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宇宙犬作戦 マルコ×モジャット 「花粉症の後に 後編」

>>226-231の続きです。連投になってしまい申し訳ありません。
コメくださった方々、ありがとうございました!後編はほんのりエロありです。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「それにしてもこの部屋、まるでお花畑じゃねえか」
部屋の中には大型の観葉植物の間を埋め尽くすように、鮮やかな花々が所狭しと咲き乱れている。
「いつの間にかこうなってたんです。多分、くしゃみをしまくった後にどんどん芽が出てきちゃったと思うんですが」
「ただでさえジャングルみたいな部屋に、さらに色々生やしやがって……ん?何だこれ」
カラン、と乾いた音を立ててマノレコの足元にスプレーボトルが転がった。
「あ、すみません。体力回復のために吸った二酸化炭素の空き缶です。全部片付けたと思ったんですが、
花に埋もれてて気づきませんでした」
「なんだ、空かよ。……めんどくせえけど、新しいの持って来てやるか。これ、倉庫のどの辺にあるんだ?」
「それがもう在庫がないんです」
「え!もう無いの!?」
「こんな短期間に消費してしまうなんて想定外だったもので。今注文中で、届くのは明日以降だそうです」
「お前、それで大丈夫なのかよ」
「空気清浄機は止めてもらってますから。マノレコには少し空気が淀んでるように感じられるかもしれませんが、
しばらくの間我慢してもらえますか」
「まあ俺はいくら淀んでようが死にゃしねえけどさ。清浄機止めたぐらいじゃお前、二酸化炭素足りねえんだろ?
……しょうがねえな!」

マノレコはモジャッ卜の隣に座り直すと、突然、その顎を掴んでぐいっと正面に向けさせた。
そのまま、強引に唇を重ねる。
「んっ……!?」
目を白黒させているモジャッ卜に、マノレコは思いっきり息を吹き込んだ。
「んんんーっ……、……ぷは!マ、マノレコ!?何するんですか、いきなり!」
「何って、人工呼吸だよ。俺がいったん吸って吐いた空気をお前にやったの」
「人工呼吸……?そういえば、ショクブツ系人の光合成とは逆に、地球系人は酸素を取り込んで二酸化炭素を排出する
呼吸をするんでしたね」
「そうだよ。てことは、俺が吐き出した二酸化炭素を吸えば、少しはさっきの缶の代わりになると思ってさ」
「それはまあ、そういうことになりますね……」
「なりますね、じゃねえだろ。実際どうだったの?今の空気は、うまかったのか?」
「確かに、缶入りの二酸化炭素よりは薄いものの、普通の空気よりはだいぶ二酸化炭素が多めで……美味しかったような」
「そうだろそうだろ。なんたって俺様印の二酸化炭素だからな。何なら缶に詰めて売っちゃうってのもいいな」
うんうん、とマノレコは一人で満足げに頷く。
「でもこの動作は……以前、資料で見たことがあるんですけど、もしかして……」
「もしかして?」
「地球人が、……特に愛し合う恋人同士が交わすという、その……『キス』というものでは?」
「おー、お前よく知ってんなー。でも、惜しい!これはただの、人工呼吸」
「……そうなんですか」

「何?お前、キスしたいの?ショクブツ系人なのに」
「べ、別にっ、そんなんじゃありませんっ。ただ、古代地球学を研究していた時、地球人がつくった『映画』というもので
見た動作とそっくりで、その違いがよくわからなかったものですから」
「えぇっ、そんなこともわかんねえの?」
大げさにマノレコが驚く。
「す、すいません……」
「お前、勉強が足りないよ?今のなんかどこをどー見ても完全に人工呼吸じゃん!」
「そうですか?私にはあまり区別が……」
「じゃあ、もう一回な。あ、やりにくいからメガネ取って」
マノレコがモジャッ卜の鼻先からひょいとメガネを奪う。
「あっ、ちょっと……それがないと見えないんですけど」
「いいのいいの。そのほうが集中できるから」
「集中?」
「あと、両手を俺の肩からこう、背中のほうに回して」
「……こうですか」
「あーダメダメ、もっと後ろまで回して、リラックスして……そうそう。よし、じゃあもう一回行くぞ。
あ、目は閉じてね」
かなり至近距離まで来たモジャッ卜が素直に目を閉じたのを確認すると、マノレコは再び唇を寄せる。
「ん……っ」
モジャッ卜も、ぎこちないながらも二度目は抵抗なく受け入れた。
ふーっ、と息を吹き込まれると、それを味わうようにゆっくりと吸い込む。
確かに、快いと感じる空気だった。
「……ふ、……っ」
一度息継ぎをして、マノレコはさらに息を吹き込んだ。
弱った体が二酸化炭素を求めているのか、モジャッ卜は気持ちよさそうにそれを深く吸い込んだ。
体と心が癒されるような温かい感覚に戸惑いながらも、モジャッ卜の意識はふわりと霞んでいった。

呼吸を繰り返すごとにだんだん力が抜けてくる相手を両腕で支えながら、マノレコはぼんやりと観察を続けた。
いつもはメガネに隠れてよく見えない場所で、閉じられた瞼と睫毛が小さく震えているのが見える。
――こいつ、近くで見ると意外と睫毛長いんだな……。唇、柔らかいし……――
頬をうっすらと上気させ、「人工呼吸」に夢中になっているモジャッ卜を、マノレコは不思議な気分で見つめた。
――これは……二酸化炭素が気持ちいいのかキスが気持ちいいのか、どっちの顔なんだ?――
マノレコが息継ぎをしようと唇をわずかに離すと、無意識に次をねだっているのか、モジャッ卜が頼りなげな声を
出しながら、甘えるようにマノレコの口元をついばんできた。
「……んん……」
――何だこの反応!小鳥か。ヒナか!なんかかわいい!……つーか、そこはお前がつけたキズの上だ!
吸うな!ちょっと痛ぇ!――
心の中でいろいろ突っ込みを入れながらも、彼を待たせないようマノレコは素早く息継ぎをする。
そしてふわふわの髪と蔦の間に手を差し入れると、そっと引き寄せて角度を変えてやり、再び唇を合わせた。

「ん……っ、……はぁ……っ」
熱に浮かされたように、モジャッ卜が喘ぐ。
「そんなに、うまいのか」
「……ぁ……、おいしぃ……です」
うっとりとした表情で、モジャッ卜が舌足らずに呟く。
「もっと欲しいか?」
「……はい……、もっと……」
甘く掠れた声が微かに聞こえた。背に回された腕が、弱々しく抱きしめてくる。
マノレコの中で、何かが限界を超えた。
――……あー、もう!我慢できっか!――
マノレコは両腕に力をこめて強く抱き返した。何の抵抗もせずされるがままのモジャッ卜を、
一気に征服するように深く口づける。
舌を差し入れて絡ませると、朦朧としている彼も半ば無意識のままに応えてきた。
――うん、やっぱり、地球系人と一緒だな。意味わからずにやってんだろうけど……――

◇◇◇

「はぁっ、……はっ、……は……っ」
唇を離しても、モジャッ卜はしばらくマノレコの肩に体を預けたまま、深い呼吸を繰り返していた。
やがてうっすらと目を開けたモジャッ卜に、マノレコがニヤニヤしながら尋ねた。
「気持ちよかった?」
「はい……、なぜか缶入りの二酸化炭素より、ずっと気持ちよくって……。地球系人の呼気には、
二酸化炭素以外にも何か特別な成分が入ってるんでしょうか……?」
「うん、つーか今のは完全にキスだったんだよね。人工呼吸じゃなくて」
「……ええ……。……え?えぇぇー!?」
急に意識をはっきりさせて、モジャッ卜ががばっと身を離す。
「ちなみに今の、お前のファーストキスね。俺がもらったといたから。かなりディープなやつ」
「ちょ……ちょっとマノレコ!話が違うじゃないですか!」

「だってお前、違いが知りたいからキスしてくれって」
「そんなこと一言も言ってない!私は二酸化炭素をもらいたかっただけです!……もぉぉぉっ、あなたという人は
何でいつもそんなに自分勝手なんですかっ!早く返してください私のメガネ!」
「うるせーな、でけえ声出すとオ八ナちゃんにまたケンカしてるって怒られるだろーが!もう一回口ふさいでやるっ」
「んんーっ!……ちょっと、マノレコどこ触ってるんですかっ!やめてくださ……服を!服を脱がさないでー!」

彼らの冒険はさらに続く……。

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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ エロガヌルイヨ!
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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ムジ力編の彼はまさかのワイルドさからきれいな涙まで色々おいしかったです。
そして受け受けしかったんです!(いつものことか) 
お付き合いくださりありがとうございました!

  • 萌えたぎった…!2人のやりとりもすげー上手くて、中の人のたちの声で脳内再生余裕でした。いいものをありがとう!! -- 2010-12-15 (水) 11:18:32
  • ごちそうさまです…!GJ! -- 2010-12-16 (木) 19:11:44
  • 良いお話でした。好きです! -- 2010-12-20 (月) 20:04:05

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