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霖雨

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
タイガードラマの飛来×武智。気が迷いまくってエロがアル。

痩せた、と思った。
その日、雨は夜になっても降り止まなかった。
帰り仕度をする為に、人気の無くなった道場の引き戸を締めてゆく。
そして振り返った背後の神棚の前に一人座す武智の背中を見留めた時、飛来は思わず胸の内で
同じ言葉を繰り返していた。
痩せた。
見間違えではおそらくない。
もともと背が高いのもあって、けして恰幅良く見える体格の人ではなかったが、それでも
この所の一目見て線細い印象は、もはや誤魔化しが効くものでは無くなってきているように思える。
原因は何か。
思いあたる事は多々あった。
江戸に来航したと言う黒舟。国を開いた幕府。
その弱腰に憤りながらも、どうする事も出来ないこの国の下司の焦燥感。
そんな中でこの人の肩にかかる皆の期待は大きい。
才高く、人望も厚い。
だから信奉し、集ってくる者達の中には、しかし自らの思考を止め、安易にすべてを委ねようとする
輩も少なくない。
そんな者達は撥ねつけてしまえばよいのに、と自分などは思う。
しかしこの人はそのすべてを受け入れ、抱え込もうとするから。
そして人一人ではどうする事も出来ない壁に当たり……追いつめられていく。
「先生、戸締りはわしがしておきますきに。雨も強うなってきましたから、今日は戻られて下さい。」
胸が詰まるような、そんな想いを振り払うようにわざと明るく飛来は声をかける。
けれどそれにも武智が振り返る事はなかった。
「いや、わしはもう少しここにおる。おまんこそ今日はもうええぞ。」
代わり、道場内に通った静かな声。
それに飛来はまたしても思う。
いつの頃からだろう。この人が家に戻る時間を徐々に遅らせるようになったのは。
そして……いつからだろう。
この人の雰囲気が、今にも切れてしまいそうな糸のように、張りつめたものになったのは。
「先生、いかんちや。戻って休んでください。なんやここんところ顔色が悪い。
なんならわしが家まで送りますきに。」
適当な理由を付け、なんとかここから去らせようと思う。
そしてゆっくりと背後に近付きその手を伸ばせば、しかしそれはこの時、気配を察した武智から
手厳しい反撃を喰らった。
「ええ言うちょるやろっ」
鋭い語調と共に、差し出した手を払われた。
その勢いの強さに飛来が驚く。しかし驚いたのは自分だけではなかったようだった。
「…………っ…」
無言のまま振り仰ぐように向けられた、武智の顔にもこの時、自らの行為に驚いたような
色が浮かんでいた。そして、
「すまん…」
短な謝罪と共に、振り返りざま立ち上がろうとしてくる。
立てられる膝。
しかしその体はこの時不意に、飛来の目の前で落ちるようにその均衡を失った。

「武智さん?!」
咄嗟に名が出、腕が出ていた。
斜めに崩れ落ちようとする体を受け止めようとする。が、目眩を起こしたらしいその体はこの時
ひどく重く、それゆえ飛来は腕にした武智ごと自分も床の上に激しく倒れ込んでいた。
ガツッと嫌な音を立てて肘を打ち、それでもその腕の中に巻き込んだその人の頭を庇う。
そのままの体制でしばし痛みに耐え、痺れにも似たそれがようやく治まったと思ったと同時に声が出た。
「大丈夫ですかっ、武智さん!どこか打っちょりませんか?!」
慌てて体を起こし、確認する為にその顔を覗きこもうとする。
道場の中は暗かった。
外は雨。蝋燭の灯りはすでに消されており、体を起こせばその分だけ床に重なる影の闇が濃くなる。
その向こう、この時武智からの返事は無かった。その代わり、
「……いて…くれ、…じろう……」
耳に届いたのはどこか震えるような、掠れた声。
はっきりとは聞き取れず、だからもう一度聞き直そうとする。
しかしそんな飛来に、武智は今度は下からその腕を伸ばしてきた。
「どいてくれっ…収次郎…っ」
白い道着からまっすぐに伸びた手が、迫っていた飛来の肩を押し返そうとしてくる。
突っ張るような力を込めて。しかし驚いた飛来がそれに咄嗟に反応出来ずにいると、その手は
やがて形を拳に変え、強い力で数度自分の肩先を叩いてきた。
「どけっ!」
もはや頼む体裁をも失った口調で叫ばれ、眼下で激しく身動がれる。
それは飛来がこれまで一度として見た事が無いような、武智の取り乱し方だった。
だから呆気に取られると同時に、飛来は思わず反射的にその腕を取り押さえようとしてしまう。
「どういたがですか、武智さん?落ち着いて下さい!」
振り上げられる手首を掴み、なんとか気を静めさせようとする。
けれど暴れる者の力と言うのは片手間に抑えられるようなものではなくて。
「武智さん!」
気付けば叫ぶ激しさと同じ全身の力で、飛来は捕らえた武智の手首を道場の堅い床板に押し付けていた。
「しっかりしてつかあさい!」
身を伏せるような姿勢でもう一度大きく訴える。
しかしそんな飛来の懇願も今の武智には届かず、そのままどれくらい同じ体勢で固まっていたのか。
「いや…じゃ……」
不意に聞こえた小さな呟き。
それにハッと飛来が反射的に上半身を起こすと、そんな己の下で武智はこの時、それまでの
極度の緊張からか、ぐったりと力を失ってしまっていたようだった。
そんな様子の中、まるで覆い被さる影から逃れようとでもするかのように反らされた横顔の、その歯の根が
合っていないのがわかる。
痛々しいほどに張りつめていた糸が、完全に切れてしまったかのような姿。
それに飛来は瞬間、早く上からどかなければと思った。
本当にそう思った……なのに体はなぜか、僅かなりとも動こうとはしてくれなかった。
尊敬。憧憬。崇拝に近い思慕。
長年近くにありながらけして手が届かないと思っていた存在の、脆く崩れた姿を目の当たりにした時、
そこに沸き上がったのは物狂おしいような愛しさと……それさえも通り越した先にあった欲望だった。
だから思う心とは真逆に、ゆっくり手首から離された飛来の手はこの時、半ば無意識の動きで眼下にあった
白い道着の襟元にかけられる。
そのまま抗う間を与えず、それを左右に乱暴に肌けると、夜気に晒した首筋に吸い寄せられるように
顔を埋めた。
我を忘れたように夢中で貪る、初めて触れた肌の感触。
「やめ…っ…収次郎、やめいっ…」
体の下から再び弱々しい悲鳴が上げられても、己の中の衝動を止める事が出来ない。どころか、
何をされるのか、この人は知っている。
それに気付けば耳に届く悲痛な叫びは、飛来にとってむしろ激しい煽りとなった。だから、
「……酷うは、しませんきに…」
囁いた、もう止められない自分の欲望。
そして腕を回せば痩せたとはっきりわかる体を強く抱き締めれば、それに武智はこの時、
ただ絶望したような息を呑んだ。

男の言葉など当てにはならない。
大切に優しくしたいと思う心が、触れる傍から崩れてゆく。
「あ……ひぁ…っ…ん…」
引き下ろした道着で腕を後ろ手に取られ、抗いもままならない武智の体を、飛来は貫く。
指と舌で丹念に慣らしはした。
それでも長年自分の中に積み重なっていた劣情は、一度堰を切ればもはや止める事が出来なくて、
衝動のまま膨らむ怒脹を性急に受け入れさせれば、狭いそこは途端軋むような震えを帯びた。
きつい強張りに、半ばも行かぬうちにそれ以上進めなくなくなる。だから、
「ゆっくりでええですきに、力を抜いてつかあさい。」
宥めるように告げ、飛来は抱く相手のその頬に片手を寄せた。
しかしそれにも武智はただ荒い息を吐き、応えようとはしない。
その様にはもはや拒絶する力が無いだけで、けして受け入れている訳ではないのだと言わんばかりの
武智の心が伝わってくる。
だからそれに飛来は焦れた。
一つを手に入れれば、次が欲しくなるきりの無い欲。
体の奥底から突き上げてくるそんな暗い感情に煽られるように、飛来はこの時自分の体を起こすと
組み伏す武智の腰の下にその腕を回していた。
力を込めて引き上げ、座した自分の膝の上に抱えあげる。
途端、解かれていなかった繋がりが一気に自重で深くなり、それに武智が声にならない悲鳴を上げる。
仰け反る肌に緊張が走り、本能的に逃れようとその身が捩られる。
けれど飛来はそれを許さなかった。
どころか逆に引き寄せた胸元へ唇を落とすと、そこにあった突起を捕らえる。
一つは舌で。もう一つは這い上がらせた指先で。
舐め、捏ね、転がし、執拗なまでに時間をかけて腕の中の肌の緊張を解こうとすれば、それに武智の唇からは
やがて呻くような声が洩れだした。
「…ぅ…くぅ…あっ…」
固く目を閉じ頭が弱々しく打ち振られる。が、そんな拒絶の仕草も飛来が緩やかに下からの突き上げを
再開させれば、徐々にその様相を変えてゆく。
「…あ…やぁ…っ…ぁ…」
小刻みに揺さぶられ、隠せぬ艶が声に滲み出す。
体を支える足にはもはや力が入らないのか、されるがままゆっくりと体を深く開かれていく感覚に
追いつめられた肌が、手の中で火照りを帯びた。
溶けてゆく。
あらためて気付く、それはけして初めてではありえない、快楽を知る体だった。
だが飛来は今、それをどうでもいいと思う。
何があったのか、この人が語らないのならばけして聞くまい。
それでも腕の中にあるこの存在は、今は自分だけの物だった。
気付けば貫く楔を根元まで受け入れ、熱い襞を無意識に絡みつかせてくる武智の腰が、飛来に
同調するように揺れ始めていた。
それを受け止めながら飛来はこの時、武智の後ろ手に纏わりついていた道着をその手首から抜いてやる。
自由になった手が自分にどう向けられるのか。
拒まれるか、縋られるか。
果たしてその指はその時、彷徨い辿りついた肩先に強く爪を立てた。
「あぁ……ぁ…あっ…」
重ねる肌に胸と下腹部の熱を擦られ、あげる喘ぎを懊悩とした啜り泣きに変えてゆく武智に
引きずられる様に堕ちる、重く甘い泥の中を這い回るような快楽。
「武智…さん…っ…」
名を呼び穿つ、その内襞に逆に強く締め付けられ、飛来は刹那堪え切れなかった己の精を
武智の中に放っていた。
奥深くまで注ぎ込まれる、その熱い感触に腕の中の武智の体が跳ねる。
と同時に武市の欲もこの時、短な悲鳴と共に重ねた互いの腹の間で弾けていた。
抱き止めた背筋に走る一瞬の強張りと、その後に襲う脱力感。
崩れる。
そう思った瞬間、飛来は武智の唇が動くのを見た気がした。
微かに開かれた、その隙間から零れ落ちたのは人の名らしきもの。
自分のものではない。ならばそれは誰のものなのか。
この時の飛来に、その答えを知るすべは無かった。

引き戸を開ければ、外の雨は尚も強く降り続いていた。
しかし飛来はこの時、そんな雨に濡れるのも構わず庭へ下りると、井戸の蓋を外し、手にしていた桶に水を汲む。
そしてその中に自分の手拭いを浸すと、足早に道場の中へと戻った。
足を踏み入れたその先に、武智はいた。
灯りの無い道場の薄暗い闇の中、起こした上半身に掛けられている白い道着こそひどく着崩れてはいたが、
その背には数刻前と同じ、孤高とした空気が戻っている。
だから飛来はそれに気圧されるように、少し距離を置いた背後に座すと、手の桶を静かに差し出していた。
「…使うてつかあさい。」
懸命に声を絞り出す。
しかしそんな自分に返される彼の声は、この時無かった。
ひどく居た堪れない。
自分がそんな事を思う資格は無いのかもしれないが、それでも落とされる沈黙はまるで針の筵のようで、
飛来はしばし歯を食い縛ると、ついには耐えられぬようにその場から立ち去ろうとする。
「戸締りをしてきますきに。」
だからその間に、と逃げを打つ。
そのずるさが伝わったのだろう。
「…わしは…ええ…」
不意に耳に届いた細い声。それに飛来がハッと顔を上げると、武智はもう一度、しかしけして後ろを
振り向かぬままその言葉を発してきた。
「おまんが…使え…」
「……………」
「きれいな体や、無かったろ。」
汚れたのはむしろそちらの方だろうと、暗に告げられた言葉の語尾に自嘲の色が滲んでいるのがわかる。
だからその響きに飛来は刹那、胸に切り刻まれるような鋭い痛みを覚えていた。
すぐ否定の言葉を告げたかった。ただひたすらに謝りたかった。
しかしそれはこの人を更に深く傷つけるような気がして、ままならぬ想いに手が膝の上、きつく拳を握る。
それでも……このまま黙っている訳にはいかない事もわかっていた。
だから、
「武智さん……」
名を呼び、膝立ちに身を起こす。
静かに迫るその背後、起き上がる事は出来てもそれ以上の力は入らず、投げ出されたようになっていた
武智の手の上に、この時飛来は自分のそれをそっと重ね置いていた。
脅えられるのは覚悟の上だった。
実際、触れたその甲には瞬間、隠しきれない震えが走る。
咄嗟に引かれかける。けれど飛来はそれを瞬間握り込む事で逃がさなかった。そして、
「側に……おらせてつかあさい……」
懇願した。
この人が汚れているなどとは思わない。思うはずがない。
だから、多くは望まない。いや、もうこれだけでいい。
近くで声を聞き、目に姿を映し、それを見守る事が許されるのならば、自分は……
重ね、上になった己の手の甲に身を折る様に額を押し付け、飛来は祈る。
「後生ですきに…」
繰り返す。その願いに、それでも武智は初め何も応えなかった。
ただ凍ったように、その姿勢を正し続ける。
頑ななまでに清冽に。けれど、
「………じゃ…」
それがほんの一瞬、揺らぎを見せた。
辺りは外降る雨の音に満ちていた。
強く、単調に、いつまでも。
その音の帳に密かな呟きが滑り落ちる。
「おまんは……阿呆じゃ…」
力無く、そこには怒りも嘲りも無く。
ひっそりと零された武智のそのいっそ幼い声の響きに、飛来はこの時、胸の奥深く誓いを抱く。
許されるのならば、そばにいられるのならば。
自分はこの人の為にどんな事でもしよう。
それが例え……人の道から外れる事であったとしてもだ。
顔は見ず、ただ手だけを重ね、二人静かに身を沈める闇の底。
聞こえる雨の音は、いまだ止む気配を見せなかった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
書き終わってから、同じシュチュでも爽やかに起き上がるのがリョマ。
ガッツリいくのが飛来だと気がついた…


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