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ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×弱気吸血鬼5

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )名付け編です。

男の場合は苗字があるが、苗字はいらないから名前だけほしいと伝えると、バルドはしばらく天井を眺めた。木の天井が見える。
そのあと窓の外に目をやり、桜が満開なのを見て思いついた。
夜桜というものは暗闇に白く映えてとても美しく、それとヴァンパイアはよく似ている。
暗闇によく映える白い肌に、赤い眼。
「夜桜」
「え?」
「こう、漢字でただな…こう書くんだ。読み方は『よざくら』。今どき全国の文字の読み書きができないと人間と一緒に暮らせないぞ。で、だ、女みたいな名前だな、いや?」
すらすらと、そばに置いていた羽ペンにインクをつけて、手元にあった和紙に漢字を書いていく。
夜桜と名付けられたヴァンパイアにとって、全く理解できないし、読むことすらできない文字であるが、なんとなく、その形が綺麗なものに映った。
「全然。じゃあこれからそう呼んでほしい」
そこでバルドはにっこりと笑った。
「おー、よく似合う名前だ。気の弱いお前には儚い桜の名前はぴったりだな」
「桜って儚いのか。いつまでも咲いているわけではないのか?」
それを聞いて、ぷぷぷと笑いだすバルド。何か変なことでもいったか、と戸惑う夜桜に、バルドは続けた。

「お前本当に世界のこと知らないんだ、桜はすぐに散るんだよ。だから美しいんだ。だけどまあ、お前にはすぐに散ってほしくないなー」
またもぐりぐりと頭をなでてきた。
お前にはすぐに散ってほしくない、という言葉が妙に嬉しい。
すぐ顔に出る夜桜は、軽く腕で顔を覆い隠した。
その下に見えるのは、少々赤くなった整った顔立ち。
 それでもバルドは夜桜の頭をなでづけた。
「だってお前、素直に言うと可愛い。邪気なんてほとんどないし、そりゃ人殺しはだいぶしたみたいだけど、そのせいで憂鬱になってたんだろ?嫌々人を殺すヴァンパイアもおかしいおかしい」
(馬鹿にされている気がしないでもない)
だが、この男もまた憎めなかった。お互い変わり者同士、うまくやっていけそうな気がする。
「っと、もうこんな時間か」
懐中時計を取り出し、眠気を感じたので、バルドは時間を確認する。
時間は三時半だった。
眠くもなる時間だ。
「俺さー、一か月くらいここで滞在しようと思うんだ」
一つあくびをすると、布団にもぐりこんだ。

「冒険に出ないのか」
「あー、なんか討伐とか退治とかいろいろやってたら金が有り余るほどたまって。それにお前がいるし?寂しがり屋の夜桜を放っておくことできないじゃない?」
「さ、寂しがり屋」
「一カ月したら、あのレインのようにローブ羽織って行け。ガルズヘイムの魔法使いくらいには見えるかもしれない」
その言葉が意味するのは、家に置いていかないで、冒険者としてついて来いということだった。
「じゃあ灯籠消すからお前も寝れ」
「起きたばかりだというに」
「仕方ないな。そうして三日も話にきてるもんな」
何か考えたそぶりをすると、布団をめくりあげる。
バルドは両手広げて、にっこり笑った。
「添い寝してやろうか?今度は俺の小さい頃の話でもしてやるよ、そのうち眠っちまうけど」
どうせ来ないと思ってからかうつもりでやってみたが、相手の反応は違うことだった。
「…添い寝…」
それだけ言うと、夜桜はもそもそとその腕の中におさまってきた。
意外に身長高いと思っていたが、腕の中にすっぽり収まる。
バルドの身長は百八十五くらいはあるが、夜桜は百七十五くらいだ。体格差もあって、ずいぶん小さく見えた。

思わずバルドも口元が緩む。
 それにしても、どれだけ寂しがり屋なのか。
一体何年生きてきてこうなったのかはわからないが、人が恋しいというあたり、相当孤独に耐えてきたのだろう。
「添い寝とか。一緒に暮らすとか。話すとか。憧れていた。人間は冷血だという仲間もいたけれど、温かい。
仲間のほうが冷血なのが多い」
「お前そんな素直だと変な人間さんに食われちゃうぞ。主に俺とかに」
「?食うとは?人間は血を吸わないのに」
そう切り返されて、言葉に詰まる。
十八禁な発言をしかけたが、やめてうやむやにした。
見つめる瞳の無垢なこと無垢なこと。
「バルドの昔話は?」
「ああ、そうそう。俺は生まれも育ちもほとんどガルズヘイムなの。ただ、祖父が日倭だったから日倭が好きで、
初めて冒険者として日倭の都市に立ち寄った時はさすがにびっくりしたな。ま、ガルズヘイムでも日倭人は沢山見たけど、
日倭と、あと長唐の人間はかなり浮いていたよ。この世界に長唐はないからそのせいだけど」
何度か頷いてるのが感触でわかる。軽く抱きしめてやると、しがみついてきた。

「あー、それで、冒険者デビューして数年たったころね。俺、すげーモテるのね。驚いたね、宿に泊ってると男女問わず訪ねてきて、
もう有名になった頃には、いい加減寝かせてくれと思ったほどだ。たぶんモテるのは祖父がそう言う体質だったからだけど、
祖父は男に興味ないからって同性からの告白は受け入れてなかったんだと。俺その逆。別に男でも行けるし。男役でのみなら。
好みのやつなら誰とでも寝たよ。ぶっちゃけバイだ。だからさ、夜桜」
「ん」
夜桜はすでに眠くなりかけている。
人間の心臓音が心地いいらしく、話もちゃんと聞いてるが、うとうとして目をつむったまま聞いていた。
「お前も気をつけろよ。主に俺とかに」
一瞬びく、と震えたような気がしたが、すぐに元の位置にとどまる。
「そういう意味か。襲ってきたら鈍器で今度こそ私のほうから殴りつける」
相当タコ殴りにされたことを根に持っているのか、鈍器でと言い出した。
普段のヴァンパイアといえば素手で長い爪による攻撃か、魔法のどちらかのパターンになる。
これでも夜桜はヴァンパイア。素手で十分痛い。
鈍器なんかで襲われたら相当痛い目に会うはずだ。
転がっているストーンクラブで殴られたら、死ねないのに延々と殴られ続けて苦しい羽目に陥りそうだ。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )続きます。長くてすみません…。

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