山田孝之×玉山鉄ニ
更新日: 2013-02-05 (火) 03:40:26
一応ナマモノ。ymd×t兄(俳優)のつもりです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
眠らなくても動く脳味噌とか食わなくても平気な腹とか、そういうのが欲しい。
眠る時間がもったいなくて、けれど特にする事もなくてただぼんやりと夜を明かしてドロドロに溶ける脳味噌は厄介だ。
何食べようとか考えるのが面倒で何も食わないでいたら、立ちくらみで世界が真っ暗に滲んだ。
カプセル一つで腹が膨れたりとか眠らなくても済む機械の体とかが欲しい。そろそろ未来、来ねぇかな。遅れてるよ、21世紀。
ぐったりとソファーに倒れこんで、このまま死にたい、と思ってもない事を口に出してみる。
……いや、まぁ死にたくはねぇなぁ。何か辛い事でもあったっけ俺?と思いを巡らせてみても、特に何も思い出せなかった。
生きていると辛い事ばかりが降りかかるような気がするけれど、よくよく考えてみるとそのどれもこれもが大した事ではないように思える。
本当に辛い事なんて数える程しかなくて、俺はまだそれが思いつかない。
真実、俺を殺す悲惨な出来事。大抵の事なら、何があっても生きていける。随分と丈夫に育ってしまったので、大体は生きていけた。
けれど、いつか俺を殺すのはこの倦怠感なのかもしれない。心がね、ちょっとナイーブなのよ。
でもまぁ、今のところ死にたくなんてないから死なない。死にそうもないから死なない。さて、本当に俺は何か辛い事でもあったのだろうか。
携帯の震える鈍い音が聞こえて、さっき床に落とした携帯を手探りで掴んだ。
ディスプレイをに表示された名前を見て、数秒迷ってから電話に出る。
『なにしてんの?』
死にかけてるよ。
しばらく会っていない兄貴は、そういう探るような言葉でもって俺を誘い出す算段らしかった。
何と返したって、次に続く言葉はどうせ、「来いよ」とか、「来てよ」とか、なんとか。
外に出るのはメンドイな。かといって家に来られてもメンドイな。
これは愛してるとか愛してないとかの問題じゃなくて、俺の生死に関わるアレコレなので勘弁して欲しい。
それとこれとは別問題で、ここの所を深く考えてしまうと俺のアレコレがより深いところまで落ちていってしまうので考えるのをやめた。
(人に気を使わせてまで死にたいフリを続けるのか。結局、外に行ったら行ったで楽しいのに。
それを突っぱねてまでも俺は死にたいフリを続けるのか。あー死にたい。ウソ、死にたくない。)
(あーだから考えるのやめろって。)
結局いつもどおりの返事をして、俺は、とりあえず死にたいフリを一時中断して財布と鍵を掴む。
つうか、俺寝るとこだったんだけど。ブツブツ文句を言いながら家を出た。そんなに近くで飲んでるって事は確信犯だろう。
タクシーを捕まえて、タクシー乗ったよすぐつくよって言ってんのに電話の向こうの人は一向にぐだぐだと意味のわからない事を言って切ってくれない。
ほらもうついちゃうよ。ほら、もう、ついちゃった。通りに突っ立っている男を見つけて慌ててタクシーを止めた。
ちょっと待っててください、って言ったら嫌な顔をされたので財布を人質に置いて車を降りる。
なにしてんの、って声をかけたら、よっぱらいのどんよりとした目が俺を見つけて嬉しそうにほころんだ。
「なんだよ、その格好」
笑いながら俺のジャージを引っ張って、あ、と動きを止めた。
「俺のじゃん」
そうだっけ。道理で裾を引きずるはずだ。まぁいいじゃない。男の手を掴んでタクシーに乗り込もうとしたら、ぐいと引っ張られた。
振り返るとぼんやりとした顔がもごもご意味の分からない事を言うので、とりあえず金を払ってタクシーを見送る。
どうすんの、って見上げると、ぼんやりとした顔がぼんやりと照れた。おぉ、面倒くせぇな。
眠らない体が欲しい、腹の減らない体が欲しい。
欠ける部分のない、完璧な心が欲しい。
そのどれかで俺はきっと、何かしらはマシになるのに。
(ま、無理だけど。)
仕方がないので手を繋いだまま歩き出す。薄暗い夜道にぼんやりとした月明かりが落ちてくる。
少し後ろを歩く酔っ払いの手を引いて、ちらりと振り返れば、なんだかとても嬉しそうな顔をしていた。
手を繋いで人気のない道を二人で歩いて帰る。
そのうち本当に死にたくなっちゃったら、この人の体を触って、俺の体を触ってもらって、なんとかかんとか誤魔化してみよう。
頭を撫でてもらって、笑うとくしゃくしゃになるこの人の顔をいやらしい意味で歪ませてみたりしてみよう。
それらを全部手に入れて、それでようやく俺はきっと。
(……ま、わかんないけど。)
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
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