになる。
「あれ、弟者じゃん」
「友者」
「お、珍しい兄者もいるのか」
「おま…普通俺だろ先に気づくのは………」
痛みで動けない兄者を尻目に、友者は再び俺の首筋を指差した。
「弟者、早速噂になってたぞ。彼女いない暦=年齢の弟者君が童貞卒業したって」
厳密にはまだ童貞のままだというのは秘密にしておこう。
「……そうだな、そろそろ彼女いない暦=年齢を撤回しにいくか」
「へええぇぇ、撤回しちゃうんだ?」
そう言う友者の視線は兄者を見ていた。
無論友者に俺たちの事は言っていないはずだが、何となく察しているというやつなんだろうか。
「ああ、そうでもしないと嫉妬し続けるガキがいるからな」
ニヤニヤしながら友者が俺と兄者を交互に見ている。やっぱり気づいているじゃないかコイツ。
相変わらず踞ったままの兄者だが、微かに嬉しそうな表情を浮かべたのを俺は見逃さなかった。
心で示しても満足しない、独占欲丸出しのガキみたいな恋人の背中を軽く小突く。
俺は兄者の所有の証を指でなぞりながら、秘密の恋人のことをなんと言おうか思案することにしたのだった。
投下終了です
投下数計算ミスっていました、すみません
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 正直本編とは関係のない
| 余計な会話が多かったと思うのは間違いじゃないわ
|
\ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄| 話の脱線は仕様なのじゃ!
\
____________  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ | /(∞))∧
| | | | (´<_` ∬
| | □ STOP. | | ∬ヽ__ノ∬ ) 〃'´⌒` ヽ
| | | | ピッ (:::::::::ノ::|:`{ 〈((リノ )))i iヽ
| | | | ◇⊂ }=、-::}、i!、{ 从・∀・ノ!リ人
| | | | .、-"~''"ーヽ ヽ⊂)丕i(つヽ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―//!/!!/!!i!l|!i、:ヽノ: 0/0|j_ ゝ____|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ありがとうございました
- 萌えますぅξ('A`*ξ -- 2011-06-29 (水) 22:29:11
- いいよね・・・流石兄弟は実にイイ。 -- ・名無し? 2011-07-03 (日) 19:10:54
- 流石だな -- 2011-09-24 (土) 22:30:44
このページのURL: