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ドラマ紅将軍の凱旋

白+紅と白→愚痴。白ヘタレ注意
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

僕にとって、早水は偶像であり理想でもあった。そう認めることに異論はない。口に出して言うことでもない。

医療現場から官庁へと立ち位置をシフトさせ、悪習の濃い行政を改革していくことに新たな理想を見出だした僕にとって、早水は遠い日の自分であり、もう一人の自分でもあった。
胸中に秘めた、最高の友人だった。
だからこそ――早水が理想を腐らせ、後戻りができないのであれば、引導は自分の手で渡すべきだと、そう思っていた。

正規の監査業務を終えても尚、「お泊りセット」を愚/痴外来に置いているのは、僕なりのグッ/チーへの甘えだった。
もう業務は終わったんでしょう、なんで居座るんですか。
そう、グッ/チーに問われれば、真の「監査」を告げることができる。以前の事件の時のように、共に真相究明に乗り出すことになる。
また、彼に救われ、彼をどん底にたたき落とすことに、なる。
それでも。

僕には分かっている。これは自分一人が抱えるべき問題だと。あのお人よしで、涙もろい、情に篤い不器用な神経内科医は、贈収賄の泥沼とは無縁なのだから。
それでも――否、だからこそ。

グッ/チーは、強い。
小動物じみた外観や、他人に親身になりすぎて流す涙に騙されそうになるが、精神構造は柔軟で、受容性に富む。
彼といる時、僕は安定する。アクセルしか積んでいない僕の、外付けブレーキでありニトロたる存在。足元を照らす確かな光。

だからこそ、過去、僕は飛べた。これからも、飛び続けられる。
だからこそ――巻き込むのだ。
甘えともSOSとも悟られない、傲慢さで。

お前は見付けられなかったのか、早水。
僕にとってのグッ/チーを。

なにもない屋上と、せき立てられるモニタだらけの司令室を思い浮かべ、僕は嘆息する。
飴玉の搭とドクターヘリの模型、海の底のような青い暗さ。それが早水の今であり、僕の過去の理想だとは、認めたくなかった。
哀しすぎる。
それがただの感傷や邪推だとしても。

愚/痴外来で主を待ち続けていたコーヒーカップを見ながら、僕は目を閉じた。
すべてが終わった後で、早水には告げておこうと決めた。
僕はあの日、お前一人に理想を負わせて逃げた、思い人になにもできない――ただの臆病者なのだ、と。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

初投下につき不細工陳謝。アーキンチョウシタ


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