Top/57-41

月蝕・月蝕 新月

月蝕

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
タイガードラマの武智→涼真。
涼真三味線ベンベンの回と先生涙ポロリの回をねつ造。
似非土イ左弁なのはご愛嬌で。

涼真の歌声が聞こえてくる。
そういえば昔から歌う事が好きな男であった。

酒元家の前に佇みながら武智はふと昔を思った。
決して幸福とは言えないがあの家族に包み込まれた涼真は夢の中にまどろんでいる子供の様であった。この世の厳しさも理不尽さも理解し切れていない男だった。
だが、愛する者を失うというあの一件で目覚めていた。

涼真は器用である。
自分自身に対しても他人に対しても、迷いながらでも結局は器用に生きている。
それが己はできないでいた。
これからの土イ左の為には涼真は必要である。

武智は門を叩いた。

「おまんを頼りにしちゅうじゃが!」
皆が涼真を求めている。それなのにこの男の態度は煮え切らないでいる。
何故理解してくれない?何故この声に耳を傾けようとしてくれない。
苛立つ心を引き摺って飛び出していた。
「武智さん!」
己を呼ぶ声を振り切って駆け出す。
何故土イ左の為に・・・いや、この国の為に必死になっているこの心を理解してくれないのだ。誰も。
『おまんはしょうまっことそう思っちゅうのか?』
「誰じゃ!」
突然の声に足を止める。
だが、周りには誰もいない。
『おまんががしょうまっこと求めちゅうのはなんじゃ?』
やはり耳元で声がする。静かで見透かした様な声だ。
空耳なのか?いや、それとも自分の心なのか?
姿の見えぬ何かはまだ語りかけてくる。
『おまんがしょうまっこと求めちゅうのは』「やめい!」
その先を聞くのが恐ろしくなってその声を遮るように叫んでいた。
違う。違う。違う。
己はそんな弱い男ではない。

「武智さーん!」
遠くで涼真の呼ぶ声が聞こえ、咄嗟に物陰に身を潜めた。
違う。違う。違う!
何度も聞こえてきそうな声を打ち消していた。

月蝕 新月

そんな日々の記憶がさらに武智を追い詰めていた。
「くうぅああ」
苦しい。
塔要達に足蹴りにされた痛みの所為ではない。
絶望と恐怖がじわじわと体を締め上げていた。
どうすればいいのだ。
朦朧とする意識の中で答えの出ない問いを考え続けている。
『めっそ目を覚ませ、武智』
誰だ?
その声は聞き覚えがあった。
『おまんは何を求めちゅう』
ああ。あの時の声か。
その声は涼真の家から苛立ちに任せて走り去ったあの日に聞こえた声であった。
―おまんがしょうまっこと求めちゅうのは―
やめろ。やめてくれ!
『ほりゃあ先生などとゆう立場でもなく、この国の将来でもない』
やめろ。
『おまんが求めちゅうのはあの男』
「やめいぃ」
部屋には自分にそっくりな男が立っている。だがその目は酷く冷たく、自分であって自分で無い様な顔だった。

『めっそ目を覚ませ。おまんがほがな中途半端な気持ちで求めちゅうから、誰にもなんちゃーじゃ伝わらん。このままじゃーおまんは終わりだ』
「わしはどうすれば」
『わしはお前の味方ぜよ』
ポロリと涙が零れる。ずっと欲しい言葉であった。その一言でいいのだ。
「どうすれば・・・」
『酒元に塔要を・・・・』
その言葉に目を見開く。体が芯から冷えていくのが分かる。
「けんど」
『ほがな想いに縛られるな。おまんの周りは全て手駒だと思え』
「わしにゃいかんじゃ」
『おまんにゃその資格も器もある』
「けんど」
『そうでもしやーせん限りおまんは酒元を手に入れられん』
「・・・っ」
『わしはおまんの味方じゃき』

張りつめていた糸がピンッという音をたてて切れた。
「・・・そうじゃ。斬ってしまえ」

『そうじゃ。わしの声に従っていればはやだらしゅうもならん』
『おまんから全てが無くなっても』

「わしはおまんの味方じゃき」
汗に濡れた口元が歪んだ。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ナンバリングを間違えて苦し紛れをやってしまいました。すみません。
黒のも白のも先生が好きすぎて困る。
ありがとうございました。


このページのURL:

ページ新規作成

新しいページはこちらから投稿できます。

TOP