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GS3兄×坊ちゃま

女性向けの、ときめいちゃう目盛ある3
兄王子×先輩ぼっちゃま
ADVモード風、過去捏造
2人のエンディング、弟王子とぼっちゃまの外出イベしか見てないので
見ていないイベントで明かされる事実と違っていたら申し訳ありません。
萌えを抑え切れませんでしたw

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

(やれやれだ…)
面倒臭いとしか思えないコウコウセイカツというのがスタートした。
望む望まないに関わらず、近隣の同世代には悪い意味で有名になってしまっていた俺達は
こちらを見てはヒソヒソと小声で話し、目が合いそうになると反らされるという大半の生徒と
それとは正反対のギラついた敵対心に満ちたいくつかの視線に晒される。

(そりゃそうだ、今日から高校生つったって、何日か前は中学生だ)
中学時代と大差ない同級生とやらにうんざりとした気分になった。
唯一の違いは再開した幼馴染の少女くらいか。
分かれた時そのまま高校生にしたかのような彼女は、中身も変わっていなかった。
俺は随分と変わっていただろうに…その変わらない対応が酷く嬉しい。

「ただいま」
色々な思いに沈み込みそうになる思考を、帰宅したルカの声が引き上げる。
「おかえり」
「今日バイト先に懐かしい奴が来たよ」
「懐かしい奴?」
「そう。セイちゃん」
「セイちゃんだぁ?」
「設楽さんちのお坊ちゃまのセイちゃんだよ。コウのお気に入りだった」
「…うっせーぞ………」
「セイちゃんもはば学だって」
その名前に一気に思い出が甦る。

あの頃…
近くに住む仲のよかった女の子が引っ越して行った。
それは“別れ”というものを深く考えさせられる人生で二番目の出来事だった。
自分にはどうすることも出来ない。
運命の理不尽さと、現実をどうすることもできない己の無力さと。
いろいろな事から逃げたくなる自分が情けなくて、一人で頭を冷やす為に出かけた公園に彼はいた。
ふわふわと柔らかそうな巻き毛が風に揺れ、猫のような大きな瞳が印象的で思わず見とれる。
「だれ?」
あまりにも不躾に見詰め過ぎたらしい。
不機嫌そうな表情と声に、らしくもなくたじろぐ。
それが出会いだった。

その後どうやってか話をし、彼が近にある馬鹿でかいお屋敷の子供であること
今日はそのお屋敷でティーパーティとやらがあり、母親の友人達に人形代わりの扱いを受けて
それに辟易として逃げ出してきたことを知った。
くるくるとよく動く表情で「人を着せ替え人形か何かだと思っているのか!」と怒る彼は正直とても可愛くて
うっかり笑ったら、ひどく怒られた。
ほんの少し話しただけだが、彼は自分の感情を偽ることをしない。
それをどうしようもなく眩しく感じたことを覚えている。

その後、特に約束をする訳ではないが会って時間があればルカも交えて遊ぶような関係になった。
俺達が年下だと知ったときの憮然とした表情は忘れられない。
「今に見てろよ!」「少しくらい背が高いからって偉くはないんだからな!」
偉そうにした覚えはないんだが…

その年頃の男だったらするような、所謂荒っぽい遊びに彼が加わることはなかったが理由は直ぐに知れた。
彼はピアノを弾くのだという。
一度だけ聞いたそれが、子供の習い事の域をはるかに超えていることは
専門的な知識などない子供に過ぎない自分にすら分かった。
弾いているときの真剣でありながらも楽しそうな表情、
弾き終わったあとの「どうだ」とでも言いた気な表情も容易く思い出せる。
意地っ張りではあったが、己の感情を偽る事をしない彼の存在はどんどん自分の中で大きくなっていった。

ある時…自分には分からないピアノに関する話を楽しげに語る彼にどうしようもなく腹がたって意地悪をしたことがあった。
寒い冬が終わり、暖かい日差しに満ちた公園は気持ちがよく
黄色いたんぽぽの花と、その綿毛が風に揺れていた。
せっかくの陽気に身体を動かしたい自分と、自分には分からない話を続ける彼と…
訳も分からず苛々して、ふわふわと揺れるたんぽぽの綿毛を千切って手にし、彼に向かって吹いた。
「何するんだよ」
話を中断された為か、頬に当たる綿毛の感触の為か、その両方か
不機嫌な声でこちらを睨む。
やっとこっちを向いた嬉しさと、これまで放っておかれた苛立ちでつい言ってしまった何処かで聞いた都市伝説じみた話。
「知ってるか?たんぽぽの綿毛が入ると、耳が聞こえなくなるんだぜ」
「嘘だ!」
バッと、音がしそうな猛スピードで彼は耳を押さえる。
「嘘なもんか」
まさか彼がそこまで激しい反応を示すとは思いもしなかった。

そこで止めればよかった。
子供同士の意地の張り合いのようなものだったのだから。
「なあ、耳、聞こえなくなったらどうする?」
なのに続けてしまった。
瞬間、彼の表情は怯えを含んだものになり、大きな瞳には涙が浮かんで
「嘘だ!」
もう一度叫ぶようにして言うと、彼は走り去っていった。
…今なら分かる。
音楽を志す彼にとって耳がどれほど大事かということ。
耳が聞こえなくなると言う事が、普通に暮らす自分とは比較にならないほどの恐怖だということ。
大切な存在になりつつあった彼を、酷く傷つけてしまったということ。

そうして決定的な仲違いと言う程ではないが謝ろうと言う思いと、それ程の事でもないだろという意地との間から少し距離が出来た。
もともと学年が違うのだから、顔を合わさないようにすることは容易い。
一抹の寂しさを抱えながらも、ギクシャクとした感じが解けないまま夏を向かえたある日、偶然顔を合わせた彼から
「ウィーンに行ってしばらくは帰らない」
と、告げられた。

またか…と思った。
別れは何時だって突然、避け難い現実として目の前に現れる。
だから後悔しないように、大切な奴には優しくしようと思っていた…ハズだった。
…でも、出来なかった。
そしてもっと恐ろしかったのは、自分を置いていこうとする彼に酷い言葉をぶつけそうになった事。
やり場の無い感情が一気に溢れて、
「そうかよ!」
とだけ言ってその場から逃げた。…そう、自分は逃げた。

その後すぐに、ウィーンに行くのは一時的なもので秋には戻るのだと知ったが
あの時の「また置いていかれるのか」という恐怖感と苛立ちと情けない自分と…
久しぶりに聞いた彼の名前はそんな苦いものを思い出させた。

「全然変わってなかったよ」
ルカの声が、思い出から現実へ浮上させる。
「そうか」
「うん」
それだけ言うと、自分の部屋へと入っていった。

『変わってなかった』という彼を、少しだけ見てみたいと思った。
本当に変わっていないのだろうか?
あの真直ぐにこちらを射抜く瞳は…
だとしたら
退屈で煩わしい事ばかりだと思ったコウコウセイカツとやらが、少しは楽しくなりそうな予感がした。

□STOPピッ◇⊂(・∀・)オワリデスドウモシツレイシマシタ

たんぽぽイベと、兄に啼かされていたぼっちゃまに萌えすぎた
しかし、すっごい尻切れトンボにorz


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