太/陽/に(゚Д゚)! Dック×Gプシー
更新日: 2011-05-02 (月) 12:45:44
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/ つ◇ ( ・∀・)ミ (` ) < 太/陽/に(゚Д゚)! Dック×Gプシーだモナ。
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└──────│ バレンタインネタだってさ。
│ もう終わってるのにね。
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バンアレン帯デーに間に合いませんでした orz
どこの製菓メーカーが始めたか知らんが、女性が恋する男性に甘いチョコレートを贈る日。
青春時代の甘酸っぱい恋心を思えば、頭から否定する気にはなれないが
バレンタイン商戦に踊らされている世間を見ていると、何かずれている気がしてならない。
「義理チョコ」などという、お歳暮お中元並みの虚礼はいつの間に作り上げられたのか。
そんなものに一喜一憂するほどこちとら暇ではない。
「しかし…なあ」
サイジョウアキラは、今夜何度目かのため息をついた。
「それにしたって、この状況は何か間違ってるだろ…」
聖バレンタインデー夜。自分のアパート。リビングには賑やかな酔っ払い2名。
「Dックー、何してるんですかあ。まだ足りないですよー」
「そーだそーだ、ふははははまだまだ行くぞー」
「あーハイハイわかった煩いよ。ここの壁そんなに厚くないんだから」
適当に作ったつまみを手にキッチンを出る。こんなとき無駄に器用な自分が恨めしい。
バレンタインだろうが何だろうが、刑事たちには仕事がある。
今更チョコを欲しがる年でもないと、サイジョウは気にも留めていなかったのだが、
終業近くになってカスカベが、すわった目で「飲みませんか」と迫ってきた。
そんな下らん習慣に興味はないと息巻いていたカスカベと、何だかんだで同級生や近所のおばさんから
贈られてきたタケモトとで恋愛論にまで発展し、見事敗れたらしい。
そこで何故俺まで巻き込むんだと思ったものの、どうやら緊急事態もなく終えられそうだったこともあり、
サイジョウは二人を連れて馴染みの店へ行くことに決めた。
出掛けにハラを誘おうとして、彼が宿直だったことを思い出す。
気を使って同じく宿直のイガワが声をかけるが、ハラは微笑んで辞退し、サイジョウに「また今度」と返してきた。
「そうか。じゃ、またな」
既に浮かれている後輩二人を小突きながら部屋を出る。
ドアを閉めようとして動きを止め、サイジョウはくるりと振り返った。
「お前あした非番だよな? あー、朝にでも顔出せそうなら来いよ」
びっくりしたような顔のハラ。照れくさそうに笑うと、サイジョウは今度こそ一係を出た。
考えれば、朝まで勤務のハラと入れ替わりに出勤の自分じゃ時間が合うはずもないのだ。
学生じゃあるまいし、何を言っているのかと自分でも可笑しくなる。
それでも、つい口をついて出ていた。
その後、翌日を考えて酒量は抑えたつもりだが、素面でもやかましいカスカベは飲むわ歌うわで
大騒ぎし(店の客や従業員にはすこぶる好評だったが)、つい一緒になってテンションを上げたのが
間違いの元。気づいたら何故かサイジョウのアパートで飲み直し、ということになっていた。
酔った勢いでOKしてしまったことを夜風に吹かれ猛反省しつつ、サイジョウは家路に着く。
せめて冷静なハラがいてくれたら…と頭を抱えながら鍵を開けた。
そして、今に至るわけである。
「おいお前ら、もうそろそろお開きにしないと。二日酔いなんて許しませんよ」
流石にこれ以上は明日に差し障る。サイジョウは不満げな二人を促して片付けようと腰を上げた。
そこへ、チャイムが鳴る。
「あ、やっべえ、お隣さんかな…」
ついに苦情が来たかと、サイジョウは頭をかきかきドアを開ける。
「はいー…すみません、すぐ追い出しますから…って、Gプシー?」
そこには、深夜営業のスーパーの袋を持ったハラ。
「トシさんが、今夜はもういいからと。今日は署全体で勤務の警官が増員されているので、
緊急時には連絡するそうです」
そう言ったあと、ハラは少々戸惑い気味に、動きを止めたままのサイジョウに声をかける。
「あの…お邪魔していいですか」
「あ?ああ、どうぞ、入れよ」
思いがけない訪問に少々慌てながらも迎え入れる。
「あ、ハラさーん! わーい来てくれたんだー」
でかい図体でハラに抱きつくタケモト。その尻に容赦なく蹴りを入れつつ、サイジョウはハラの持ってきた袋を開ける。
そこには生姜が数個と胃腸薬の箱がいくつか。
「用意いいねGプシー…」
「トシさんから差し入れです。必要だろうからって」
「はは…さすがトシさんだ」
ハラの来訪で終了のタイミングを逸した一同は、結局そのまま二次会突入となった。
と言っても、それ以上のアルコールはサイジョウが取り上げたため、イガワ直伝の
生姜湯をちびちび傾けながらという非常に地味なものである。
「年寄りの会合じゃあるまいし、何スかこれ」
「生姜をなめちゃいけないよBギー。身体も温まるし、胃もたれにも効果あるんだぞ。民間療法の万能薬だ」
「そういえば、風邪引くとおばあちゃんが作ってくれたなあ」
何だかんだで会話は盛り上がる。サイジョウがちらりとハラを伺うと、穏やかな顔で話を聞いている。
飲みに行ったことはもう何度もあるが、ハラがこうして誰かの家へ来たのは、自分が知る限り
今日が初めてのはずだ。玄関先での表情にほんの少しの緊張があったのをサイジョウは見逃さなかった。
こういったことにあまり縁が無かったらしいハラが、今からでも思い出を作っていけたらいい。
いつのまにか、そんな保護者めいた思いがサイジョウの中にある。後輩だからというだけではない。
彼より年下であるタケモトやカスカベにも、そんな気持ちがある。
「おい…終電…」
「あ…」
気づけば既に交通機関も眠った時間だ。年少組ふたりは、そろそろとサイジョウを見上げてへら~と笑顔を作った。
「宿泊代取るぞ、てめえら…」
客用布団など用意していない独身暮らし。サイジョウはとりあえず雑魚寝のスペースを作ろうと立ち上がった。
ふと見ると、うとうとと舟を漕ぐハラが目に入る。
「あ、Gプシー、お前まで雑魚寝じゃなあ。毛布の替えくらいはあるけど、ソファじゃ狭いしな」
「あの、Dック、俺だけでもタクシーで帰ったほうが…」
「外寒いぜー? そりゃ居心地いいとは言えないけど、お前が良けりゃ寝てけよ」
「そう、ですか…それじゃ、お言葉に甘えて。明日一番で帰ります」
明け方。まだ日は昇らないが、窓の外が漆黒から紺に変わりつつある。
喉の渇きを覚えて目を覚ましたサイジョウは、リビングの雑魚寝組の様子を何気なく伺った。
薄暗がりに3人の姿がぼんやり見える細長シルエットが3つ。
クッションを枕にしたハラに、背中からがっちり抱きついて眠っているタケモト。
投げ出された長い脚に寄り添って鼾をかくカスカベ。
サイジョウは無言で二人を踏みつけようとしてぐっと思いとどまった。
何か、違和感を感じる。
それは、タケモトに抱きつかれているためだけではない、ハラの早すぎる呼吸。
不規則に吐き出される息は明らかに正常ではない。
「Gプシー?」
額、そして頸の後ろに素早く触れると、一瞬でわかる高熱が手のひらに伝わってきた。
「おい、Gプシー!」
思ったよりも大声が出ていた。酔っ払いでもそこは刑事、タケモトとカスカベが奇妙な声を上げつつ飛び起きる。
だが、ハラの反応は鈍い。その時点で非常事態だ。
「起きろ、Gプシー!」
「ハラさん…?」
つよく揺すると、瞼がゆっくりと持ち上がり、熱に潤んだ目がサイジョウを見上げる。
「Dッ…ク…?」
「お前すごい熱だぞ。ここじゃまずい、俺のベッド移動しろ」
「Gプシー…? 熱だあ?」
「おいイチ、そこのドア開けろ、俺の部屋だ。ラッキョ、氷水作れ。タオルそっちだ」
「は、はいッ」
まだぼんやりした状態のハラの肩を担ぎ、自分が寝ていた部屋へ引っ張り込む。
ここでようやく状況を飲み込んだのか、ハラは慌てたように「大丈夫です」とサイジョウの手を退けようとしてふらついた。
「大丈夫じゃないの、何を言ってるかな。ヤブでも今のお前が大変なことくらいわかるよ?」
「でも、あのっ…」
「いいから!言うこと聞け」
半ば強引に寝かせ、タケモトから冷やしたタオルを受け取り額に乗せた。
冷たさが心地良いのか、無意識のうちにハラの身体から力が抜ける。
「ほれ見ろ」
「ハラさん…もしかして昼間から調子悪かったんですか?」
「いや…そういうわけじゃ…」
「潜伏期間だったんだな。気が緩んだために症状が出たと」
サイジョウは体温計を見て眉をしかめた。思ったとおり高熱だ。これからまた上昇する可能性もある。
「とりあえず、ここが俺の家でよかったよ。なんせ医師が常駐だ」
「ヤブですがね」
「…イチ、氷枕つくってきなさい。急いで」
「……はい」
「Gプシー、汗がすごいよ。着替えたほうがいい」
サイジョウの言葉に、残り二人が途端に色めき立った。
「あああ俺手伝います!」
「いやRガー、お前は水替えて来い。もう温いぞコレ」
「Bギーさんずるい!さっき替えたばかりでしょ!?」
「やかましいぞおまえら!! 汗拭くからお湯汲んでこい!」
「二人とも…大丈夫だ、自分でできるよ…」
小学生のようなやり取りに苦笑しながら、ハラがようよう身体を起こす。
シャツを脱ぐのさえ億劫そうなハラをごく自然に手伝いながら、サイジョウは身体を濡らす汗を拭った。
箪笥から引っ張り出した自分のパジャマを手早く着せ付ける。
「よし、いいぞ」
流れるような手際のよさは、中退とはいえ医療に関わったためだけではない、と
タケモトとカスカベは立ち尽くしたまま確信した。
「あれ、寝込んだのが俺だったら絶対あんなに甲斐甲斐しくないぞ」「俺でもだと思います。ハラさんだからですよ」
それはお互いにも言えるということを、タケモトは気づかない振りをしていた。カスカベは気づいていなかった。
その後、ハラはずっと眠ったままだった。
熱のせいか、時折苦しげに眉を寄せる表情が痛々しい。悪い夢でも見ているのだろうか。
サイジョウは取り替えたばかりのタオルを取り、頸から鎖骨を拭いてやる。
「しかし、睫毛ながいねー。いつも思ってたけど」
何気ない話をしていても、ふと目を伏せる癖がある。僅かに震える長い睫毛に
ハラの隠れた心情が表れていることは、本人も気づいていないだろう。
事件が起きるたび、大きな目が揺れるのを何度も見てきた。見せてくれるようになった、と言うべきか。
ずっと押し隠し、ひとり抱えてきた痛みを少しは解ってやれているだろうか。
よく笑うようになった。話すようになった。以前よりもずっと近くにいるつもりでいる。
それでも、自分は一番後回しという性格は変わらないから目が離せない。
周囲を信用していないのではない。ただひた向きなのだ。過ぎるほどの正義感が
驚くような無茶を躊躇いなくさせてしまう。
「俺はなあ…すごーく心配してるんだぞ? わかってんのか…?」
指で額をちょいとつつく。まだ1年にもならない七/曲署での日々は、ハラにとってどんなものなのだろう。
聞いてみたい気もする。聞かせてくれるまで待ってみたい気もする。
「ん…」
目は閉じられたまま、声が漏れた。咄嗟に触れた額はまだ熱い。
「…ふ……」
肩がわずかに動いた。
「Gプシー?」
熱で自由が利かないのか、動きはほんのわずかだった。
「…大丈夫。俺はここにいるよ」
静かに呟いて、子供にするように髪をそっと撫でる。
そのまま頬に触れると、その手に擦り寄るように顔を傾けてくる。
サイジョウは夜が明けるまでそのままの姿勢で付き添い続けた。
病気で寝込んだ日は、狭い部屋がやたらに広く思えた。
壁が遠く、天井が高く、自分がこのまま縮んでなくなってしまうような不安に
押しつぶされそうだった。誰もいない一人ぼっちの空間で布団をかぶり、
ただただ治ることを念じ続けた幼い日。あの日の夢を見た気がする。
それでもこんなに気持ちが安らかなのは何故だろう。
あの日には無かった、暖かい手は誰のものだったんだろう────
意識がゆっくりと浮上し、ハラは静かな空間でぼんやりと天井を見上げた。
見慣れない部屋をしばらく眺め、はて、ここはどこだろうと考える。
ふとベッドの傍を見ると、サイジョウが腕を組んだままうたた寝をしている。
数秒後、急速に記憶が蘇った。
途端に身体の重さと熱さを自覚し、声を出そうとして激しく咳き込んだ。
「おぉ!? っと、Gプシー、起きたのか」
「ケホ…Rガーと、Bギーは…?」
「始発の時間に帰ったよ。心配してたが、仕事あるしな」
「Dック、すみません、俺ももう帰りますから」
「馬鹿いいなさい。絶対安静だお前は」
「大袈裟ですよ。ただの風邪です」
「風邪くらい怖いものはないんだぞ。それにこのまま帰っても
医者行く元気ないだろ。どっか行きつけあるか」
「ええ、近所に」
「よし。連れてくから」
「Dック!? 出勤時間どうするんですか」
「連絡は入れます。山さんにきっちり伝えるから心配すんな」
慌てる原の声をきれいに聞き流して冷蔵庫を開ける。
「さてと、腹は…減らないよな。その様子じゃ」
せめてビタミンでもと思ったものの、あったはずの100%オレンジジュースが
後輩二人に空けられているのを見てがっくり肩を落とす。
ふと、可愛らしいラッピングが目に止まった。カスカベが騒ぐので黙っていたが、
実家に勤める看護婦一同から贈られてきたチョコレートである。
少々の糖分は必要だよな、と誰にともなく頷いて包み紙を開けた。
「Gプシー、ほれ、口あけろ」
ぽーっとしたまま素直に開いた口に、ひんやりと冷たいものがそっと押し込まれた。
びっくりして目を見開くハラ。広がる甘さがだるい身体に心地良い。
「これ…」
「あー、実家からのやつ。毎年ナースのお姉さんがたから頂くのよ」
「え?それじゃあ」
「いーんだ気にするな。看病に役立てばチョコも本望だろ」
自分もひとつ口に入れながら、サイジョウは鼻歌交じりにお粥の準備を始める。
「お前の持ってきた生姜がこんなとこで役に立つとはなあ。
たっぷり入れてやるからしっかり食えよー」
いつもの調子でさっさとことを進めてしまうサイジョウに、ハラはやれやれと諦め、掛け布団を引き寄せた。
涙が滲んで抑えられないのは、風邪のせいにすることにした。
タクシーを拾ってハラを医者へと送った後、妙に意気揚々と出勤したサイジョウを、
えらい勢いのタケモトとカスカベが取り囲んだ。
「Dック!Gプシーは!」
「…何だよおっかねえなあ。ちゃんと医者連れてきましたよ。
とりあえず悪性のウイルスじゃないそうだから。今日一日寝てるってさ」
「はー、よかったあ…」
まるで子供を心配するような二人の態度に呆れるイガワ。苦笑するトウドウとヤマムラ。
「まあ、こんなこともあるだろう。非番が台無しなのは気の毒だがな」
「Dック、お前を主治医に任命する。しっかりGプシー看護しろ」
「了解いたしました!」
トウドウの言葉に、サイジョウは重々しく敬礼してみせた。
「Dック、優秀な看護助手は要りませんか」
「却下」
「んじゃ送り迎えの運転手はどうスか。いざとなったら救急車にも」
「いらん」
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ピッ ∧_∧
◇,,(∀・ )
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バレンタインにした意味があるのかと突っ込まないでください。
あの当事、今のようなバレンタイン商戦があったのかも不明です。
ついでに医者刑事は過保護だと思います。本編でも。
- はじめまして。夢夜です。とても楽しく読ませていただきました。図々しくも続きが読みたくなるほどおもしろかったです!これからも頑張ってください。 -- 夢夜? 2009-07-05 (日) 21:20:12
- 初めて読んだのが秀さんと勇次のストーリーでした!必殺のほうはちょっと?だけど太陽はめっちゃ(^_^)vです!次の更新楽しみに待ってま~す!! -- キムチ!? 2009-10-21 (水) 13:01:04
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