夜中の出来事
更新日: 2011-04-24 (日) 17:34:22
>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
大きな河のドラマ、リョマ→イゾベースのヤタイゾ未満
エロなしグロあり捏造設定です。同作品の連投になるので待っていましたが、
明日の放送後だと設定が合わなくなるのですいません。
僅かに月明かりが差し込む牢の真ん中で、数刻前に投げ入れられた体制のまま男は倒れていた。
牢番はうたた寝を邪魔されたことで大層機嫌が悪く
「朝になればまた打たれるのに、手当てなぞ薬が勿体無い」と文句を言いながら錠を開けた。
「……全て吐かせるまではくたばらんように面倒を見ろと言われちょるんじゃ…」
「だったらもうちっと加減しや、ここ数日は飯も食えんくなっとる。
食っても血と一緒に吐いとるからな…はらわたが破れちょったらもう長くは持たんぞ」
淡々と呟やきながら鍵の差し込まれた錠ごとヤタロに押し付け、
「儂は詰め所にもどるき、鍵は後でちゃんと返しに来いや」
とぞんざいに言い放ち去っていった。
随分といい加減なものだ。
ヤタロが今はゴトウから直々に役目を与えられ罪人の取調べを行う立場である為か、
いや、もう自らの力では立つのはおろか這うことすらままならないこの牢の男に過剰な警備は必要ないということだろう。
別棟にある竹地の牢では、牢番の菓子達が密かに竹地の支援者となり、監督役の上司の目を盗んで
捕縛されていない菌能等員達との文のやり取りを買って出ているらしい。
さらに城下では竹地を救出するために菓子が結束して戦を起こすなどという根も葉もない流言まで飛び交う始末で、
緊張した状態が続いている。
牢に入れられてなお、人を動かし政局に働きかけようとする竹地には恐れ入るが
、ここで踏み潰された蟻のように惨めな姿で眠っている男が一言漏らしてしまえば全てが終わってしまうのに。
ヤタロはゴトーに命じられ幾度か竹地の説得を試みたが、
「自分等は何も間違ったことはしちょらん」だの「藩のため、大殿様のため」だの繰り返し、未だ折れる気配は微塵もない。
その矜持を守るため、幼子の頃から目をかけてきた愛弟子が今も命を削って耐えているのをあのお偉い先生はわかっているのか。
まったく侍というものは馬鹿馬鹿しい。
さっさとこんなお役目から離れて商売に戻りたい。
うつ伏せに倒れたまま声をかけても反応がないので、
とりあえず背中の傷を見るため血と泥がこびり付いた襤褸布をずらした。
血や膿の嫌な匂いがして、灯りに乏しい牢の中でも惨たらしい傷口はよくわかる。
希瀬が山草から煎じてくれた毒消薬をそっと塗りつけた。
「……っ………」
無反応だった体が急に強張り、小さく息が漏れた。薬が染みるのだろう、しかし男は眠り続けたままだ。
愛娘を撫でる時の様に、できるかぎり精一杯優しく薬を塗りつけて、ボロボロの着物を着せ直した。
男にしては薄すぎる躰を抱えて仰向けにし、襟をはだけて具合を確かめる。
背中程酷くはないが、それでも傷だらけの肋骨が浮いた胸にまた薬を塗った。
一瞬着物の裾から覗く足にも目をやるが、肉が割れて骨が砕けてしまったそれをどうしてやればいいのか、
ヤタロには見当もつかなかった。
「なんでさっさとしゃべらんのじゃ……」
イゾウがここまで追い詰められてなお、竹地を庇い責めに耐え続けるのがヤタロにはさっぱり理解できなiい。
とぼける芝居も一人前にできないこの男は、もともと素直な性分なのだろう、
「わしは何も知らん!!」と言いつつも、大きな瞳やくるくる変わる表情のせいで嘘をついていることが手に取るようにわかるのだ。
唇の端に血を滴らせ、「竹地先生は素晴らしいお方じゃ…」と恍惚とした表情で言い放つ様は
ゴトウや役人共の神経を逆撫でし、昂ぶらせ、益々狂ったようにイゾウを嬲り続ける。
悲惨だがある意味滑稽で、地獄絵図とはきっとこんな光景を言うのだ。
牢の格子の傍に、干からびた小さな芋がいくつか転がっていた。
囚人に与えられる食事だが、ことあるごとに頬を張られ、
牢番の話では腹の中も傷付いているだろう人間にこんな硬い芋が食えるわけがない。
せめて水だけでも飲ませてやろうと、なるべく傷に触れないようにゆっくりイゾウを抱き起こした。
湯のみを口元に当ててやって少しずつ流し込むが、唇の端から流れ落ちてしまう。
「おい、イゾウ、水じゃ!飲め!」
軽く揺すって声をかけるが目を覚ます気配はない。
ふと既視感を感じ記憶を辿ると愛娘の顔を思い出した。
先日春ZIが熱を出した時に、医者が煎じた薬が苦かったのか、嫌がって飲まなくて希瀬が困り果ていたことがあった。
結局希瀬は自ら薬を口に含み、口移しでゆっくりゆっくり飲ませてやっていたのだ。
「赤子と一緒じゃのう…」
ヤタロは水を口に含んで、直接流し込んでやった。しばらく咥内に残っていたが、やがてゆっくり嚥下したのが喉の動きでわかる。
上手くいった事に気を良くして二口目を飲まそうと唇を舐めると鉄の味がする。唇ごしにイゾウの血が付いたようだ。
「なんじゃ、顔も随分きちゃないのう…」
ついでなので持っていた手ぬぐいに水を浸し、そっと顔を拭いてやった。
こびり付いた血の後や泥やら煤やらのせいで白かった手ぬぐいが真っ黒になってしまった。
「後で髭も剃っっちゃるかの…」
もう一度水を口に含んで、口移しで飲ませた。短気なヤタロにしては珍しく、ゆっくりゆっくり少しずつ飲ませる。
何度か繰り返すうちに、抱えている腕の中でイゾウが身じろいだ。
水を流し込んで唇を離そうとしたら突然イゾウの舌が動いてヤタロのそれに絡みつく。
「なっなんじゃぁ!?」
「……あ…りょ……おま?」
予想もしなかった名前がイゾウの唇から零れた。
「はあ?良間ぁ?」
ヤタロの素っとん狂な声に意識を取り戻したのか、イゾウがぱっちり目を開けた。
「なんじゃ、おまんか。…夢の中で…口を吸われたから良間が…おるのかと思った…ここにおるわけないのにの…」
虚ろな瞳で天井を見ながらぽつりぽつりと呟く。
「…なんで良間がおまんの口を吸うんじゃ…?」
何やら状況と会話の内容が合っていないことは自覚していたが、思わずヤタロは聞いてしまった。
「異国の挨拶ぜよ。両間が教えてくれてのう、本当に中のええ友達同士で交わす方法じゃと言うとった…
顔を合わせたときと、別れるときに吸い合うんじゃ。気持ちええししょっちゅうしてくれた…
でも誰にも言うちゃいかんき、先生に異国かぶれじゃと叱られてしまうぜよ…今更どうでもええことじゃがの…」
いたずらがばれてしまった子供のようにくすくす笑うイゾウは、騙されていることに全く気付いていない。
確かに異国の風習では挨拶に唇を使うが、イゾウが教えられた口吸いは男女のまぐわいの中で行われる行為だ。気持ちよくなって当たり前。
(あの女たらしのアホ…男までたらしとるのか!!!こんな何も知らん馬鹿正直なアホを騙して
堂々と吸っとったんか、全く信じられん。男なんか何がええんじゃ…)
楽しかった頃の思い出に意識を飛ばしているのか、穏やかな表情で目を閉じているイゾウの顔をまじまじと見る。
殴られ、腫れて傷だらけでも小ぶりな整った顔は少女の様だ。
(華緒や希瀬とはまた違った種類の美人じゃの…わしもあいつも面食いじゃし女子の好みは似ちょるかもしれん………)
「………って、違ーうっ!!!わしは何を考えとるんじゃ!!!」
「いっ……急に離すなっ!!」
突然地面にほおりだされたイゾウがしたたかに背中を打って悲鳴を上げる。
しかしヤタロは己の思いつきに混乱し、構ってやる余裕はない。
(髭じゃ!!ちゃんと髭が生えちょる!!こいつは男じゃ!罪人じゃ!ヤタロ、しっかりし!!!)
頭を掻き毟りながら一人でバタバタ歩き回るヤタロを横目で見ながら、イゾウは静かに目を閉じる。
ヤタロは恨んでも恨みきれない上士側の人間だが、拷問中まるで自分が打たれているかのように
悲鳴を上げて後藤たちにどやされているのを見るとなんだか憎めない。
しかし、イゾウはやっぱりヤタロが嫌いになった。
先ほどからうずくまって何をしているのやらと思えば、桶の水を地面に垂らして子供の様に泥を練っている。
ぶつぶつ何か呟いているがよく聞き取れない。
突然くわっとイゾウを睨むと、泥だらけの掌をぺたぺたイゾウの顔に擦り付けてきた。
「…っなっ、何をしゆう!!やめてくれ!!沁みる!痛い!」
「だまっちょれ!!おまんの為にしてやっとるんじゃ!!そんな顔しちょったらあかん!!」
「意味がわからんぜよ、おまんがさっき血を拭ってくれたんじゃないがか!?」
「うるさい!着物もちゃんと着い!だらしない!!」
「…布が擦れて痛いぜよ……」
顔を元のように泥だらけにし、ボロボロの着物をきっちり合わせるとヤタロは満足した表情で、
「うんうん、わしは違うんじゃ。」
とわけのわからないことを呟き牢から出て行き、イゾウはわけがわからず呆然とそれを見送った。
今更ながら、ヤタロが薬を塗ってくれたことに気付き、
「礼をいわないかんかったのう…」と一人呟いた。
夜明けまでまだ数刻時間がある。日が昇ればまたあの恐ろしい責が始まると思うと体がガタガタ震えだす。
あんなに痛いのに、どくどく血は流れているのに、いつまでもしぶとく生きている頑丈な自分の体を呪う。
いつの間にか涙が滲んできて、でも拭う為に腕を上げるのを億劫に思っていると、バタバタと派手な足音が近づいてきた。
息を切らせてヤタロが戻ってきた。
「かっ、鍵を、鍵を閉めるのを忘れちょったっ!!!
おまん、ちゃんとおるな、逃げてないな!?」
格子の隅に転がっていた錠を慌しくかけて、
「鍵を忘れたことちくったらいかんぜよっ!!」
と怒鳴って走り去った。
「………なんなんじゃあ、あいつは……」
あまりの馬鹿馬鹿しさに涙も引っ込み、イゾウは大の字に寝転がった。
□STOP ピッ◇イジョウジサクジエンデシタ!
ようやくこの二人の接点ができたのでwwラストで規制にあっちまいました…
このページのURL: