Top/63-48

移動王国 Sound Horizon Kingdom Jimang×Revo

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                     |  ナマモノ、某移動王国の宰相×王様
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  デビュー前イメージだから今とキャラが違うのに注意してね
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 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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 どこにでもある安アパート、そのまた一室。
 そんな場所でも、簡単な録音機材さえ用意すれば、立派なスタジオに早変わり。
 巧みなタコ足配線で繋がったパソコンマイクキーボード、あと良くわからない諸々の機材が我が物顔で席巻する手狭な空間を眺めまわして、
いやあまったく時代は便利になったものであると改めて感心した。文明の進歩様様だ。
 俺自身はざっくりとした作曲こそ家でやれるものの、音楽スタイルの関係上アコギをじゃんじゃか鳴らしたり、
バンドに任せることが多いから、どうしても収録は家だと難しいところが多いのだけれど、
DTMの打ち込み中心、一部生音という彼のスタイルなら結構な割合の作業をこの家の中で終わらせることが出来るのだ。
 ちょいとしたお隣近所の方々への配慮の心さえあれば、案外苦情は来ないもので、
午前の収録はつつがなく終わらせることができた。
 ちーん。
 そこまで考えたところで、レンジが温めを終了する小気味良い音を立てた。
「はいはーい」
 誰にともなく返事をしつつ台所へ向かう。
 ほかほかと湯気を立ち上らせるコンビニ弁当の淵をつまみ、予想以上の温まりにあちちっと声を上げながらテーブルへと放った。
 家スタジオの便利なところは、スタジオ以外の用途に使えることだ。
 仮眠を取るのも、だらだらと雑談して時間を費やすのも、こうやって好きな時間に飯を食うのもはばかることはない――いや、寧ろ当たり前なんだけど。家だし。
「Re/voちゃん、俺自慢の飯を召し上がれ☆」
「……何だか本当にすみません……」
 俺渾身の場を和ますギャグを見事にスルーして、目の前の青年は身を縮こまらせた。家主は彼だというのに、俺の方が堂々としている気がする。
 家主。そう、彼が今回の俺の音楽のパートナー、Re/voちゃんである。
 外見としては、微妙に垢抜けない暗めの茶髪に眼鏡をかけた、何処にでもいそうな地味寄りの兄ちゃん。表現が非常にありきたりだが、これ以上のものは浮かびそうもない。
 この傍から見れば平平凡凡な人間が、音楽の才能の点は(同業者としてのの嫉妬さえ抜きにすれば)手放しで『最高』と言えるのだから、人は外見によらないものだ。

「コンビニ飯くらいで恐縮しないでよ。
 ほら、冷める前に食っちゃおうぜ。午後も収録続くんだし」
 パンやらおにぎりならまだしも、如何せん俺が買ってきたのはパスタだ。冷めて固まり、尚且つ伸びきったパスタ程物悲しい食べ物はなかなかないだろう。
 しびれを切らして、ビニールに包まれたプラスティックのフォークを彼の前に突き出すと、漸くRe/voちゃんは俺の手からフォークとパスタ容器を受け取った。
「本当に良いんですか?Ji/mangさん」
「これで取り上げたら俺わりとガチで鬼でしょ」
 Re/voちゃんがやたらと恐縮している原因は、このコンビニ飯が俺のおごりだという点だ。
 昼食を取ってこいと勧めつつ、自分は食べる様子が見られないので一緒に行こうぜと誘ってみたら、
しぶしぶと「CDを作り込んでいたら、いつの間にか生活費までつぎ込んでかつかつだ」と理由を告げた。
 それを聞いての感想は、一点集中タイプだなあと呆れ半分羨み半分、それくらい言えよ俺そんなに頼りないかよと言う不満がほんのひとかけ。
とりあえず聞いた以上はと俺が纏めてRe/voちゃんの分と俺の分、コンビニで買い出しをしてきたのである。
 俺とてRe/voちゃんと同じインディーズのアーティスト(俺としてはエンターテイナーを自称してる)、金に余裕があるわけではないが、
一回り年下の若造が腹を減らしているのを放っておいて一人で飯を食いに行くほど非情ではないのだ。

 どうやら俺が最初に食べるのを律義に待っているらしく、Re/voちゃんはフォークのビニールをのろのろ剥がして間を持たせている。
「んじゃ、いただきます」
「いただきます」
 あまり待たせるのも酷であるし、率先して手を合わせ、パスタを口に突っ込んだ。
 んー、ちょっと冷めたか。
 口に広がるカルボナーラのまったりとくどい口当たり。程良く濃い味付けが、鳴る寸前まで減った腹には丁度いい。
 次いでRe/voちゃんもパスタを頬張り、ゆっくりと咀嚼する。頬が緩んでいるのを見ると、どうやらご満足いただけたようだ。
「うまい?」
「ええ。ありがとうございます」
「そりゃ結構」
「気遣いさせてしまって本当にすみ……」
「感謝するんだったら『ごめん』禁止」
「…………」
 続く言葉を封じられたRe/voちゃんが、むぐむぐと口の中で言葉をこねる。
 数年前からRe/voちゃんの音楽活動にゲスト的な形で出演させてもらって以来、結構な付き合いだが、まだ微妙に収録の時間以外は遠慮がちな気がする。
 ……逆に言うなら、収録の時間は鬼も裸足で逃げ出す厳しさだったりするんだけど、その点に不満を言うつもりは無い。
 これでも初対面で俺が抱いた「愛想悪い奴だな」という印象よりは大分進歩していたりするんだから、単に人見知りなのだろう。
「腹が減っては戦は出来ぬ、ってね」
 ずぞぞ、と蕎麦のようにパスタをすすり、Re/voちゃんに笑いかけた。

 一旦食べだすと遠慮は薄れたらしく、Re/voちゃんは順調に食事を進めている。
 黙々と、但し非常にご満悦な様子で食べ進めている姿は、何とはなしに小さい犬を彷彿とさせる。
 きゃんきゃん騒ぐタイプではなくて、静かにちょろちょろ、但ししっぽだけは感情を露わにしている感じの奴だ。
 彼が犬だったら、今は、尻尾がぱたぱた揺れているに違いない。
 なんつーか、ちょっと可愛いかもしれないなあ。
 成人を過ぎた野郎相手に小型犬みたいだという感想を抱くのは失礼かもしれないが、抱いてしまったものは仕方ない。
 理屈ではないのだ、こういうものは。
 衝動のままに、手を伸ばす。
「わっ、Ji/mangさん、何するんですか!」
 それこそ犬にするようにわっしゃわっしゃと頭を撫でてみると、残念ながら犬ではないRe/voちゃんは抗議の声を上げた。
「いやー何となく。愛でてあげたくなって」
「何となくって……」
「飯の代金代わりだと思ってよ」
 そう言うと途端に黙ってされるがままになるのは、素直すぎやしないだろうか。
「ま、午後も頑張りましょーねということで」
 くしゃくしゃになった頭をぽんとひと叩きして離すと、むうと口をへの字にしたRe/voちゃんが頭を守るように抱えた。
「Ji/mangさんのこと、まだいまいち良く解らない……」
 そりゃまた残念。俺はこんなに単純明快、欲望に忠実だというのに。
 呻き声をあげるRe/voちゃんの耳がほんのり赤らんでいる。
 もしかしなくても、照れてるのだろうか。
 ……やっぱり、こいつ可愛いんじゃなかろうか。
 それを目にして、何とも形容し難い衝動が湧き上がってしまったのは、俺にとっても不意打ちだった。
 誤魔化すように手を打って、さあそろそろ休憩はしまいにしようか、と言うと、ほっとしたようにRe/voちゃんはそれに賛同する。
 相変わらず音楽のこととなると途端にスイッチが切り替わるRe/voちゃんの性格なら、俺の誤魔化しには気付かないだろう。
 ちょっと厄介かもしれない彼の性格に、俺は今回ばかりは感謝した。

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                     |  ジャンルスレを見て衝動に逆らえなかったよね
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  そもそもこれカプ小説と言っていいものやら
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 | | □ STOP.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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  • ごちそうさまでした!!!! -- 2013-06-12 (水) 03:49:58

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