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兎→虎3

アニメ虎&兎の兎→虎です
10話あたりまでのお話です。
エロコラネタは受スレより拝借。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

この感情がなんなのかわからない。
変わった事と言えば、おじさんに自分の話を聞いてほしくなったという点だ。
マーべリックさん達以外の第三者に話す日が来るなんて思わなかった。
ちょっと前まで考えた事も無い、むしろ拒絶していた事だったのに。
今まで集めたたくさんの資料を見せたりもした。
おじさんに知ってもらうと不思議と心が軽くなる気がして、なんだか昨日も喋りすぎた気がする。

この間、おじさんに娘が居るとか奥さんが亡くなっているとか驚くような話を聞いた。
指輪をしているから結婚しているのかなとは思っていたけれど…
単純なおじさんの事はほとんどわかっているつもりでいたのに、
そんな根本的な事を知らないという事に驚いた。
おかしいな…なんだか腑に落ちない。
どうも納得がいかなくておじさんを目で追うようになった。
毎日顔を合わせてずっと見ていても、やはりよくわからない。
「ぁ、バニー?なんかさ…なんかお前、すっごいこっち、見てない?」
「見ていますけど、それが何か?」
「いや、何か?って、気になるだろぉ!!なんなんだよ一体!」
「観察しているだけなんで、あなたは普段通り過ごしていただければ結構ですよ。」
「観察ぅ?!日記でもつけてんのかぁ?」
露骨に変わる表情、抑揚のある話し方。
雑な事務作業といい加減な作業日報。
この人はヒーローとしての仕事の時以外は本当にいい加減だ。
まぁヒーローの時もいい加減…といえばいい加減だけど。
感情に素直で剥きだしで、まるで子供だ。
やっぱり単純でわかりやすい。気のせいか…?

「タイガー、バーナビー。これ、今日のファンレター。バーナビーまた増えてるわよ!」
事務の女性が段ボールを抱えてきた。
「重い物を持たせてしまってすいません。言って下されば僕が取りに…」
「いいのよこのくらい。タイガーのは1通しかないから軽いし大丈夫よ。」
「ありがとうございます。今度からは僕に任せて下さい。」
「あら気がきくわね。ありがとうバーナビー。はい、タイガー。」
「んあー」
僕の前に色取り取りのかわいい封筒のファンレターがいっぱい入った段ボールが置かれる。
おじさんの前には無機質な定型外の茶封筒が一通。
「ぐ…またこいつか…」
おじさんの顔色が変わる。そういえば、似たような封筒を受け取っているのを以前見た気がする。
ファンレター事態が滅多に届かないから覚えていた。
それにしてもおじさんあての手紙なんて、何が書いてあるのか気になってしまう。
なのに、一向に開けようとしない。
「読まないんですか?」
「んー…まぁな。バニーちゃんこそ。そんだけあったら早く読まないと明日になっちゃうぞ~」
あれ…これって話を逸らしたのか?
そういえばこの人、よくこういう風に話をすり替えている気がする。
…僕とした事が今まで気付かなかったなんて…
おかしい。
それどころか、言いながら封筒を机にしまってしまった。
絶対におかしい。
「気になるんですけど。」
「へ?」
「気になります。おじさんのファンレター。」
「な、なんで?」
「気になるんです。何が書いてあるのか」
「いっ今まで気にした事無かったろぉ!俺のよりそのいーーっぱいあるファンレターの方がたっくさん楽しい事書いてあるぞぉ?
 ほらっこれなんか絶対かわいい女の子からだろ!よかったなぁーバニーちゃん!」

段ボールから一際ファンシーな封筒を手に取りぶんぶんと振る。もうその手には乗りません。
「僕はかわいい女の子より今はあなたの方が気になるんです。」
「へぇっ??!」
おじさんがなんだか目を白黒させている隙に手を伸ばして引き出しを開け封筒を奪う。
「だっ!!ちょっ!待てバニー!!」
おじさんが机に乗り上げて僕の方へ来た。そんなに嫌なのか。ますます気になる。
「ちょっとタイガー!子供じゃないんだから!!」
「返せ!俺のファンレターだぞ!!」
「おじさんが隠すのが悪いんですよ。」
肘でおじさんの顔を押しながら封筒を開ける。
中から手紙と、一枚の印刷物が出てきた。
「やめろっ!!見んなって!!」
「『ワイルドタイガー様 相変わらず僕はあなたが好きです』……男性の名前ですね」
「っだぁああああああああ」
「…!」
印刷物を見て、絶句した。
「見るなって言ってるだろお!!」
呆然としていたらおじさんに取り返された。
「おじさん…今の…」
「ぁあっ忘れろ!」
忘れられるわけがない。
そこに映っていたのは、あられもない姿のおじさんだった。
元の写真は見た事がある。
確か昔ワイルドタイガーの旧スーツがビリビリに破れた時があった。
敵によってではなく、崖から滑り落ちたか何かの自損事故だ。
翌日の新聞はこぞってそれを笑いの記事にしていた記憶がある。
もっとも、僕が見たいのはそんな記事ではなく、わずかでも手がかりになるような犯罪者の記事だったから、邪魔でしか無かったけれど。
その写真がCGで合成され、色々足してあり…とても卑猥な物になっていた。

…強烈だな…
「送り主は男性…でしたよね?」
「ああああーーー忘れろっ忘れろっ」
「何度か貰ってますよね?いつもこんな感じなんですか?詳しく話してください。」
「う…いいじゃんおじさんの事なんて気にすんなよバニー」
「おじさんの事が気になるのは僕の勝手ですよ。とやかく言わないでください。」
「あんたたち!そろそろトレーニングの時間よ。」
「あっそう?!トレーニングの時間だって!!おじさん先行ってるぅーー!!」
「ちょっと、どうせトレーニングなんてしないくせに逃げないでください!」
封筒を持ったままトレーニングルームに向かうおじさんを追いかける。
脚で僕に勝てるわけないのに。
階段を駆け上るおじさんを捕まえようと手を伸ばした途端、足を滑らせたおじさんが落ちてきた。
ちょうど伸ばしていた腕でダイレクトに支える。
「……何度お姫様抱っこさせたら気が済むんです?まったく。まさかあなたが僕のお姫様なんですか?」
「!…ぅるせぇよ…降ろせっ」
おじさんの頬が赤くなる。嫌味が効いたみたいだ。
「おじさんが逃げるからいけないんですよ。」
「お前が追いかけるからだろうが!いいから降ろせよっ」
「逃げませんか?」
「逃げてねぇよ。走るだけだ」
「じゃあ降ろしてあげません。早く詳しく話してください。」
「だっ!!」
トレーニングルームまでそのまま歩く。おじさんが足をばたつかせた所で、僕にとってはいい運動です。
しっかり封筒を抱きしめたままもう二度と見せないという態度だ。
「お前なぁ…誰にだって、話したくない事の一つや二つあるんだぞ。」

僕は話したのに。話したくない事を話したのに。
あれ、なんで話したいと思ったんだろう…
「…おいバニー?聞いてんのか?」
おじさんだから
この人なら
そう思っている?
「…おーい…無言で見降ろされてもアレだぞ…ぁーあと、とりあえず早くトレーニングルームに行こうぜ!
 あとできれば降ろしてほしい!!」
おじさんの茶色の目がキョロキョロする。
この人はなんなんだろう。
なんで僕はこの人に自分を知ってもらいたくて、この人の事をなんでも知りたいと思うんだろう。
「あなたはなんなんですか?」
「やっぱり俺のお願いとか聞いてないよねー…あーそう…」
おじさんは不思議だ。
この人は一体、僕の…何?

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

兎はあの顔で王子様キャラを装っているにもかかわらず、こういう事に関しては
自分がとんでもない行動でとんでもない言葉を口走っていると気付いていない
新ジャンル『無自覚スーパー攻め様』だと思っております。


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