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植/物/系/人的エロス

宇忠イヌ作戦 マノレコ×モヅャット的な何か
花粉発言にほとばしる萌えを止められなかった…

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

なんとなく夜中に腹が減って、
冷蔵庫の中になんかなかったかな、とキッチンへ来た俺は、
リビングに怪しい発光体を発見した!
何かがぼんやり光っている! 何だ!?
あ、普通にテレビだった!
いや待て、テレビの前に誰かいるぞ! 誰だ!?
あ、普通にモヅャットだった!

っていうか、

「……おい、こんな夜中に電気もつけないで何見てんだ?」
「うわあああ!!」

相当集中して画面を覗き込んでいたのだろう、
俺の存在に全く気付いていなかったらしいモヅャットが
奇声を発しながら勢いよく顔を上げた。
「な、何ですか!?」
「いや、それはこっちのセリフだ。コソコソ何してんだよ?」
言いながらテレビ画面に目をやった俺はさらに首をひねることになる。
そこに映し出されていたのは、
どうやら遥か昔の地球のテレビ番組の一場面のようだが…
「何だこれ?」

なんかこう…森というか山というかそんなのが…もやーっとけぶって……
「おいモヅャット、この映像なんなんだ?」
「これはその、別に大したあれじゃないんです!
このあたりを整頓してたら出てきて、そう、本当に偶然発見して、
けっして私の個人的な趣味とかそんなんじゃ……」
涙目になりながらモヅャットが俺に訴えかけてくる。
どうしてそんなに必死なんだ! なんかこわい!
そのとき天才的な俺の頭脳にひらめきが走った。
「これはもしかすると…」
モヅャットが不安げな目で俺を見つめている。
「『花粉症』とかいうやつの関連映像じゃないのか?」
ごくり、とモヅャットがつばを飲み込む音が聞えた。図星のようだ。
「太古の地球人はたしか大量に飛散した花粉によるアレルギー症状に
悩まされていたと聞いたことがあるような気がするぞ。
おそらくこれはその花粉が大量に飛散している様を捉えた映像……
そして植/物/系/人であるお前が
そんな映像を人目を忍んで見ている理由はただひとつ……」
青ざめた顔のモヅャットが目を見開き、俺の言葉を遮ろうとするかのように
首を小さく横に振った。
俺は元大海賊の名に恥じぬとってもとっても悪い笑みを浮かべて、
暗闇に響き渡る通りの良い声でこう言った。

「――エロスだな!!」
「あああああああああー!!!」

ヅャットは耳をふさいでソファに倒れこみ、じたばたと足を動かした。
手の間からちらちら見える耳がありえないほど真っ赤だ! 照れていやがる!
「そうかーそうだよなあおまえら植/物/系/人にとっては
花粉飛びまくり映像なんてもうえらいエロ動画だもんなー!
あははははは!!」
あまりの滑稽さに俺もソファに崩れ落ち腹をかかえて笑った。
モヅャットはというと、ひとしきりじたばたし終えて力尽きたのか、
ソファの背もたれに顔をうずめて脱力し、
ぐすんぐすんと肩を震わせ始めた。どうやら泣いているらしい。
なんせこのくそ真面目な公務員モヅャットが
夜中にこっそりAV見てるところを現行犯逮捕されたわけだから、
その恥辱屈辱たるや想像するに面白い。
いつも俺のスケベハッスルぶりを冷徹な目で見やがって、ざまあみろである。
とはいえちょっと可哀想でもあるかな、と
俺はあやすようにモヅャットの肩をぽんぽんと叩いた。
「ま、男は誰しもスケベなもんだ。ドンマイ☆
ほらほら気をとりなおして続きをみようじゃないかモヅャットくん!」
と、画面に目をやると、相変わらず花粉大量飛散映像が流れている。
どうやら数秒の映像をエンドレスリピートしているようだ。
何が偶然見つけただよお前! 熱烈スケベ編集済みじゃねえか!
そう思いっきり突っ込んでやりたい気持ちを抑える優しい俺。
が、モヅャットはソファから顔をこっちにむけたはいいものの、
完全にボロ泣きである。
スケベのくせになに泣いてんだ! なんかムカついた。
こうなったらお前を再度マヌケ極まるムラムラあはーん状態に叩き込んで
指差して笑ってやるぜ!

俺は両手でモヅャットの顔を引き寄せると、
涙で張り付いている髪と葉っぱをわっさりかき上げ両サイドにはらい、
良好な視界を確保させた上で無理矢理テレビ画面に向けさせた。
モヅャットの首がぐきりと音を立て、なんとも言いようのない悲鳴が聞えたが
まあ気にしない。そんなことよりも。
「ほーらご覧なさいモヅャットさん、花粉がばっふばっふ飛んでるよー。
まさにザ・淫ら! どうだ感想を言ってみろ!」
「いたたた! ちょ、やめてくださいよ…!」
「なあ、どうなんだよ? 植/物/系/人的にはこれ、どんな風にエロいの?」
「どんな風って……」
「こんなに花粉が飛びまくってさ、もう受粉しまくりだろ?」
びくん、とモヅャットの体が一瞬大きく震えたのが分かった。「受粉」という言葉に
反応したらしい。
ていうか何だそりゃ!? 植/物/系/人のエロつぼってよく分かんねー!
と思いつつも、俺はモヅャットの耳元で囁き続ける。
「あんなにメチャクチャに受粉しまくったら、
もう何がなんだか分かんなくなっちまいそうだな?」
「……マ、マノレコ、やめてください…。映像を止めて…」
「何言ってんだよ、ほんとは見たいんだろ?」
モヅャットの視線はさっきからずっとテレビ画面に注がれたまま動かない。
最初は強い抵抗を無理矢理抑え込んでいた俺の手も、
今はモヅャットの顔の顎あたりにそっと添えられているだけだ。
「見ろよ、すげー花粉まみれ…」
「……や…」
液晶画面の光に照らし出されたモヅャットの顔は見たこともないほど紅潮していて、
呼吸はどんどん浅く、短くなっていく。
しっかり欲情してるな。俺は思わずニヤリと悪党笑いを浮かべてしまう。
いいぞいいぞ、俺の前でもっとみっともない姿をさらせ!

「やっぱあんだけ花粉出したら気持ちいいのか?」
もっと耳に唇を寄せて囁いた。
んん、とモヅャットが目を伏せて、喉の奥でうめき声を押し殺す。
「ちゃんと見ろって、な?」
俺はくいっとモヅャットの顎を持ち上げて、俯いた顔を再び画面に向けさせた。
モヅャットの目は潤みきっていて、
もう映像を見ていなくても欲情を止められない段階に達しているようだった。
こいつのこんな表情初めて見た! 愉快すぎてゾクゾクする。
顎に添えていた指先を、そのままモヅャットの喉へゆっくり滑らせる。
厚い唇から、堪えきれないといったように吐息が漏れた。
「ほら、受粉してる。メチャクチャになってるぜ……」
「……ん、マノレコ…、もう、ほんとに……ぁ、あっ!」
ぐっと目を閉じてモヅャットの体が痙攣した。
「ん? もう何だよ…? って、ぎゃああああ!!」
と思った瞬間、もふっという音と共に俺の視界が盛大に霞んだ!
何だこりゃ!? しかもけむっ! すごいけむい!!
「げほっ! ごほっ……」
手で顔の周りを仰ぎながら、聡明な俺は迅速に事態を把握した。
花粉だ! 花粉出ちゃったこいつ!
つまりイッちゃったわけだ!
つーかイッちゃって花粉出るってお前…! 再び笑いがこみ上げる。
ああ指差して笑ってやりたい!!
が、花粉のもやが晴れるにしたがって俺の笑いは次第に引っ込んでいった。
モヅャットが乱れた息のままぐったりとソファにもたれかかっている。
蕩けた目の縁は赤く染まり、
まだ少し震えている肩が呼吸に合わせて上下している。
何だ? 男がイッた直後の姿って、こんなにエロかったっけ?

「……ぁ、マノレコ…、あ、わああ!!」
やがて正気を取り戻したらしいモヅャットがすごい勢いでキョドり始めた。
俺のことを見るなり目を見開いて、頭から爪先までゆっくりと見回したあと、
また俺の目を見て「すみません! すみません!!」と
土下座せんばかりの勢いで謝りだしたのだ。
「え? な、何だよ? イッたとこ見られたくらいでそんな気にすんなよ」
「いや、だからその…ほんとすみません!!
ああどうしよう…! マノレコの全身に私の花粉をぶっかけてしまった…!!」
ぶっかけって…。あ、植/物/系/人にとってはそういうことなのか。
多分すっげー失礼なことをしたと思ってんだろうけど、
こちらとしては全然ピンとこねーぞ。たかだか花粉だし。
それよりもなんだ。
俺としては、さっきからこいつがやたらエロい感じに見えてることのほうが
問題なんだ。
たしかに俺はどスケベだけど、変態じゃなかったはずなのに。
そうか、宇宙船生活が長いからたまってるんだな。きっとそうだ。
「とりあえず、気にしなくていいって」
「気にしますよ! ああ…すみません、もう何ていって謝ったら……」
「うんモヅャット君、俺いますごく良いことを思いついた」
「え?」
「太古の地球にはこんな言葉がある。『目には目を』……
つまりやられたらやりかえせという意味なんだけどね」
「……ええ」
俺はモヅャットを抱き寄せると、
ボリューム満点の後ろ髪に手を差し込んで俺に向き合わせ、こう言った。

「今度は俺の花粉をお前にぶっかけるってことだよ!!」

多分、俺は今すっごい悪い顔で笑っている。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ありがとうございました!

  • GJとしか言いようがない -- 2010-09-25 (土) 04:20:38
  • すげぇあの2人を見ててなんだかモヤモヤ感じてたものを完璧に文字に表してくれたありがとうございます -- 2010-09-27 (月) 18:01:16
  • 絶対誰も書かないと思ってたから嬉しい!ありがとうございます -- 2010-09-27 (月) 18:08:42
  • これはいい!開眼しました -- 2010-09-28 (火) 00:44:38
  • 発想がすばらしすぎる!ときどき思い出して読みに来てしまいます -- 2016-03-18 (金) 10:00:45

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