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玩具屋②

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
オリジナル(ボス←先輩)

その昔、故・会長は弟さんに「俺は最強のバイブをつくる。お前は最強のオナホをつくれ」と言い、
夜用メンズ玩具の工房、城東製作所(kitou Factory Company, Limited)を立ち上げた。
最強のオナホを突いても、決して虚しくならないバイブ。俺は、そんな最強のバイブが作りたくて、城東製作所の職人になった。
まさか、こころざし半ばで自分が他界するなんて思ってなくて、
死んだ直後は、意識が混濁してたし、いくつもの手が乗れ乗れって背中を押すから、舟に乗り込んで向こう岸に渡ってしまって
気がつけばサンなんとかの川を越えていた。ありえねーと思ったけど、
盆に親族が迎えの馬を寄越すまで帰れないって、一緒に川を渡った人に聞かされた。
俺、ガチでみなしごだったから、親族とかいないし、サンタみたく馬もこねーかもなって凹んだ。

盆が来て、よそ様のどう見ても胡瓜な迎え馬が次々とやって来た。馬どもが競馬場みたく鼻先並べてるのを人ごとの目で眺めてたら、もろバイブな馬が俺の前でいなないた。
真っ赤で、超かっこいい馬だった。直感で工房からの迎えだってわかった。
何て言うか、身内こそいねーけど工房から迎えが来たのが、とにかくもう嬉しくて、いそいそ跨がった瞬間、
赤い馬はピストン運動をはじめた。あぁッ……、この馬、ボスのお手製バイブの化身だ。間違いねぇ。
「バイブのキモはピストン」。ボスはいつも、そう言ってた。死んでからは、そこそこ清く正しい生活をしてたから、久しぶりの刺激はたまらなかった。
バイブは、普通のセックスより動きのロスがない。
気持ち良さに翻弄された。イキまくってるうちに工房着。うちの馬は、よその馬より3倍近く速かった。
帰省中、たぶん、俺はいわゆるゴーストで、ボスも後輩も、俺のことが見えてなかったし、声も聞こえちゃいなかった。
それでも盆休みは楽しくて、「盆明け」だからって、16日の夕方に霊を帰す送り火とかいう火を焚かれた時、煙りが目にしみて泣けてきた。

まだ、帰りたくなかった。ずっとこの世にいたい。だって俺、まだ最強のバイブをつくってねーよ。
ボスは盆休み返上で、彼岸過ぎ迄に納品しなければいけない、AC電源で力強いピストン運動をする新型マシンの製作に励んでた。
後輩は、前立腺サーチ機能を搭載したバイブづくりに燃えていた。羨ましくてたまらない。
生前、俺はアナル初心者も気持ちよくなれる、ゆったりとしたストロークのロマンス・バイブを探求してた。
この世にはバイブでしか味わえない快感がまだまだあるはずなのに、俺はバイブを極めることがもうできない。
動きはなめらかで、スロー。だけどちゃんと刺激的なバイブを作りたかった。
道を踏み外しちゃった男たちだけが味わえる、射精より気持ちいいフィニッシュに、
もっともっと貢献したかった。前立腺も中の奥もとろける、官能ライフをアシストするバイブを作りたかった。
俺が思う最強のバイブは、ただスカッとするだけじゃない、余韻が長く残る、心慰められるようなバイブだ。そんなバイブを俺はつくれるって思ってた。
バイブづくりも、アナルでオナニーするのも、本当マジで好きだった。もっとエロくなりたいし、エロい玩具をつくりたかった。
もーね、この世に未練たらたら。成仏なんて、できねーし、したくねーよ。
それにまだ、ボスに確かめたい事だってあるんだぜ。

なぁ、ボス?工房で徹夜してた時、俺が睡魔に負けてうたた寝してたら、あんたキスしたよな?
目ぇ閉じて寝たふりしてたけど、わかったぜ。あれは絶対にキスだった。フェチなのか、あえて唇をさけたのか、
ジンチュウっていうんだっけ? 唇の上で鼻の下の、溝? みたいなアソコにキス落としやがったよな。
俺はバイブのサンプルができたら、具合を調べるのに、ボスや後輩がいても平気で股開いて挿入したりしてたから、
ボスには、後ろの孔も俺のジュニアも、ジュニアが気持ち良くて濡れちゃってるのも、日常的に見られてたのに、
寝顔を見られてたかもしれないのが、すげー恥ずかしかった。
ジンチュウにキスされたのも超ドキドキしたんだ。俺はただの、アナルバイブ好きで、男好きじゃないから、
キスされた瞬間、バイブで遊んで喘いでいる時みたく先端がうるんだのは、絶対にあんたのせいだよ。
あんたは、金ない時にメシ食わせてくれたり、煮詰まってる時にアドバイスくれたり、
太過ぎるバイブを試して孔を痛めた時、指の腹で優しく薬を塗ってくれた。黄色い軟膏をたっぷり馴染ませてくれたの覚えてる。
俺、あの晩、差し込まれたあんたの指に感じてた。ジンジンしてたんだぜ。
背高のとことか、エロそうな垂れ目の優男面も嫌いじゃねーよ。
男にキスされて感じたのは、あんただからなんだ。なあ、あのキス、何だったんだよ。
死んでから思い知ったぜ。俺、あんたが好きだ。皆で温泉行ったとき見たあんたの持ち物は、
俺がつくるバイブより細いし短小だし、持ちだって遥かに悪いと思うんだ。だけど、突かれたかった。あんたを、くわえ込んでみたかったです。
送り火が燃えてる。帰りたくねーよ。だけど、ローターめいた送り牛が俺を促すんだ。嗚呼、お別れだ。俺は透けた手で工房の皆に手を振った。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


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