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兎→虎

虎&兎の兎→虎です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

夢を見た。

小さな僕が、あの男をナイフで刺して殺した。

微かな喜びと、壮絶な絶望

あぁ、僕には

僕には幸せな未来なんか、どこにも無いんじゃないか。

いつも無茶をして飛び出して
物を壊して僕の計画を台無しにして
考え無しに動いては足を引っ張って
余計なお節介で人の心に土足で踏み込んで
あなたとコンビなんて組みたくなかった。
目を閉じれば瞼に浮かぶあの悪夢の、その登場人物への憎悪
全身の血が沸き立つような怒りに我を忘れた。
僕はずっと両親を殺した人間を殺す事だけを目的に生きてきたんだ。
いつもナイフを持っていた。
人一倍勉強して、人一倍鍛えて、持って生まれた能力を活かしてヒーローになった。
極力他人と関わらないように、誰にも邪魔されないように。
毎日情報を求めて歩いた。
全ては「ウロボロス」をこの手で葬るため。
その為だけだ。
僕にはそれ以外何も無かった。

むしろ、殺す事だけを生きる糧にしていたのかもしれない。
あの男がウロボロスに関する人物だったなら
あの男をこの手で殺す事ができたなら
少しは…
どれほどの思いで探してきたと思っているんだ。
何年何十年、それだけの為に生きてきたと思っているんだ。
全てを捨てて、全てをかけて。
冗談じゃない
なのになんでだろう。
「あぁ…バニー」
「…はい?」
「手形野郎がウロボロスじゃないってはっきりして良かったな…。」
いいわけない。
いいわけがない、のに。
よくわからない感情が胸に広がって締め付けられた。
なんでこんな気持ちになるんだろう。
「いや…よくねぇか…」
おじさんを乗せた救急車が走り去る。
なんで、僕の事なんか…
あなたには何度もひどい事を言ったはずだ。
あなたの優しい言葉を跳ねのけた。
あなたを散々バカにした。
「無理をしないでください」そう言ってきたのは僕の方だったはずだ。
頭に血が上った僕の攻撃はあいつには一切当たらなかった。…当然だ。
我を忘れた僕の目に飛び込んできたのは
僕をかばって攻撃を受けたおじさんの背中だった。

どうして僕の事なんて。
いつも鬱陶しいくらい元気なのに痛そうにしないでください。
僕のせいで怪我なんかしないでください。
心のどこかでは分かっていた。
幸せなんて二度と来ないという事。
だけど僕にはそれしかないんだ。
僕には関わらない方がいいんだ。
だから…突き放しているのに。
何を言ったって何をしたって、何故あなたは僕の傍を離れないんですか。
僕の傍を離れずに、身を呈して僕を止めた。
もう二度とあんな辛い気持ちにはなりたくない。
人と関わらなければ、そんな感情を持たなければ…
無鉄砲で無防備で、他人のために命をかけてしまうような危なっかしい人。
ウロボロスに向けて構えている僕のナイフを、握りしめてくるような人…。

焼け焦げて千切れたおじさんのタスキを拾い上げる。
僕をかばって千切れたタスキに残るその文字は

”Let’s believe”

この気持ちをなんていうんだろう。
なんていうんだろう。
僕にはわからない。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

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最初は俺にしていた箇所もあるのですが、どうにも文才が無いせいで
書きわけができず、結局全部僕に統一しています。


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