銀魂 銀時×桂 「俺たちの季節」
更新日: 2011-01-12 (水) 00:43:01
Silver Soul(和訳)劇場版より 銀×ヅラ
エロ無しの駄文で失礼します。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
戦場と化した高杉の船から、無事に脱出できた銀時と桂だったが
パラシュートが風に流されて、海の上に落ちてしまった。
なんとか岸まで泳ぎ着いた頃には、もう日も落ちて
うらぶれた海岸には、小さな街灯が遠くに灯るだけで
辺りは人影もなく、ひっそりと静まりかえっていた。
「・・ったく、もうちょっとマシなやり方はなかったのかよっ!」
ざばざばと波を蹴って、海から上がってきた銀時が
濡れた銀髪をかき上げながら毒づくと
「どさくさで俺にくっついて来たくせに、文句を言うな」
こちらも、濡れて頬に張り付く黒髪を耳の後ろへなで付けながら、桂が返す。
「へーへー、どうもすいませんでした。・・ってか、ココどこだよっ!」
周りを見渡しても、見覚えのない景色ばかりで、銀時が焦りだす。
「随分流されたからな、まぁ、心配はいらん。
どこに居ようと、エリザベスが迎えに来てくれる」
いつもと変わらず鷹揚とした桂の態度に、銀時は仄かな期待を込めて尋ねた。
「え?なに?お前、からくり嫌いのくせにケータイとか持ってんの?GPSとかGTOとかそういうの?」
「いや。気配で」
「は?」
「エリザベスは、俺の気配が分かるらしい」
「あー・・・そうですか」
『んなワケねえっ!』と心の中だけで突っ込んで、銀時は不毛になりそうな会話を打ち切った。
とにもかくにも、このずぶ濡れの着物をなんとかしようと、二人は近くの松林まで歩いた。
そこで、重くなるほどに海水を含んだ着物をやっと脱いで、両手で絞ると、手近な枝に干し掛けた。
銀時が、脱いだブーツを逆さにして、中の海水を振り絞っていると
ふと傍らの、夜目にも白い肢体が目に入った。
月光の下、白く浮かぶ艶やかな肌。
そこには不似合いな赤黒い傷が、一筋貼りついていた。
「それは、紅桜に、やられた跡か?」
岡田に、とは言いたくなかった。
銀時の脳裏に、桂の黒髪に頬ずる岡田のにやけ顔が甦る。
胃の辺りがきりきりと痛んだ。
「ああ」
傷の主は、さして気にする風もなく、そう一言頷いただけだった。
「見事にバッサリいかれちまって。よく死ななかったもんだな!」
不快感を吐き出すように言い放った銀時を、桂は横目でちらりと見やって
すっと視線を足元へと移した。
そこには、刀傷のついた古ぼけた本が、潮風に吹かれて僅かに頁をめくっていた。
「・・・この本のお陰で太刀傷が浅くなった。
もう少し深くやられていれば・・・危なかったろうな」
ふいに銀時の腕が伸びて、桂を体ごと引き寄せた。
銀髪がふわりと、傷を負った桂の胸に当たる。
「銀時?」
「他人事みたいに言ってんじゃねぇ!俺が、どんなに・・・っ」
桂の胸に顔を埋めた銀時が、言葉を詰まらせる。
傷を気遣うように、桂の背にゆるく回された銀時の両腕が小刻みに震えている。
自分の胸を暖かい滴が伝うのを感じた桂が、驚いたように声をあげる。
「なっ・・泣いているのか?・・・銀時?」
桂の問いに、一息、鼻を啜り上げて、低い声が応えた。
「うそみたいだろ」
「・・・ありえないだろ」
ため息と共にそう呟くと、桂は胸の中の銀髪を
両腕で包み込むように抱きしめた。
「お前が俺の腕の中で泣く日がくるなんてなぁ」
「全くだ・・・ガラじゃねぇ」
ずずっとまた鼻を啜って、銀時が顔を上げた。
「なんとも、情けない面だな、銀時」
「オメーもな。ヅラ」
気付かぬうちに桂も涙目になっていたようだ。
「ヅラじゃない、桂だ」
いつものように返して、桂は優しく笑った。つられたように、銀時も微笑う。
そうして、ゆっくりと、お互いに唇を寄せ合った。
静かに重なる二つの影を、遥か中天に懸かる月だけが見ていた。
※ここから書き足し部分です。 微エロ注意
長い口付けが、どんどん深いものになっていくのに気付いた桂が
銀時の胸を押し返して、僅かに身を離した。
「ちょ・・・ちょっと、銀時・・・っ」
「んー」
桂の唇を逃した銀時は、今度は滑らかな首筋に吸い付いた。
「ちょっと待て、銀時・・あ・・待て、と言っ・・・ふっ」
熱い舌で舐めあげられて、桂の口元から甘い吐息が漏れる。
桂を優しく抱きしめていた腕が、ゆっくりと下半身へ伝い降りてゆき
引き締まった臀部を撫で上げると、桂の全身がびくりと震えた。
「なにをするっ!」
ぐいと両腕で押し返して、さっきよりも大きく身を離すと、桂は銀時を睨み付けた。
「や、ナニするつもりだけど」
悪びれも無くそう言い切ると、銀時は再度桂の肢体を抱きこんだ。
「ほら、せっかくお互いに裸だし、なぁ」
耳元で囁きながら、それでも抵抗を止めない桂を押さえ込むように、片足を引っ掛けて砂地に引き倒した。
地面に着く直前、桂の背に回していた腕で、少し引き寄せるように抱き上げてから
銀時は、そうっと白い体を横たえて、ゆっくり己の体重をかけていく。
桂の首筋を舐め上げた舌は、辿りついた柔らかな耳朶の、その形をなぞる様に這いずっていく。
「ふっ・・・あ・・っ」
ぞくりとした感覚に、桂が背を反らせると、すかざす銀時の指がそこをついっと撫で上げて
桂の全身を痺れさせる。
「銀・・・時・・・やっ・・ぁ」
覆いかぶさる体躯を、押し返そうとする腕は弱々しく
静止の言葉も、吐息に混じってしまう。
絶え間なく与えられる快感で、蕩けそうになっていた桂の双眸が、ふと焦点を結んだ。
「あ、エリザベス」
その言葉を聞いた途端、跳ね飛ぶように桂から離れた銀時は、すばやく後ろを振り返った。
が、其処には、月明かりに照らされた一本の松の木が、音も無く立っているだけだった。
くすくすと心底楽しそうに笑う桂を、銀時は恨めしそうに見下ろした。
「ヅ~~ラ~~」
「ヅラじゃない、桂だ」
もう口癖になっているかのような返答をして、桂は半身を起こした。
努めて平静を装っているが、その頬は少し紅い。
「・・・時と場所をわきまえろ、銀時」
立ち上がろうとする桂の肩を、力強い腕が止める。
銀時は、両手を桂の双肩に置き、漆黒に濡れる瞳を真正面から見据える。
「今、ここで、お前が、欲しいんだ」
「・・・っ!」
突然の告白に、桂は短く息を飲んだ。
「お前が、生きている事の証が、欲しい」
いつになく真剣な気迫に、桂は返す言葉が見つからなかった。
暫く無言で見つめ合った後、桂は、すっと片手を伸ばした。
銀髪に指を絡ませて、己の方に引き寄せる。
引き結ばれた銀時の唇に、桂のそれが触れる。
『冷てぇ』と銀時は思った。
しかし、薄く開いた唇からは、温かな吐息と、柔らかく熱く濡れる舌が
口付けの相手へ、生気を感じさせようとしているかのように、揺れ動いている。
銀時の方から舌を差し入れると、ぬるりと口内に誘い込まれた。
温かな口内。
熱い吐息。
重なった素肌からは、微かに鼓動も感じられる。
全てが、生きてここに在る事の証。
「・・これでは、足りないか?」
桂は、つい、と唇を離し、銀時の瞳を覗き込みながら問うた。
「た・・・足らないねっ!全っ然!!物足りねえ!!」
声を荒げてまでまくし立てられて、桂の眉根が寄る。
ふぅと小さく息を吐いて、桂は銀髪に絡ませていた手を解くと
力が抜けたようにその身を横たえ、目を閉じた。
「ならば・・・仕方ない。好きにすればいい」
「え?いいの?!」
「お前たちには、今回の件で、本当に迷惑をかけてしまった。
相手を欺くためとはいえ、いらぬ心配もかけてしまったしな」
「あー・・・」
「まさか、お前まで俺を探して、あんな所まで来てくれるとは思わなかったぞ」
嬉しそうな桂の囁きに、銀時の良心が少し痛む。
「あー、そう・・・ねぇ」
『本当は俺は別件で巻き込まれたんですけどね』
銀時は、喉下まで出かかったその言葉を飲み込んだ。
口に出してしまうと、せっかく従順になってくれた愛おしい身体が
また、離れていくに決まってる。そんな勿体無いことはしない。
歯切れの悪い銀時の返事を不審に思った桂が、薄目を開けた。
「・・・どうした?」
「ま、ま。いーから、いーから」
また上半身を起こそうとする桂を、慌てて押し留める。
「銀時。お前、なにか誤魔化そうとしていないか?」
「いいやぁ、全然、全然!」
つくり笑顔でそう押し切って、右手で桂の前髪をかき上げて、その額に口付けた。
黒髪に指を滑らすと、思いがけず早くその感触が途切れた。
ざんばらに切られた髪の毛が、銀時の指を滑り落ちていく。
「ヅラぁ・・・」
「ヅラじゃない、桂だ。なんだ?」
「イメチェンは、もう、すんなよ」
その言葉に込められた意味が分かって、桂の頬が緩む。
「髪など、すぐ伸びる。
・・・これも、生きている証のひとつだな」
銀時がはっとしたように顔をあげると、柔らかな笑顔と目が合った。
見詰め合ったまま、もう一度、銀時が片手で髪をすくと、桂は軽く瞼を閉じた。
口付けをねだる様な表情に、吸い寄せられた銀時の唇が、ゆっくりと重なっていく。
地面に投げ出されていた桂の両腕が、そっと銀時の背に回される。
幾度も交わされる深い口付けの合間に、甘やかな囁きが漏れる。
「こうして、抱き合えるのも、生きている証、だな」
「ああ・・・そうだ」
どちらのものか分からない涙の滴が月光をきらりと反射して、砂の中へ消えていった。
ー 了 ー
棚スレや本スレで身に余る賛辞を頂き、調子に乗ってちょっと書き足してみました。
稚拙な文章ですが、お読みいただき、ありがとうございました。
また、貴重なスペースをお貸し下さった管理人様、収録人様、心よりお礼を申し上げます。ありがとうございました。
- 銀桂、すっごく素敵です!よければまた書いてください^^ -- 2010-05-08 (土) 14:40:15
- ありがとうございます。実は銀桂は初めてだったので不安だったのですが、受け入れて頂いてとても嬉しいです!また萌が襲ってきたら書きたいと思いますので、その節はまた読んでやってください。 -- 作者? 2010-05-08 (土) 22:31:20
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