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てっぱん 滝沢×欽也

今日の放送で萌え滾って書いたものです。
タイムリーな内にあげたいと急いで書いたので推敲は一回しかしていません。
誤字脱字など読みづらいところあれば申し訳ないです。

金矢木反の駅伝×長男です。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 滝沢薫はいわゆる同性愛者である。物心ついた時から女性に興味を持てなくて、
思春期には自分の嗜好が世間一般とは違うということに気がついた。そのことで
思い悩み、荒れてしまった時期もあったけれど、しかし二十歳を過ぎたいまでは
達観したというか、もはや諦めの境地である。自分は男が好きだ。好きなものは
好きなのだからしようがない。開き直ってしまえば生きていくのも随分楽になっ
た。……それに、いまは恋愛云々よりも駅伝である。自分の唯一の武器である駅
伝で、早く本調子を取り戻すのが何よりの優先事項……そんなことを考えながら
日々を送っていた滝沢に、しかし青天の霹靂が起きたのだった。

「――あかりの兄の、欽也です」
 腫れぼったい瞼も、小動物のような口も、触り心地の良さそうな体も、何もか
もが好みだった。滝沢は一目で彼に恋に落ちた。心臓は早鐘を打ちならし、カア
ッと頭に血が昇っていった。周囲にバレるのではないかと平静を装うのに必死で
いたら、何やら実はあかりと大家が孫と祖母という関係で、欽也とあかりが血の
繋がりのない兄妹……、などと次々に衝撃の事実が発覚し、その場の空気が気ま
ずくなったばかりか欽也も困っていたので、つい「もう終わりや」と一喝してし
まった。
 ――その日は自室に戻っても、筋トレに励んでも、目を閉じても、ずっと欽也
のことが頭から離れなかった。

 * * *
 
 恋に落ちたと言っても特に行動を起こせるわけでもない。欽也はいつ帰るのだ
ろうかとソワソワしながらも、かといって声をかけることも出来ないし、きっと
いつも通り何事もなくこの恋は終わっていくのだろうと諦めるべく尽力していた
のに、しかしなんと欽也が自分のことを知っていた。
「――もしかして箱根駅伝の滝沢選手?」
 向こうも驚いていたが、驚いたのはこちらも然りだ。どうしてそれを、と思っ
ていたら「十人抜きの滝沢」だとか、「あの心臓破りでの坂の追い上げはすごか
ったあ」だとか、コアな情報を捲くし立てられて、しかも顔を真っ赤にしながら
「俺、滝沢くんのぶちファンで、サ、サイン! あっ、書くもんあったかのう…
…?!」などと慌ててカバンを探り出したから、もう「勘弁してくれ」としか言
いようがなかった。
「えっ、あ、サインはまずかったやろうか」
「ちゃうわ、そうやなくて」
 その場にいた田中荘の住人も、欽也の剣幕に圧倒されてポカンとしている。よ
うやく冬美が口を開いたと思ったら、「駅伝君ってそんなすごい選手やったん?」
とまた余計なことを言うものだから「そりゃあもう!」と再び欽也に火がついて
しまった。

「――ああ、分かった、分かったから」
 このままだと面倒なことになりそうだったから、滝沢は欽也の手首を掴み、仕
方なく自分の部屋へと連れて行くことにした。するとあかりが「ほいじゃあ欽兄
は、今日は滝沢さんの部屋に泊まったら?」などと言い出した。滝沢は勿論、冗
談言うなやとお断りを入れようとしたが、しかしそれより早く「ええっ!」とあ
まりに欽也が嬉しそうな顔を見せたから、出かけていた言葉は行き先を失ってし
まった。
 欽也が「ええんやろか?」と、期待に満ちた目でこちらを見る。惚れた相手に
そんな顔をされてしまえば。もう「……勝手にせえや」としか言うことが出来な
かった。

 ちゃっかり銭湯まで一緒に行くことになって、嬉しいやら居た堪れないやら、
頭がオーバーヒートを起こしそうだった。
 恥ずかしさのあまり、欽也の裸は殆ど見ることが出来なかった。欽也は「やっ
ぱりアスリートの体は違うなあ」と言いながら無邪気に滝沢の体を触ってこよう
とするものだから、滝沢はつい「なにすんねん」と突っぱねてしまった。

 夜は夜で欽也はやたらスキンシップしてこようとした。ドアの向こうで田中荘
の住人が立ち聞きしているのは分かっていたからどれだけ求められても素っ気無
く返すことしか出来ない。「ふくらはぎ触ってもええ?」と聞かれても、ドキリ
とはしたもののあからさまに拒絶することしか出来なかった。ただ、他愛のない
会話でもこうしてやり取り出来るのは嬉しかった。アスリートは体が資本だけれ
ど、今日はいっそ寝ずに朝まで喋っていてもいいかもしれない、そんな気分にさ
えなってしまった。

「昨日はありがとうな」
 と、欽也が突然神妙な顔で礼を言い出した。
「昨日?」
「あかりがほんまの父親のこと聞かれたとき、止めてくれたじゃろ」
 ああいうとき家族だとかえってうまくやれんだろ、と欽也は言った。
「……」
 滝沢の胸に奇妙な気持ちが込み上げた。好みなのは見た目だけだとばかり思っ
ていたけれど……欽也のこういう素直で朴訥としたところも好きかもしれない。
 駅伝がうまく行かなくて、長いこと荒みそして乾ききっていた心に、スッと潤
いが与えられたような気分だった。

 それからあかりのことや尾道の両親の話になって――欽也はよっぽど家族が好
きなのだろう――、次から次ととめどなく家族の話が飛び出し、気が付けばもう
遅い時間となっていた。
「あ、すまん、つい話に夢中になってしもて。もうこんな時間や、滝沢君、朝早
いんやろ?」
 欽也が時計を見てワタワタと慌てている。
「や、いつも寝るのこれぐらいなんで大丈夫です」
 欽也は滝沢に、いまの選手生活の状況を殆ど聞いてこなかった。それはわざと
なのか天然なのかは分からなかったけれど、触れられたくない部分をそっとして
おいてもらえたのはとにかく嬉しかった。
(やばい……)
 ――むっちゃ好きや。滝沢はもう後戻り出来ないほど欽也のことを好きになっ
てしまったと自覚した。自分の部屋に、しかも目と鼻の先に、愛しい人がいる。
再び心臓は早鐘を打ち出し、なんだか頭もポーッとのぼせてきた。
「そろそろ寝ようか」
 欽也がキョロキョロと辺りを見渡す。なんやろ、と思って「どないしたんです
か」と尋ねてみると、欽也はポリポリと頬を掻きながら「や、布団……」と気ま
ずそうに呟いた。

「あっ……」
 いまのいままで気付かなかった。
「大家さんの部屋から持ってこれへんですか?」
「や、もうこんな時間やし……」
 寝とるやろ、と欽也は言う。滝沢は「ほな」と思い、ドアを開けた。
「きゃあっ」
 聞き耳を立てていた冬美が体勢を崩して床に四つん這いになっていた。他の住
人はいない。さすがに二十三時も回ったし、脱落したのだろう。寧ろいままで残
っていた冬美に「よく粘ったな」と感心した。
「……あんたんとこ、布団余ってへんか?」
「余ってへん、余ってへんわ」 ぶるぶると凄まじい勢いで首を振りながら、冬
美は逃げるように自室へと帰っていった。滝沢はその後姿を見ながらやれやれと
肩を落とす。
「どうしよか」
 背後から欽也に声をかけられて、滝沢は「俺が床で寝るんで、ベッドつこうて
下さい」と答えた。
「えっ、無理じゃろそんなの、天下の滝沢選手にそんなことさせられんよ」
「でも狭いベッドで一緒に寝るわけにはいかんでしょ」
 欽也は目をまん丸にして絶句した。「ほらな」と滝沢は肩をすくめる。

「幸いタオルケットは余ってるし」
 と、襖を開ける。
「今日は寒くもないし、床でも全然……」
 言い終えぬ内、突然腕をグッと掴まれた。
「俺は一緒でもええよ」
 振り返ると、そこには何故か頬を染めた欽也の姿があって、滝沢は「……嘘や
ろ」と硬直したのだった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ご覧頂きありがとうございました。
一応ここで終わりなのですが、もし続きが書けたら投下したいです!

  • もの凄く萌えました・・・!是非続きを!! -- 2010-10-31 (日) 02:00:57

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