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ジョーカー 許されざる捜査官 「~続・君に笑顔が戻るまで~」

浄化ー。あす可+駆動、4班の面々。おまけから出来てしまいました。
エロなし。ちょっと中の人ネタあり。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 夏の終わりにここを去った。今は秋も終りかけている。
あれほど暑い夏は113年はなかったという。
そのせいか、それほど時間が経ったわけではないのに、ずいぶんと久しぶりな気がした。
東京より風を感じる。海からの風。ちょっと肌寒いが、心地よかった。

「盾は今、検察に行っている。しばらく戻らないと思うが・・・。」
「あ、近くまで来たので寄っただけですから。用とかあるわけじゃないので。」
「そうか?」
久流須から盾がいないと聞いて、肩から力が抜けた。その方がいい、と思う自分が情けなかった。
皆さんでどうぞ、と持参したお菓子を差し出す。
加奈河の他の署だったが、捜査資料を返還するのに使いに出され、
今日は直帰していいと言われていた。
あす可の希望通りに加奈河県警本部に配属した結果、起こってしまったことの余りの事に
急いで警察庁に戻されたが、下っ端のそのまた下っ端で、言われた事以外は一切させてもらえない。
二言目には、「勝手な事はするな!」だ。
厳しく縛られ、盾の優しくも厳しい目で見守られながら自主性を尊重というか放任されていたのとは、
大違いだった。
来年の異動時期になったら、遠くに転属されてしまうかもしれない。
今は我慢する所だと自分を戒めるのだが、元来の性格から爆発寸前だ。
「むかつくー!」と叫んで酒でも飲んでしまいたいところだが、
今それをやったら遅刻では済みそうもない。

「それが、近頃久流須さんが“ウザい”って言わなくなって。」と、驫木が声を潜める。
「そうそう、なんか物足りないんだよな。」と彫っ田も同調して、あす可にこっそり言った。
「そんな、ありえない。」三人は真面目な顔して額をつき合わせ、それからぷぷっと噴出した。
久流須の周辺が低温になったのが感じられ、笑いをこらえるのが苦しい。
そろそろ退散しないと。「じゃ、失礼します。」と4班の面々に一礼して部屋を出ようとした。
「美弥木、駆動ならいるぞ。」駆動に会わずに帰ろうとしたのを見透かされたらしい。
久流須にそう声をかけられて、あす可は観念して頭を下げた。

「あす可ちゃん!!」駆動は満面の笑顔で迎えてくれた。
「ちゅーしてくれる気になった?」
「なりません。」とぴしゃりと言った後、あす可も微笑みかえした。
「元気そうですね。傷は痛みませんか?」
「相変わらずだねー。うん、大丈夫。あ、そうだ、お菓子あるから食べて!」
「え、いいですよー。」
「疲れている時には、甘いものね。」
ここでも見透かされているな、と思った。
居た期間は短くても、ここはあす可の“古巣”という感じがして、嬉しさと寂しさが同時に押し寄せた。

「てか、なんで笹だんご?」
「盾さんの二井潟みやげ。出張行ってたんだよ。」
ビーカーに緑茶の緑が映えるが、持つには少々熱い。
笹だんごは冷凍してあって、駆動がレンジでチンしてくれた。
ここのレンジは試料を加工したりするためにあるようだが、すっかり駆動の食べ物あたために使用されている。
「冷凍してもチンすればおいしいけど、さめると固くなるからね。」
よもぎの香りが濃厚に鼻腔にくる。
「二井潟に出張?」あつあつのあんこをほおばりながら、訊ねた。
「うん。エイPECあったでしょ。」
エイPECの警備になんであの、いかにも格闘出来ませんって感じの盾さんが?
駆動には、あす可の疑問が手に取るようにわかったらしい。
笑いながら、「中国語出来るから呼ばれたんだって。」と教えてくれた。
「えーと、北京語に上海語に広東語にあとなんだっけ、四種類くらい出来るんだって。」
「え、すごい!」

「第二外国語に選択していて、留学生やバイト先の中国人に教えてもらったそうだけど、すごいよね。
前に加奈河県警に居た人が今二井潟県警の警備のお偉いさんで、頼まれたんだってさ。
エイPEC対策課同士は協力しているらしいけど、盾さんは特別に。」
盾を見神の事件から遠ざけたい思惑もあったと思うが、あちらからの要望ということになっている。
「でも、二井潟なら中国語の通訳の人は結構いるんじゃないですか?」
「いま日本と中国って、ぴりぴりしてるじゃない?
それで、ひとりでも多く警察官で中国語のわかる人間が欲しかったみたいだよ。」
「あー、なるほど。」
「人に言っちゃだめだよ。盾さんが中国語出来るのはうちの隠し玉なんだからね。
あす可ちゃんがここに居た頃は、中国人絡みの事件がなかったから知らなかっただろうけど、
盾さんは中国人の被疑者の取調べや参考人の事情聴取の通訳をする訳じゃない。」
「マジックミラーの後ろから見ているんですね。」
「そう。」
と、駆動はニヤリとする。エンジンかかってきたじゃない、あす可ちゃん。
語学力に盾の洞察力が加わって、見えてくるものがあるのだ。

 見神が逮捕された後、両親に詳しい説明が出来ないのが、あす可にはもどかしかった。
犯人はわかったが、見神は肝心の奈津木殺害の動機については供述していない。
“紙隠し”につながる一切は表に出ていないし、あす可も、くれぐれも自重するように、と言われた。
そして、奈津木の事件を調べていた元同僚がそれが原因で殺されたのは、両親にショックを与えていた。
それで様子を見に実家に戻った時のことだ。
「もしかしたら、と思って。」
と、母が数冊のポケットアルバムを出して来た。
それは、兄奈津木の葬儀の時の写真だった。
「業者さんが撮ってくれたんだけど、ろくに見てなかったわね。」
「どうして、今頃?」
「佐衛子さんて方、奈津木の同僚だったっていうから、お参りに来てくれていたかも。」
「そっか・・・。」
二人で探すと、佐衛子に盾に伊図津や久流須も来ていてくれた。
さすがに見神は写っていなかったので、あす可はほっとした。
母も、この中に見神がいたら傷つくだろう。

佐衛子を示すと、母は静かに泣き出した。
警察関係の香典は、捜査一課一同とか同期一同とかになっていたのでいままで気に留めていなかったが、
あす可が一杯一杯で覚えていなかっただけで、配属された日が初対面ではなかったのだ。
写真の中の5年前の盾は、同じような黒いネクタイとスーツの人達の中では華奢で目立った。
当たり前だけど、なで肩は変わらない。
盾さん、盾さん、盾さん。
大好き。
恋でも兄さんの代わりでもないけれど、大好き。
もっと側に居たかった。
側に居て、一緒に仕事したかった。
もっともっと、いろんなこと教えてもらいたかった。
母の肩を抱きながら、あす可は必死になって涙をこらえた。

いつまでも頼ってちゃだめ。
自分には自分の、貫きたい正義がある。
「あたしも、中国語習ってみようかな。」
「あー、それいいかも。事件を起こすだけじゃなく、巻き込まれる人も多いし、きっと役に立つと思うよ。」
「そうですね。」
外国人犯罪は、全国的に増えている。
言葉の壁に加えて、犯人引渡し協定を結んでいない国が多いのも頭の痛い問題だし、予算も足りない。
盾の背中は、今でもあす可にいろんなことを教えてくれる。
あす可は笑顔を駆動に向け、力強く言った。
「じゃあ、駆動さん、また。」
「うん。またね、あす可ちゃん。」

「で、久流須さんが、あす可ちゃんにオレんとこ寄るよう言ってくれたわけ?」
「なんだかいまひとつ元気ないように見えたし、俺らよりおまえと仲良かったろ?」
「他意はなかった?」
「おまえと美弥木がくっつけばいい、とか?」
「うん、そういうの。」
「まあ、思わないでもないが、美弥木は相手にしないだろ?」
「結果、あす可ちゃんは元気になって帰っていったし、オレ、盾さんのこと諦めてないからいいけどね。」
「ちゅーしては?」
「あれは挨拶。」
「ほー。」
あす可が帰った後、捜査一課の廊下で、久流須と駆動の冷たい会話がかわされたという。

 盾は自分の席で腕組みし、机の上のあす可の手土産のお菓子を長いこと見ていた。
庶務の女の子が、お茶淹れましょうか?と気を利かしてくれたが、明日食べるからと断った。
甘いもの好きでも、さっと口にしてしまうことは出来なかった。
珍しく捜査一課に残っている人間が少ない日だったが、明日からはそうもいかないだろう。
二井潟のエイPECが終って、余湖浜のエイPECもまもなく開催される。盾は連続だ。
今だけ、と思って、取り留めのないことを考える。
久流須は盾に、両親の事件の調書のことをそういう時期になったら見れるだろう、と言ったが、
あす可も時期がくるまで、もう盾には会ってくれないのだろうか。
亡くなった親友の妹。負い目はいっぱいある。兄の代わりにはなれなかった。
刑事として、あす可にどれほどのことを教えてやれただろうか。
中途半端な時期に警察庁に戻され、居場所がないはめになっていないだろうか。
「駆動のところに寄って、少し元気出たみたいだぞ。」
と教えてもらったが、今の盾には、あす可の強い正義感を信じてやることしか出来ない。

「久流須ー、お願いがあるんだけど。」
「なんだ。」
「いちごミルク飲みたい。」
「それは俺に作れってことだよな。」
「だめ?」
「とちおとめ、とよのか、あまおう、・・・なにがいいんだ?」
いちごの品種、調べていてくれたのか。盾の口元が微かにほころんだ。
「いちごは、その時期手に入る新鮮なものなら、なんでもいいんだ。」
「そうなのか?」
「そのかわり、牛乳は低温殺菌がいいな。」
「低温殺菌。」
そっちがポイントだったのか。
「買い物して帰るか。」
「うん。」
大丈夫。あす可を信じよう。彼女を信じることが、彼女の力になるように、と盾は願った。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

盾・あす可・駆動のトリオが大好きでした。
もし続編があっても、このトリオの復活は難しいですよね・・・。

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