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ゴ-ドンとヘンリ-と腕の中のホシ

きかんしゃト-マス 4×3の擬人化&暴行?強引?なエロ
作文は不慣れなので見苦しいところ多々ありますがご容赦を
かなり長いので分割して投下します まずはいくつか…

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

最終列車を牽き終え、愛車の点検と清掃を済ませて車庫から出ようとしたところで、こんな時間にまだ明かりが灯っている場所があることに気付く。
三号機関車の足元だ。俺が乗る四号機関車とほぼ同じ大きさの緑の大型蒸気機関車で、何故かやたらにトラブルが多いことで知られる。
事故のたびに改造され、スケジュールでもあるかのごとく定期的に故障していた。
担当機関士のヘンリ-は俺より二つ年上で、細身の長身に色白で長髪と、見るからに貧弱で大型機関車の機関士「らしく」ない。
トラブル続きの機関車とらしくない機関士のコンビは「大型車のくせに情けない」「役立たず」「欠陥車」「石炭喰い」などと陰口を叩かれることも少なくなかった。
それでもヘンリ-は三号機関車をとても気に入っているようで、毎日仕事が終わると必ず自分の手で車体に磨きをかけている。
故障が起こると整備にも参加するし、設計図とにらみ合い首を傾げる場面もよく見かける。
彼の機関車への愛情の深さを、俺はよく知っていた。
今日もきっとヘンリ-が日課の愛車磨きをしているのだろう。近づいてみると、ランボードに登ってボイラーに磨きをかけるヘンリ-の姿があった。
驚かさないように、声をかける。
「よぉ、ヘンリ-。まだ働いているのか」
「あれ、ゴ-ドン。今終わったの?」
「最終便を牽いてきたんだ」
「そっか、遅くまでお疲れ様」
「相変わらず愛車磨きに精が出るな」
「今日の汚れは今日のうちに落としておかないとね」
俺は時計を見て言う。
「……もうすぐ今日が昨日になるがな」
「あはは、本当だ」
「……笑い事じゃないだろ」

俺はいつものように三号機関車のそばに積まれた木箱に腰掛けた。するとヘンリ-が首を傾げる。
「帰らないの?」
「明日は休みだからな。少し付き合ってやるよ」
「ありがとう」
「お前は?」
「僕もお休みだよ」
「そうか、だが程々にしておけよ」
「うん」
そう返事をしながらも、片付けを始める気配は一向にない。
いつの頃からか、仕事が終わる時間が合えばこの場所に落ち着いて、愛車を磨くヘンリ-の姿を眺めるのが日課になっていた。
友人の働く姿に見惚れながら、なんでこいつは男なんだろう、といつも思う。
雨に濡れたり汚れたりするのを極端に嫌がり、日に焼けるのをひどく気にして、長くてさらさらの髪を自慢にしていて、占いやおまじないを信じたり、
動植物、特に森の木々をこよなく愛する。女々しいとまではいかないが女だったほうがしっくり来るような、そんな性質の持ち主だ。
たまに俺もこの「男らしくなさ」についだまされて、肩や腰に手を回しかけた。うっかり触れてしまいそうになったことがある。
女だったら「うっかり」に乗じて抱き寄せてしまうのに、男相手にそうはいかない。
友人以上のスキンシップは極力避けておかないと俺の本心がばれてしまうからだ。
このソドー島一の機関士である俺様が男に惚れているなんて、口が裂けても言えるわけが無い。
いとおしげに愛車を見つめる横顔や、手入れの時だけくるりと丸めて結い上げられる髪、それにより露出するすらっとした白いうなじ。
ぬるめられた襟元から見え隠れするくっきりとした鎖骨や、まくった袖から伸びる細すぎない腕。車体にやさしく添えられる長い指。
狭いランボードの上を上手に渡る足運び。その姿と仕草に、今日もまた釘付けにされてしまう。
見入れば見入るほど触れられないもどかしさが募っていくばかりで、そんな不快感から脱するために視線を逸らそうとしても、容易くは逃げられない。
今日もまた、報われない想いをため息に混ぜて吐き出した。
下心全開の視線にも気付かずにせっせと車体を磨き続けるヘンリ-からやっとの思いで目を離し、車庫の中で一番の輝きを放つ自分の愛車の方に向き直って頬杖をついた。
文句ひとつ付けようのない、ソドー島一の青い大型蒸気機関車。その車体に見入っていると、後ろのほうで何か大きなものが落下する音がした。

何事か確認するために音がしたほうを向くと、床にヘンリ-が落ちている。
「!! ヘンリ-、大丈夫か!?」
慌てて駆け寄り、無事を確かめる。ランボードの上から落ちたのか?何処かぶつけてなどいなければいいが。
「大丈夫。……足が、もつれちゃって……」
よろよろと頼りない足取りで立ち上がるヘンリ-の身体を支えると、その軽さに驚いた。
見た目からしてかなり貧相な身体つきだが、思った以上に細い。
「お前、軽いな……ちゃんと飯を食っているのか?」
「食べているよ。びっくりさせてごめんね。もう、平気だから」
ヘンリ-は笑ったが、顔が真っ青でどこからどう見ても平気とはいえない。足元もおぼつかない様子だ。
「顔色が悪い。今日はもう休め」
「あと、少しなんだ」
「駄目だ。どんなに完璧に手入れをしてもお前が倒れたら意味がないだろうが」
「そうだね。でも……」
「もう終りだ! さっさと片付けて帰るぞ」
「……うん」
ヘンリ-の手から雑巾を取り上げてバケツに放り込む。
磨き粉や洗剤の類、その辺にある道具全てを収納箱に手当たり次第に放り込んで、早々に片付ける。
「続きは明日だ。帰りに飯でも食って……ん!?」
振り向くと、ヘンリ-は車輪にもたれかかって座り込んでいた。手で頭を押さえて、苦痛で顔をゆがめている。
「ヘンリ-! おい、どうした!?」
「……ちょっと、頭痛」
さっきのでぶつけたのか?ヘンリ-の身体がずるずると傾いて、床にうずくまってしまう。
「お……おい、ヘンリ-!」
「……」
呼びかけても身体を揺らしても反応がない。とにかくこのままじゃまずい。横になれるところに連れて行こう。
時間が時間だけに医務室はもう閉まっている。だがまだ休憩室にトビ-が居たはずだ。彼ならば何らかの対処法を知っているだろう。
うずくまったままのヘンリ-を無理やり背中に引っ張り乗せ、休憩室へ急いだ。

「おい、トビ-、まだ居るか!?」
休憩室のドアを勢いよく足蹴にして室内へ入ると、トビ-が目を丸くして驚いていた。
「ゴ、ゴ-ドン? びっくりしたなぁ。ドアは足で開けちゃダメだよ」
「両手がふさがっているんだ。ヘンリ-が倒れた。どうしたらいい?」
背中のヘンリ-を下ろして長椅子に寝かせると、トビ-が駆け寄ってくる。
「えぇ!? 倒れたって……真っ青じゃないか」
「働きすぎ、いや、愛車の手入れのしすぎだな。無理しやがって……」
「困ったな。医務室はもう閉まっているし……どこが悪いか、わかるかい?」
「ランボードから落ちたんだ。それと頭が痛いと言っていた」
「頭痛か。だったら、鎮痛剤を試してみるといいかもね」
「薬なんて持ってないぞ」
「へンリエッタのを分けてあげるよ。彼女は偏頭痛持ちなんだ。えっと……」
トビ-は夫人と共同で使っているロッカーを開けると、夫人のポーチから薬入れを取り出した。
「鎮痛剤は……これだな。一回に一錠でいいからね」
「あぁ、ありがとう」
「効くまでに時間がかかるから、ちゃんとしたところに寝かせてあげて」
「仮眠室にでも寝かせておくか」
「そうだね。それと打撲や傷が無いかを確かめて……汗をかいているようだから、拭いてあげたほうがいいよ」
トビ-が開けてくれたドアから仮眠室に入り、ヘンリ-をベッドに寝かせる。
完全に意識がない。これはやばいんじゃないのか?第一、目が覚めなかったらどうやって薬を飲ませるんだ。
考えあぐむ俺の背後から、トビ-が声をかける。
「僕はもう仕事にでかけなくちゃいけないんだ。……他には誰も居ないから、後のことはよろしくね」
「あぁ、任せとけ」
振り向かずに答えると、ドアが閉まる音がした。

しんと静まり返った室内で、ヘンリ-の呼吸音がやけに強く耳に届く。額や首筋に汗が流れ、苦しそうに身をよじる姿を見て、急に焦りが出てきた。
大型機関車のランボードから落ちたんだ。かなりの高さがあるから、変なところをぶつけていたら大変だ。手当てが必要かもしれない。
髪を解き、身体を縛る衣服を緩め脱がしながら、額から首筋を、胸を、わき腹を……つま先まで、丁寧に汗を拭き取り、怪我や異常の有無を確認する。
シャツ一枚を残して衣服を全て剥ぎ取ってしまうと日焼けの無い白い肌が室内の薄暗さにやけに映え、さすがに目のやり場に困り毛布を掛けた。
幸い怪我などは確認できなかったが、呼吸は荒く顔色は悪い。
青白くやつれた頬を掌でなでると、まぶたがぴくりと動き、うっすらと開く。
「! ……ヘンリ-、起きたか」
「……ゴ-ドン? ここは……」
「仮眠室だ。具合はどうだ?」
「……痛い」
「頭か?」
「……うん」
意識はまだ朦朧としているようだ。自分の身に起こっている事を理解している様子はない。
覗き込んだ瞳は涙で潤んで、今にもこぼれ落ちそうだ。
「トビーから薬を貰ったんだが……鎮痛剤だ。飲めるか?」
「……うん」
口の端から錠剤を入れて、コップに水を注いで飲ませる。飲み込む動作すら、つらそうだ。
「効くまでに時間がかかる。それまでは我慢してくれよ」
「……うん」
「つらくなったらすぐに言え」
拭いたばかりなのに、また額に汗がにじんでいる。汗を拭いてから掌を額に当てると、少し熱っぽいように感じた。
「熱も出てるな」
「熱……? でも、寒いよ」
「熱があるから寒いんだろう。何か暖かいものがあればいいが……」
探しに立とうとしたら、袖を引かれた。
「……ゴ-ドン、君が居る」
「俺?」
「人間湯たんぽ」
「……何か探してくる」
「逃げないでよ」
「……逃げてねぇよ」

ヘンリ-が目を覚ましたことに安心したのか、俺まで身体が熱くなり始めていた。体調不良の発熱では、もちろんない。
胸の奥がジンジンと締め付けられ、下腹部がドクドクと脈を打っている。
普通に看病をしていたつもりが、頭の中が徐々にヨコシマ模様に塗り替えられていっている。
次から次へよからぬ考えが浮かぶ頭を軽く横に振り、目の前のヘンリ-を見た。
何度も身をよじったせいで乱れた長い髪が、汗ばんだ首や胸、発熱で上気した頬が、肌が、男性らしからぬ色を放っている。
思わず、ゴクリと喉がなる。
出来れば俺も逃げたくはない。だけどこれで逃げるななんて言うのは、ある意味拷問だろ。
この状態で添い寝なんかしたら、相手が男だとわかっていても理性が吹っ飛んでしまう。
「……人肌が一番暖かいんだろうけどな」
手近にあった毛布をもう一枚被せると、ヘンリ-が口を尖らせながら呟いた。残念そうに聞こえるのは気のせいだ。
「俺にも事情があるんだよ。冗談言う元気があるなら我慢して寝てろ」
「……そうだね。ごめんね、ゴ-ドン。わがまま言って」
そう言うと頭まで毛布に包まってしまった。
あっさり引き下がってくれたことにほっとする反面、もう少し食い下がってくれることを期待していた自分に気付く。
誘われれば、手を出せる。正直、その流れを期待していた部分があったからだ。
相手を自分のものにするには、同意を得るか強行手段にでるかのどちらかだ。
俺とヘンリ-は男同士。添い寝くらいはしても、同意の上でそれから先になんてことはまず有り得ない。となると、強行手段に出るしかない。
いくら病人相手でも、一度走り出したら終点まで一気に突っ切ってしまうだろう。途中でかけるブレーキなんて効きはしない。
発車前にブレーキをかけてくれたヘンリ-に、今は感謝するべきか。

ベッドの縁に腰掛け、毛布にぐるぐる巻きになったヘンリ-の背中を摩る。
毛布越しでもわかる俺とは異なる身体のラインについ夢中になり、肩から腰までその形を確かめるようになぞっていく。
特にこの腰の細さ。くびれているとまではいかないそのなだらかに締まった形が掌を吸いつけて離さない。
汗を拭ったときに何故直接触れてみなかったのだろう。容態が心配で余裕がなかったとはいえ、惜しい事をしたと今悔やまれる。
間を遮る毛布の存在が恨めしくなる。もし、この殻をひん剥いて中身を喰らってしまったら、どうなるだろう?
男同士のセックスでは挿れることに重点を置く必要がないとはいえ、『手に入れる』となるとやはりアレを挿入してこそ、という無意味なこだわりが俺の中にある。
肛門性交の経験は無いが、あまり良いものではないことくらいは知っている。
弱りきっている身体にその苦痛を与えることがどれだけ酷い行為なのかも分かっている。
身体に残る傷や痛みはもちろん、なにより心に深く大きな傷をつけてしまうことになる。
そんなことをすればきっと嫌われる。口も利いてもらえなくなるかもしれない。最悪、俺の前から姿を消す事だってありうる。
『抱かれた相手を好きになってハッピーエンド』なんてのは映画や小説の中だけの都合の良い話。
いまどきそんな展開の話なんて、探すのも難しい。現実でもたらされる結果は、明らかに負の方向。
しかしそれでも、傷つけたい、欲しいと思う思いが、どんどん強くなる。
頭の後ろが熱くなって、目の前が白くなる。掌に嫌な汗がにじんできた。
駄目だヘンリ-。お前の細腕で締めたブレーキなんて、指で突付いただけで解けてしまった。

気付けば休憩室の自分のロッカーを空けて、小さな瓶を握り締めていた。
軟膏タイプの傷薬。何処の家庭にもあるであろう有名なもので、たまたま持っていた事を思い出した。
これならば、量を多く使えばしっかり滑るし、身体の何処に使用しても悪くない。
軟膏を掌に取り、ゆるく握って隠す。
仮眠室に戻り、ドアの鍵を閉める。早朝組が出勤してくるまで誰も来るはずはないが、念のためだ。
ヘンリ-に巻きついた毛布を剥ぎ取ってその細い身体の上に覆いかぶさり、軽く抱きしめる。
抱えるものを失った両腕が俺の背中に添えられた。

「どうしたの、ゴ-ドン?」
「しばらく、こうしててくれないか」
「さっきはイヤだって言ったくせに」
「……事情が変わった」
「君も具合が悪くなったの?」
「悪くない。大丈夫だ」
「……そう」
ヘンリ-の身体の温かさが服越しでも心地よい。頼りない手が、俺の背中をいたわるように摩ってくれる。
穏やかに刻まれる鼓動が、ひとり逸る俺の心を静かになだめてくれているようで、聞いているだけで落ち着ける。
このまま寄り添って、甘えているだけでもいいかもしれない。
そう思うのと裏腹に、下で猛るものが激しく脈打ち早くしろと急き立ててくる。
やるなら今だ。相手が弱っている今のうちに奪っておけ、と。とんでもない卑怯者だ。
だが、こうでもしない限り手に入れられるはずがない。覚悟は出来ている。
悟られないように、さりげなく足と足を絡め自由を奪ってから、股の間に手を滑らせた。ヘンリ-の身体が強張る。
「!?」
「少しだけ、我慢してくれ」
「なにを……んっ……つめたっ……」
やわらかい谷間を抜けて奥に進み、掌の中の軟膏を目的の場所に塗りつける。
薬を塗りこみながら慎重に指先を挿し入れると、ヘンリ-の身体がびくんと反応する。
侵入者を拒絶しようとする筋肉の動きに逆らって、更にぐいっと押し込んだ。
「……!! 指!? 何処に入れて…っ!?」
「おとなしくしてろ。すぐに終わる」
「……や、やだ……だめ、やめて!」
事態を察したヘンリ-が俺の身体の下から逃げ出そうと懸命にもがきだす。もがけばもがくほど、指は奥へ奥へと突き挿さる。
頑ななのは入り口だけで、先端さえ門をくぐってしまえば後はそれなりに順調だった。
中で指を折り曲げて気持ちが良いとされる部分を探す。
経験を積めば女以上の快感を得られるとかいう場所。上手くやれば初体験でもそれなりに感じるはず。
およそここだろうと思われるあたりを軽く押して刺激するが、快感を感じているようには見えない。
慣れてきたら敏感に感じると聞くから、反応を見た感じではヘンリ-のそこはまだ未開発。
ジタバタと動きすぎるのが悪い。おとなしくなるまで、ここで感じさせるのは断念するしかなさそうだ。

しばらく一本でほぐした後、薬で濡れた道が乾かないうちに、指の数を増やす。
「……痛っ……いっ」
「力を抜いたほうがいいぞ。裂けてしまう」
「だったら、指を抜いてよ!」
声を荒げて訴えるのを無視し、指の出し入れを繰り返す。刺激を与えるたびに呼吸が荒くなり、耳にかかる吐息が熱を帯びてくる。
苦痛のために漏れる甘さの欠片も無い声も、今の俺には艶めかしい喘ぎ声に聞こえた。
無防備にさらけだされた首筋に舌を這わせ、耳たぶを軽く噛む。
「舐め……っ、やっ……だっ」
だめだと言われると余計にやりたくなる。
「ぁんっ!」
耳の中に舌を差し入れると、身体を大きくのけぞらせながら、今迄で一番大きな声が発せられた。
ヘンリ-も自分の声に驚いたようで、慌てて自ら手で口を塞いだ。
「耳がいいみたいだな」
わざと息を吹きかけながら耳元でささやくと、身体が震えて肯定する。
耳の縁を軽く噛んで、溝に添って舌を這わせる。舌先がかすかに触れるくらいに軽く舐めながら時折息を吹きかけると、口を覆う手の隙間を抜けて声が漏れた。
「んっ……ふぅっ、んんっ……」
さっきとは打って変わったひどく甘ったるい声。
想像以上の甘さにつられて、挿した指はそのままに耳と首筋に口付けを繰り返した。

さすがに体力の限界か、指だけならばと諦めたのか、逃げようともがく動きが止まった。
背けた顔は明らかに、怒りを含んだ表情だ。瞳からは涙がこぼれている。
当然の反応だ。それを気にしていたら、先には進めない。
抵抗が止まっている隙に、両足を抱き込んで腰を持ち上げる。
俺自身の先端をヘンリ-の入り口に当て、既に数滴あふれている透明な液体を塗りつけながら、指と入れ替えるようにじわりと体重をかけて押し込んだ。
「!!!」
はっとしたように身体を起こそうとするヘンリ-の両腕を掴んでベッドに押さえ込み、腰をぐっと動かす。
「うぁっ……っ」
ヘンリ-の身体がのけぞって、苦しそうな声が上がる。ゆっくりと腰を動かし、慎重に奥へと進んでいく。
締め付け感はないが、角度を変えて動かすと内壁に当たって程よい刺激が走った。
じんわりと伝わってくる温かい感触が、繋がっているという実感を沸かせてくれる。
動きを止め、目的地に到着した達成感に浸っていると、ヘンリ-が口を開いた。

憎々しげな目で俺を見据えながら、責めるように言う。
「……ゴ-ドン……何、やってるのか……わかってるの?」
「分かっているさ。お前を汚しているんだ」
「どうして……」
「どうしてだろうな」
確かにヘンリ-に惚れているが、無理やり奪おうとまで考えたことは無かった。側で見ているだけで満足していた。
なのに今日に限って、抑えきれないほどに欲情し、欲望のまま貫いてしまった。
この行為が怒り憎まれることだと理解していながら、それでも傷つけたいと望んだのは一体何故なのか。正直、全く分からない。
ただ、繋がることが出来て嬉しかった。このまま最後まで……ヘンリ-の心も身体も、全てが欲しい、そう思った。
どうしてだと聞かれて答えられるほど単純じゃない。
「……っ」
歯を食いしばる音が聞こえる。悔しいはずだ。
身体の自由が利かないのをいいことに、好きでもない男に辱められるなんて、俺だったら耐えられない。
せめて身体には傷をつけないようにゆっくりと腰を動かしながら、唇で肌に触れ、届く範囲の隅々まで残すところなく口付ける。
「……お…願い、やめ…て……ゴー…ドン……」
荒い呼吸の合間、やっと発した言葉も切れ切れで聞くに堪えない。
「人肌の温もりが欲しいといったのはお前だぞ。ここまできたら最後まで付き合えよ」
「こう……いう、意味じゃ、な…いっ。……やめて、抜い…てっ……」
やめろと訴える唇を唇でふさぐと、代わりに身体の抵抗が始まる。
拒もうと動いたり力んだりすることが俺の快感に繋がるとも知らずに、ヘンリ-は必死に身体をくねらせた。
舌を絡めようとしても必死に逃げ回り、それを追いかける俺の舌がヘンリ-の口の中をくまなく走り回る。
それが深い深い口づけとなり、吸い上げる音がいやらしく鳴り、口の端から唾液が零れ落ちる。
時折漏れる吐息と、非難を発しているであろう途切れ途切れの声も全て逃さないように丹念に吸い尽くした。
肌の感触を味わうのに夢中でいつの間にか開放してしまっていた両腕は、力なくベッドの上に放り出されている。
胸の上の小さな突起を掌でなで転がし、強弱をつけながら指で弾く。刺激を与えるたびに、ヘンリ-の身体が震える。

次第に声と呼吸が再び甘さを含みだし、抵抗する力を無くした身体は俺が揺らすままにゆらゆらと揺れる。
身体中にまんべんなく舌を這わせ、くっきりと浮き出た鎖骨に軽く歯を立てると、小さな赤い印がついた。
舐めるたび、吸うたびに、ヘンリ-の身体がびくんと跳ね、中の俺が締め付けられる。
締め付けられるのは出口の一部分だけだが、じっくりと絞られるようで、腰の動きが止められなくなる。
肛門性交がよくないなんて誰が言ったんだ。少なくとも、入れる側はそれなりに……好みが合えばかなり良いんじゃないか。
男の身体の意外な抱き心地の良さに、こんなに早くはないはずなどと情けないことを考えながら、限界を迎える。
「……出すぞ」
「やぁ……ん……なか……だ、だめっ……!」
懸命に訴え横に振られる頭を片腕で包み抱え、もう一方の手で細い身体を折れそうなくらい思い切り強く抱きしめる。
溜まりすぎた蒸気を思い切り吐き出すように、俺の中でぐつぐつに沸騰したものをヘンリ-の中に勢いよく吐き出した。

連結をといた途端、ヘンリ-の拳が飛んだ。
余韻に浸っていた俺は思い切り殴られ、しかもその後、二発の蹴りまで飛んできた。
三発ともかなり勢いよく当たったが、痛くはなかった。事の直後で力が出なかったのか、手加減してくれたのか、それは判らないが。
口元と腹を押さえてベッドから降りようとしたヘンリ-を捕まえて抱き寄せたら、更に肘が飛んできた。
「トイレに、行くの!……ださなくちゃ……はやく……」
真っ青な顔でそう怒鳴られたから、抱きかかえて連れて行った。手伝おうと言ったら、蹴り出された。
扉の向こうから、むせび泣く声が聞こえる。やはり怒らせてしまった。きっと、取り返しのつかないくらいに。
殴られるのも蹴られるのも、当然の報いだと判っている。
拳でも足でも罵声でも、なにが飛んでこようと、どんなに責められ罵られようと、全てを受け止めるつもりだ。
俺のほうに向いてさえいれば、それで十分だ。むしろ、何もないのが一番怖い。……背を向けるのだけはやめてくれ、と、扉に向かって切に祈る。
随分と都合の良い話だ。そうなっても仕方がないと、覚悟したはずなのに。

ヘンリ-は出てくるなり、涙と怒りを湛えた鋭い目で見据えながら俺の胸倉を両手で掴み、乱れた呼吸の間に不規則に言葉を発した。
「……なんてこと……してくれたの」
「……」
「無理やりなんて……こんなの…強姦だよ」
『強姦』という言葉に耳が痛くなる。考えもしなかった。だが確かにそう呼べる行為だ。
「男なら、妊娠……しないし……痛いだけで、済む……だから、してもいいと、思ったの?」
両足ががくがく震え、俺の胸倉を掴んだ両手に頼り立っているのがやっとのようだ。
乾いた喉の奥から無理やり搾り出した掠れた音と音がつながり、かろうじて言葉になる。
「君が……こんなこと……やだよ。信じ……られない……」
手が力なく離れて膝が折れる。崩れ落ちそうになる身体を両腕で包み支えるとヘンリ-は全身を俺の身体に持たれかけ、大きく息を吸い、吐き出した。
「……なにかの…まちがい、だよ…ね?」
吐き出された言葉に、頷いてやることは出来ない。間違いなく、俺は俺の意志でヘンリ-を穢したのだから。
「間違いだって……いってよ……」
「間違いじゃない。……欲しかったんだ。お前を手に入れるため……こうするしかなかった」
「……なんで……男の身体を欲しがるの」
「欲しいのは身体だけじゃない。心も……お前の全てが欲しかった」
「……このやり方じゃ、何も得られないよ。……失うだけ」
その通りだ。友人として歩くことができたはずの道にまで汚泥を撒き散らし、ヘンリ-と肩を並べる権利を失ってしまった。
「満足、した?」
「……いや」
「だろうね」
「……」
「……やり足りないんでしょ?」
「そういう意味じゃない……俺は……」
「もう、どうでもいいよ」
ヘンリ-は渾身の力を振り絞りながら、自力で歩こうとする。それを支えて、仮眠室まで戻った。
ベッドに腰掛けさせると、ヘンリ-は俺の首に腕を回しそのまま仰向けに、俺が上に覆いかぶさるように誘いながら身体を倒した。
「どうぞ」
「……出来ない」
「欲しいんでしょ。満足いくまで、好きなだけやりなよ。……もう抵抗はしないから」
「俺がしたいのは、そういうことじゃない」
「なにがどう違うの? 君がしたことは、こういうことでしょ」

「……」
「……それとも、もう用済み?」
「違う!」
「だったら!……やってよ」
「……」
もうなにを言っても無駄だ。想いが通じることは無い。このまま何もしなければ余計に傷を深くしてしまう。
それならばせめて、ヘンリ-の身体が満足するまで抱きつくそう。与えられるだけの快感を与えよう。
まだ着たままでいた上着を脱ぎ、ズボンのベルトを緩める。
体重が掛かり過ぎないように身体を重ね、頬をなでながら唇を重ねた。軽い接触を何度か繰り返し、親指で下唇に触れ口を薄く開けさせる。
顔の角度を変えて口腔を繋げ舌を差し、ヘンリ-の舌と絡ませた。抵抗をすることのないそれはやわらかく暖かい。
取り返しのつかない罪を犯し絶望的な気持ちの中であっても、愛しい人と交わす口付けは熱く甘すぎて、舌を絡めあうたびに俺の唾液がいやらしく音を立てながらヘンリ-の口の中に流れ込んでいく。
渇いた喉をそれが潤す。ヘンリ-はこぼすことなく残さずに、何度も何度も飲み込んだ。
さっき見つけた弱いところを指でくすぐると、唇の隙間から甘い吐息が漏れる。やはり耳が弱い。指先でいじるだけで切なそうに身体が動く。
ふと、大事なことを思い出して身体を起こすと、ヘンリ-が俺の手を握ってきた。
驚いて見ると、当の本人にとっても思いがけない動作だったらしく、慌てて手が離れた。さっと背けた顔には困惑の色が浮かんでいる。
「忘れ物を取ってくるだけだ。すぐに戻る」
頬に軽く口付けて髪をなでると、ヘンリ-はぎゅっと目を閉じて小さく頷いた。
休憩室に誰もいないことを確認して、ロッカーから例の軟膏を取り出す。また、これのお世話になる。
さっきは一度だけだと思って中身を掌に取るだけだったが今度は違う。ヘンリ-が達するまで、やるつもりだ。
急いでベッドに戻るなりヘンリ-の身体の上に被さった。
喰らいついてくださいといわんばかりにさらけ出された首筋に軽く噛み付き、既にいくつもの噛み跡が残されているそこに新しい傷を付けていく。
掌で胸を撫でまわし、小さな突起を指先で何度か突付く。
つんと頭を出したそれを口に含んで吸い上げ舌で転がすとますます硬くなり、軽くつまんでひっぱると、ヘンリ-が小さく啼いた。

手を伸ばして足の間で遠慮がちに佇むものをそっと握る。最初は掌にすっぽり収まったそれは、二~三度軽く圧力をかけてやると、ぐんと背伸びをする。
牛の乳を搾るような要領で丁寧に丁寧にしごくと、それに応えてますます立派に胸を張った。
しかしこんな立派なものを相手にするのが俺だなんて、おそらくまだ清いものを知らないまま俺に汚されているんだろうと思うと、もったいない話だ。
しごく指の力と速さを少しだけ強める。袋と肛門の間辺りを指で軽くなぞると、両足が大きく開いてぴんと伸び、身体がのけぞって腰が浮いた。
「んっ!あ……」
浮いた腰をしっかり抱え込み、足の間に顔を埋めてもう十分な硬さを備えたそれに唇を落とすと、慌てたように足が閉じられた。
「……そんなの、舐めちゃ……だめ……」
「……抵抗はしないはずだろ」
「っ……」
太腿を指でつんと突付くと、閉じられた足がためらいがちに開かれた。
わざとらしくぴちゃぴちゃと音を立てながら、ヘンリ-のものに唾液をたっぷりと塗りつける。
根元あたりを指先で上下にしごきながら先端を咥えると、口の中に苦い味が広がった。
歯を立てないように細心の注意をはらいつつ、口で全体を咥え込み、喉の奥で先端の部分を飲み込むように刺激する。
喉の奥が刺激され嘔吐してしまいそうな衝動に駆られるのを耐えながらしゃぶり続けると、ヘンリ-の身体は何度も激しく跳ね上がった。
「はぁっ…んっ!……はぁ、はぁっ……はっ……あぁんっ!」
俺の唾液で渇きから開放された喉の奥から発せられるままにされた甘い声が室内に響き渡り、俺の気持ちを高ぶらせる。
元々そう低くない声だから、切なげな吐息と混ざり出される声はまるで出来のいいアダルト映画の音だけを聞かされているようだ。
寂しげにぶら下がる袋をやさしく転がす掌に、唾液が滴り落ちてくる。その液を袋と肛門の間塗りつけるように擦ると、更に声が甲高くなった。
「あっ、あっ!はぁっ……んっ」
もっと感じて欲しい。もっともっと啼かせたい。愛撫を続ける手と舌の動きが、勝手に激しさを増した。
もう手で口を塞いだりしない。明かりをつけた室内で大きく足を広げ、隠すこともしない。
我慢したり耐えたりすることなく、与えられる刺激をそのまま身体に受けてくれている。今なら、あの場所も感じるはずだ。

達する前に、口を離す。ヌルヌルと光ってビクビクと脈打つそれは、急に独りにされてしまいやけに寂しげだ。
達しないまま止められた事が不可解なのだろう、ヘンリ-は全身で呼吸をしながら、不思議そうな視線だけを向けてくる。
ヘンリ-の身体をベッドの真ん中に据え、毛布をたたんで腰の下に敷いて高くする。いじりったり挿れ易くするためだ。
乱れた髪を手で梳き解かして整え額に唇を落とすと、ヘンリ-の掌が俺の胸に触れる。胸板から腹筋を、摩るように移動する手の感触がゾクリときた。
「……いいな」
「なにがだ?」
「すごく、たくましい」
「まぁ、お前よりはな」
肋骨が浮き出るヘンリ-の身体と筋肉が波打つ俺の身体とでは、「より」なんて比較は似つかわしくない。
ヘンリ-は何度も俺の胸や腹を撫でながら、つまらなさそうに言う。
「……うらやましいな」
「俺はお前の身体が好きだぞ。やわらかくて気持ちがいい」
「……だからイヤなんだよ」
確かに、今の状況でそう言われても嬉しくは無いだろう。
ヘンリ-の気が変わらないうちに、続きをすることにした。呼吸も多少落ち着いてきたようだし、頃合だ。
投げ出された足の膝を曲げて再び広げさせる。
軟膏の瓶を開けて指に薬をたっぷり取り、物欲しそうにひくつく肛門に塗りつける。
周りから徐々に中心へ、マッサージをするようにしっかり塗りこんでいき、入り口付近は特に念入りに、押し広げるようにほぐしていく。
指を挿入し内側の浅いところを探ると、ヘンリ-が苦しそうな声を上げた。
挿し込んだ指が馴染むまで、空いた片手でまだしっかり張りのある棒を達しない程度にやさしくしごき、内腿に口付けを繰り返す。
唇以外に口付けると印を残したがるのは俺の癖らしい。白い両足の内側に、首につけたのと同じ傷がいくつも出来ていく。
挿れた指の周りに薬を付け足してから、指をへその側に曲げ、指の腹でやさしく撫でるように内壁を慎重に探ると、小し硬い部分が見つかった。
「ヘンリ-、息を吸うんだ」
「……吸う、の?」
「そうだ。ゆっくり」
ヘンリ-は言われたとおりに、ゆっくりと息を吸う。それにあわせて硬い部分に指先で、同じくゆっくりと圧力をかける。

「ゆっくり、息を吐け」
今度は息を吐く。俺も指の力を抜く。そして、「吸って」「吐いて」の声をかけながら、押して離してをしばらく繰り返す。
繰り返すうちに、息を吸いかけたヘンリ-が声を上げた。
「うんっ……ん……」
「力を抜けよ。続けるんだ」
「はっ……ぁんっ、なんか、へんっ……だよ」
「続けろ。もっと、よくなるから」
「うん……っ、はぁっ……んっんぅ……んっ」
ヘンリ-は懸命に、吸って吐いてを繰り返した。次第に声が上がる頻度が増してくる。
息が荒くなり、呼吸も浅くなる。身体がのけぞり、両足が力みだしてきた。
「あんっ……はっ……んっ、だ……め、ゴ-ドン、もう、だめっ」
「まだだ。呼吸を深くするんだ。ほら、吸って」
「んっ……」
「思い切り」
「~っ………んんぅっ!」
胸いっぱいに息を吸い込んだヘンリ-の身体が大きく跳ね上がる。
「あっ……ぅんっ、はぁっ……なに……これ?」
「男が一番気持ちよくなれる場所だ」
「気持ちいい……って……いうか……すごく、しびれる」
挿れたままの指を動かさないよう注意しながら、ヘンリ-の顔を見ると瞳から涙が溢れている。寝起きのようなとろんとした顔。
わずかに上気している頬に手を伸ばして触れたくなるがこの体勢では届かず、代わりに内腿に口付け、頬を摺り寄せる。
「でも……しあわせ。やだ……おかしいな……」
「おかしくはないさ。気持ちよかっただろ」
「うん……ゴ-ドンって、すごいね。男の……僕のいいところ……いっぱい知ってる」
「そりゃぁ、お前に気持ちよくなってもらうために、沢山勉強したんだからな」
男を好きになってしまったら、苦労するんだ。
女相手のセックスのなら成り行きでなんとかなるものだろうが、男相手だとそうはいかない。きちんと学んでおかないと、気持ちよくなんてなれっこない。
「でも、これ」
「ん?」
「最初からこんなに感じるものだったんだ?」
「知ってたのか」
「前立腺ってやつでしょ」

「あぁ」
「詳しいやり方は知らなかったけど……」
「普通に女が相手なら必要のない知識だからな。お前が知っていたとは意外だ」
「ん……だって……好きな人、男……だし……」
「……」
男が好き?まさかもう、他の誰かと経験済なのか。……しかし『最初』と言った。『やり方も知らなかった』と。
「お前、もしかして」
「もう、オワリ?」
「! ……いや、まだだ」
もう一度、同じ事を繰り返す。ヘンリ-も慣れてきたのか、啼きながらでも呼吸を続けられるようになってきた。
挿した指で押す強弱を変えると、ヘンリ-の反応も変わる。
「はぁんっ……はっ、はぁ、あっん、んっ」
感じるまま素直に啼くその声がどうしようもなく可愛くて、俺の下腹部が段々熱くなってきた。また、出すのに十分な量に達してきたようだ。
穴のほうも十分ほぐれているようだし、俺がしあわせな気分になる順番が近づいてきた。
ヘンリ-もそろそろ限界が近い。声が止まらなくなって、感じるための呼吸が出来なくなっている。
「はっ、はぁっ…………あぁっ!!……ぁんっ」
身体がぶるっと震えて痙攣する。絶頂とまでは行かないが、軽く達したらしい。初めてならおそらくこの位が限度、やりすぎると疲れさせるだけだ。
最後に一押し圧迫すると、身体がびくんと跳ね上がった。
「……んんっ!」
身体の震えはしばらく続いた。内腿を掌で摩ると、それにも反応して震えた。
慎重に指を二本に増やし、穴を広げる。快感の余韻が残っているのか、痛がりはしない。
念のために軟膏を更に追加して、滑りをよくする。
指の隙間から、猛りに猛った俺のものをゆっくりと挿し入れようとすると、さすがにヘンリ-の身体が強張った。
「……っ」
「力を抜け」
先のほうが入ったのを確認して指を抜くと、きゅっと締められる。
身体の上に覆いかぶさりながらじっくりと体重をかけていくと、俺のものは徐々にヘンリ-の体内に飲み込まれていく。
「はっ……はぁっ……んっ……んぅっ」
ヘンリ-は口をあけて身体全体で呼吸をしながら、懸命に力を抜き俺を受け入れる。
挿れられることで得られる快感はほとんどないはずだが、さっきの余韻なのか、内壁に先が当たるたびにぴくりとぴくりと小刻みに身体が震えた。

中は程よく暖かい。表皮で感じる体温とはまた違ったやさしい温もり。
全てを収め終わるとヘンリ-の腕が俺の身体を包む。その感触にほっとして、つい、本心が零れ落ちた。
「ずっと、こうしたかった……お前と」
「……」
「好きだ、ヘンリ-」
深く挿れたまま動かさずに、ヘンリ-の身体を強く抱きしめた。
包まれる感覚と温もりを感じられる。強い刺激は要らない。これで十分だ。
「愛してる」
「……」
「愛しているんだ。……お前が好きだ」
返事はいらない。聞いてもらえればいい。言葉にするだけで満たされていく気がして、何度も何度も繰り返した。
長く黙っていたヘンリ-が、消え入りそうなくらい小さな声で呟く。
「……ぼくは……」
「……」
「っ……き……きらい……」
「……」
「……ゴ-ドンなんか、だいっきらい……だから……!」
背中に爪が立てられて、軽い痛みが走る。懸命に、搾り出すように発せられた言葉は、涙声だ。
「……わかっている」
「絶対……好きになんか……なってあげない」
「あぁ」
「だいっ……きらい」
「それでいい。俺は、お前のことが好きだ。それだけを知っていてくれたら」
「やだ。知ら…ない……んっ……」
まだ何かを言いたげな口を塞いでしまう。上も下も繋がったまま、舌を絡めあう。
呼吸をするために唇を離すと、頭の後ろをぐいと押され連れ戻された。
ヘンリ-の両腕と両足が俺の身体をしっかりと抱え、舌が積極的に絡みついてくる。
餌を欲しがり親鳥の口内をむさぼる雛鳥のように激しくねだられ、呼吸が苦しくなっても離してくれそうもない。
このままでは窒息してしまうのではないかと思うくらい、隙がない。仕方が無いから、少しだけ腰を動かした。
「んっ………はんっ」
微かな動きに反応して喘ぎ声が上がる。その隙間から息を吸い込んで、また舌を絡ませる。
動かすたびに漏れる声がやはり艶めかしく、まだそれほど刺激を受けていないはずの俺のものが弾けそうになってきた。

肛門の出口で締め付けられて、動かすたびに動かしただけ、絞られるような刺激が走る。
ヘンリ-が感じて力むたびに、ぎゅ、ぎゅ、と締められ、その緩急が心地よい。
「ぁんっ……んっ」
「くっ……ヘンリ-、そろそろ……」
「んっ、ん……外…っに……」
「……中じゃ、だめか?」
「……そ、と」
「……わかった」
身体を起こし、ヘンリ-の腰を掴んで持ち上げる。例の感じる場所を出来るだけ狙って、何度も突き上げた。
「くぅっ……んっ」
一度びくんと跳ね上がると、ヘンリ-の身体から一気に力が抜ける。もう限界か。
再度身体を密着させてぎゅっと抱きしめ、射精に備える。
外だよな。今度は外だ。自分の息子に言い聞かせ、意識を集中する。
粗相をしないようにタイミングを見計らう。……そろそろだ。抜かなくては。
ヘンリ-の外に出ようとしたとき、引こうとした腰を不意に止められる。
「中でっ だし……てっ」
「なっ!?」
驚いて、抜きかけたところで吐き出してしまう。しっかり、粗相をしてしまった。
「う……す、すまない。……中で……」
「……いいの。やっぱり、欲しかった……から」
「……大変なんだよな……その、中、だと」
「そうだね……男だから、仕方がないけど。女の子だと、その……出来ちゃうし。違う意味で、大変」
「……俺は、お前となら……出来ても……」
「……僕は男なんだってば」
「……そうだよな。うん」
俺を抱くヘンリ-の腕に力が入る。俺も応えて抱きしめ返す。
俺の息子は中々しつこくて、全て吐き出すのに時間がかかった。全て出し切るまでに何度か震えると、ヘンリ-も一緒に小さく震えた。
繋がったまま抱きしめあい快感の余韻に浸っていると、俺の耳元でヘンリ-が一言、小さく小さく呟いた。
「どうした?」
吐息のような小さな声で、上手く聞き取れなかった。
「……」
「聞こえなかった。なんだ?」

「……す……き」
今度は聞こえたが、あまりにも断片的だ。
「もう一度、言ってくれないか」
「……」
「頼む」
「……すき……。ゴ-ドン」
救われた気がした。一番聞きたかった言葉を、聞くことが叶わないと思っていた言葉を、聞くことが出来た。一気に緊張が抜けていく。
「……ありがとう、ヘンリ-」
「……うん。……だいすき」
ありったけの力を込めてヘンリ-を抱きしめる。
「……苦しいよ」
「すまない、嬉しくて……つい」
「うん」
「その……いつから」
「……ずっと」
「……」
「ずっとずっと、前から」
「……」
「……口説き方も勉強しておけばよかったね」
「……あぁ、そうだな」
頭を抱え込む俺の背中を、ヘンリ-が摩ってくれる。
本当に情けない話だ。ソドー島一の機関士のこの俺様が、自分が好かれているという可能性を見逃していたなんて。
己だけが身勝手に先走り、自分を想ってくれていた人を傷つけてしまったのだ。
落ち込んだのもつかの間、ヘンリ-が切り出した。
「ねぇ……いつまでもこんなところにいて大丈夫なの?」
「! 今何時だ!?」
慌てて時計を確認する。後一時間もすれば、郵便列車組が出勤してくる。
さすがに非番の俺たちがこんな早朝から仮眠室に居るのは明らかに不自然だ。
しかもヘンリ-は全裸で、俺は半裸。まだ子供のようなト-マスとパ-シーでも異常に気付くはずだ。
「急いで帰る!」
「帰るって……」
「とにかく急げ、お前は出せ!」

「え……出せって……あぁ、そうか」
ヘンリ-をトイレへ連れて行き、座らせる。ヘンリ-が自身の身体の事後処理をしている間に寝具を片付けて着衣を整え、ふたり分の荷物をまとめる。
服を着せている余裕はない。事後処理が終わったヘンリ-を裸のままシーツと毛布で包み、両腕で抱きかかえた。
「こ……このままで帰るの?」
「時間がない。要はばれなきゃいいんだ」
幸い俺達ふたりの住む社員寮へは敷地内のみを通って帰れるし、距離も近い。誰かとすれ違いさえしなければ大丈夫だ。
人が居ないことを確認しながら、慎重に建物から忍び出る。
「……大胆だよね、君」
「褒めてくれてありがとうよ」
「褒めてないよ……」
なるべく人が通らない道を選んで歩く。夜風が涼しくて運動後の身体に心地良かったが、腕の中のヘンリ-には寒いらしく震えながら俺にしがみついてくる。
「寒いのか」
「少し……服着てないし。裸足だし」
「そうだったな。……明日、いや今日か。起きたら医者に診せに行こう」
「なにを?」
「倒れただろ。診せておいたほうがいい」
「それなら平気。ただの貧血だよ。最近、多いんだ」
「貧血?」
「うん。お医者様にはちゃんとかかっているから、心配しないで」
「長いのか」
「……うん。だいぶ前から」
「飯、食えてないんだろ。こんなに痩せて……さすがにこれは軽すぎる」
「食欲が出なくてね。……貧血を起こし始める前は、もっとちゃんと重かったんだけど……」
「なんで嘘なんかついた?」
「……君には弱みを見せたくなかったから」
「弱み?」
「君と同じ大型車の機関士としてのプライドが……ライバル意識ってやつ」
「……なるほどな」
心の中では想いあっていても、常日頃速さと強さを競い合っている仲だ。
こいつはこれで、あのトラブル続きの三号機関車を駆って、俺を上回る仕事をすることがある。
良きライバルであり続けるためには、多少の強がりも必要だったというわけだ。
「でも、もう強がる必要はなくなっちゃったかな」

「あぁ、俺との間に隠し事はなしだ。何かあったら遠慮なく頼れ」
「うん。そうする」
「となると……医者は止めて飯を食いに行くか。ガッツリ食わせて太らせてやる」
「いきなりは入らないよ……それに身体の調子が……」
「まだ苦しいのか?」
「……君が出しすぎるから……違和感が……」
「……す…すまん」
しばしの沈黙の後、ふたりで顔を見合わせ、ぷっと吹き出して笑いあった。
歩みを止め空を見上げると、一面に星が輝いている。ソドー島は空気がきれいだから、本島で見上げるよりも数段輝きが増して見える。
はじめてこの島で星空を見上げたときの事を思い出す。あの日ヘンリ-と出会い、それから長い時間をかけて恋に落ちた。
出会ったときには既に三号機関車に乗っていて、先輩面していろいろな事を教えてくれた。
四号車に乗った俺は、あっという間に追いついて並んだ気で居た。けれど他とは違う想いに気付いたら、また一気に遠くなった。
本当はずっと隣に居てくれたのに、あまりの眩しさに、夜空の星ほどの距離があると思い込んでしまっていたんだ。
星のように遠くにあると感じていた存在が、今、この腕の中にある。夢にまで見たこの重みは、確かな現実。
ただ、俺にはつけるべきケジメと、果たすべき責任がある。それを忘れてはならない。
「ねぇ、ゴ-ドン」
「なんだ?」
「僕たち……その……」
「……」
「……」
「……前科一犯」
「……ぜん、か?」
「罪状、強姦罪……」
「……なんのこと……」
「お前を傷つけたことは事実だ」
「……もう……忘れちゃったよ」
「お前が忘れても、俺は……忘れてはいけない」
「……」
「罪を忘れて、のうのうとお前の恋人に落ち着くなんて、そんなことはできない」
「……どうして」
「罪を犯したら、償わなくては……」
「……」

「お前の全てを俺のものにしたい。その気持ちは変わらない。だが……」
「僕が君のものになりたいと思っていても……叶えてくれないの?」
「罰を受けなくては」
「……勝手だ。そんなの」
「……すまない」
「そうやって、また傷つけるんだね」
「そんなつもりじゃない! もうお前を傷つけたくなんてない!」
「だったら……」
ヘンリ-の掌が俺の頬に触る。暖かさが夜風で冷えた強張りを溶かしていく。
「忘れないように側に居て。抱いて慰めて。……君がつけた傷は君にしか癒せないんだから……責任持って癒してよ」
「……」
「それが、償いだよ」
ヘンリ-が口付けをくれる。唇を重ねるだけの、やさしいキス。
唇を何度か触れ合わせたあと、頬と頬をぴたりと合わせ、ぎゅっと抱きしめられる。
「罰が欲しいなら与えてあげる。牢獄に入りたいのなら、僕の腕の中に閉じ込めてあげるよ。……終身刑だからね。脱走は絶対に許さない」
囚われて、こんなに心地良い牢獄はありはしない。俺を閉じ込めた折はとても暖かく、やさしく頭をなでてくれる。
「……それで、いいよね?」
返事をする代わりに、強く抱きしめ返した。
遠くから人の声が聞こえた。いつまでもこんなところに突っ立っているわけにも行かない。
早く帰ろう。帰ったら、凍えたヘンリ-の身体を温めて、そしてふたりでゆっくり眠るんだ。
満たされすぎて、胸が詰まってくるのを感じて、大きく深呼吸をする。
息を吐くと同時にまぶたの裏が熱くなり、小さな荷物がひとつ増える。
増えた荷物を瞳から零さないように瞬きを我慢して、満天の星空を見上げながら歩き出した。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

少数派でしょうが、自分はヘンリ-のが年上のほうが萌えるんです
ふわふわさらさらで、くすんだ銀色くらいの髪が似合うと思うんです
何様俺様ゴ-ドン様を甘やかしてくれる年上のキレイなお兄さん。萌え

長々と失礼致しました。


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